米国の田舎町で、ある女刑事が爆殺される。それを知った兄のディルは故郷に帰って事件の真相を探る。
ディル自身もワシントンで政治がらみの仕事をしており、上司である上院議員よりディルの故郷で、ある男の
供述書を取るように指示される。自分の妹の死と、自分がワシントンで扱っている事件。何の関係もなさそう
だが、事件の真相を探るうちにまた死人が何人か出てくる。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞受賞作
である。さすがと思わせる作品だ。筋は入り組んでいるが、まさにコン・ゲームのように騙し、騙され合いの
世界だ。著者のロス・トーマスのことを「通好みの作家」と表紙に書かれているが、こんな立派なミステリーを「通」しか読まないなんて。それでもやはりロス・トーマスは日本では「通」しか読まないらしくて、なかなか作品が見つからない。
先日「愚者の街」を読んで面白いと思った私はやはり「好事家」なのか。しかし、年末のベストミステリー選びで
ロス・トーマスの小説が上位に入るくらいでないと日本のミステリーのレベルは推して知るべしというところか。このロス・トーマスの作品をもっと翻訳・発刊して欲しいと思う「通」の皆さん、もっと声をあげましょう。
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女刑事の死 (ハヤカワ文庫 HM (309-1)) 文庫 – 2005/6/23
- 本の長さ513ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2005/6/23
- ISBN-104151756019
- ISBN-13978-4151756016
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2005/6/23)
- 発売日 : 2005/6/23
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 513ページ
- ISBN-10 : 4151756019
- ISBN-13 : 978-4151756016
- Amazon 売れ筋ランキング: - 527,546位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
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2024年4月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年10月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
E.マクベイン「クレアが死んでいる」が念頭にあったので、題名から、同僚の女刑事の死に怒った刑事連中がカーッとなって熱く捜査を展開する進行を予想していたのだが、まるで肌触りの異なる物語だった。むしろ、爆死した女刑事フェリシティの兄で、ワシントンで上院調査委員顧問を務めるベンの視点で、故郷の街、自身や妹の人間関係や信条、そして権力と悪の駆け引き等をじっくりと描いた作品である。ベンが街や旧友に対して複雑な思いを抱いている事が伝わって来るし、愛する妹の悲劇に際しても洞察力・冷徹さを失わない男である事も良く窺える。これらを説明的な文章で示すのではなく、流れに沿った会話や行動、あるいは風景描写で表現している所に作者の力量が感じられる。各場面が活き活きと描かれているのである。
フェリシティの死の謎を巡るミステリというよりは、金と名誉に関する様々な思惑が渦巻く大きな構図の中で、ベンが己の信念と知略に基づいて行動する様をストイックに描いた作品と言えよう。終盤は一種のコンゲームとも言え、スリルと迫力がある。上記の権謀術策の被害者がフェリシティであるが、冒頭と結末だけに彼女を登場させる趣向も洒落ている。もう少しミステリ的要素があった方がとも思うが、それよりも重厚さと読み応えを狙った作品なのであろう。
フェリシティの死の謎を巡るミステリというよりは、金と名誉に関する様々な思惑が渦巻く大きな構図の中で、ベンが己の信念と知略に基づいて行動する様をストイックに描いた作品と言えよう。終盤は一種のコンゲームとも言え、スリルと迫力がある。上記の権謀術策の被害者がフェリシティであるが、冒頭と結末だけに彼女を登場させる趣向も洒落ている。もう少しミステリ的要素があった方がとも思うが、それよりも重厚さと読み応えを狙った作品なのであろう。
2005年8月6日に日本でレビュー済み
この作者のものはどれもとてつもなく面白い。
ただし大人の小説。最近流行のお子ちゃま向けのわかりやすい感動もの
とかが好きな人にはお薦めできません。
クールな登場人物。心理的な駆け引きや、読んでいる間一瞬も気が抜けない
ストーリー展開。
ただ、無駄な感情表現はいっさいしないけれど、時々一瞬個々の登場人物の
思いが感じられるシーンがあって、胸を衝かれます。
ただし大人の小説。最近流行のお子ちゃま向けのわかりやすい感動もの
とかが好きな人にはお薦めできません。
クールな登場人物。心理的な駆け引きや、読んでいる間一瞬も気が抜けない
ストーリー展開。
ただ、無駄な感情表現はいっさいしないけれど、時々一瞬個々の登場人物の
思いが感じられるシーンがあって、胸を衝かれます。
2003年9月18日に日本でレビュー済み
刑事である妹が自動車爆破で死亡したと聞かされた兄がその死の真相をさぐってゆく話。その過程で、身分不相応な家を買い、謎に満ちた妹の私生活が浮かび上がる。さらに、複雑な策謀と欲望を背景にして一癖も二癖も三癖もある悪党たちが登場。果たして事件の真相は。。。脇役が主人公並に強烈な個性を発揮し、その間で洒落た会話が絶妙なるテンポで展開する読みごたえのある一冊。ただし、ロス・トーマスのほかの名作級の作品に比べると、若干プロットの解きほぐしがぎこちない感じもします(主人公ではなく当事者の回想という形で解決が図られている)。
2003年5月22日に日本でレビュー済み
内面描写を廃しているせいで、無愛想で掴み所なく思えた登場人物達が、エピソードの積み重ねで次第に深みを増していく。
「あなたの隠しきれない二日酔いが、ある悲しい共感を呼ぶ」なんて台詞回しも魅力的。
「あなたの隠しきれない二日酔いが、ある悲しい共感を呼ぶ」なんて台詞回しも魅力的。