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悪童日記 (ハヤカワepi文庫 ク 2-1) 文庫 – 2001/5/31

4.5 5つ星のうち4.5 737個の評価
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  1. 本の長さ
    301ページ
  2. 言語
    日本語
  3. 出版社
    早川書房
  4. 発売日
    2001/5/31
  5. ISBN-10
    4151200029
  6. ISBN-13
    978-4151200021
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商品の説明

商品説明

ハンガリー生まれのアゴタ・クリストフは幼少期を第二次大戦の戦禍の中で過ごし、1956年には社会主義国家となった母国を捨てて西側に亡命している。生い立ちがヨーロッパ現代史そのものを体現している女性である。彼女の処女小説である本作品も、ひとまずは東欧の現代史に照らして読めるが、全体のテイストは歴史小説というよりはむしろエンターテインメント性の強い「寓話」に近い。
そもそもこの小説には人名や地名はおろか、固有名詞はいっさい登場しない。語り手は双子の兄弟「ぼくら」である。戦禍を逃れ、祖母に預けられた「ぼくら」は、孤立無援の状況の中で、生き抜くための術を一から習得し、独学で教育を身につけ、そして目に映った事実のみを「日記」に記していく。彼等の壮絶なサバイバル日記がこの小説なのである。肉親の死に直面しても動じることなく、時には殺人をも犯すこの兄弟はまさに怪物であるが、少年から「少年らしさ」の一切を削ぎ落とすことで、作者は極めて純度の高い人間性のエッセンスを抽出することに成功している。彼らの目を通して、余計な情報を極力排し、朴訥（ぼくとつ）な言葉で書かれた描写は、戦争のもたらす狂気の本質を強く露呈する。
凝りに凝ったスタイル、それでいて読みやすく、先の見えない展開、さらに奥底にはヨーロッパの歴史の重みをうかがわせる、と実に多彩な悦びを与えてくれる作品である。続編の『証拠』『第三の嘘』も本作に劣らない傑作である。（三木秀則）

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 早川書房 (2001/5/31)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2001/5/31
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 301ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4151200029
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4151200021
  • カスタマーレビュー:
    4.5 5つ星のうち4.5 737個の評価

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上位レビュー、対象国： 日本

自転車で来ました
5つ星のうち5.0 圧倒的
2023年10月16日に日本でレビュー済み
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重いテーマを扱った内容なのに、なぜか心に食い込んでくる面白さ。シリアスさとユーモラスが混ざり合った不思議な感動がある。
続編もすぐに読みたくなってしまう。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
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ぽれぽれ
5つ星のうち5.0 誰の指図を受けないという信念
2022年12月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「悪童」という割には、主人公の双子の中にはしっかりと
善悪の区別がついています。

誰の指図も受けない自分たちの内なる価値観に
基づいて、双子は行動します。

戦争中の中であっても、残酷であってもその信念を一度も曲げずに貫く姿勢に
爽快感すら覚える作品です、
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
 レポート
CosmoLady
5つ星のうち4.0 読み終えても続きが気になる
2020年12月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
どんどん読み進んで、読み終えても続きが気になる。
原題のLe Grand Cahier は直訳すると「大きなノートブック」。悪童日記というタイトルでなければ読まなかったかもしれないけれど、物語の中との繋がりが途切れてしまうのは残念。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
 レポート
ひろし
5つ星のうち5.0 読んで欲しい。
2022年10月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小説を読むのが苦手な自分が時間を忘れて200ページ以上ある作品をたった数時間で読み終えてしまった。続編が気になって仕方がない。
11人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
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dai
5つ星のうち3.0 3.5ポイント
2023年7月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
全体的に面白く、没入感があった。
解説が適所に入り、時代背景等も分かりやすかった。
個人的には、性に係わるタブーっぽい話が興味深かった。
何度も読み返すほどにはハマらなかったので、3.5ポイント
役に立った
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ユウ
5つ星のうち5.0 邦題により読者はあくまで読者に留まることになる。
2021年11月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書の原題は直訳すれば「大きなノートブック」。
訳者あとがきによれば、あえて邦題は「悪童日記」とした意図は、作品の内容をより具体的に（そしてやや反意的に）想起させることを意図したものとのことだ。

本書では、主人公の双子の少年達による事実の記録の羅列を読者が盗み読みしているかのように物語は進んでいく。文体は客観的事実の記載にとどまり、そこに少年達や他の登場人物達の主観が入ることはない。

第二次世界大戦下の時代背景を舞台とした不合理で冷徹な場面、悲惨で残酷な場面、倫理的に受け入れがたい様々な場面においても、本書の記述に主人公達の感情が入り込む余地はなく、ただ単なる事実として物語は進んでいく。事実に主観的な評価を与えないこの文体から、本書は痛快で悲惨さが抑えられ、また淡々と進んでいく事実を子どもの視点から見ている効果が生まれている。
本書が評価されている一つのポイントではないかと思う。

では、本書の邦題の「悪童日記」はどうだろう？
悪童とは主人公達二人の少年を指すことは明白だが、主人公達は自分達の行いを悪だとは評価していない（そもそも、評価という主観が存在していない）。本書の時代背景において、悪とは何なのか。理不尽で不合理な社会なのか、その社会の中で存在するため様々な（読者から見た）倫理を犯す主人公達なのか。

訳者があえて「悪童」という主観的評価を与えたこの邦題こそ、決して少年達の世界には（読者でさえ）入り込めないという事を表しているのではないか。読者がいかに少年達の秘密を知り、彼らの世界に足を踏み入れても、タイトルが悪童である以上、彼らとは一線を引いた世界に身を置くことになる。
彼らの世界には彼らの正義や倫理観があり、その範囲で彼らは淡々と行動する。

一見すると悪と思える行動も、それは外から与えられる評価だ。
本書の物語の中でもそれらは交わることがない。主人公達の行動は周囲の（子供も含めた）登場人物達から何度も非難されるが、主人公達の倫理に従い行動していく。

読者がどんなに主人公達に心を寄せても、本書が悪童日記である限り、読者は読者でしかなく、主人公の世界の外に身を置くことになる。そのことを、反意的な意図も含めて邦題として表現した訳者に敬意を表したい。
1988年の夏にフランスにおいて原書に惚れ込み、邦訳を出版社に持ち込み（原書と同じく郵送での送り付け）までした訳者が、なぜ邦題を改変したのか。著者に何度もインタビューする機会があり、来日の際は終始通訳として付き添ったほど著者のことをよく知る訳者だからこそできた改変ではないかと考える。

本書の続編において彼らの世界がどのように変化していくのかが大変楽しみな一冊。
11人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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ラッパ
5つ星のうち5.0 ぼくらの効果
2022年8月30日に日本でレビュー済み
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ぼくらはこの厳しい世界で生き抜くために必要なものはなんなのか絶えず学び、克服しようとひたすら練習をする。絶対に必要なものに敏感で、それが絶対に必要なものであれば、その行動が倫理的に善であるか悪であるかに関わらず、屹然とそれを遂行する。
この小説の価値を高めているところはなんといっても「ぼくら」が一人称であるところだ。そのことで、どうしようもなく孤立していながら、とてつもなく団結している、といった類をみない主人公を創造することにアゴタ・クリストフは成功している。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
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山笠
5つ星のうち5.0 美しいラスト
2022年9月14日に日本でレビュー済み
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かなり昔学生の時に図書館で読んだけど、読み返したくなって購入。やはり傑作。平易な語り口だが、大人なって読むと細部に散りばめられた物を読み解けてより深く読めた気がする。そしてこのラストはやはり美しい。
13人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
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