きょうから寝るまえの読書は、アンソロジー『幻想と怪奇 ポオ蒐集家』の再読だ。これも3度目かな。発行されたのが2005年だが、きれいな状態で部屋の棚に並んでいた。新刊本のときに買ったのだと記憶している。このアンソロジーに収録されている作品が、角川の『怪奇と幻想』と3作品も被っている。まあ、いい。名作だから、何度読み直してもよい。ダーレスの「淋しい場所」、リーイの「アムンゼンの天幕」、ジャコビの「水槽」だ。まあ、名作だわな。
1作目は、オーガスト・ダーレスの「淋しい場所」主人公の少年は7歳だった。夜にお使いに出されるのだが、暗い通りを通って帰らなければならないことを恐れていた。暗い闇には化け物がいるからだった。友だちもその化け物を見たことがあると言っていた。大きくなると、そんなことは忘れてしまったが、ある日の晩に、小さな男の子が暗い通り道で惨殺されたのだった。主人公は自分と友だちが想像した化け物が殺したのではないかと思う。
2作目は、ロバート・ブロックの「ポオ蒐集家」知り合いのポオ収集家の屋敷に行くと、さまざまなコレクションを見せてくれた。そして、ポオの骨を使って、ポオを現代に蘇らせたと言う。ポオらしき人物が出てきたところで、知人とポオらしき人物が炎のなかを取っ組み合いをし出した。主人公は屋敷を出る。後ろを振り返ると、屋敷は炎に包まれていた。
3作目は、レイ・ブラッドベリの「女」海から生まれた女がいた。恋人たちが浜辺にいた。恋人の男を海に誘い込んで殺してしまう。
4作目は、パトリシア・ハイスミスの「すっぽん」母親が料理用に買って来たすっぽんをペットのように思っていた少年は、すっぽんが熱湯の中に入れられて包丁でバラバラにされるところを見た。彼は母親を何度も包丁で刺して殺した。
5作目は作目は、ジョン・マーティン・リーイの「アムンゼンの天幕」南極のテントに化け物がいた。主人公は仲間ふたりにそれを見るのを止められていた。姿を描かないで、読者の気を引く話である。
6作目は、ロバート・シェクリイの「夢売ります」第3次世界大戦後の世界で、夢を売る店があった。主人公は、何気ない日常が続いている世界を望んだ。夢は見れた。じっさいは妻も息子も死んでいるのであった。
7作目は、ジョン・グッドウィンの「繭」蛾の標本つくりに夢中な少年がいた。あまりに夢中なあまり、体重も軽くなって、ある日、死んでしまった。
8作目は、リチャード・マシスンの「二年目の蜜月」はじめは妻の味がしなくなった。つぎは異臭がした。さいごに姿が見えなくなった。妻はとっくに死んでいたのだった。
9作目は、チャールズ・ボーモントの「無料の土」無料のものは何でも好きだった主人公は、土が無料であることを知り、毎土曜日にトラックで土をもらってきて、そこに食物になる種を植えた。種子が発芽し実が実ると存分に食べたが、死んでしまった。胃のなかからは土しか出てこなかった。
10作目は、ディヴィス・クラップの「あたしを信じて」人形を相手にしゃべっていると、叔母に叱られた。人形は生きているのよと叔母に言うと、きつく叱られた。さいごの日、叔母はふたりの少女がしゃべっているのを聞いた。姪としゃべっていたほうの女の子をその場で返した。すると、家には、人形箱に人形となった姪がいたのであった。
11作目は、フィリップ・k・ディックの「植民地」植民しようとしている惑星には、機材になら何でも化ける生物がうじゃうじゃいた。隊員たちは全員、裸で救助隊が來るのを待つことにした。救助船が来た。みんな乗った。救助船と思ったものは惑星の化け物だったのである。本物の救助船にはだれも乗らなかった。
12作目は、L・P・ハートリイの「エレベーターの人影」ことしのクリスマスはホテルで過ごすことにした家族がいた。息子はホテルのエレベーターにときどき人影を見た。父親といるときには見なかったので、その人影は父親だと思った。クリスマスイブの夜にエレベーターが故障していた。直されたのだが、少年がボタンを押しても動かない。どこかの扉があいているから動かないと思って、自分たちの泊っている階に行くと、扉があいていた。扉を閉めてボタンを押すとエレベーターが動いた。エレベーターにはサンタに扮した父親が乗っていたが、足元に玩具が散らばっていて、父親も床も血まみれだった。
13作目は、ジョン・クリストファーの「はやぶさの孤島」313ページに、詩論に使えそうな言葉があった。4行目だ。「兎がとびはねる、」(ジョン・クリストファー『はやぶさの孤島』村社 伸訳)。物語は、夫を殺された女が、夫を殺した犯人にし返しをするというもの。犯人は女を手に入れるため、夫を殺したのであった。男は、はやぶさを一匹、飼っていて、孤島に住んでいた。
さいごの14作目は、カール・ジャコビの「水槽」主人公の女性は画家でロンドンに一軒家を借りていた。その家にはまえに住んでいた貝類学者の置いていた水槽があった。主人公は友だちといっしょに住むことにした。ある日、水槽のある部屋に入ると、主人公の死体があった。水槽のある部屋でのことだった。主人公は頭部と顔面を食い破られていたようだった。血は水槽のところまでつづいていた。
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幻想と怪奇-ポオ蒐集家 (ハヤカワ文庫 NV ケ 3-4) 文庫 – 2005/2/1
仁賀 克雄
(編集),
オーガスト ダーレス
(著)
淋しい場所,ポオ蒐集家,女,すっぽん,アムンゼンの天幕,夢売ります 他
- 本の長さ357ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2005/2/1
- ISBN-104150410771
- ISBN-13978-4150410773
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2005/2/1)
- 発売日 : 2005/2/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 357ページ
- ISBN-10 : 4150410771
- ISBN-13 : 978-4150410773
- Amazon 売れ筋ランキング: - 894,636位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
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2015年6月21日に日本でレビュー済み
読みたかった作品が入ってたり、有名作家が世間的なイメージとは違った作風の短編を書いてたり、と読んだ価値はありましたが、
今まで読んだ怪奇短編の中で、このアンソロジーに含まれてる作品が上位にくるかと言うと・・・。
オチが唐突過ぎたり、捻りが無さ過ぎたりの作品が多いように思われます。
「淋しい場所」は、少年時代独特の想像力・感性の描写は確かに良かったのですが、オチで飛躍しすぎ。
「ポオ蒐集家」はオマージュの詰め込み過ぎ、あの作家のオマージュまでやるかな。
○○のそっくりさんだらけって想像すると笑っちゃいますよ。
「夢売ります」は、「世にも奇妙な物語」でのTVドラマ化の方がインパクトも出来も良かったです。
「植民地」「はやぶさの孤島」は良かったですが、怪奇幻想ってより、ミステリ、SFに入るような・・。
読む前に過度に期待しない方かもしれません。
今まで読んだ怪奇短編の中で、このアンソロジーに含まれてる作品が上位にくるかと言うと・・・。
オチが唐突過ぎたり、捻りが無さ過ぎたりの作品が多いように思われます。
「淋しい場所」は、少年時代独特の想像力・感性の描写は確かに良かったのですが、オチで飛躍しすぎ。
「ポオ蒐集家」はオマージュの詰め込み過ぎ、あの作家のオマージュまでやるかな。
○○のそっくりさんだらけって想像すると笑っちゃいますよ。
「夢売ります」は、「世にも奇妙な物語」でのTVドラマ化の方がインパクトも出来も良かったです。
「植民地」「はやぶさの孤島」は良かったですが、怪奇幻想ってより、ミステリ、SFに入るような・・。
読む前に過度に期待しない方かもしれません。
2009年10月7日に日本でレビュー済み
リチャード・マシスンの傑作短篇を読めるだけでも驚きなのに、それが小鷹信光の古びることのない名訳で読める、この一編のためだけで買う価値は十分にあるけれど、本書の衝撃作は(ホラー通にはあまりに有名かもしれないのだが)アーカム・ハウス社を創立したオーガスト・ダーレス著の「淋しい場所」。翻訳は永井淳(「キャリー」「呪われた町」「デッド・ゾーン」などの翻訳家)。安心できますよね?
「淋しい場所」についてすこし。
これはお使いを頼まれた子供が、“淋しい場所”にまつわるストーリイを創作しているうちに、それが本当のことになってしまうという、ぞっとするような怪奇譚。傾向としては読んでいて震えるというより、「わかるよ、それ」と言いたくなるような内容。
この短篇を読めばクライモリをとおることが、本当にコワくなってしまうでしょう。
なお、本書は名アンソロジイとはいえ、ホラー・アンソロジイ。2005年に発行され増刷もかかっていないため、在庫希少だろう。
早めに手に入れる必要がある。
数多のホラー・アンソロジイのなかでも、本書は傑出していると言っていい。
おまけではあるが、本書にはフィーリップ・K・ディークの佳作が収録されている。お買い得な短篇集である。
「淋しい場所」についてすこし。
これはお使いを頼まれた子供が、“淋しい場所”にまつわるストーリイを創作しているうちに、それが本当のことになってしまうという、ぞっとするような怪奇譚。傾向としては読んでいて震えるというより、「わかるよ、それ」と言いたくなるような内容。
この短篇を読めばクライモリをとおることが、本当にコワくなってしまうでしょう。
なお、本書は名アンソロジイとはいえ、ホラー・アンソロジイ。2005年に発行され増刷もかかっていないため、在庫希少だろう。
早めに手に入れる必要がある。
数多のホラー・アンソロジイのなかでも、本書は傑出していると言っていい。
おまけではあるが、本書にはフィーリップ・K・ディークの佳作が収録されている。お買い得な短篇集である。