キャメロン・ディアス主演で、「そのボタンを押せば100万ドルが手に入るが、どこかで知らない誰かが死ぬ」ボタンをめぐる葛藤を描いた表題作「運命のボタン」、ヒュー・ジャックマン主演の「ロボット同士がボクシングを行う」近未来を描いた「四角い墓場」等を収録した短篇集。
両作とも映画化にあたっては大幅に内容を変更されていますが、そのストーリーで引っ張る面白さは変わりません。
マシスンは文章で見せるタイプというよりも、そのストーリー展開で読者を引き込むタイプで、だからこそ映画化される作品も多いのだと思います。
全編に漂うのはある種の皮肉と「運命」。
とくに運命についてはマシスン全作品に通じるテーマのようで、運命に翻弄される人、運命に抗う人、それぞれの姿が描かれます。
「四角い墓場」においては、主人公はロボットを使ったボクシングの試合で生計をたてる男が主役。
向こう見ずで計画性がなく、そのため負け続きでロボットも旧型、という負の連鎖に陥っています。
起死回生をかけて試合に望みますが頼みの綱のロボットは故障し、やむなく自分がロボットとすり替わって戦う、というストーリー。
一方、これの映画版「リアル・スティール」では、うだつのあがらない「負け組」ロボット使いであるところは同じまでも、別れた妻との間に出来た(しかしずっと会っていなかった)子どもとの再開、そして子どもに励まされながらもポンコツロボットとともに世界の頂点を目指す、という復活のストーリー。
両者に相違はありますが、不思議と読み終えたとき、観終わったときの印象が似ています。
マシスンの映画をすでに見たことがある人は、原作と読み比べてみるのも面白いのではないでしょうか。
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運命のボタン (ハヤカワ文庫 NV マ 6-6) 文庫 – 2010/3/26
訪ねてきた見知らぬ小男は、夫婦に奇妙な申し出をする。届けておいた装置のボタンを押せば、大金を無償でご提供します。そのかわり、世界のどこかで、あなたがたの知らない誰かが死ぬのです。押すも押さないも、それはご自由です……究極の選択を描く表題作をはじめ、短篇の名手ぶりを発揮する13篇を収録。スピルバーグ、キング、クーンツら世界中のクリエイターたちに影響を与え、彼らに崇拝される巨匠中の巨匠の傑作集
- 本の長さ458ページ
- 出版社早川書房
- 発売日2010/3/26
- ISBN-104150412138
- ISBN-13978-4150412135
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商品の説明
著者について
1926年ニュージャージー州生まれ。第二次世界大戦には少年兵として従軍。1950年にホラー短篇「男と女から生まれたもの」で作家デビュー。1953年には長篇デビューをはたした。三度にわたって映画化された『アイ・アム・レジェンド』(1954年)をはじめ、SF、ミステリ、ホラーなど幅広いジャンルで数多くの傑作長短篇を発表。また脚本家としても知られ、「ミステリーゾーン」などの人気TV番組や劇場映画でも活躍した。息子のクリスチャンも作家として成功し、親子の合作作品もある。
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2010/3/26)
- 発売日 : 2010/3/26
- 文庫 : 458ページ
- ISBN-10 : 4150412138
- ISBN-13 : 978-4150412135
- Amazon 売れ筋ランキング: - 563,792位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 428位ハヤカワ文庫 NV
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
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2014年4月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2016年12月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
商品はともかく、届いて1週間たつのにまだ配送中とはこれいかに。
2012年8月10日に日本でレビュー済み
短篇集。
リチャード・マシスンの本は初めてだったので、どんな作風なのかわからずに読み始めたが、非常に面白かった。時に残酷で、時に温かく、解決されないまま放り出されるというのも短篇小説ならではの良さだと思う。また、作品、作家についての事前の情報がほとんどなかったことも良かった。展開が予測出来ない方が楽しめて良い。
また、巻末の解説に各短篇の解説があるが、それを見ると映画化されている作品が結構多かった。「運命のボタン」、「四角い墓場(『リアル・スティール』の原作)」など割と最近のもあった(どちらも見ていないが)。
全13編。「魔女戦線」が印象的だった。なんというか、今の日本に近い感覚な気がした。
運命のボタン Button, Button 伊藤典夫訳
針 Needle in the Heart 尾ノ上浩司訳
魔女戦線 Witch War 尾ノ上浩司訳
わらが匂う Wet Straw 尾ノ上浩司訳
チャンネル・ゼロ Through Channels 尾ノ上浩司訳
戸口に立つ少女 Little Girl Knocking on My Door 尾ノ上浩司訳
ショック・ウェーヴ Shock Wave 尾ノ上浩司訳
帰還 Return 尾ノ上浩司訳
死の部屋のなかで Dying Room Only 尾ノ上浩司訳
小犬 The Puppy 尾ノ上浩司訳
四角い墓場 Steel 尾ノ上浩司訳
声なき叫び Mute 尾ノ上浩司訳
二万フィートの悪夢 Nightmare at 20000 Feet 尾ノ上浩司訳
リチャード・マシスンの本は初めてだったので、どんな作風なのかわからずに読み始めたが、非常に面白かった。時に残酷で、時に温かく、解決されないまま放り出されるというのも短篇小説ならではの良さだと思う。また、作品、作家についての事前の情報がほとんどなかったことも良かった。展開が予測出来ない方が楽しめて良い。
また、巻末の解説に各短篇の解説があるが、それを見ると映画化されている作品が結構多かった。「運命のボタン」、「四角い墓場(『リアル・スティール』の原作)」など割と最近のもあった(どちらも見ていないが)。
全13編。「魔女戦線」が印象的だった。なんというか、今の日本に近い感覚な気がした。
運命のボタン Button, Button 伊藤典夫訳
針 Needle in the Heart 尾ノ上浩司訳
魔女戦線 Witch War 尾ノ上浩司訳
わらが匂う Wet Straw 尾ノ上浩司訳
チャンネル・ゼロ Through Channels 尾ノ上浩司訳
戸口に立つ少女 Little Girl Knocking on My Door 尾ノ上浩司訳
ショック・ウェーヴ Shock Wave 尾ノ上浩司訳
帰還 Return 尾ノ上浩司訳
死の部屋のなかで Dying Room Only 尾ノ上浩司訳
小犬 The Puppy 尾ノ上浩司訳
四角い墓場 Steel 尾ノ上浩司訳
声なき叫び Mute 尾ノ上浩司訳
二万フィートの悪夢 Nightmare at 20000 Feet 尾ノ上浩司訳
2020年11月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いつ読んでも面白い。
2010年4月13日に日本でレビュー済み
SFやホラー映画が好きなので、マシスンの邦訳本のメジャー所はだいたい読み
ましたが、総じて、この作家の作品は映像向きだなと感じます。
逆に言うと、読みものとしては物足りない話が多い気がします。
でも、それが分かっていても何故か買ってしまうんですけどね(笑)
マシスンを読んだことの無い人は、ロアルド・ダールみたいな作品を期待すると
ちょっと肩すかしをくう場合があるかもしれません。
ミステリーゾーンとかに特別な思いを持っている人が楽しむ作品だと思います。
ましたが、総じて、この作家の作品は映像向きだなと感じます。
逆に言うと、読みものとしては物足りない話が多い気がします。
でも、それが分かっていても何故か買ってしまうんですけどね(笑)
マシスンを読んだことの無い人は、ロアルド・ダールみたいな作品を期待すると
ちょっと肩すかしをくう場合があるかもしれません。
ミステリーゾーンとかに特別な思いを持っている人が楽しむ作品だと思います。
2013年4月15日に日本でレビュー済み
キャメロン・ディアス主演でハリウッド映画化された表題作を含む短編集。決して短編の名手と言われることもなく、巷では作品の当たり外れが多いことが度々指摘されているこの作家は、SF、ミステリ、幻想譚など、作品によってころころスタイルを変える。しかし、「ショートショート」の基本、お約束に忠実であり、そこから逸脱することはない。そして、多くの短編には明確なオチが用意されていない。確かに、当たり外れというか、難解で意味不明な短編には消化不良を起こし、わだかまりが残るのだが、そんなことは帳消しにするほど文体とプロットに魅力がある。国内作家にありがちな、くどくどしくもったいぶった情景描写も、人物紹介も、心理描写も省いてサクサク進行するストーリーは心地よく、ストレスは全く感じない。
さて、そんな中で本作は、表題作だけのために買っても決して損はない傑作だ。
映画とこの原作は大幅に異なる。それは同じく映画化された『サウンド・オブ・サンダー』にも言えることだが、驚くほど短い、数頁の掌編の中で、ただ「起こったこと」が簡潔に書かれているのだ。
“自宅に届いた箱のスイッチを押すと、見知らぬ誰かが死んで五万ドルが振り込まれる”。荒唐無稽なSFホラーかと思いきや、マシスンにしては珍しく、リアルでシニカルなオチが用意されている。結局、悲喜劇である本作は、『トワイライトゾーン』や『世にも奇妙な物語』そのままな筋立てなのだが、夫婦や謎の男との会話のやりとりも面白く、完成度があまりに高い。生真面目に、透徹した文体で語られるので、緊張感が加速し、膨らみきったところでかまされるギャグのような結末にずっこけるという具合。笑えました。
さて、そんな中で本作は、表題作だけのために買っても決して損はない傑作だ。
映画とこの原作は大幅に異なる。それは同じく映画化された『サウンド・オブ・サンダー』にも言えることだが、驚くほど短い、数頁の掌編の中で、ただ「起こったこと」が簡潔に書かれているのだ。
“自宅に届いた箱のスイッチを押すと、見知らぬ誰かが死んで五万ドルが振り込まれる”。荒唐無稽なSFホラーかと思いきや、マシスンにしては珍しく、リアルでシニカルなオチが用意されている。結局、悲喜劇である本作は、『トワイライトゾーン』や『世にも奇妙な物語』そのままな筋立てなのだが、夫婦や謎の男との会話のやりとりも面白く、完成度があまりに高い。生真面目に、透徹した文体で語られるので、緊張感が加速し、膨らみきったところでかまされるギャグのような結末にずっこけるという具合。笑えました。
2010年5月24日に日本でレビュー済み
切れ味のいい短編が収められていて、お買い得。
最後の「2万フィートの悪夢」は前に他の短編集で読んだが、
翻訳が新しいせいか、古さは感じなかった。
今回の映画「運命のボタン」は原作とは違うものになっていたのが
楽しくもあり、がっかりでもあったのだが、
映画化進行中という「四角い墓場」はどうなるだろう。
他にも、映画になりそうな短編がいっぱいなので
映像関係の方は、必読かも。
異色作家短編集の読者は勿論買いです。
最後の「2万フィートの悪夢」は前に他の短編集で読んだが、
翻訳が新しいせいか、古さは感じなかった。
今回の映画「運命のボタン」は原作とは違うものになっていたのが
楽しくもあり、がっかりでもあったのだが、
映画化進行中という「四角い墓場」はどうなるだろう。
他にも、映画になりそうな短編がいっぱいなので
映像関係の方は、必読かも。
異色作家短編集の読者は勿論買いです。
2010年4月1日に日本でレビュー済み
スピルバーグの『激突』や最近では『アイ・アム・レジェンド』の原作者として知られる著者の短編集。
頻繁に映像化されるのは、キャッチーなアイデアの豊富さとストーリー作りの巧みさゆえ。
単なるエンターテイメントで終わらぬ薄気味の悪さ、ダークな読後感にアメリカという国が抱える闇を感じる。
(余談だが藤子F不二雄の大人向けSF短編群はこの作家の濃密な影響下にあるはずだ。例えば「流血鬼」や「気楽に殺ろうぜ」など・・・)
頻繁に映像化されるのは、キャッチーなアイデアの豊富さとストーリー作りの巧みさゆえ。
単なるエンターテイメントで終わらぬ薄気味の悪さ、ダークな読後感にアメリカという国が抱える闇を感じる。
(余談だが藤子F不二雄の大人向けSF短編群はこの作家の濃密な影響下にあるはずだ。例えば「流血鬼」や「気楽に殺ろうぜ」など・・・)