この映画の大ファンで、これまで数え切れないほど繰り返し見てきました。
映画との違いについてしばしば取り上げられるため原作にも興味はありましたが、今回はじめて読むことができました。このため映画の各場面、セリフを思い起こしながらの少し変わった読書体験となりました。
映画と原作の印象を異なるものにする最大の要素は、原作ではキャロウェイが語り手となり、すべての話を進めていくところです。しかし、実際にキャロウェイがロロ(ホリー)と行動を共にするのはごく一部の場面のみです。このため、物語の描写にはかなりの不自然さ、というか、ぎこちなさを伴っています。この点が映画では素晴らしく編集されており、まさに史上最高と言われる映画に仕上がりました。
原作単体で読むと、小説と脚本の中間のような印象の不思議な作品です。ただし、作品が映画製作を目的としていることを考えると、文句なく星5つを差し上げたいと思います。
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第三の男 (ハヤカワepi文庫 ク 1-1) 文庫 – 2001/5/1
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- 本の長さ205ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2001/5/1
- ISBN-104151200010
- ISBN-13978-4151200014
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2001/5/1)
- 発売日 : 2001/5/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 205ページ
- ISBN-10 : 4151200010
- ISBN-13 : 978-4151200014
- Amazon 売れ筋ランキング: - 287,854位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年12月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
第三の男の企画の最初の最初は、
BBCのシャドウイング・ザサードマンによると、
グレアム・グリーンが1938年のフランス映画・望
郷(ペペルモコ)を見て、強い印象を受けたとか。
カスバの迷路に逃げ込んだギャング(ジャン・ギャバン)
即ち、西の男がオリエンタルの迷路に逃げ込む話し、
これに政治的な色合いをつけたものにしようとしたとか。
ですから、キャロル・リードの最初のナレーションに
コンスタンチノプールが出て来るわけです。
このペペルモコでは、カスバの情人として、イネスが
描かれますが、それが決して美人ではなく、一方、
パリからきたギャビーに惹かれてモコは破滅する
わけです。
グレアム・グリーンは小説はコメディ・スリラーと
して書いたのですが、アンナ・シュミットについて
記述がありますが、イネス的容貌です。
ですから、最後の中央墓地では、アンナ・シュミットが
ロロ・マーチンスを掴まえてしまう喜劇の
結末になったと思います。
ここは小説の英文では、ロロ・マーチンスが
I've lostと言ってからアンナ・シュミ ットを
大股で追っていき、それから 並んで歩いていきます。
I've lostがなければ意味はまた別。英文も日本文の
前後を読まねば意味が正確には把握できません。
この小説の終わりの場面を例示すれば、
マツコ・デラックスが佐藤浩市の腕を掴んで競馬場に
つれていくようなものですね。
更に言えば、モコはギャビーを使ってカスバの迷路から
罠にひっかかり
破滅するが、ハリー・ライムはホリー・マーチンスを
罠に、地下迷路からおびき寄せられて殺されるという
同じパターンを使っていますね。
ですから望郷では、男モコ、女イネス、女ギャビーの
三角関係、第三の男のでは、男ハリー・ライム、
女アンナ・シュミット、男ホリー・マーチンスで
性別があわないのですが、グレアム・グリーンの小説では、
ハリーとロロが同性愛(英国の寄宿舎で)
の関係を暗示してますね。
BBCのシャドウイング・ザサードマンによると、
グレアム・グリーンが1938年のフランス映画・望
郷(ペペルモコ)を見て、強い印象を受けたとか。
カスバの迷路に逃げ込んだギャング(ジャン・ギャバン)
即ち、西の男がオリエンタルの迷路に逃げ込む話し、
これに政治的な色合いをつけたものにしようとしたとか。
ですから、キャロル・リードの最初のナレーションに
コンスタンチノプールが出て来るわけです。
このペペルモコでは、カスバの情人として、イネスが
描かれますが、それが決して美人ではなく、一方、
パリからきたギャビーに惹かれてモコは破滅する
わけです。
グレアム・グリーンは小説はコメディ・スリラーと
して書いたのですが、アンナ・シュミットについて
記述がありますが、イネス的容貌です。
ですから、最後の中央墓地では、アンナ・シュミットが
ロロ・マーチンスを掴まえてしまう喜劇の
結末になったと思います。
ここは小説の英文では、ロロ・マーチンスが
I've lostと言ってからアンナ・シュミ ットを
大股で追っていき、それから 並んで歩いていきます。
I've lostがなければ意味はまた別。英文も日本文の
前後を読まねば意味が正確には把握できません。
この小説の終わりの場面を例示すれば、
マツコ・デラックスが佐藤浩市の腕を掴んで競馬場に
つれていくようなものですね。
更に言えば、モコはギャビーを使ってカスバの迷路から
罠にひっかかり
破滅するが、ハリー・ライムはホリー・マーチンスを
罠に、地下迷路からおびき寄せられて殺されるという
同じパターンを使っていますね。
ですから望郷では、男モコ、女イネス、女ギャビーの
三角関係、第三の男のでは、男ハリー・ライム、
女アンナ・シュミット、男ホリー・マーチンスで
性別があわないのですが、グレアム・グリーンの小説では、
ハリーとロロが同性愛(英国の寄宿舎で)
の関係を暗示してますね。
2009年8月23日に日本でレビュー済み
「序文」で、グリーン自身が「『第三の男』は読んでもらうためにではなく、見てもらうために書いたものだ、と言っているように、この本は映画のほうが圧倒的に有名で、私も過去何度かTV,DVDで観たものだ。あえて、原作を読んでみた。
原作を読めば、第二次大戦後のウイーンは米英仏ソ4カ国に共同管理されていたこと、ペニシリンの闇取引が横行していたこと、既に西側と東側の冷戦構造が見え隠れしていたこと等々がよくわかり、映画を観るにあたり予備知識としてなかなか興味深い。
映画は原作と若干変わっているのだ。一番の違いは、映画史上最も有名なラスト・シーンといわれている、例のあのシーン。映画ではアン・ハッピー・エンディングで終わっているのだが、グリーンも納得済みの好結果となった。良質のサスペンスは映画も原作も、どちらもいいものだ。
原作を読めば、第二次大戦後のウイーンは米英仏ソ4カ国に共同管理されていたこと、ペニシリンの闇取引が横行していたこと、既に西側と東側の冷戦構造が見え隠れしていたこと等々がよくわかり、映画を観るにあたり予備知識としてなかなか興味深い。
映画は原作と若干変わっているのだ。一番の違いは、映画史上最も有名なラスト・シーンといわれている、例のあのシーン。映画ではアン・ハッピー・エンディングで終わっているのだが、グリーンも納得済みの好結果となった。良質のサスペンスは映画も原作も、どちらもいいものだ。
2016年8月5日に日本でレビュー済み
グリーンは自身の作品を本格小説ノヴェルと娯楽小説エンターテインメントに分類した作家である。
この作品は映画のために書かれたもので、readabilityが高くあっという間に読了した(映画を見た直後だったのもあり)。
先に読んでおけば映画がより理解できたかもしれないと感じた。
ところどころに置かれた笑える一コマが、なおさらハリー・ライムの「ピーター・パンのような」悪を際立たせている。
それは無垢な子どもの残酷さを思わせる。
彼が「一人前になる」=改心する、ということはない。カトリック信者だが、その解釈はご都合主義。
話し合って解決というのはやはり幻想にすぎないのかと考えこんでしまった。
事件を捜査してきたキャロウェイに「あなたの勝ちです。私の馬鹿野郎ぶりを証明なさったんだから」
と言われたハリーの友人マーティンズが、「勝ったんじゃありません、ぼくの負けでした」と答えたのは、
彼の正義と信頼が親友と思っていたハリーに通用せず、しかも彼を死に追いやってしまったからだろう。
確かにこれはかなり酷な展開だ。
その上に映画版のようなラストでは、「この種の娯楽物には不幸な結末は重すぎる」とグリーンが考えたのも無理はないだろう。
しかし、本人も認めているように、映画のラストの方が断然よかった!
(チターの音色にも助けられていると思うが)
映画とセットで最大限に楽しめるエンターテインメントだった。
この作品は映画のために書かれたもので、readabilityが高くあっという間に読了した(映画を見た直後だったのもあり)。
先に読んでおけば映画がより理解できたかもしれないと感じた。
ところどころに置かれた笑える一コマが、なおさらハリー・ライムの「ピーター・パンのような」悪を際立たせている。
それは無垢な子どもの残酷さを思わせる。
彼が「一人前になる」=改心する、ということはない。カトリック信者だが、その解釈はご都合主義。
話し合って解決というのはやはり幻想にすぎないのかと考えこんでしまった。
事件を捜査してきたキャロウェイに「あなたの勝ちです。私の馬鹿野郎ぶりを証明なさったんだから」
と言われたハリーの友人マーティンズが、「勝ったんじゃありません、ぼくの負けでした」と答えたのは、
彼の正義と信頼が親友と思っていたハリーに通用せず、しかも彼を死に追いやってしまったからだろう。
確かにこれはかなり酷な展開だ。
その上に映画版のようなラストでは、「この種の娯楽物には不幸な結末は重すぎる」とグリーンが考えたのも無理はないだろう。
しかし、本人も認めているように、映画のラストの方が断然よかった!
(チターの音色にも助けられていると思うが)
映画とセットで最大限に楽しめるエンターテインメントだった。
2010年7月3日に日本でレビュー済み
グレアム・グリーンは大好きですが、この作品は正直微妙です。
映画化を前提とした原作という予備知識なしで読むと、肩透かしを食らう可能性ありです。
話自体は面白いです。
なので、小説だけ単独で読んでも、プロットは楽しめるとは思いますが、文学としての完成度については、少々手際が良すぎるというか、上手に処理しているという印象で、ちょっと疑問符がつく感じです。
ただ、この小説を先に読むと映像作品を見たくなることは請け合いです。
映画化を前提とした原作という予備知識なしで読むと、肩透かしを食らう可能性ありです。
話自体は面白いです。
なので、小説だけ単独で読んでも、プロットは楽しめるとは思いますが、文学としての完成度については、少々手際が良すぎるというか、上手に処理しているという印象で、ちょっと疑問符がつく感じです。
ただ、この小説を先に読むと映像作品を見たくなることは請け合いです。
2006年11月20日に日本でレビュー済み
この小説は、映画化を前提に書かれたということもあって、映像化しやすいように書かれています。従って、微妙な心理描写的なものは非常に少なくなっています。それだけに、読みやすいとも言えます。
物語の舞台は、敗戦の傷痕が生々しいウィーンの街ですが、その情景が非常に上手く切り取られていて、英・米・仏・ソの4ヶ国による共同統治下という状況や、闇市の蔓延る状況、そして、地下下水道の存在と、この作品に無くてはならない状況設定を形作っています。もちろん、人物の設定も同様です。
映画とこの原作では、一部異なるところがあります。もちろん、詳細の描写は小説の方が詳しいのですが、ラストが違います。映画を見て、あのラスト・シーンが焼き付けられているせいか、個人的には、映画の方の終わり方に軍配を上げたいと思います。
とは言っても、この小説もなかなか面白い作品でした。
物語の舞台は、敗戦の傷痕が生々しいウィーンの街ですが、その情景が非常に上手く切り取られていて、英・米・仏・ソの4ヶ国による共同統治下という状況や、闇市の蔓延る状況、そして、地下下水道の存在と、この作品に無くてはならない状況設定を形作っています。もちろん、人物の設定も同様です。
映画とこの原作では、一部異なるところがあります。もちろん、詳細の描写は小説の方が詳しいのですが、ラストが違います。映画を見て、あのラスト・シーンが焼き付けられているせいか、個人的には、映画の方の終わり方に軍配を上げたいと思います。
とは言っても、この小説もなかなか面白い作品でした。