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ザ・ロード (ハヤカワepi文庫 マ 1-4) 文庫 – 2010/5/30

4.2 5つ星のうち4.2 163個の評価

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空には暗雲がたれこめ、気温は下がりつづける。目前には、植物も死に絶え、降り積もる灰に覆われて廃墟と化した世界。そのなかを父と子は、南への道をたどる。掠奪や殺人をためらわない人間たちの手から逃れ、わずかに残った食物を探し、お互いのみを生きるよすがとして――。
世界は本当に終わってしまったのか? 現代文学の巨匠が、荒れ果てた大陸を漂流する父子の旅路を描きあげた渾身の長篇。ピュリッツァー賞受賞作。(解説:小池昌代)


ヴィゴ・モーテンセン主演映画、2010年夏日本公開決定!

監督:ジョン・ヒルコート(「プロポジション 血の誓約」)

キャスト:ヴィゴ・モーテンセン(「ロード・オブ・ザ・リング」)、コディ・スミット=マクフィー(「ディア マイ ファーザー」)、ロバート・デュヴァル、シャーリーズ・セロン、ガイ・ピアースほか

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商品の説明

レビュー

マッカーシーの数ある傑作のうちで、もっとも心を揺さぶる作品だ。著者は彼の世代で最高の作家の一人だと証明してみせた。(スティーヴ・エリクソン) --「ロサンジェルス・タイムズ」紙

著者の試みはあまりにも壮大だ。文明の最期、生命の死滅、そしてその滅亡の光景を鮮やかに描き上げた。哀しみに満ちた物語、巧みな会話で表現された父と子の絆によって、読者は代表作『すべての美しい馬』を凌駕する感動を得る! --「ニューヨーク・タイムズ」紙

著者について

1933年、ロードアイランド州生まれ。大学を中退すると、1953年に空軍に入隊し四年間の従軍を経験。その後作家に転じ、『ブラッド・メリディアン』(1985)の発表などにより着々と評価を高め、〈国境三部作〉の第一作となる第六長篇『すべての美しい馬』(1992)で全米図書賞、全米批評家協会賞をダブル受賞した。その後、三部作の第二作『越境』(1994)、第三作『平原の町』(1998)を発表。第十長篇である本書『ザ・ロード』(2006)(以上、すべて早川書房刊)は、ピュリッツァー賞を受賞し、世界的なベストセラーを記録した。名実ともに、現代アメリカ文学の巨匠である。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 早川書房 (2010/5/30)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2010/5/30
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 351ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4151200606
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4151200601
  • 寸法 ‏ : ‎ 10.8 x 1.4 x 15.7 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.2 5つ星のうち4.2 163個の評価

著者について

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チャールズ・ジュニア・マッカーシー
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2022年1月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
序盤の装飾された文体による詩的な情景描写の連続は
このまま最後までこれが続くなら読みにくいなあとうんざりしていましたが、
この世界の設定に馴染み始めるころにはすっきりとした簡潔な文章になり、
気づいた時には物語にすっかり夢中になっていました。

親子以外の登場人物や視点が広がり始めると、
物語は断然おもしろくなっていきます。
「血と暴力の国」のような激烈さや鋭利な文体に比べるとはるかに読みやすいですが
やはりマッカーシーにしか書けない魅力がこの本にも詰まっていました。
すばらしい小説でした。
15人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年7月6日に日本でレビュー済み
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自分が娘と旅をしているような感覚になる。絶望の中、たまに生き延び、でも確実に衰弱していく。読むのがツラくなるが、読み進めずにはいられない。グッと心を握られた。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2018年11月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
何らかの理由で人類の文明が荒廃した世界で生きる親子二人の逃避行。
父親は息子に色々と言い聞かせるが、時には綺麗に生きられない時もある。
それでもなお、全うに生きようという意志が彼らの運んでいる火なのではないだろうか。
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年12月26日に日本でレビュー済み
当初、この作品を読み進めていく中で「世界観」がうまく描けていないように思われたので、非常に気を悪くした。
とりわけて、SF小説的にも映画的にも印象的な出来事がない中で、
次々と食料や物資を“補給できているところ”が余計つまらなさに拍車がかかり、
また自然描写が極端に少ないところ、現在地や時間性が削ぎ落とされているといった不自由の中、
決定的なのは訳者の力量不足、著者本人がどれくらいこういったSFの知識と技量を持っているのか
全く不明瞭なところが随所に見えてきたので、この作品との付き合いをやめてしまおうかと思った。

しかし、最後で父が亡くなるところを見ると、
急にヒトの親としての情緒が生まれ出し、乾いた涙が出てきた。
そこから作品を振り返るに、ショッピグカートというヴィークルに親子が乗り、
「善なるもの」という「火」を荒廃した灰色の極寒の地から“南へ”運ぶ直線的な動線が
なんとも言えず、これは文学的なものに成っているのではないか?と
ぐぐぐっと存在感が増してきた。
運命共同体という中での善なるものを求めての旅。
息子に現実を教えなくてはならない、あるいは見せたくない、
しかし最後は守らなくてはならないと決意を感じさせる父親の背中。
おそらく太陽が出ていたころの青葉茂る頃の大地と空を知らない
善なる心を持っている息子の存在は子連れ狼を例に出すまでもなく、十分文学的である。

ただ、惜しむべくはそこまでの世界観と導線を読者に埋没させることに、
この著者と翻訳者は成功させることができたのか?という一点に尽きると思う。
描き方と舞台の演出、会話の構造やちょっとした過去について、、
これらの提示が足りてなかったことに非常に惜しまれるし、残念に思われた。
また、これが外国小説初めての方や名称や書店での売り込みについ購入してしまった読者諸氏には
ハードルが高かったのではないだろうか?

映画もあるようなので、機会があったら観てみたい。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2011年5月3日に日本でレビュー済み
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最初の三行

森の夜の闇と寒さの中で眼を醒ますと彼はいつも手を伸ばしてかたわらで眠る子供に触れた。
夜は闇より暗く昼は日一日と灰色を濃くしていく。
まるで冷たい緑内障が世界を霞ませていくように。
彼の手はかけがえのない息に合わせて柔らかく上下した。

この文を読んで今までもこれからも私にとってこの作品が最高と思いました。

父親は最後の神である少年を連れて
灰色の世界をカートを押して「火を運ぶ人」(善き人)にならなければならない。
それは過酷な運命を背負うということ

句読点がなく。会話も詩のように「 」がなく感情も抑えられた文は
たとえば感情的に歌う歌より感情を抑えて歌うほうが聞き手の感情に訴えかけるように
読者の心に深く浸透していきます、

とにかく美しい。奇跡的なほど美しい少年と、それを包み込み、守り、未来につなげていこうとする父親の姿はキリスト教的なにおいが強いかもしれませんが、

とにかく美しい。
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年7月13日に日本でレビュー済み
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昔からSFが好きで良く読んでいます。これは核戦争の後、絶望の中を彷徨う父と子の話ですが子供の汚れないまるで天使のような性格が救いになっています。
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2015年2月16日に日本でレビュー済み
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おかしなことにアメリカの現代ゾンビドラマ『ウォーキングデッド』が重なる。WDの演出家たちは、本作と本作の映像化「ノーカントリー」を見たに違いない。父と幼い息子の設定、アポカリプスの時代設定等が重なる。もちろんあとがきにもあるように、日本の『子連れ狼』もどこかでつながっているような気がする。
父は息子を命がけで守り、時に人間的な決断に迫られる。息子はどこまでも神が愛した子のように純粋で、人間に最後は良心があることを我々読者にしらせてくれる。
最後の最後、誰もが涙するだろう。枯れるほど出る人もいるだろう。その涙の意味を考えながら、マッカーシーの次なる世界へと
私たちは旅するのだ。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2014年7月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まず、彼の作品は本当に映画を目の前で観ているかのような臨場感と素晴らしい言葉の表現力がある。
とても悲しい物語なので読まない方がいいと。言われたことがあり読まないでいましたが、ずっと気になっていました。
本当に悲しい物語ですが、親子の愛や登場人物の内面を表現する言葉の言い回しが美しい。静か過ぎるくらいに穏やかで愛情に溢れている。残酷な世界と親子愛との対比がそれを強めている。
環境が劣悪でもこんな優しい子が育つものなのか?とも。不思議な感覚と感動と悲しみが味わえる作品です。
読むべき。
17人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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