難を言えば文章が少し冗長ですが、それも誠実さの表れで、ポイントポイントでは短文が効いてます。
次の↓「監修者(蔵元由紀)まえがき」はその通りだと思いました。
・・・・ポピュラーサイエンス関連の出版物が外見とは裏腹に読みづらかったり、
あるいは逆に上滑りな「お話」に堕して読者を落胆させるのはしばしば見かけるところである。
しかし、本書はそのような難解さやなおざりさはみじんもなく、相当に高度な内容をその正確さを
いささかも損なうことなく、巧みな比喩をふんだんに交えつつ、実に平明に読者に提供している。・・・
以下、↓こんな本文です。
<多様性とダイナミズムを目指して>
自然発生的に生じる秩序の起源を探る試みにおいて、複雑ネットワークに関するこの生まれたての理論は、
ホイヘンスとその「共感」する振り子時計から始まった、長い旅路のさらなる一ステップにすぎない。
自然発生的に生じる秩序の起源を探る試みにおいて・・・、
「振動子」という純粋にリズムを刻むだけの実体が、まずは2つが結合しているだけの状態から始まって、
すべてがすべてと結合している場合と、空間において規則正しいネットワークを成している場合、
それぞれについて考えてきた数学者と科学者は今ようやく、カオスや創造性という、より複雑な力学と、
スモールワールド(小さな世界)とスケールフリーネットワークという、
より複雑な構造を考察し始めたところだ。
事が始まったばかりの現状でわれわれの提出するモデルは、現実を映し出す鏡としては、
なんとも迫力を欠いている。
というのもこのモデルはあくまで静的で没個性的なノードから構成されており、方向性も強度や性質も、
何の多様性ももたないリンクによって結ばれるという仮定のもとで成り立つにすぎないからである。 本文P386より
<ヒトは同期を探し求める動物である。>
ヒトの間に生じる同期現象はもちろん、我々は時折、自分をとりまく世界との同期を体感することがある。
・・カール・ユングが提唱した「シンクロニシティ」の存在を裏付ける証拠も、未だに見つかっていない。
本文P410より
<結び>
・・小さな世界(スモールワールド)と呼ばれるネットワークは、
他のどんな構造も及ばぬほど効果的にカオスを同期させる、ということを明らかにしようとしている。・・
いずれにせよ、今後の研究で私は、ことあるごとに同期現象へと立ち向かっていくだろう。・・
同期現象にはある意味で、宗教を彷彿とさせるところがある。そう感じるのは、私だけではあるまい。
・・その他の数ある現象とは異なり、それを目の当たりにした者は、魂の奥底を揺さぶられてしまう。
「自然発生的な秩序の源を突き止めれば、宇宙の謎を解き明かしたことになる。」
と、人は本能的にわかっているのかもしれない。 本文ラストP431より
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SYNC 単行本 – 2005/3/29
- 本の長さ468ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2005/3/29
- ISBN-104152086262
- ISBN-13978-4152086266
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2005/3/29)
- 発売日 : 2005/3/29
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 468ページ
- ISBN-10 : 4152086262
- ISBN-13 : 978-4152086266
- Amazon 売れ筋ランキング: - 273,219位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2019年3月10日に日本でレビュー済み
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2016年1月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
生命現象にはシンクロナイゼイション(引き込み)がたくさん観察されますが、その専門家が易しく解説しています。専門家にも最適な書物です。蔵本由紀先生の名前も出て来て、楽しく読めます。
2007年10月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本に影響されて、バンコクより2時間半のメークローン河までホタルを観にいきました。
完全な同期とは言いがたいものでしたが明滅が日本のそれよりも数段速いこともあって、同期する機会が多いのだと思います。
コンダクターがいるというよりも、それぞれがコンダクターというか
「一緒に光ろうぜ」といった連鎖が発生しているようにも見えます。
あれだけの数が一斉に光ると点というよりも、面になります。
日本もそうなればいいですね。
完全な同期とは言いがたいものでしたが明滅が日本のそれよりも数段速いこともあって、同期する機会が多いのだと思います。
コンダクターがいるというよりも、それぞれがコンダクターというか
「一緒に光ろうぜ」といった連鎖が発生しているようにも見えます。
あれだけの数が一斉に光ると点というよりも、面になります。
日本もそうなればいいですね。
2006年9月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2005年5月22日の朝日新聞読書面(11面)に紹介されており
ネットワーク理論にも興味あったので読んでみました。
シンクロということをテーマにいろいろな事象を説明してくれます。
蛍が同時に点滅する話はわかりやすく、面白かったのですが、
非常に難しい話もありました。この本の前に複雑な世界、単純な法則など
読んでおくと、理解は深まると思います。
ネットワーク理論にも興味あったので読んでみました。
シンクロということをテーマにいろいろな事象を説明してくれます。
蛍が同時に点滅する話はわかりやすく、面白かったのですが、
非常に難しい話もありました。この本の前に複雑な世界、単純な法則など
読んでおくと、理解は深まると思います。
2006年9月29日に日本でレビュー済み
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いっせいに明滅するホタルなど、印象的な同期現象を導入として、前半は、社会といったマクロスケールから、細胞といったミクロスケールにわたり普遍的に見られる同期現象と、その背後に存在するかもしれない共通の原理について物語られる。後半は、同期現象から徐々に話題を拡大し、カオスやネットワーク科学といった、現代の非線形科学全般へと話題が及んでいく。エピソードの選び方と語り口が見事なため、何となく読んでいると、いつのまに話題が同期現象を離れ、いつのまにまた同期現象とつながってきたのか気づかないほどである。還元主義に偏りすぎた現代自然科学への批判的な視線が随所に現れるのもおもしろい。ストロガッツほどの科学者が、自分を「主流」とは考えていないのだ。
ポピュラーフィクションとして一級品(一部、専門用語に誤訳があるのが残念)。
ポピュラーフィクションとして一級品(一部、専門用語に誤訳があるのが残念)。
2006年10月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表紙にあるように蛍の明滅からポケモンのTV放送による発作まで身近な事例を交えて広く紹介しており、このごく狭い一部の専門分野を一般に紹介する上では秀逸だと思います。
このような様々なジャンルの研究を一般まで知ってもらうことができる本がもっと色んなジャンルで出てきて欲しいと思ってしまいました。
このような様々なジャンルの研究を一般まで知ってもらうことができる本がもっと色んなジャンルで出てきて欲しいと思ってしまいました。
2005年6月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
漠然とシンクロの法則があることは知っていましたが
宇宙から蛍までシンクロしていることは初めて知りました。
そういえばイサムノグチのアトリエも近くの屋島にシンクロしています。
どうもツキの秘訣は、このあたりにあるなと
多くの読者とは違う視点で読みました。
宇宙から蛍までシンクロしていることは初めて知りました。
そういえばイサムノグチのアトリエも近くの屋島にシンクロしています。
どうもツキの秘訣は、このあたりにあるなと
多くの読者とは違う視点で読みました。
2005年8月28日に日本でレビュー済み
本書は非線形数学を扱ったもので、内容的には非常に専門的なことが数式も無く書かれています。
しかし、書かれていることは、なんとなくは分かるのですが、それは上辺だけで、
いまいち身に入ってきません。
「ふーん」で終わってしまうのです。
恐らく、真に本書の内容が理解できれば、素晴らしい感動が待っているのでしょうが、
私には残念ながら理解できませんでした。
それには、数学による理解が必要だと予想されます。
噛み砕いて説明するには、テーマが難解すぎたといったところでしょうか。
しかし、書かれていることは、なんとなくは分かるのですが、それは上辺だけで、
いまいち身に入ってきません。
「ふーん」で終わってしまうのです。
恐らく、真に本書の内容が理解できれば、素晴らしい感動が待っているのでしょうが、
私には残念ながら理解できませんでした。
それには、数学による理解が必要だと予想されます。
噛み砕いて説明するには、テーマが難解すぎたといったところでしょうか。