イギリス、ニューマーケット競馬場の近くに店を開く、マックス・モアトンは、史上最年少で
ミシュランのひとつ星を取った男だった。そんな彼に、身の覚えのない「食中毒」の嫌疑が
かけられる。そして、その直後に遭遇する爆弾テロ。これ偶然か、それとも・・・。
かつて、評論家:青木雨彦氏は「作家は、しばしば自分の作品に登場する主人公をさして
”◯◯(主人公の名)は私だ(俺だ)”という。しかしながらディック・フランシスにだけ
は、絶対にそのセリフは、言わせない!」と言った。彼:ディック・フランシスの生み出す
主人公があまりにも魅力的であるがための嫉妬であろう。
今回の主人公もいい。31歳、史上最年少でミシュランの星を受けた男料理人(シェフいや、
ここはあえて、コックと言うべきか)。繊細で野心家、暴力は好まないが、その前に屈服する
のも好まない。典型的な「競馬シリーズ」の主人公だと思う。
本作は、ディック・フランシスと息子:フェリックス・フランシスの共著となっており、
フェリックスの影響も所々に見られる。たとえば主人公が「グーグル」で手掛かりを検索する
当りはフェリックスのアイディアではなかろうか。
また物語のなかで、主人公とその異父兄:トビイはディック・フランシスと息子:フェリックス
のようでもあり、主人公と彼の恋人となるヴィオラ奏者:キャロラインの関係は、
亡きフランシス夫人:メアリとの関係のようにも思える。
息子との共著になったり、翻訳家が変ったり、これまでのファンの方々には心配される
面があろうと思いますが、今作もしっかりと「競馬シリーズ」しております(主人公は、
骨折しても「鎮痛剤(アスピリン)」を飲んで寝れば復活するし・・・)ご心配なく
お読みください。
本当は、星5つだが、主人公:マックスがあまりにも良い漢(おとこ)過ぎるので
星マイナス1にしました(笑)。
PS.主人公が、或る場面で、命からがら逃げだした時(全裸で!)に助けてくれるご婦人
が好き。
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祝宴 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 文庫 – 2010/4/15
- 本の長さ510ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2010/4/15
- ISBN-104150707421
- ISBN-13978-4150707422
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2010/4/15)
- 発売日 : 2010/4/15
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 510ページ
- ISBN-10 : 4150707421
- ISBN-13 : 978-4150707422
- Amazon 売れ筋ランキング: - 456,297位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 729位ハヤカワ・ミステリ
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年2月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
主人公のガールフレンドはオーケストラのヴィオラ奏者。ヴィオラの奏者が活躍する小説は珍しいのではないだろうか。おまけに非常に魅力がある。ディック/フランシスは男だけではなく、女性の登場人物も魅力がある。ただしこの小説では、武装した悪人の顔をヴィオラでたたきのめして主人公を助ける。楽器がもったいない。
2008年1月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
息子フェリックスくん(と言ってももう良い大人だが)との共著とあったので、
まぁお手並み拝見という意地悪な視線で読み始めたのも悪かった。
今までのフランシス作品には、自然と人物や情景が目に浮かぶような
視覚的な効果も素ん晴らしかったのに、今回はそれが起こらない。
だからなのか、登場人物の人間像もいまひとつ明確に浮き上がってこない。
主人公が一体だれと付き合うのか、最初から「この人?えっこの人かな?」と
無駄な推測に時間を費やされてしまった。
だって出てくる女性の描写がものすごく少なくて、
若いのか年寄りなのか、性格良いのか悪いのか、一読では判断できないんだもん。
それも作者の手だったんだろうか?
唯一「この人は良い人だ!」とすぐにわかったのは、主人公の隣の家に住む女性だけだった。
とは言っても、フランシスの香りはそこはかとなく漂う一冊。
なんだかんだ言っても、次回作も読む気まんまんです。
まぁお手並み拝見という意地悪な視線で読み始めたのも悪かった。
今までのフランシス作品には、自然と人物や情景が目に浮かぶような
視覚的な効果も素ん晴らしかったのに、今回はそれが起こらない。
だからなのか、登場人物の人間像もいまひとつ明確に浮き上がってこない。
主人公が一体だれと付き合うのか、最初から「この人?えっこの人かな?」と
無駄な推測に時間を費やされてしまった。
だって出てくる女性の描写がものすごく少なくて、
若いのか年寄りなのか、性格良いのか悪いのか、一読では判断できないんだもん。
それも作者の手だったんだろうか?
唯一「この人は良い人だ!」とすぐにわかったのは、主人公の隣の家に住む女性だけだった。
とは言っても、フランシスの香りはそこはかとなく漂う一冊。
なんだかんだ言っても、次回作も読む気まんまんです。
2008年4月20日に日本でレビュー済み
競馬シリーズ、「再起」で復活。そして今度は、息子さんとの共著で新作登場。
舞台はニューマーケット。レストランのオーナーシェフ、マックス・モアトンは2000ギニーレースの前夜祭で料理を担当するが、本人も含めて多くの人々が原因不明の食中毒にかかってしまう。しかもレース当日、マックスは貴賓席で行われるスポンサー企業のパーティ料理もこなさなければならない。必死の思いで作業を終えた途端、場内で爆発が発生する。
いつものようにリサーチはていねいで、ストーリーにうまく溶けこんでいます。結末がややあっさりとしているのは、気のせいかな?
今後もこのシリーズが続くことを願っています。
舞台はニューマーケット。レストランのオーナーシェフ、マックス・モアトンは2000ギニーレースの前夜祭で料理を担当するが、本人も含めて多くの人々が原因不明の食中毒にかかってしまう。しかもレース当日、マックスは貴賓席で行われるスポンサー企業のパーティ料理もこなさなければならない。必死の思いで作業を終えた途端、場内で爆発が発生する。
いつものようにリサーチはていねいで、ストーリーにうまく溶けこんでいます。結末がややあっさりとしているのは、気のせいかな?
今後もこのシリーズが続くことを願っています。
2012年5月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人気レストランを経営し前途有望な若きシェフ、マックス・モアトン。しかし、彼が料理を担当したレースの前夜祭で食中毒が発生し、店は閉鎖に追い込まれてしまう。さらにレース当日、パーティ会場で爆弾テロが発生し、多くの死傷者が。不審を抱いたマックスは調査を開始する…。
息子フェリックスと初の共作を果たした競馬シリーズということで期待と不安でページをめくったが、結果、一気に読了、★5つです。
これでもかと危機一髪シーンが満載でちょっと盛り上げ過ぎ? という感じがないでもないが、往年のサスペンスフルな雰囲気は健在です。
北野寿美枝の訳も菊池光のスタイルをよく踏襲していてまずは合格点です。
息子フェリックスと初の共作を果たした競馬シリーズということで期待と不安でページをめくったが、結果、一気に読了、★5つです。
これでもかと危機一髪シーンが満載でちょっと盛り上げ過ぎ? という感じがないでもないが、往年のサスペンスフルな雰囲気は健在です。
北野寿美枝の訳も菊池光のスタイルをよく踏襲していてまずは合格点です。
2008年2月24日に日本でレビュー済み
真摯で好感の持てるシェフが主人公。
競馬、ポロ、料理、音楽の話題が織り交ざっていますが、シェフとヴィオラ奏者との恋がメインとなっています。
何度も深刻な被害に遭遇しますが、被虐的な不快感はありません。
ただし、期待した騎乗シーンがなかったので減点しました。
名翻訳者の菊池光さんの跡を継いだ北野寿美枝さんの訳文が、さわやかで小気味の良い文体で読みやすいです
競馬、ポロ、料理、音楽の話題が織り交ざっていますが、シェフとヴィオラ奏者との恋がメインとなっています。
何度も深刻な被害に遭遇しますが、被虐的な不快感はありません。
ただし、期待した騎乗シーンがなかったので減点しました。
名翻訳者の菊池光さんの跡を継いだ北野寿美枝さんの訳文が、さわやかで小気味の良い文体で読みやすいです
2009年8月9日に日本でレビュー済み
前作で復活を遂げたディック・フランシスの競馬シリーズの最新作。今回は息子が共著者となっている。
前作はシド・ハレーものでとても面白かったことから、今回もつい買ってしまった。ストーリーは、単調で謎ときも主人公の恋愛もそんなばかなというくらい、一直線に進んでいく。
でも、それがディック・フランシスのよさかな。安心して読める。
前作はシド・ハレーものでとても面白かったことから、今回もつい買ってしまった。ストーリーは、単調で謎ときも主人公の恋愛もそんなばかなというくらい、一直線に進んでいく。
でも、それがディック・フランシスのよさかな。安心して読める。
2010年6月28日に日本でレビュー済み
相当な競馬シリーズファンを自認し、殆どの作品は、10回以上繰り返して読んでいます。
もちろんあらすじは知っているけれど、それでも読み返すのは、毎回 自分の在り方について考えさせられるような台詞や場面に出会えて、読後「なにか大切なものをわけてもらった」ような気持ちになれるから。
でも、この作品からは、それが感じられなかった。残念なことに。
それは、作者の人格の違いから来ているとしか思えない。
(翻訳者の言葉の選択からくる雰囲気の違いもあるけれど、それだけではここまで変わらない。)
例えば、自分の料理で集団食中毒を起きたと知らさた時の主人公の態度。
(最終的には、主人公の落ち度ではなく、料理に故意に混入された毒物による中毒だと判明するのだが、それにしても、)
父フランシスの主人公の口からだったならば「絞め殺してやりたい、この女は何を考えているのだ?私が故意に食中毒を起こしたとでも?」というセリフが出るとは思わない。
その他にも、そこここに違和感を感る箇所があった。
この自信家の主人公は、もう従来の父フランシスの主人公のタイプではない。これは別の競馬シリーズだ。
次作を買う気は、今のところない。非常に残念だが。
もちろんあらすじは知っているけれど、それでも読み返すのは、毎回 自分の在り方について考えさせられるような台詞や場面に出会えて、読後「なにか大切なものをわけてもらった」ような気持ちになれるから。
でも、この作品からは、それが感じられなかった。残念なことに。
それは、作者の人格の違いから来ているとしか思えない。
(翻訳者の言葉の選択からくる雰囲気の違いもあるけれど、それだけではここまで変わらない。)
例えば、自分の料理で集団食中毒を起きたと知らさた時の主人公の態度。
(最終的には、主人公の落ち度ではなく、料理に故意に混入された毒物による中毒だと判明するのだが、それにしても、)
父フランシスの主人公の口からだったならば「絞め殺してやりたい、この女は何を考えているのだ?私が故意に食中毒を起こしたとでも?」というセリフが出るとは思わない。
その他にも、そこここに違和感を感る箇所があった。
この自信家の主人公は、もう従来の父フランシスの主人公のタイプではない。これは別の競馬シリーズだ。
次作を買う気は、今のところない。非常に残念だが。