上巻は、多重人格とはどのようなものであるのか、を理解するために物語が構成されている。主人公はあくまでビリーなのだが、そのビリーを明らかにするのはビリーを取り巻く医師であったり弁護士であったり、さらには、患者であったりする。
他方、下巻は、上巻を前提として、ビリーの視点からビリーを描いていく構成になっている。また、ビリーを餌に売名行為をするような社会に潜む闇についても描かれているし、さらに、刑務所や刑務所に等しい施設は、あくまで服従を強いる施設・組織であって、治療を目的としていないという警鐘も主張されている。
果たして多重人格は存在しうるのか? 多重人格者は犯罪に対する責任をどのように果たさなければならないのか?
アメリカの後追いをする我が国では十分過ぎるほどに議論されなければならないものだと思う。
また、我々は本当に情報を自らの冷静な客観的視点で考察し、判断しているだろうか?
インターネットの普及により情報は氾濫し、マスコミは心理学的要素を盛り込んだ報道をする。 何のフィルターもなしに、そして、根拠もなしにそれを盲信し、正しいものだと思っていないだろうが?
『ネットが…』とか、『知人が…』とかは全く根拠のないものである。情報への手がかりにしか過ぎないのだ。 本作を読むことで、人間という存在について、社会の歪みについて、そして、正義と癒しについて非常に多くのことを考えさせられると思う。
ビリーは決して他人事ではなく、誰にも妥当するものなのだ。
児童虐待と多重人格は密接に関係し、その原因は社会構造にあるのである。
非常に感銘を受けたし、沢山学ぶことができた。有意義な時間を過ごさせてくれる良書だった。訳が非常に良かったと思う。
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24人のビリー・ミリガン 下 (ダニエル・キイス文庫 5) 新書 – 1999/10/7
- 本の長さ502ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日1999/10/7
- ISBN-104151101055
- ISBN-13978-4151101052
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (1999/10/7)
- 発売日 : 1999/10/7
- 言語 : 日本語
- 新書 : 502ページ
- ISBN-10 : 4151101055
- ISBN-13 : 978-4151101052
- Amazon 売れ筋ランキング: - 91,108位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 629位英米文学研究
- - 7,575位新書
- - 21,192位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年8月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2020年12月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
説明が冗長で、文章にクセがあるように思う。
そのため、読み始めてしばらくは、読みにくくて内容に集中できずにいた。
でも、内容は大変興味深くて、文章に慣れるころには、話に没入していた。
とても衝撃的なことばかりで、なぜそうなったのか? なぜそんなことをしたのか?
と気になることばかりだが、説明がないことも多くて少々モヤモヤが残る。
でも、ほぼノンフィクションらしいので、説明できないことも多いのだろう。
モヤモヤが残るが、だからこそ現実的に感じられて、内容がよけいに胸にキた。
そのため、読み始めてしばらくは、読みにくくて内容に集中できずにいた。
でも、内容は大変興味深くて、文章に慣れるころには、話に没入していた。
とても衝撃的なことばかりで、なぜそうなったのか? なぜそんなことをしたのか?
と気になることばかりだが、説明がないことも多くて少々モヤモヤが残る。
でも、ほぼノンフィクションらしいので、説明できないことも多いのだろう。
モヤモヤが残るが、だからこそ現実的に感じられて、内容がよけいに胸にキた。
2014年7月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ダニエル・キイスさんが亡くなったので、もう一度読んでみたくなり注文しました。
親の生き方、愛し方が、どれだけ子どもの人生に影響を与えるのか、その責任とともに改めて考えさせられる作品でした。
多重人格が珍しくセンセーショナルに感じられたころよりも、今読んだほうが、ビリーの立場や苦しみについてよく理解できるように思います。
ビリーは数年前に日本のテレビ番組の取材に応じてくれたりしているけど、最近はどんな活動をしているのでしょう。またの登場に期待したい。
親の生き方、愛し方が、どれだけ子どもの人生に影響を与えるのか、その責任とともに改めて考えさせられる作品でした。
多重人格が珍しくセンセーショナルに感じられたころよりも、今読んだほうが、ビリーの立場や苦しみについてよく理解できるように思います。
ビリーは数年前に日本のテレビ番組の取材に応じてくれたりしているけど、最近はどんな活動をしているのでしょう。またの登場に期待したい。
2012年9月2日に日本でレビュー済み
下巻は上巻の後半から始まったビリーの生い立ちの続きから始まります。
彼の生い立ちが長々と書かれているので、正直、少しだるいです。
彼が養父に虐待を受けて多重人格者になり、人格の交代を繰り返す度に周囲に迷惑をかけたり、犯罪を犯したりの繰り返しで読んでいてうんざりしてきます。
しかし、事実を書いている以上、だるくても重要なことは書くしかないのでしょう。
本書の最後にビリーを犯罪者として過剰に恐れる人達がビリーをライマ病院と言う患者を虐待する病院に入れます。
彼の物語はまだまだ続きます。
本書の続編は「ビリー・ミリガンと23人の棺」(上)になります。
彼の生い立ちが長々と書かれているので、正直、少しだるいです。
彼が養父に虐待を受けて多重人格者になり、人格の交代を繰り返す度に周囲に迷惑をかけたり、犯罪を犯したりの繰り返しで読んでいてうんざりしてきます。
しかし、事実を書いている以上、だるくても重要なことは書くしかないのでしょう。
本書の最後にビリーを犯罪者として過剰に恐れる人達がビリーをライマ病院と言う患者を虐待する病院に入れます。
彼の物語はまだまだ続きます。
本書の続編は「ビリー・ミリガンと23人の棺」(上)になります。
2017年2月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
状態良く安くて良かったです。期限内の配達でしたが、せっかちな私には遅く感じてしまいました(笑)
2018年10月17日に日本でレビュー済み
人間の精神世界や無罪になった性犯罪者に対する世間の圧力、ビリーを支える医者や弁護士の努力など大変興味深く読めました。
2008年6月16日に日本でレビュー済み
絶句します。
現実にしてはあまりに常軌を逸している。かといって、物語にしてはあまりに生々しすぎる。
とにかく、これを一旦事実と納得したうえで読んで思うことは、知能、年齢、国籍、性向、性別の違う24の人格を生み出したのはたった一つの脳みそだと言うことへの驚嘆と、「ウィリアム・スタンレー・ミリガン」という生きにくい生い立ちを持った一つの人生は24人の人格が分担せねば生き得なかったということに対する哀しさです。
いずれ我々は「同情」を愉しんでいるのでしょう。しかし、我々はこの本にかかれてあることを、少なくとも、知ってはおくべきです。
現実にしてはあまりに常軌を逸している。かといって、物語にしてはあまりに生々しすぎる。
とにかく、これを一旦事実と納得したうえで読んで思うことは、知能、年齢、国籍、性向、性別の違う24の人格を生み出したのはたった一つの脳みそだと言うことへの驚嘆と、「ウィリアム・スタンレー・ミリガン」という生きにくい生い立ちを持った一つの人生は24人の人格が分担せねば生き得なかったということに対する哀しさです。
いずれ我々は「同情」を愉しんでいるのでしょう。しかし、我々はこの本にかかれてあることを、少なくとも、知ってはおくべきです。
2018年12月30日に日本でレビュー済み
絶賛投稿ばかりなので、あえて違う視点で。
初版は1992年であり、アルジャーノンやらジェニーの中の500人やらFBI真理分析官やら、多重人格や猟奇殺人などの心理分析が進むにつれ、当時は絶大なインパクトのあったこのジャンルの作品も、今はそれほど珍しくも無くなった。
買ったのはもう相当前だが、中古本に売りに出すために再読してみると、やはり1人の人間が24人もの人格に分裂し、各人が外国人設定や色んな特殊能力を持っていると言うのは、この分野の先駆け的話題作として興味を引く題材であると思う。
だがいかんせん、文章力が低すぎる。原文を読んでないので、元の筆者の文章力が低いのか、日本語訳が酷いのかわからないが、日本語として不自然な部分が多すぎて、作品のテーマ本来が持つ読書の面白さが半減している。
例えば最初から最後までずっとだが、大量の登場人物が出てくるので、誰が誰だかすぐわからなく上に、一瞬出てくるだけのモブのモブみたいな人物にまで、本筋に関係ないどうでもいい説明が多すぎる。例えば主人公を護送するだけの一瞬だけ出るモブにさえ、作品を読み進めるのに全く不要な身体的特徴やそれ以外の補足情報まで加えられているので、木を見たいのに、枝葉末節まで無理やり見せられ、視界が定まらずどこを見ているのかわからなくなり疲労困ぱいと言ったところだ。いちいちやたら長い修飾語句付きで「〜〜〜〜な誰々」と言った感じで初出のモブが紹介されるが、一瞬で消えるので、あれ?今のやつあんな説明なんに為にしたんだ?と混乱するだけ。そういうのがやたら多い。
また原文を読んでないので断言は出来ないが、日本語として不自然な箇所が多すぎる。おそらくこういう英語をこう訳したのだろう、と推測できる不自然な訳が大量にあり、純粋に話を読み進めたいこちらの読書欲をひどく損ねる。
また所詮他人が書く(=知らない部分は述べられない)というこの手の作品に共通しているが、なぜ各人格が、外国語のアクセントや、縄抜け、銃、格闘技、爆薬の扱い他の、特殊技能や知識を身につけたかが不明である。もちろんその人格になってる間に、本やTVで地味に独学し特訓した可能性が大だが、多重人格モノって大体が突然特殊能力やその人自身が知るうるわけない知識(一度も外国行ったことないのに、本やTVで知りうる以上の現地情報を知ってるとか、学んだことさえない言語や特殊技能を使いこなせるなど)、いやいや、別人格にしても、全く触れたことないものどう覚えたんだ?と読者は不思議でならないが、そういう謎は語られない。この作品では数年がかりで本その他で習得したらしいことがごくサラッと触れられていたが、別人格とはいえ子供がこんなの独学で習得できるか?と言うものが多く、詳細の解明はされていない。
肝心の治療と人格の統合も、一言、「似た人格を統合し、最後は1人にする」だけで、そんな複雑かつ困難を極めそうな過程の詳細がなく工程は不明なで、特に盛り上がりもないし(治療を阻害する周りの酷さばかりが強調)、中途半端が残ったままだ。
そのくせ取材やインタビューで知った情報は、物語としての体裁に関係なく、とりあえず全て突っ込んである感じなので、全然前後の関係で必須感もなく、なぜあえてこの一文入れたんだ?と言うような独立分離した情報や文が大量にあり、前述のように散漫感がものすごい。
「ビリーは目を閉じた。ダニーは見たことのない部屋にいるのに気づいた。怖くなりトミーに変わった。アレンはペンを取り上げ、絵を描いた。昼寝から目覚めるとダニーは鏡に映った顔に怪我があるのに気づいた」的に、ただ観測記録から時系列に人格を連ねてるだけの描写が多く、特定のキャラの出番を追いかけてるオタ以外には、「別にこれ中身ないしいらんだろ?」という散漫描写がとにかく多い。
こう言う余計なものを削除すれば、実際読者が多重人格のビリーミリガンについて知るべき情報は、半分に収まると思う。
時間の欠落がある様々な人格や、数十名に及ぶ関係者から情報を集め、丁寧につなぎ合わせたのはものすごい労力だとは思うが、読み物としての作品の質と言うことを考えると、正直まとまりないし読みにくいと言わざるを得ない。
初版は1992年であり、アルジャーノンやらジェニーの中の500人やらFBI真理分析官やら、多重人格や猟奇殺人などの心理分析が進むにつれ、当時は絶大なインパクトのあったこのジャンルの作品も、今はそれほど珍しくも無くなった。
買ったのはもう相当前だが、中古本に売りに出すために再読してみると、やはり1人の人間が24人もの人格に分裂し、各人が外国人設定や色んな特殊能力を持っていると言うのは、この分野の先駆け的話題作として興味を引く題材であると思う。
だがいかんせん、文章力が低すぎる。原文を読んでないので、元の筆者の文章力が低いのか、日本語訳が酷いのかわからないが、日本語として不自然な部分が多すぎて、作品のテーマ本来が持つ読書の面白さが半減している。
例えば最初から最後までずっとだが、大量の登場人物が出てくるので、誰が誰だかすぐわからなく上に、一瞬出てくるだけのモブのモブみたいな人物にまで、本筋に関係ないどうでもいい説明が多すぎる。例えば主人公を護送するだけの一瞬だけ出るモブにさえ、作品を読み進めるのに全く不要な身体的特徴やそれ以外の補足情報まで加えられているので、木を見たいのに、枝葉末節まで無理やり見せられ、視界が定まらずどこを見ているのかわからなくなり疲労困ぱいと言ったところだ。いちいちやたら長い修飾語句付きで「〜〜〜〜な誰々」と言った感じで初出のモブが紹介されるが、一瞬で消えるので、あれ?今のやつあんな説明なんに為にしたんだ?と混乱するだけ。そういうのがやたら多い。
また原文を読んでないので断言は出来ないが、日本語として不自然な箇所が多すぎる。おそらくこういう英語をこう訳したのだろう、と推測できる不自然な訳が大量にあり、純粋に話を読み進めたいこちらの読書欲をひどく損ねる。
また所詮他人が書く(=知らない部分は述べられない)というこの手の作品に共通しているが、なぜ各人格が、外国語のアクセントや、縄抜け、銃、格闘技、爆薬の扱い他の、特殊技能や知識を身につけたかが不明である。もちろんその人格になってる間に、本やTVで地味に独学し特訓した可能性が大だが、多重人格モノって大体が突然特殊能力やその人自身が知るうるわけない知識(一度も外国行ったことないのに、本やTVで知りうる以上の現地情報を知ってるとか、学んだことさえない言語や特殊技能を使いこなせるなど)、いやいや、別人格にしても、全く触れたことないものどう覚えたんだ?と読者は不思議でならないが、そういう謎は語られない。この作品では数年がかりで本その他で習得したらしいことがごくサラッと触れられていたが、別人格とはいえ子供がこんなの独学で習得できるか?と言うものが多く、詳細の解明はされていない。
肝心の治療と人格の統合も、一言、「似た人格を統合し、最後は1人にする」だけで、そんな複雑かつ困難を極めそうな過程の詳細がなく工程は不明なで、特に盛り上がりもないし(治療を阻害する周りの酷さばかりが強調)、中途半端が残ったままだ。
そのくせ取材やインタビューで知った情報は、物語としての体裁に関係なく、とりあえず全て突っ込んである感じなので、全然前後の関係で必須感もなく、なぜあえてこの一文入れたんだ?と言うような独立分離した情報や文が大量にあり、前述のように散漫感がものすごい。
「ビリーは目を閉じた。ダニーは見たことのない部屋にいるのに気づいた。怖くなりトミーに変わった。アレンはペンを取り上げ、絵を描いた。昼寝から目覚めるとダニーは鏡に映った顔に怪我があるのに気づいた」的に、ただ観測記録から時系列に人格を連ねてるだけの描写が多く、特定のキャラの出番を追いかけてるオタ以外には、「別にこれ中身ないしいらんだろ?」という散漫描写がとにかく多い。
こう言う余計なものを削除すれば、実際読者が多重人格のビリーミリガンについて知るべき情報は、半分に収まると思う。
時間の欠落がある様々な人格や、数十名に及ぶ関係者から情報を集め、丁寧につなぎ合わせたのはものすごい労力だとは思うが、読み物としての作品の質と言うことを考えると、正直まとまりないし読みにくいと言わざるを得ない。