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レベル3 (異色作家短篇集 13) 単行本 – 2006/9/15

4.6 5つ星のうち4.6 11個の評価

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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 早川書房 (2006/9/15)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2006/9/15
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 260ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4152087587
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4152087584
  • カスタマーレビュー:
    4.6 5つ星のうち4.6 11個の評価

著者について

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ジャック・フィニイ
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2014年12月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
宮部みゆきの「レベル7」の中で、題名だけ出てきたことある作品。
どんなモノ?とレビューを調べてみたら面白そうだったので試しに。

時間や空間の跳躍が題材となった短編ばかりの作品集ですなー
当時としてはだいぶSF的な作家さんだったのでは?等など
いくぶん斜に構えて読んでました。
最後の「死者のポケットの中には」までは。

それまでの作品群にあった一歩進むと過去の世界に・・・ではなく
一歩踏み出すと死の世界に直行という境目に、主人公は立たされます。
平穏な日常のすぐそばに、”それ”はあったんですねぇ・・・。
(その気になれば、これを我々も体験出来ます)

作者は今作で、題材・展開・無駄のない筆致により、
人生というもの集約してを描ききっているのではないか?と思えました。
それは、凡百の作家なら何百ページも費やし、てやっと到達出来るかどうかの
文学的高みなのではなかろうか?
個人的にはこの一編で、この本の価値が一変した(駄洒落か)。

最後にもう一捻りあるのですが、人生で大事なものを悟った主人公の行動は・・・。
イッセー尾形さんの一人芝居で、これを見たいかも。
13人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2006年9月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 『レベル3』……存在しないグランド・セントラル駅地下3階、そこはノスタルジーへの入り口でした。ファンタジーではありがちな設定ですが、そこに著者はゲイルズバーグ(著者がカレッジに通ったイリノイ州の町)への愛をたっぷりふりかけます。そういえば著者には『ゲイルズバーグの春を愛す』という作品もありました。

 『おかしな隣人』……「お隣に越してきたのは実は」というのはアメリカの小説ではよくありますが、本作では……外国人のように小銭でまごつき閉まったドアが自動的に開くかのように体当たりをしていき140年後のことを時々話す、おかしな夫婦でした。いやいや、『レベル3』のあとにこれを置きますか? 洒落た配置です。

 『こわい』……ラジオからほんの短時間過去の番組が聞こえます。主人公がその話を友人たちにすると、似たようなエピソードが少しずつ集まってきます。共通点は「時間の混乱」。ペンキを塗り替えた後出現する以前のペンキ、子犬を飼い始める前の時点に出現した成長したあとの犬、写真に写った家族の未来像、犯罪が起きる前に警察に押収された凶器、80年前の恰好をした死体……そんな話がどんどん集積され、そして……

 『世界最初のパイロット』……南北戦争の時代。元ハーヴァード大学の教授の少佐は戦争に勝つためにとんでもないことを画策します。少佐が出かけたのはスミソニアン博物館。さてその目的は……

 今の目からはそれほどアイデアが捻ってあるわけでもないし強烈なオチが用意されているわけでもありません。でもだからといってがっかりするような短編集ではありません。私の読後感は「『異色』というより『良質』なファンタジイ短編集」です。スタンダードとして読んでおくべき本、と言って良いでしょう。
22人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2006年2月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ジャック・フィニイのいつものノスタルジイ感が期待通り。

NYから帰国直後に読んだが、先に読んだらセントラルステーションで地下三階を探してしまっただろう。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2020年10月9日に日本でレビュー済み
SF・ファンタジーで活躍したジャック・フィニイの短篇集。

いずれの作品でも、時間や時代を扱った物が多い様に思えました。それと、あまり陰惨な事件が起こらず、死者もでない作品が多いので、読後感も爽やかな物が多かった様に感じました。

ただ、今読むと流石に古びた感じがするのも否めないと思ったのも真実でした。最近のミステリ、SF、ファンタジーを読んでいる層には訴求しないかもとも思います。おまえの頭が悪いと言われるのを承知で言えば、何を伝えたいのかイマイチ読解できない作品もありましたし。

この人の長篇の「盗まれた町」は名作だと思いますが、本書では若干低めの評価にしておきました。すいません。

この頃の牧歌的なファンタジーが読める短篇集。お暇ならどうぞ。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2014年11月17日に日本でレビュー済み
 大昔に傑作短篇「愛の手紙」(短篇集「ゲイルズバーグの春を愛す」)を読んで以来、フィニィのファンだ。
 この人の書くものはSFというより懐旧的でロマンチックなファンタジーであり、素晴らしい切れ味のオチと相まって読後感の良い作品が多い。

 11作品を収めるこの短篇集も期待に違わないファンタジー路線で切れの良いオチの連続・・・なのだが、「ゲイルズバーグ」とは雰囲気が明らかに違う。
 旧き良き時代への憧れが変質し、現実を拒否してほとんど敵視する域に達している。1957年という発表時期を考えると、作家の繊細な神経が核戦争を予感していたのではないか。そこここに反戦の意志が伺える。オチが三重になっている表題作、また「おかしな隣人」「こわい」「失踪人名簿」、歴史改変ものの「世界最初のパイロット」などはその傾向が強く出ている。
 一転して、ごく短い「雲の中にいるもの」「青春を少々」は洒落たラブコメディ。50年代アメリカのミュージカル映画を見ているような気分で、フィニィの名人芸を楽しめる。

 最後の作品「死者のポケットの中には」は異色の恐怖譚。
 読み始めてすぐに再読と気づき、慌てて本を伏せた。あの心優しいファンタジーばかり書いているフィニィがこんな怖い話を書くのかと、びっくりしたことを思い出したからだ。

 はっきり言うが、これは怖がりやさんや高所恐怖症の人が絶対に読んではいけない短篇だ。事故が起きても不思議ではない。
 「出だしだけ」と思うのもまずい。少しでも読み始めると、主人公と同じように地上11階のマンションの窓の外へ足を踏み出さざるを得なくなる。
 確かに日本製ホラーも怖い。しかし、あの怖さは後ろからいきなり肩を叩かれるような怖さで、一瞬で終わる。フィニィのは生理的な恐怖が直撃し、読んでいるあいだ中、喉元を突き上げ続ける。暴力的なまでの恐怖だから体に変調をきたす。

 ・・・ああ怖かった、やっぱり読んでしまった。主人公が一瞬、地表を見てしまう場面では思わず叫び出すところだった。オチがきれいで助かった。ハッピーエンドでなかったらひどく後味の悪い話になったろう。
 主人公の揺れる心理の描写はまさに圧巻、本当に指折りの恐怖譚だ。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2005年2月26日に日本でレビュー済み
SFの短篇が四つと、残りは普通小説の短編からなる短篇集。
SFの短編四つはどれも面白い。
いちばん好きなのは、実は未来人が隣に住んでいたという「おかしな隣人」。
都会の近所にSFが! というのがフィニイの作風のようだ。
古き良きSFを楽しみたいなら、ぜひ読むべきだろう。
無駄なくつくられた良質なSFである。
ちなみに、一緒に収録されている普通小説の方には、とくに面白いものはない。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2004年5月20日に日本でレビュー済み
 ジャック・フィニィ一流の11篇の物語。
 時間と次元を題材にした、SFともファンタジイともつかめない話や、軽いテンポのコメディが読める。
 悲しみ、あきらめ切れない願い、希望を持ち続ける登場人物たちが切ない。
 読み終わって暫くの間は、センチメンタルに幻の地下3階を探してしまいそうになる、しかし自分に繋がる絆はそう簡単には断ち切れそうにない。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2015年2月17日に日本でレビュー済み
25年程前に読みました。今でも大好きな本の中の一つです。
『レベル3』や『失踪人名簿』は、現実逃避したい辛いときには、
もってこいのお話だと思います。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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