もう50年以上も昔、高校生の頃にはじめて手にしたブラッドベリがこの本です。
バカバカしさと詩情とかみごとに融合した表題作をはじめ、ブラッドベリの紡ぎだすお話の数々に当時十代だった私は魅了されました。
以来、文庫化、新装版と新しい版が出るたびに買っていましたが、先月、私の誕生日に子供たちからKindle をプレゼントしてもらったので、それを機会に電子書籍版を購入しました。
あらためて読み返してみると、若い頃はもうひとつピンと来なかった「鉢の底の果物」とか「ぬいとり」といった作品も楽しく読めました。
この短編集で私が特に好きなのは表題作「太陽の黄金の林檎」と「山のあなたに」「歓迎と別離」です。何度読み返したことか。繰り返し読んでも「ええなぁ」と思います。
しかし不満が二つあります。
ひとつは解説です。
初刊本であるハヤカワSFシリーズ版の解説は当時SFマガジン誌の編集長だった福島正実さん。文庫版はブラッドベリを多く訳しておられる伊藤典夫さん。新装版は作家の中島梓さんがそれぞれ担当されています。どの解説もおもしろい。電子書籍版には三つの解説をすべて収録してほしいぐらいでした。しかし、Kindle版には解説は一切ありません。
どうしてなのか、早川書房に尋ねたい。
本を読むということは作品をただ読むだけではなく、その作者や作品の背景についても知りたいという思いが読者にはあるはずです。それを出版社はわからないのかなぁ。
もうひとつは挿絵です。
文庫版には、それぞれの作品の扉にブラッドベリと親交のあった画家、ムニャイニ Mugnainiのすばらしい挿絵がついています。しかしKindle版では挿絵はまったくありません。どうしてなのか、これも早川書房に尋ねたい。
あの挿絵をカットするとはブラッドベリファンとしては理解しがたい。
もっともこれらの不満は出版社側の話であり、作品そのものの魅力を損なうわけではないので☆5とします。
挿絵がついて、解説もつけ加えられたら、私はそれをもう一冊買い直すでしょう。
とにかく、この短編集はすばらしい。
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太陽の黄金の林檎 (ハヤカワ文庫 NV フ 2-9) 文庫 – 2006/2/1
- 本の長さ405ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2006/2/1
- ISBN-104150411077
- ISBN-13978-4150411077
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2006/2/1)
- 発売日 : 2006/2/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 405ページ
- ISBN-10 : 4150411077
- ISBN-13 : 978-4150411077
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,051,516位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年3月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ブラッドベリは長編は2冊読んだが、短編ははじめて。抽象度が高くよく分からない話と、分かりやすく面白い話が半々という印象だった。過去に行って恐竜を狩る話と映画のセットの話が印象に残った。
2019年11月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一晩中「電気」とまぐわい、何かに開眼する女(人妻)の話・・・『発電所』が秀逸。わずか十数ページの話なのにページの底が見えない、行間の果てが見えない。壮大でちょっと切なくて珍妙でロマンが深すぎる。レイ・ブラッドベリという男を俺は軽くみていた。ただの宇宙馬鹿かなにかと思ってた・・・読んだことがなかったつい最近まで。『発電所』は、一見清々しくもハッピーエンドのようにも見えるが、実はこのあと恐ろしい後日談があるように思えてならない。例えば発電所の巨大モーターに夫が挟まれ血みどろ、とか。電気の悪魔に取りつかれた人妻と通りすがりの瀕死の牧師が対決するとか(笑)。「電気風呂の怪死事件」だの「人間灰」だの珍奇なタイトルのSF〜怪奇小説を連発していた海野十三(うんのじゅうざ)の名を急に思い出したりもした11月の真夜中に、お宅の裏の発電所が静かに悶えてるわけ。電気ってセクシーじゃん、ってやっぱ思う・・・。
冒頭の『霧笛』にも、震えた。
冒頭の『霧笛』にも、震えた。
2018年11月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ポケット判かと思い購入しましたが、文庫判でした。文庫判は持っていますが、ブラッドベリのコレクターとして保管しています。
2017年7月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ブラッドベリの本は絶版や古本が多いので、読みやすいフォントに出来る電子書籍の有り難さをつくづく感じた。
2012年10月15日に日本でレビュー済み
レイ ブラッドベリの傑作中の傑作の短篇集。新装版になって読み易い感じに文章が並んだので、
20年ぶりに購入して読みなおしてみた。
高校生の時に読んだときは、ハードでないSFは受け入れられなかったので、あまり好きじゃなかったんだけど、
今は、作品のSF風な設定の自由さが個性として楽しめるようになり、
そうすると、すごくいい作品ばかりが並んでいることに気が付いて、驚かされた。
記憶を刺激する甘美な表現と巧みな言い回しと、絶妙のストリーテラーで、
読みながら、時間の迷宮に入り込んだような、不思議な感覚を味わうことができる作品が多く含まれている。
他の人のコメントにもあるように、作品集に収められている作品のうち10編ほどは、
他の凡百な作家では、一生に一度書けるか、書けないかと思われる水準である。
22篇の作品のうち
『発電所』『鉢の底の果物』『目に見えぬ少年』『二度とみえない』『黒白対抗戦』『草地』『大火事』40年代後半
それ以外の作品は50年代前半に書かれた作品であり、ブラッドベリが最も輝いていた時代の作品集である。
今回は、20日ほどかけて、一日一つずつ味わいながら読んでみたが、
とにかく作品の水準が高くて、読みながら、めまいがしてきた。
個人的にはありきたりだけど、『霧笛』『四月の魔女』『鉢の底の果物』『黒白対抗戦』『山のあなたに』『発電所』『草地』
『太陽の黄金の林檎』あたりがすごく印象に残った。
恐竜と灯台、魔女と月夜、太陽と宇宙船。。。。、言葉にすると陳腐に聞こえるかもしれないが、決して陳腐ではない。。
文章を通じて、現実のもののように体感するのだから。。
もし、万が一、本作品集を、手にとったことがない方がいたら、
小笠原 豊樹氏の翻訳文もとても素晴らしいので、是非この機会に迷わず手に入れて欲しい。
20年ぶりに購入して読みなおしてみた。
高校生の時に読んだときは、ハードでないSFは受け入れられなかったので、あまり好きじゃなかったんだけど、
今は、作品のSF風な設定の自由さが個性として楽しめるようになり、
そうすると、すごくいい作品ばかりが並んでいることに気が付いて、驚かされた。
記憶を刺激する甘美な表現と巧みな言い回しと、絶妙のストリーテラーで、
読みながら、時間の迷宮に入り込んだような、不思議な感覚を味わうことができる作品が多く含まれている。
他の人のコメントにもあるように、作品集に収められている作品のうち10編ほどは、
他の凡百な作家では、一生に一度書けるか、書けないかと思われる水準である。
22篇の作品のうち
『発電所』『鉢の底の果物』『目に見えぬ少年』『二度とみえない』『黒白対抗戦』『草地』『大火事』40年代後半
それ以外の作品は50年代前半に書かれた作品であり、ブラッドベリが最も輝いていた時代の作品集である。
今回は、20日ほどかけて、一日一つずつ味わいながら読んでみたが、
とにかく作品の水準が高くて、読みながら、めまいがしてきた。
個人的にはありきたりだけど、『霧笛』『四月の魔女』『鉢の底の果物』『黒白対抗戦』『山のあなたに』『発電所』『草地』
『太陽の黄金の林檎』あたりがすごく印象に残った。
恐竜と灯台、魔女と月夜、太陽と宇宙船。。。。、言葉にすると陳腐に聞こえるかもしれないが、決して陳腐ではない。。
文章を通じて、現実のもののように体感するのだから。。
もし、万が一、本作品集を、手にとったことがない方がいたら、
小笠原 豊樹氏の翻訳文もとても素晴らしいので、是非この機会に迷わず手に入れて欲しい。
2020年4月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
レイ・ブラッドベリのハッとするような新感覚の短編集である。【サウンド・オブ・サンダー】では、何気ないタイム・トラベル物のような感じですが、ラストではハッとするシュールな結末にびっくりします。【ぬいとり】では、シュールな感覚の独壇場であり、レイ・ブラッドベリの作風の広さに驚かされます。【鉢の底の果物】や【目に見えぬ少年】も新感覚風で面白い、充実の一冊である。
2013年11月3日に日本でレビュー済み
詩情あふれるブラッドベリの好短編集です。
さて何から読むか? なのですが、 「霧笛」「四月の魔女」「発電所」あたりは必読でしょう。
初ブラッドベリの人にも良いです。
さて何から読むか? なのですが、 「霧笛」「四月の魔女」「発電所」あたりは必読でしょう。
初ブラッドベリの人にも良いです。