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発売元 hon1088
コンディション: 中古商品: 良い
コメント: 2007年初版、カバー・帯付、少経年ヤケあり、書込み等なしです。
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Y氏の終わり (ハヤカワ・ノヴェルズ) 単行本 – 2007/12/14

3.9 5つ星のうち3.9 7個の評価

偶然はいった古書店で大学院生アリエルがめぐりあったのは、ずっと探していた『Y氏の終わり』という一冊の本。それは、主人公のY氏が人の心のなかでくりひろげる冒険を描いた、呪われているされる伝説の小説だった。
読み進むうちに、物語のなかの出来事は過去に実際におこったことなのではないかとアリエルは疑いはじめる。そこに書かれた方法をためしたアリエルは人の心のなかにはいることができるようになる。しかし、本を狙う男たちに追われ、旅に出ることに――。
わたしがここにいる理由って? 世界はどういうふうにできたの? そしてこの世界で、愛するとはどういうこと? 長い旅をつづけるうちに、アリエルが抱きつづけてきた疑問がひとつずつ解き明かされていく。

ミステリの興奮、SFの思索、ファンタジイの想像力――イギリスの新鋭作家によるジャンルを越えた話題作、待望の邦訳。
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商品の説明

著者について

1972年、ロンドン生まれ。1998年に長篇Dead Cleverでデビュー。2001年には《インディペンデント・オン・サンデー》紙により「イギリスの新進作家20人」に選ばれる。現在ケント大学で英文学と創作を教える。初邦訳となる長篇第七作の本書は世界20カ国以上で翻訳刊行が決定しており、フィリップ・プルマン、ジョナサン・コー、ダグラス・クープランドなど著名作家にも絶賛されている。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 早川書房 (2007/12/14)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2007/12/14
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 533ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4152088796
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4152088796
  • カスタマーレビュー:
    3.9 5つ星のうち3.9 7個の評価

著者について

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スカーレット・トマス
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上位レビュー、対象国: 日本

2024年4月2日に日本でレビュー済み
主人公は、19世紀に書かれた「Y氏の終わり」という、読んだら死ぬと言われている幻の小説を奇跡的に手に入れ、それが小説ではなく現実の話かもしれないと考えて、書かれている方法を試してみたら、すべての意識がつながっていて、他の人(動物)の心のなかに入ることで時間と空間を移動できる世界(トロポスフィア)に入れるようになった。
しかし、その本を狙う男たちに追われて、逃避行を続けるなかで、世界や意識について哲学的な探求を深めていくというようなお話で、サスペンスというか、伝奇小説というか、教養小説というのか、不思議な感じの小説である。
主人公の大学院生アリエル・マントは知的で好奇心にあふれ、かなり一匹狼的な性格で、おまけに「世間一般でないセックスを好む」猥雑なところもある女性として、生き生きと描かれて魅力的、また主人公を取り巻く脇役や環境の描写も違和感なく、翻訳もこなれているので、作中世界に没入できて読むのが実に楽しかった。
主人公は物知りなので、私が知らない事物や人物、概念がたくさん飛び出すが、それらをネットで調べながら読むのも楽しい。しかし、途中からデリダ、ハイデッカー、ボードリヤールとかの哲学と現代物理学が交錯する議論がどんどん高度になっていき、ついていけなくなった。何か深ーい真理が含まれているようでもあり、単なる衒学的な虚構の議論にすぎないようでもあり、私には評価不能。ちなみに、ウィキペディアによると主人公の名前Ariel MantoはI am not realのアナグラムとのこと。
トロポスフィアの世界がコンピューターゲームのインターフェースのような描き方なのは少々違和感があるが、おそらく著者は「ここから先は現実から切り離されたおとぎ話の世界」と割り切った書き方をしているのであって、それでいきなりネズミの心に入ってしまうような展開にもしたのだろう。
あと、「プロジェクト・スターライト」というのが出てくるが、これはかなり以前に話題になった米軍の「スターゲート・プロジェクト」がモデルだろう。また、「『Y氏の終わり』とは、愉快なダブルミーニングなのだが、断言してもいい、ほとんどの批評家は愚鈍すぎて題名の意味することなど気がつかないはずだ」と書かれている点に関しては、ネットで調べたら、「木曽のあばら屋」氏が鋭い指摘をされていて、それが正解かなと思う。
2008年1月6日に日本でレビュー済み
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この作品は大学院生アリエルの実生活と呪いの書『Y氏の終わり』とそれに記載された独特の異界・精神ネットワーク世界の多層構造で成り立っています。精神ネットワーク世界の異界像やそこでの近接的作用(空間的・時間的に近いものから徐々に力が及ぶ)による他者の精神・記憶への介入を経て時空の移動をするアイディアは興味深いです。時空、意識の関係性を自在に変換できるようになると知性も進化し全知全能・神性へ接近するという作品最深層部のテーマもOK。アリエルが異界に入り浸ると実在界と虚構界が混交、様々な関係性が多視点的に非虚構と虚構の間で揺らめく浮動感を引き起こすうねりも良好。スキャナーズ風の超能力者同士の追跡劇もまずまず。ただ現代科学思想・哲学に関する衒学的な戯れが少し気になります。

なにも多数の哲学者を引用せずともシュレーディンガーの猫まで引っぱりださずとも、深層に実在論/観念論のせめぎあいや時空は二次的に派生する概念にすぎない(量子重力理論)といった思索などを暗喩として入れ込むことは文学の特権です。衒学的な言説を多用したいなら通俗科学読本でいいんでしょうけどそれにあえて挑み最終的には時間の誕生前の世界を描こうとする作者の心意気は買います。

問題は主人公造型と結末の選択です。アリエルの実際の行動・恋愛観は不器用な自滅型というよりは一見締まりのない短絡的な自堕落型にしか思えません。実在界での虚無から脱却できない三十路女が虚構界へ昇華でなく安易に逃避行してしまっている印象です。生死のプロセスは虚構とは思えません。たとえこの世が虚構界の間にある刹那的世界だとしても多少は挑む姿勢は欲しいです。それが感じられないのはアリエルの生命愛が大きく歪んで見えるからでしょう。これらが意図的な失敗としたら凄い思考実験小説です。本当のインテリジェンスとは?と考えてしまいます。世界の構造に係わりなく命が宝ですよね。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2008年2月24日に日本でレビュー済み
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これは途方もない大きさを持つ偉大な文学で,おろそかには扱えない.読んだ人達が皆死ぬか消える話としては,日本にも川又千秋の'幻詩狩り'(1984)がある.この作品では女主人公 Ariel が Jacques Derrida の哲学が好きで,かつ雑誌記者として科学者たちにインタビューを重ねるうちにシュレーディンガーの猫とかオルバースの背理などの思考実験 (独:Gedankenexperiment) に魅せられ,これをテーマに博士論文を書こうと決意し,適当な教授のお蔭でさる大学にも籍を置くことになる.これが呪われた Thomas Lumas の'Y氏の終わり'と出会うきっかけとなり,時空を超えた旅のきっかけになる.現代イギリスの風俗(大学,薬屋,パブなど)の描写は抜群で,逆にイギリスを知らない人には理解困難かも知れないが,訳は完璧である.この魔書が何と事実上全部再録されているのがこの作品の特異な点である.他個体の心(最初は鼠だった)へのジャンプは魔書に記された homeopathy 用の薬の服用による 'troposhere' なる距離が時間に等しい異世界経由でなされるが,次第に直接的なジャンプも可能になる.行方不明になった教授をこの方法で見つけ,魔書の本来の所有者にも会う.CIA agents がこの本を追うので,いっそ19世紀に飛んで本の出版を阻止し,この本が 'なかったことにする' 計画を立て,時間旅行のパラドックスも哲学的に解決し(この部分は Baudrillard の哲学の議論があって難解)実行に移す.大学で同室だった Adam と troposphere の旅を続け,衣服を失い,遂に一本の木がある garden に辿りつく.私はだれでしょう,で幕.難解な議論につきあっていると読了に一週間かかる.しかし心から心へのジャンプがぞっとするほどリアルに書けて (訳されて) いるのは極めて印象的.Umberto Eco の Foucault's Pendulum のイギリス版と言う感じで,強く推薦.
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2008年3月2日に日本でレビュー済み
ミステリー、SF、ファンタジーのジャンルを超えた話題の作品、という宣伝で読んだものの、どのジャンルの面白さも兼ね備えてなくて首を傾げたくなる。
前半主人公アリエルが古本屋でずっと探していた貴重書、ドイツの銀行の貸金庫に1冊存在し、図書館にも置いてる所がない、そんな本を見付けた興奮の場面は、本好きには共感すべき興奮が伝わるいいシーンだった。
手持ちのお金をつぎ込み、そのせいでこれから数週間食事さえ危ういにも関わらずその本を購入してしまう。しかも、その事より、購入した本を読み始める興奮が勝り、読む時間に夢中になる。
このアリエルの気持ちは、読書好きには共感出来るのだが、「Y氏の終わり」で欠けていた1ページが見つかってからの逃走劇が何とも面白くない。
時空を超えるアリエルが、元彼やアダムとの関係など、魅力的でない主人公の悩みに付き合わされて閉口するのだ。
その逃走劇に割いてあるページの多さは半端じゃない。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2018年1月21日に日本でレビュー済み
偶然探していた奇書を手に入れた主人公が・・・というお話。

シュレティンガー、ハイデガー、ボードリヤール、ホラティウス、アリストテレス等やたらと哲学者の名が出てくる韜晦な感じの小説ですが、あまり難解にはならず、精神的観念的な部分はファンタジー風に読める、所謂スリップストリーム。スプロールフィクションにあたる小説。

面白い事は面白いですが、話が進んでいくにつれ読者が想像できない様な方向に話が転がっていき、人によっては途中で読むのを止める方もいるのではないかという感じですが、哲学趣味を盛り込んだファンタジーとしてはプリースト「魔法」、ツェー「シルフ警視と宇宙の謎」が面白かったら結構面白く読めるのではないかという感慨を抱きました。ただ、一方で読者を選ぶ作品だとも思いました。あと、読んだ人が皆死ぬという奇書の扱いは日本の呪いのビデオをネタにしたモダンホラーを想起させますが、あまりホラーっぽい展開になっていないのが興味深く感じました。

また、この手の作中作がある小説の場合、その作中作もある程度読者を納得させるレベルの作品にならないとまずいですが、本書の作中作はまぁまぁといった感じで少し物足りなさを感じたのも真実です。これはしょうがないですが、例えばマクドナルド・ハリスの傑作「ヘミングウェイのスーツケース」並みの物を出来れば書いてもらいたかったです。

最後の方はドンドン観念的な方向に進むので、読者の方で把握したり理解するのが些か大変ではありますが、読んで損はない哲学小説だと思いました。

哲学的屁理屈や観念的な小説が好きな方にお勧めの一風変わった小説。機会があったら是非。
2011年3月27日に日本でレビュー済み
読み進むうちに、物語のなかの出来事は過去に実際におこったことなのではないかとアリエルは疑いはじめる。そこに書かれた方法をためしたアリエルは人の心のなかにはいることができるようになる。しかし、本を狙う男たちに追われ、旅に出ることに――。

わたしがここにいる理由って? 世界はどういうふうにできたの? そしてこの世界で、愛するとはどういうこと? 長い旅をつづけるうちに、アリエルが抱きつづけてきた疑問がひとつずつ解き明かされていく

何箇所か、心理学とか宗教とかを取り上げて、
ディベートするから、わからない人 (自分も) 読んでいて苦しかった
なんとなくはわかるんだけども・・・
引用が多すぎな感もいなめない
このあたりが、理解できているとかなり楽しめることもまた事実

それと、
ジャンルがノンジャンルというかミックスというか
ミステリーやSF、哲学、宗教、精神、オカルトなどなど
それにもかかわらず、しっかりまとまっている
知らない言葉がたくさんでていておもしろい

時間=距離
物質=思考
このあたりも、「ん?」感じて、
馴染むまでには相当時間をようしてしまった

結末も、俺はこれでいいと思う
スタンド使いの主人公アリエルは
あまりにも、自滅型というか自墜落型というか

最後は、エデンの園で林檎ということであったのか?
結局は宇宙の最初までさかのぼったというところまでいったのが
すごい、スケールが大きくて、おもしろかった
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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