最近のハヤカワの傾向として青春小説的なミステリー・犯罪小説
というのがあると思うのですが、この本はまさにそれで、ベルリン
の若者の日々と事件という二つの面を持つ小説です。
ベルリンの町の風景と今の20代の青年達の姿の描き方に生々しさ
があって読ませます。
しかしそこへ降ってわいたような災難が惨すぎる。青春小説部分
が何の伏線にもなっていない無関係な話です。エラリークイーンは
「ミステリーの中の事件は殺人事件でないと読者を引っ張って行
くことができない」と書いていますが、読者をつなぎ止めるテクニッ
クとして殺人を使い続けようと思って、より刺激を強く、事件の惨
劇度をエスカレートして行ったのだろうか、そんなことを思いまし
た。本当は惨劇が書きたいのだけど方便としてミステリー仕立てに
したとも考えられます。
結局犯人の動機などがあいまいなままなので、何か解決しない感
じを残したまま終わってしまい、残虐な描写の印象だけが残るとい
うような感想です。
結局作家自身が世間的にはタブーとされる自分の描いてみたい物
を書いてしまったのでしょうか。ミステリーやハードボイルドでは
なくピカレスクとか犯罪小説のジャンルの本だと思います。
ボリス・ビアンのような読後感のさわやかさには欠けます。暴力の
対象や破壊の方向が単に変態趣味的だからではないでしょうか。
読後感の悪さや非条理な結末を楽しめる方向け。
2018年追記
この児童文学の人と同じ作者だと思います。
https://bookmeter.com/books/330019?review_filter=netabare
https://www.amazon.co.jp/dp/4001155907/
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謝罪代行社 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ト 7-1) 文庫 – 2011/8/25
ゾラン・ドヴェンカー
(著),
小津 薫
(翻訳)
ハヤカワ・ミステリ・リニューアル1周年&ハヤカワ・ミステリ文庫創刊35周年記念作品。ドイツ推理作家協会賞受賞作。 新聞社をリストラされた若者クリスは、彼の弟ヴォルフ、友人の二人の女性タマラ、フラウケとともに、依頼人に代わって謝罪する仕事を始めた。これが大当たりして四人は半年後にベルリン南西部の湖畔にある邸宅を買い、そこを住居兼仕事場にするまでになる。ところがある日、依頼を受けて、指定された場所をヴォルフが訪れると、そこには壁に磔にされた女性の死体が! 巧妙な仕掛けに満ちた驚愕のミステリ。
- 本の長さ335ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2011/8/25
- ISBN-104151792015
- ISBN-13978-4151792014
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2011/8/25)
- 発売日 : 2011/8/25
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 335ページ
- ISBN-10 : 4151792015
- ISBN-13 : 978-4151792014
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,727,729位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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