プラチナ・ファンタジー叢書の1冊ですが、ファンタジーというよりSFの短編集です。
叙情的な作風が、SFガジェットが苦手でファンタジー好きな人にも好まれやすいという判断でしょうか。
作品はどれをとってもなにしろ叙情的、甘くはないけれどセンチメンタル--はっきり言って、叙情性が過ぎる印象です。
言葉にできない淡い恋慕や過去への感傷、哀愁--そういったものを表現にするのに、ジャンルSFは色々なしかけやアイデアを用意することで、安直に流れない工夫ができるというのがひとつの大きなメリットだと思っています。が、この作品集では、すべてが心理描写の言葉で連綿と綴られています。それも過剰なほどに。少し飽きてしまうほどに。
こんなに言葉を連ねなくても、ちょっとした設定だけで、人物の想いをもっとずっと鮮やかに表現することができたんじゃないか、それがSFの持つ力なんじゃないのか...どうも読後にこの疑問が頭に残っています。
なので、秀作とは思いますが、個人的には傑作とは思えません。
惜しいなという印象なので、今後他の作品も読んでみたい作家ではありますが。
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夏の涯ての島 (プラチナ・ファンタジイ) 単行本 – 2008/1/9
イアン R.マクラウド
(著),
浅倉 久志
(翻訳)
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叙情SF短篇の名手の作品群から選り抜いた、
悲しくも優しい七つの物語
○「夏の涯ての島」ときは1940年、ヨーロッパ。さきの世界大戦ではドイツが勝利し、フランスはドイツと平和協調路線をとった。これに対し、ファシズムと軍事拡張路線を推進するイギリスは、国際社会で孤立していた。国内では、好戦的なムードと力のある指導者への崇拝の気運が満ちている一方、政府の政策によってユダヤ人や同性愛者は屈辱的な差別を受けていた。病に冒された老境の歴史学者グリフは、この国のカリスマ的指導者ジョン・アーサーの旧知として恩恵に与っていたが、こうした現状に疑問を抱いてもいた。なぜなら、全体主義で牽引力を発揮するジョン・アーサーこそ、かつて若く輝ける日々に彼が愛した男であったからだ――架空の時代を背景に、繰り返される歴史上の愚行と個人の無力を鮮やかに見せる表題作(世界幻想文学大賞・サイドワイズ賞受賞)。
○「息吹き苔」アーシュラ・K・ル・グィンの未来史を思わせる、マクラウド独自の異星文明世界を舞台に、女性ばかりの惑星でめばえた少女の初恋と成長を描く中篇。(アシモフ誌読者賞受賞)。
○「ドレイクの方程式に新しい光を」人類がもう宇宙に興味を失った近未来、最後のSETI研究者として地球外からの交信に耳を澄ませる男がいた……地球の、異邦人の、そしてひとりの人間の孤独を多層的に示した傑作「ドレイクの方程式に新しい光を」。
SF的発想に端を発し、さまざまな“変化”に直面した人間の心の機微を、詩情に満ちた物語に結実させた選りすぐりの傑作七篇を収録する、日本オリジナル短篇集。
悲しくも優しい七つの物語
○「夏の涯ての島」ときは1940年、ヨーロッパ。さきの世界大戦ではドイツが勝利し、フランスはドイツと平和協調路線をとった。これに対し、ファシズムと軍事拡張路線を推進するイギリスは、国際社会で孤立していた。国内では、好戦的なムードと力のある指導者への崇拝の気運が満ちている一方、政府の政策によってユダヤ人や同性愛者は屈辱的な差別を受けていた。病に冒された老境の歴史学者グリフは、この国のカリスマ的指導者ジョン・アーサーの旧知として恩恵に与っていたが、こうした現状に疑問を抱いてもいた。なぜなら、全体主義で牽引力を発揮するジョン・アーサーこそ、かつて若く輝ける日々に彼が愛した男であったからだ――架空の時代を背景に、繰り返される歴史上の愚行と個人の無力を鮮やかに見せる表題作(世界幻想文学大賞・サイドワイズ賞受賞)。
○「息吹き苔」アーシュラ・K・ル・グィンの未来史を思わせる、マクラウド独自の異星文明世界を舞台に、女性ばかりの惑星でめばえた少女の初恋と成長を描く中篇。(アシモフ誌読者賞受賞)。
○「ドレイクの方程式に新しい光を」人類がもう宇宙に興味を失った近未来、最後のSETI研究者として地球外からの交信に耳を澄ませる男がいた……地球の、異邦人の、そしてひとりの人間の孤独を多層的に示した傑作「ドレイクの方程式に新しい光を」。
SF的発想に端を発し、さまざまな“変化”に直面した人間の心の機微を、詩情に満ちた物語に結実させた選りすぐりの傑作七篇を収録する、日本オリジナル短篇集。
- 本の長さ438ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2008/1/9
- ISBN-104152088877
- ISBN-13978-4152088871
商品の説明
著者について
イアン・R・マクラウド
IAN R. MACLEOD
1956年8月6日、イギリスはウェストミッドランド州ソリハルに生まれる。10代初めからあらゆるSF・ファンタジイを読みあさり、15歳のとき最初の長篇小説を書きあげる。バーミンガム総合技術大学で法律の学位をとり、卒業後は国家公務員として30代まで勤務するかたわら作家を目指す。1989年、〈ウィアード・テイルズ〉誌にデビュー短篇"1/72nd Scale"が採用され、ネビュラ賞候補にもなった。1990年、妻の妊娠を機に専業作家となり、以後多数の作品が有名SF誌やアンソロジー The Year's Best SF などに掲載・収録されている。その作風はSFやファンタジイならではの設定を用いつつ、人間の孤独や優しさなどを叙情的に描くものが多い。
1999年には本書の表題作「夏の涯ての島」で世界幻想文学大賞、および歴史改変小説に与えられるサイドワイズ賞を受賞。翌年には「チョップ・ガール」で世界幻想文学大賞、アシモフ誌読者賞を受賞した。また、2002年には「息吹き苔」でもアシモフ誌読者賞を獲得。このほか、作品は英国SF協会賞、ティプトリー賞などにノミネートされ、短篇の名手としての評価を確たるものにしている。
また、長篇ではThe Great Wheelがローカス賞処女長篇部門を受賞。The Light Ages、The House of Storms の2篇からなる、エーテルをエネルギー原料とする歴史改変世界のヴィクトリア朝イギリスを描いたシリーズが人気を博している。
本書は、叙情的SF短篇に定評がある著者が2003年に刊行した第2短篇集Breathmoss and Other Exhalations を中心に、雑誌に掲載された作品を加えた日本オリジナル短篇集である。
IAN R. MACLEOD
1956年8月6日、イギリスはウェストミッドランド州ソリハルに生まれる。10代初めからあらゆるSF・ファンタジイを読みあさり、15歳のとき最初の長篇小説を書きあげる。バーミンガム総合技術大学で法律の学位をとり、卒業後は国家公務員として30代まで勤務するかたわら作家を目指す。1989年、〈ウィアード・テイルズ〉誌にデビュー短篇"1/72nd Scale"が採用され、ネビュラ賞候補にもなった。1990年、妻の妊娠を機に専業作家となり、以後多数の作品が有名SF誌やアンソロジー The Year's Best SF などに掲載・収録されている。その作風はSFやファンタジイならではの設定を用いつつ、人間の孤独や優しさなどを叙情的に描くものが多い。
1999年には本書の表題作「夏の涯ての島」で世界幻想文学大賞、および歴史改変小説に与えられるサイドワイズ賞を受賞。翌年には「チョップ・ガール」で世界幻想文学大賞、アシモフ誌読者賞を受賞した。また、2002年には「息吹き苔」でもアシモフ誌読者賞を獲得。このほか、作品は英国SF協会賞、ティプトリー賞などにノミネートされ、短篇の名手としての評価を確たるものにしている。
また、長篇ではThe Great Wheelがローカス賞処女長篇部門を受賞。The Light Ages、The House of Storms の2篇からなる、エーテルをエネルギー原料とする歴史改変世界のヴィクトリア朝イギリスを描いたシリーズが人気を博している。
本書は、叙情的SF短篇に定評がある著者が2003年に刊行した第2短篇集Breathmoss and Other Exhalations を中心に、雑誌に掲載された作品を加えた日本オリジナル短篇集である。
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2008/1/9)
- 発売日 : 2008/1/9
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 438ページ
- ISBN-10 : 4152088877
- ISBN-13 : 978-4152088871
- Amazon 売れ筋ランキング: - 980,251位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 10,216位英米文学研究
- カスタマーレビュー:
著者について
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2011年10月8日に日本でレビュー済み
2008年2月1日に日本でレビュー済み
いずれの作品も多元宇宙、ナノテク、未来史神話などのSF/ファンタジー世界が舞台なのですがその背景やディテールはかなりぼやけています。むしろ夢を追い続けるかわりに失ったものの喪失感を埋めていくための時間や愛情などの過程を繊細に描くことに主点が置かれてるようです。そして巧妙なのは記憶の使い方です。
自分の子供に自分が子供の時に聞きたかった質問をされたとき、自らの少年時代の記憶が想起されふと自分に『帰還』したような気分になることもあるでしょう。
心の奥にしまってた辛い記憶が不意に蘇えり物置きに放置してた『わが家のサッカーボール』を抱きしめなければ情動の嵐に自己が崩壊してしまう、そんな記憶もあるでしょう。
経験を積んでこそ見えてくる真実というものがあります。その真実によってしか全体を眺望できない記憶もあるのでしょう。悪運が宿っているという視線にさらされ『チョップ・ガール』として疎まれた者の記憶がそうです。
記憶の不確かさで苦しむこともあるのですが逆に記憶の曖昧さが心を甘くしてくれることもあるはずです。記憶こそがその人の証でもあるのですが生きていくためにはそれとは知らずに記憶を創りあげることもあるのでしょう。人々の記憶と記述の集成である歴史についてもそんなことがあるのかもしれません。『夏の涯ての島』のように。
その他の作品も記憶を各自のやり方で修飾しながら最終的には自己存在を確認する旅のようなものをしてきたか、これからする人たちの物語なのです。
そして絶頂は『ドレイクの方程式に新しい光を』で「幸福と悲しみがごたまぜになった記憶」がダークブルーのドレスの女性で想起される過程。強烈な酸味とともにしか思い出せないような出来事が時とともに丸くなり甘美なアロマをともなうような記憶となる熟成過程、それが生きるということなのかもしれません。そんな風にちょっとメロウでスロウにさせてくれる作品集です。
自分の子供に自分が子供の時に聞きたかった質問をされたとき、自らの少年時代の記憶が想起されふと自分に『帰還』したような気分になることもあるでしょう。
心の奥にしまってた辛い記憶が不意に蘇えり物置きに放置してた『わが家のサッカーボール』を抱きしめなければ情動の嵐に自己が崩壊してしまう、そんな記憶もあるでしょう。
経験を積んでこそ見えてくる真実というものがあります。その真実によってしか全体を眺望できない記憶もあるのでしょう。悪運が宿っているという視線にさらされ『チョップ・ガール』として疎まれた者の記憶がそうです。
記憶の不確かさで苦しむこともあるのですが逆に記憶の曖昧さが心を甘くしてくれることもあるはずです。記憶こそがその人の証でもあるのですが生きていくためにはそれとは知らずに記憶を創りあげることもあるのでしょう。人々の記憶と記述の集成である歴史についてもそんなことがあるのかもしれません。『夏の涯ての島』のように。
その他の作品も記憶を各自のやり方で修飾しながら最終的には自己存在を確認する旅のようなものをしてきたか、これからする人たちの物語なのです。
そして絶頂は『ドレイクの方程式に新しい光を』で「幸福と悲しみがごたまぜになった記憶」がダークブルーのドレスの女性で想起される過程。強烈な酸味とともにしか思い出せないような出来事が時とともに丸くなり甘美なアロマをともなうような記憶となる熟成過程、それが生きるということなのかもしれません。そんな風にちょっとメロウでスロウにさせてくれる作品集です。