優生学(優秀な遺伝子の子孫は優秀である)に取り付かれたアメリカの大富豪が実際に設立した
天才精子バンクと、そこから生まれた子供達のその後を追ったドキュメンタリーです。
優生学というとまずヒットラーを思い出しますが、この本を読んでそもそもヒットラーにああした
発想を与えたのが当時アメリカの学会で流行していた優生学だという事にまず驚きました。
(アメリカ人はきっかけを自分達で作っておきながら、それを棚にあげて後で相手を攻撃するという
悪い癖が昔から直っていないようです)。
主人公の大富豪グラハムも、ヒットラーと同じように当時の流行にのめり込み、やがて精子バンクを
実現してしまうわけですが、活動に賛同したノーベル賞科学者ショックリーの迷走とともに世論の
反発を受け、最後にその施設は閉鎖されてしまいます。
こうした設立から閉鎖までの過程もまるでSFのようで面白いのですが、やはり考えせられたのは
この精子バンクを利用して生まれた子供達の行く末です。
結論から言えば、天才は生まれていないようです。学業優秀といった子はいるようですが
それは遺伝子の力というよりは親の子育てへの情熱とか、環境(良い友人や先生)、そして本人の
努力という、ある意味当たり前の理由であって、結局天才精子バンクの成果については明らかに
なっていません。
ですがそれは別としても、多くの子供達がまだ見ぬ、そして決して会うことのできない父親への
複雑で微妙な感情を表してるところに少々居たたまれない物を感じました。
天才に取り付かれた大富豪、それに賭けた母親、そして父無き子供達。呆れた所業と笑ってしまう事は
簡単ですが、何か人間の深い業のようなものを感じずにはいられません。
クローンや遺伝子操作も現実の物となってきた現在に、この本が与える教訓は少なくないように思います。
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ジーニアス・ファクトリー 単行本 – 2005/7/21
デイヴィッド・プロッツ
(著),
酒井 泰介
(翻訳)
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- 本の長さ334ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2005/7/21
- ISBN-104152086580
- ISBN-13978-4152086587
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2005/7/21)
- 発売日 : 2005/7/21
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 334ページ
- ISBN-10 : 4152086580
- ISBN-13 : 978-4152086587
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- - 1,181位医学
- - 66,139位文芸作品
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年11月25日に日本でレビュー済み
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2006年2月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「ノーベル賞受賞者精子バンク」。天才=ノーベル賞というわかりやすい図式。タブロイド紙にうってつけのニュースソースだ。まずこういう機関が実際に80年代から20年近くに渡ってアメリカで存在していたことに驚く。果たしてその結果は・・・。本書はこの悪夢的ユーモアに満ちたバンクの真相を描くことを下敷きに、不妊治療の歴史も俯瞰的に紹介している。筆者自身の精子ドナー体験も描かれ、現代の目覚しいばかりに発展を遂げている精子バンク業界の功罪も問うている。取材が可能だったドナー、母親、精子バンク・ベイビーたちのドラマを丹念に追いかけることによって、「家族とはいったい何か」という根源的な問題に読者の目線をうながしている。父母、妹のことを思う。
2005年9月15日に日本でレビュー済み
そもそもこの内容で1冊の本を出したこと自体間違いなのでは。
十二分に期待させるタイトル・帯ですが、読み始めてみると内容が
スカスカなのがすぐわかります。精子バンクという施設の性質上
やむをえないことかもしれませんが、提供者(ドナー)は一部を
除き匿名、生まれた子供も一部を除き匿名。調査した事例数が
少なすぎて(30例)、説明に統計的な有意性がない。ノーベル賞
受賞者限定の精子バンクが存在したことそのものはショッキングで
ジャーナリスティックな面白みありますが何しろ創設者はとうの昔
に他界、施設の内容を知るインサイダーへの取材がほとんど不可能
という状況ではこういう皮相的な内容になるのは致し方なしか。
後半、著者自身が精子ドナー体験をする下りに至ると、人工授精の
歴史など、どんどん「ジーニアス・ファクトリー」から論点がずれ
ていく。期待はずれ。
十二分に期待させるタイトル・帯ですが、読み始めてみると内容が
スカスカなのがすぐわかります。精子バンクという施設の性質上
やむをえないことかもしれませんが、提供者(ドナー)は一部を
除き匿名、生まれた子供も一部を除き匿名。調査した事例数が
少なすぎて(30例)、説明に統計的な有意性がない。ノーベル賞
受賞者限定の精子バンクが存在したことそのものはショッキングで
ジャーナリスティックな面白みありますが何しろ創設者はとうの昔
に他界、施設の内容を知るインサイダーへの取材がほとんど不可能
という状況ではこういう皮相的な内容になるのは致し方なしか。
後半、著者自身が精子ドナー体験をする下りに至ると、人工授精の
歴史など、どんどん「ジーニアス・ファクトリー」から論点がずれ
ていく。期待はずれ。
2007年8月21日に日本でレビュー済み
天才を先天的な要因すなわち遺伝子レベルから生み出そうとする論理は後天的要因すなわち教育環境よりも、もっと強力な手段のように思われます。教育学における遺伝説と環境説の対立を考察するための資料として読ませていただいたのですが、内容的に生物学、ライフサイエンス的な記述が多かったので、当方としてはあまり参考になりませんでした。
2007年12月18日に日本でレビュー済み
アメリカの精子バンクについて取材してまとめた本だ。
天才の精子を提供するとした遺伝子バンクということで、著者の興味のスタートに「氏か育ちか (Nature or Nurture)」という問題があったようだが、実際には天才精子バンクという実態はなかったと言う、予期せぬ形で見事に裏切られて、結論は出ない。
個人的には、「Nature」としての天才はそれほど珍しいものではなく、それが発現するのに必要な「Nurture」なり「偶然」なりが「right time, right place」になかなか得られないのが、天才が稀な理由だと考えているので、よしんばバンクが売り文句通りに運営されていても結論が出たりはしなかったであろう。そもそも、父母由来の遺伝子だって一期一会。様々な遺伝子同士の一期一会が個性を、従って天才を作り出すのだ。しかも、良い方の遺伝子を一つでも多く持っていれば天才に近づくというような線形の単純な世界ではない。
ただ、著者の逆に「Nature」の寄与を underestimate したいような口調にも少し閉口した。父から単純に受け継ぐ「Nature」ではなくとも、明らかに持って生まれたものはあるのだし。
取材を通じた、人生への干渉は多少たじろぐものがあった。遺伝子バンクベイビーを精子提供者に会わせるよう奔走する(著者に取っては本を書くという功利的な理由があるだろうに)のは、私の倫理観と合わなかった。アメリカ人と日本人の違いを感ずる。
もう一点。本書を読んで、精子バンクが欧米でいかに普及しているか驚いた。アメリカばかりでなく、イギリスでも精子バンクベイビーが父に会う権利について真剣に議論されていると言う。日本なら、そんなことを表立って始めればメディアに大タタキされて、叩かれた人はやめてしまって一歩も先に行かないだろう。
これは、脳死問題でも同様である。日本の子供がアメリカに移植手術を受けにいくのが、メディアから美談として紹介されることに違和感を感ずる。普段メディアは、脳死移植について否定的に世論を誘導している事実があるからである。精子バンクでも同様のことが繰り返されるのではないかと危惧している。
(今、ウェブで引いたら、日本でもなくはないのですね。何かあったらメディアの祭りになるんだろうなあ)
天才の精子を提供するとした遺伝子バンクということで、著者の興味のスタートに「氏か育ちか (Nature or Nurture)」という問題があったようだが、実際には天才精子バンクという実態はなかったと言う、予期せぬ形で見事に裏切られて、結論は出ない。
個人的には、「Nature」としての天才はそれほど珍しいものではなく、それが発現するのに必要な「Nurture」なり「偶然」なりが「right time, right place」になかなか得られないのが、天才が稀な理由だと考えているので、よしんばバンクが売り文句通りに運営されていても結論が出たりはしなかったであろう。そもそも、父母由来の遺伝子だって一期一会。様々な遺伝子同士の一期一会が個性を、従って天才を作り出すのだ。しかも、良い方の遺伝子を一つでも多く持っていれば天才に近づくというような線形の単純な世界ではない。
ただ、著者の逆に「Nature」の寄与を underestimate したいような口調にも少し閉口した。父から単純に受け継ぐ「Nature」ではなくとも、明らかに持って生まれたものはあるのだし。
取材を通じた、人生への干渉は多少たじろぐものがあった。遺伝子バンクベイビーを精子提供者に会わせるよう奔走する(著者に取っては本を書くという功利的な理由があるだろうに)のは、私の倫理観と合わなかった。アメリカ人と日本人の違いを感ずる。
もう一点。本書を読んで、精子バンクが欧米でいかに普及しているか驚いた。アメリカばかりでなく、イギリスでも精子バンクベイビーが父に会う権利について真剣に議論されていると言う。日本なら、そんなことを表立って始めればメディアに大タタキされて、叩かれた人はやめてしまって一歩も先に行かないだろう。
これは、脳死問題でも同様である。日本の子供がアメリカに移植手術を受けにいくのが、メディアから美談として紹介されることに違和感を感ずる。普段メディアは、脳死移植について否定的に世論を誘導している事実があるからである。精子バンクでも同様のことが繰り返されるのではないかと危惧している。
(今、ウェブで引いたら、日本でもなくはないのですね。何かあったらメディアの祭りになるんだろうなあ)
2005年11月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
原作者の他の著作、翻訳者の別の訳本を読みたくなる数少ない本に出会いました、私の読んだ、2005年に読んだ本のベスト1にします。
遺伝子関係の業務に携わっていることもあり、その方面から興味を持ち、読み始めましたが、妻と3人の子どもに対する愛情を再確認し、もっと、もっと大切にしなくてはいけないと感じることができたことが、とても大きな収穫でした。
翻訳がすばらしいと感じたのは、原作はもっと面白いはず(対象や内容から類推するに、つまりは興味を持って購入したのに)なのに、読むとつまらないという本をいくつか経験していますが、そういう本は訳が適切ではないのではないかと、この本を読んで感じました。翻訳者と原作者に性格や姿勢で共通項があるのか、翻訳者が原作者になりきっている、そんな印象を持ちました。(当方にとっては)高価な部類の本ですが、迷わず購入することをお勧めします。
遺伝子関係の業務に携わっていることもあり、その方面から興味を持ち、読み始めましたが、妻と3人の子どもに対する愛情を再確認し、もっと、もっと大切にしなくてはいけないと感じることができたことが、とても大きな収穫でした。
翻訳がすばらしいと感じたのは、原作はもっと面白いはず(対象や内容から類推するに、つまりは興味を持って購入したのに)なのに、読むとつまらないという本をいくつか経験していますが、そういう本は訳が適切ではないのではないかと、この本を読んで感じました。翻訳者と原作者に性格や姿勢で共通項があるのか、翻訳者が原作者になりきっている、そんな印象を持ちました。(当方にとっては)高価な部類の本ですが、迷わず購入することをお勧めします。
2009年3月13日に日本でレビュー済み
天才の遺伝子だけを扱った精子バンクという謎めいたものを追ったノンフィクション。
全く荒唐無稽なアイディアを実行してしまった人々、そしてそれに乗っかった女性たち。
精子を提供する奇妙な男たち。
そして、父親を知ることなく生まれてきた子どもたち。
父親の手がかりになるのは書類に書かれたコードネームだけ。
どこをとってもフシギな話だ。
題材そのものだけでも充分に面白いが、ハイライトはその部分だけではない。
最初は好奇心だけで調べ始めた作者が、
人工授精で生まれた子どもやその家族を自力で探し出し、触れ合ううちに
人間の絆や家族について目覚め始める感動的な話である。
固い内容なのに、読みやすい文章なのも良い。
そして、内容的にも考えされられ上、スリリングで実に読み応えのある一冊。
全く荒唐無稽なアイディアを実行してしまった人々、そしてそれに乗っかった女性たち。
精子を提供する奇妙な男たち。
そして、父親を知ることなく生まれてきた子どもたち。
父親の手がかりになるのは書類に書かれたコードネームだけ。
どこをとってもフシギな話だ。
題材そのものだけでも充分に面白いが、ハイライトはその部分だけではない。
最初は好奇心だけで調べ始めた作者が、
人工授精で生まれた子どもやその家族を自力で探し出し、触れ合ううちに
人間の絆や家族について目覚め始める感動的な話である。
固い内容なのに、読みやすい文章なのも良い。
そして、内容的にも考えされられ上、スリリングで実に読み応えのある一冊。
2005年9月2日に日本でレビュー済み
全米で100万人はいるという人工授精で生まれた子供たち。
ある精子バンクの「企てと挫折とその後」の調査に基づくドキュメンタリーだ。
オープンな米国ならではの本。母子関係、しっかりした子供たち、
日本の実情はどうなんだろう。新聞記事によると子供たちが真実を
知りたいという動きがあるそうだ。育ての親との絆が強くなったくだり
をよみながら(トムのケース)、目頭が熱くなった。血のつながり、hu-h?
翻訳が秀逸、訳者あとがきもとてもいい。
ある精子バンクの「企てと挫折とその後」の調査に基づくドキュメンタリーだ。
オープンな米国ならではの本。母子関係、しっかりした子供たち、
日本の実情はどうなんだろう。新聞記事によると子供たちが真実を
知りたいという動きがあるそうだ。育ての親との絆が強くなったくだり
をよみながら(トムのケース)、目頭が熱くなった。血のつながり、hu-h?
翻訳が秀逸、訳者あとがきもとてもいい。