東部戦線、とりわけソ連側から書かれた書物は少ない。「攻防900日包囲されたレニングラード」上巻下巻合わせて日本語1000ページは読み応えがある。著者は米国人の元記者であり学者ではない。中身は陸軍海軍の軍人も登場し、ジターノフらレニングラード市政治局員の奮闘が書かれている。上巻ではスターリンが全くヒトラーの企みに気づかず、たくさんの戦争兆候の情報があるにも関わらず、対策を講じなかったこと。そのような中でも、軍人たちはモスクワの命令を無視してでも戦争準備体制を整えていたことがわかる。こられの軍関係者や政治史に関する章と交互に書かれているのが一般市民の戦時中の生活である。下巻では、市がドイツ軍に封鎖されてからの餓死に陥った市民生活を書いている。飢餓の記述は、くどいほど長く書かれていて読んでいて飽きた。政府がラドガ湖の氷上輸送で食料をなんとか供給したことなどは、興味深い。
1000ページにおよぶ文章の半分以上は、一般市民の飢餓の状況に関する雑多なエピソードの寄せ集めであり、興味のない部分も多かった。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
攻防900日 上: 包囲されたレニングラード (Hayakawa Nonfiction MASTERPIECES) 単行本 – 2005/12/1
- 本の長さ507ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2005/12/1
- ISBN-104152086920
- ISBN-13978-4152086921
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2005/12/1)
- 発売日 : 2005/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 507ページ
- ISBN-10 : 4152086920
- ISBN-13 : 978-4152086921
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,060,927位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,153位その他戦争関連書籍
- - 2,900位ヨーロッパ史一般の本
- - 263,226位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
イメージ付きのレビュー
4 星
名作でした
このシリーズはマスターピースをうたっているだけあってどれも名作ばかりなのですが、kindleなどで見つけられないのが残念。古本で購入、¥1,500なり。届いたら八王子図書館の本だったのでちょっと驚きました。図書館にあった本を買ったことがなかったもので。
フィードバックをお寄せいただきありがとうございます
申し訳ありませんが、エラーが発生しました
申し訳ありませんが、レビューを読み込めませんでした
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2005年4月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
只でさえほとんど無いレニングラードの戦史資料ですが、
いきなりこの資料は超逸品!!
あくまでソ連側からの視点は細かく、政治局/モスクワ/レニングラードの市内(市民生活)/NKVD!!や軍部など色々な情報が満載です。
いきなりこの資料は超逸品!!
あくまでソ連側からの視点は細かく、政治局/モスクワ/レニングラードの市内(市民生活)/NKVD!!や軍部など色々な情報が満載です。
2018年1月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
このシリーズはマスターピースをうたっているだけあってどれも名作ばかりなのですが、kindleなどで見つけられないのが残念。古本で購入、¥1,500なり。届いたら八王子図書館の本だったのでちょっと驚きました。図書館にあった本を買ったことがなかったもので。
このシリーズはマスターピースをうたっているだけあってどれも名作ばかりなのですが、kindleなどで見つけられないのが残念。古本で購入、¥1,500なり。届いたら八王子図書館の本だったのでちょっと驚きました。図書館にあった本を買ったことがなかったもので。
このレビューの画像
2010年10月21日に日本でレビュー済み
久しく絶版になっていた名著の待望の復刊を遅ればせながら歓迎したい。
訳にはいくつか明白な誤訳があって、復刊を機会に訂正して欲しかったが、それはなされていないようである。
しかし、そのような細かい欠点にもかかわらず、レニングラード封鎖を扱った本書の古典としての価値は損なわれていないし、この本が日本語で読めることを素直に喜びたい。復刊した早川書房の英断を称えたい。
ソールズベリーという不世出のソ連通ジャーナリストの存在、取材と著述を可能にした第二次大戦後の短い雪解けなど幾つもの条件が重なって書かれた本書は、まだ大戦の記憶が生々しいその当時だから書けた記録である。有名なタチアーナ・サビチェワを始め、当時の市民生活の息遣いがひしひしと伝わってくるエピソードを織り交ぜながら、巨大な群像劇としてレニングラード包囲戦を描くソールズベリーの筆運びには脱帽するばかりである。
また当時の関係者などへのインタビューを含めて、丁寧な取材を基にして書かれた本書の価値は、単なる大戦の記録以上に、外国人が書いた最良のロシア人論でもある。
先の大戦の経験者が確実に減っていく今こそ、このような本が読み継がれるべきである。
訳にはいくつか明白な誤訳があって、復刊を機会に訂正して欲しかったが、それはなされていないようである。
しかし、そのような細かい欠点にもかかわらず、レニングラード封鎖を扱った本書の古典としての価値は損なわれていないし、この本が日本語で読めることを素直に喜びたい。復刊した早川書房の英断を称えたい。
ソールズベリーという不世出のソ連通ジャーナリストの存在、取材と著述を可能にした第二次大戦後の短い雪解けなど幾つもの条件が重なって書かれた本書は、まだ大戦の記憶が生々しいその当時だから書けた記録である。有名なタチアーナ・サビチェワを始め、当時の市民生活の息遣いがひしひしと伝わってくるエピソードを織り交ぜながら、巨大な群像劇としてレニングラード包囲戦を描くソールズベリーの筆運びには脱帽するばかりである。
また当時の関係者などへのインタビューを含めて、丁寧な取材を基にして書かれた本書の価値は、単なる大戦の記録以上に、外国人が書いた最良のロシア人論でもある。
先の大戦の経験者が確実に減っていく今こそ、このような本が読み継がれるべきである。
2006年10月15日に日本でレビュー済み
第二次大戦中、大量虐殺を含む大悲劇が幾つか記録されている。日本では長崎、広島、東京大空襲、硫黄島など、海外に目を向ければ南京大虐殺、ホロコースト、スターリングラード等である・・しかし、一般的にレニングラード包囲の悲劇が周知されていない印象がある。ドイツ軍に包囲された王都を2年以上持ちこたえる市民の悲劇だ。一時的に湖が氷結した非常道を除いて、供給は完全に遮断。屍を食したり究極の飢餓を経験する事に。後に上記の道はこう呼ばれた「命の道」と。。
民間人での死者の規模は、大戦中ホロコーストと肩を並べる。それにしても、一般的にこの悲劇については、知られていない。そういう背景もあり、期待して読みはじめてみたものの、視点の当て方で不満を残した。軍関係者や戦争の局面等、技術的な記述が多い印象を受け、この悲劇の悲壮感や臨場感が感じられなかった。そういう物よりも、一般的な飢餓を強いられた日常の生活風景などを描いてくれた方がピンとくるし、恐ろしさを肌で感じる事ができただろう。訳詞の堅苦しさも否めなかった。これは洋書の特性上回避できないかもしれない。
本書に限らず、レニングラード包囲関連の書籍が日本において皆無に等しい。対被害の物量を考えても、また生存者の証言を遺すという意味でももっと類書の刊行を希して止まない。
民間人での死者の規模は、大戦中ホロコーストと肩を並べる。それにしても、一般的にこの悲劇については、知られていない。そういう背景もあり、期待して読みはじめてみたものの、視点の当て方で不満を残した。軍関係者や戦争の局面等、技術的な記述が多い印象を受け、この悲劇の悲壮感や臨場感が感じられなかった。そういう物よりも、一般的な飢餓を強いられた日常の生活風景などを描いてくれた方がピンとくるし、恐ろしさを肌で感じる事ができただろう。訳詞の堅苦しさも否めなかった。これは洋書の特性上回避できないかもしれない。
本書に限らず、レニングラード包囲関連の書籍が日本において皆無に等しい。対被害の物量を考えても、また生存者の証言を遺すという意味でももっと類書の刊行を希して止まない。