認知心理学の観点から、我々がいかにリスクを正しく判断できない存在か、
政治やメディア、企業がいかにそれを利用しているか(もしくは同様に正しく判断できていないか)
を徹底的に教えてくれる本です。
450ページの大作ですが、激しくオススメです。
似た系統では、『影響力の武器』『予想通りに不合理/不合理だからすべてがうまくいく』『人間この信じやすきもの』
あたりもぜひどうぞ。
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リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理 単行本(ソフトカバー) – 2009/5/22
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史上最も安全で健康な私たちが、なぜ不安に脅えているのか?
テロ、死を運ぶ伝染病、環境を汚染する化学薬品、ネット上の小児性愛者……。ニュースでは毎日新しいリスクが報じられている。
だが、本当にそのリスクは恐れるほどのものなのだろうか。よく検討すれば、実はそれほど危険ではないリスクも多い。たとえば、ある年の暴力犯罪件数がこの十数年で最大の増加を見せたというさも恐ろしげなアメリカでの事例は、増加は実は数パーセントなのに、これまでの犯罪件数がずっと減少または横ばい状態だったことによる。また、癌の発生件数がこれから増加していくという不吉な予想は、癌の最大のリスク要因である高齢化の影響が大きい。
では、なぜそういうリスクにこれほどまでに影響されてしまうのか。私たちがどのようにリスクを判断しているのか、それによって企業、政治家、メディアに恐怖を操られてしまうのかを、多くの実例とともに解説する。
「最近は危険だ」と思っているあなたは、本当の危険を見過ごしている!
テロ、死を運ぶ伝染病、環境を汚染する化学薬品、ネット上の小児性愛者……。ニュースでは毎日新しいリスクが報じられている。
だが、本当にそのリスクは恐れるほどのものなのだろうか。よく検討すれば、実はそれほど危険ではないリスクも多い。たとえば、ある年の暴力犯罪件数がこの十数年で最大の増加を見せたというさも恐ろしげなアメリカでの事例は、増加は実は数パーセントなのに、これまでの犯罪件数がずっと減少または横ばい状態だったことによる。また、癌の発生件数がこれから増加していくという不吉な予想は、癌の最大のリスク要因である高齢化の影響が大きい。
では、なぜそういうリスクにこれほどまでに影響されてしまうのか。私たちがどのようにリスクを判断しているのか、それによって企業、政治家、メディアに恐怖を操られてしまうのかを、多くの実例とともに解説する。
「最近は危険だ」と思っているあなたは、本当の危険を見過ごしている!
- 本の長さ478ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2009/5/22
- ISBN-104152090367
- ISBN-13978-4152090362
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商品の説明
著者について
ダン・ガードナー(Dan Gardner)
カナダ、オタワ在住のジャーナリスト。ヨーク大学で法学の学位と歴史学の修士号を取得し、オンタリオで政策アドバイザーをつとめたのち、『オタワ・シチズン』紙の記者となる。現在は同紙のコラムニスト兼シニア・ライターをつとめる。カナダ新聞賞など多数の賞を受賞。本書が初の著作となる。
カナダ、オタワ在住のジャーナリスト。ヨーク大学で法学の学位と歴史学の修士号を取得し、オンタリオで政策アドバイザーをつとめたのち、『オタワ・シチズン』紙の記者となる。現在は同紙のコラムニスト兼シニア・ライターをつとめる。カナダ新聞賞など多数の賞を受賞。本書が初の著作となる。
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2009/5/22)
- 発売日 : 2009/5/22
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 478ページ
- ISBN-10 : 4152090367
- ISBN-13 : 978-4152090362
- Amazon 売れ筋ランキング: - 635,237位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 101,886位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年7月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2011年7月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
乱暴に要約すれば、政治家やマスコミにクローズアップされる「リスク」についてジャーナリストの視点からその利用のされ方と考え方を記した本。
邦題の「リスクにあなたは騙される」より原書 Risk: The Science and Politics of Fear 副題の「The Science and Politics of Fear」の方がこの本の中身をよく現わしているように思う.
我々が騙されているのは政治家やマスコミによってであって、リスクそのものはどこにでも存在し、そのリスクの程度をどう考えるのかといったところを各種の例示を用いて説明している。
他のレビューアーが直接、間接に記しているが、クローズアップされたリスクと身の回りにあるリスクを比較して意図的にクローズアップされたリスクのバカバカしさが記されている。
「頭」で考えることと「本能」(本書では「腹」という表現、原書では"Gut"という表現)が感じることは異なり、その本能を政治家やマスコミは利用していることが綴られている。
原書でもそうだが9章以降が少々くどい。また一文一文が長い。原書も長くなっているのでそういう部分では訳者はうまく訳している方だと思う。
あと、私は 錯覚の科学 を読んで「積ん読」状態になっていた本書を読みだしたのだが引用文献の精査がが少々甘いように感じた。(「錯覚の科学」の方は原書を見ていないけれど。)
全体に面白い内容だったが、中身はジャーナリスト故か学者に比べると引用元に少々甘さを感じることと、邦題が(副題でフォローしているものの)中身を誤解させかねない分減点して評価は☆4にしたいと思う。
邦題の「リスクにあなたは騙される」より原書 Risk: The Science and Politics of Fear 副題の「The Science and Politics of Fear」の方がこの本の中身をよく現わしているように思う.
我々が騙されているのは政治家やマスコミによってであって、リスクそのものはどこにでも存在し、そのリスクの程度をどう考えるのかといったところを各種の例示を用いて説明している。
他のレビューアーが直接、間接に記しているが、クローズアップされたリスクと身の回りにあるリスクを比較して意図的にクローズアップされたリスクのバカバカしさが記されている。
「頭」で考えることと「本能」(本書では「腹」という表現、原書では"Gut"という表現)が感じることは異なり、その本能を政治家やマスコミは利用していることが綴られている。
原書でもそうだが9章以降が少々くどい。また一文一文が長い。原書も長くなっているのでそういう部分では訳者はうまく訳している方だと思う。
あと、私は 錯覚の科学 を読んで「積ん読」状態になっていた本書を読みだしたのだが引用文献の精査がが少々甘いように感じた。(「錯覚の科学」の方は原書を見ていないけれど。)
全体に面白い内容だったが、中身はジャーナリスト故か学者に比べると引用元に少々甘さを感じることと、邦題が(副題でフォローしているものの)中身を誤解させかねない分減点して評価は☆4にしたいと思う。
2014年8月16日に日本でレビュー済み
大変おもしろく読みました。
9.11のテロ攻撃を受けた直後
アメリカ合衆国では飛行機ではなく自動車で移動する人が増え
その結果、9.11で(飛行機に搭乗していて)亡くなった方よりも
多くの方が「自動車事故」で亡くなった・・・という事実。
人間には思考システムが2つあり
より原始的な反応をしてしまう「システム・ワン(腹)」と
より計算高く、遅く、理性的な「システム・ツー(頭)」がある。
そして、金儲けをたくらむ人々は「頭」ではなく「腹」に恐怖を植え付ける
いわく
1)アメリカ合衆国はテロ攻撃の標的にされている
2)化学物質汚染によって人々の癌の発生率があがる。
3)学校は銃をもちこむあぶない学生がいるので、厳重な警備が必要だ。
人々は「極度の恐怖」によってあやつられてしまう。
それは「大惨事」で「「不本意」で「不公平」なもの。
ある幼児が親からの虐待によって死亡するニュースよりも
不審者によって、誘拐され殺害されるニュースの方に
人々はより関心を持ってしまう。
その際に「不審者によって殺害される子どもの数」とはいったい何人なのか?
子どもの死亡原因の何パーセントが「不審者によって殺されるのか」は無視されてしまう。
さらに、男性か女性か?人種的にマイノリテイーか白人か?によって
得た情報についての反応も違ってくる。
とても示唆にとんだ本でした。
9.11のテロ攻撃を受けた直後
アメリカ合衆国では飛行機ではなく自動車で移動する人が増え
その結果、9.11で(飛行機に搭乗していて)亡くなった方よりも
多くの方が「自動車事故」で亡くなった・・・という事実。
人間には思考システムが2つあり
より原始的な反応をしてしまう「システム・ワン(腹)」と
より計算高く、遅く、理性的な「システム・ツー(頭)」がある。
そして、金儲けをたくらむ人々は「頭」ではなく「腹」に恐怖を植え付ける
いわく
1)アメリカ合衆国はテロ攻撃の標的にされている
2)化学物質汚染によって人々の癌の発生率があがる。
3)学校は銃をもちこむあぶない学生がいるので、厳重な警備が必要だ。
人々は「極度の恐怖」によってあやつられてしまう。
それは「大惨事」で「「不本意」で「不公平」なもの。
ある幼児が親からの虐待によって死亡するニュースよりも
不審者によって、誘拐され殺害されるニュースの方に
人々はより関心を持ってしまう。
その際に「不審者によって殺害される子どもの数」とはいったい何人なのか?
子どもの死亡原因の何パーセントが「不審者によって殺されるのか」は無視されてしまう。
さらに、男性か女性か?人種的にマイノリテイーか白人か?によって
得た情報についての反応も違ってくる。
とても示唆にとんだ本でした。
2009年6月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
"Risk The Science and Politics of Fear"の翻訳本。
著者の基本認識は「現在は史上最も安全な時代である。なぜならこんなに平均寿命が長い時代はかつてなかった。」ということである。
その認識に基づき、テロ、死を運ぶ伝染病、環境を汚染する化学薬品、ネット上の小児性愛者など毎日新しいリスクが報じられている中で本当にそのリスクは恐れるほどのものなのだろうかということをリスク心理学の知見をベースに実例を挙げながら検証していく。たとえば、9.11後、飛行機が危険という認識から自動車の利用者が増え、それによって1年間で1500人以上の自動車事故の死亡者が増えたことなどを例証する。
そして、人間がこのような誤った判断をする背景には、マスコミを含めた人々の私利によるミスリードと、人間の感情と理性の関係が現在のシステムに適応し切れないという問題があるとする。
それらの記述は、人間がいかにリスク対し過ちやすいものであるかに関する面白いエピソードが多く、また書かれている内容も合理的なものが多い。その意味でよい本だといえよう。
ただ、この本を読んだ読者がリスクに関し完全に適切な判断をできるようになるかというと個人的には疑問を持っている。それぐらいリスク認識の困難性を克服する困難性は大きいのではないだろうか。逆にそれなるがゆえに世の中の出来事に理性的に対応したい人はまずこの本を読んでみることをお勧めする。
著者の基本認識は「現在は史上最も安全な時代である。なぜならこんなに平均寿命が長い時代はかつてなかった。」ということである。
その認識に基づき、テロ、死を運ぶ伝染病、環境を汚染する化学薬品、ネット上の小児性愛者など毎日新しいリスクが報じられている中で本当にそのリスクは恐れるほどのものなのだろうかということをリスク心理学の知見をベースに実例を挙げながら検証していく。たとえば、9.11後、飛行機が危険という認識から自動車の利用者が増え、それによって1年間で1500人以上の自動車事故の死亡者が増えたことなどを例証する。
そして、人間がこのような誤った判断をする背景には、マスコミを含めた人々の私利によるミスリードと、人間の感情と理性の関係が現在のシステムに適応し切れないという問題があるとする。
それらの記述は、人間がいかにリスク対し過ちやすいものであるかに関する面白いエピソードが多く、また書かれている内容も合理的なものが多い。その意味でよい本だといえよう。
ただ、この本を読んだ読者がリスクに関し完全に適切な判断をできるようになるかというと個人的には疑問を持っている。それぐらいリスク認識の困難性を克服する困難性は大きいのではないだろうか。逆にそれなるがゆえに世の中の出来事に理性的に対応したい人はまずこの本を読んでみることをお勧めする。
2009年8月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
タイトルにも書きましたが、この本は「各種の異なったタイプのリスクを評価する」といった類の本ではないように思います。ジャーナリストが書いたということもあるのかもしれませんが、どちらかというと、通底するテーマ、「人は、理性的に導き出されるのとは違った感情的なリスク評価をしてしまうし、それは心理学の研究でも示されているよ」ということを繰り返し述べているものだと思います。
本書が取り上げているテーマ自体、重要かつ面白いものであり、また、それが克服されれば、今起こっているおかしなことがもう少しまともになるという点で、たくさんの人に読まれることは意義深いと思いますが。
一方で、特定のリスク、日本のみなさんがが特に興味を持ちそうな話題、例えばダイオキシンやら地球温暖化といったことについてのリスク評価、といった点ではそれぞれを専門とする科学者が書かれた本を参照すべきかな?、というようにも思います。
けちつけるつもりはありません。面白い本です。ただ、このあたりの話に日々直面しながら仕事している立場からいって、「ちょっと食い足りない」というところで星3つ(笑)。
本書が取り上げているテーマ自体、重要かつ面白いものであり、また、それが克服されれば、今起こっているおかしなことがもう少しまともになるという点で、たくさんの人に読まれることは意義深いと思いますが。
一方で、特定のリスク、日本のみなさんがが特に興味を持ちそうな話題、例えばダイオキシンやら地球温暖化といったことについてのリスク評価、といった点ではそれぞれを専門とする科学者が書かれた本を参照すべきかな?、というようにも思います。
けちつけるつもりはありません。面白い本です。ただ、このあたりの話に日々直面しながら仕事している立場からいって、「ちょっと食い足りない」というところで星3つ(笑)。
2011年3月31日に日本でレビュー済み
ニュースを見ても、いつも事件やら医療事故やら化学物質の汚染やらで、危険についての情報ばかりが流れている。
だが、それらのリスクは本当におびえるべきものなのだろうか。
本書では、そういった話をいっぱい取り上げて、人がいかにリスク判断を出来ないかを見せつけてくれる。
例えば、サメやヘルペスに比べて、クリスマス(ツリーの事故や電飾による感電、失火など)が圧倒的に危ないことは知られていない。
しかし、イギリスでは毎年1000人がツリーの事故で負傷し、それとは別の1000人が剪定等で負傷し、350人がライトの事故で負傷する。住宅火災の夜死亡確率は50%上昇する(p118〜119)
また、誘拐というと恐ろしいが、未成年の誘拐は非常にまれだし、その理由は「家出」がダントツの一位、次が「家族によるもの(離婚等の親権をめぐる)」である。
そして、本当の誘拐であっても、90%以上は一日以内に家に戻ってくる(p279〜283)
そうした誤りを犯す理由も本書ではいろいろと述べられている。
多く参照されているのは行動経済学の成である。
例えば、自分の支持政党にとって肯定的な情報と否定的な情報とでは、情報処理において異なる部分を用いているという(p172)
「自然」が安全だと錯覚することや、「直観(本書では「腹」という)」と「論理(本書では「頭」という)」とが異なる処理をするということは知っていたが、これは驚いた。
いろいろな統計を読む際の注意も出ている。
パラケルススの「すべての物質は毒である・・・毒と治療を区別するのは正しい投与量である」は蓋し名言である。
分母を気にせよ、等の注意ももちろん出ている。
ただ、若干疑わしいと思ったデータもあった。
例えば、違法薬物との比較でアルコールの方がはるかにより多くの人数を殺してきたと書かれている(p181)
だが、これはそもそも「違法薬物を使う人数」と「アルコールを飲む人数」とが全然違うので比較として間違っている。
ただ、そういうのも自分で判断しつつ読んでいけば(判断するポイント自身は本書に出ている)、いろいろと有用なデータも多い。
リスクが騒がれる今日だからこそ読むべき本だろう。
だが、それらのリスクは本当におびえるべきものなのだろうか。
本書では、そういった話をいっぱい取り上げて、人がいかにリスク判断を出来ないかを見せつけてくれる。
例えば、サメやヘルペスに比べて、クリスマス(ツリーの事故や電飾による感電、失火など)が圧倒的に危ないことは知られていない。
しかし、イギリスでは毎年1000人がツリーの事故で負傷し、それとは別の1000人が剪定等で負傷し、350人がライトの事故で負傷する。住宅火災の夜死亡確率は50%上昇する(p118〜119)
また、誘拐というと恐ろしいが、未成年の誘拐は非常にまれだし、その理由は「家出」がダントツの一位、次が「家族によるもの(離婚等の親権をめぐる)」である。
そして、本当の誘拐であっても、90%以上は一日以内に家に戻ってくる(p279〜283)
そうした誤りを犯す理由も本書ではいろいろと述べられている。
多く参照されているのは行動経済学の成である。
例えば、自分の支持政党にとって肯定的な情報と否定的な情報とでは、情報処理において異なる部分を用いているという(p172)
「自然」が安全だと錯覚することや、「直観(本書では「腹」という)」と「論理(本書では「頭」という)」とが異なる処理をするということは知っていたが、これは驚いた。
いろいろな統計を読む際の注意も出ている。
パラケルススの「すべての物質は毒である・・・毒と治療を区別するのは正しい投与量である」は蓋し名言である。
分母を気にせよ、等の注意ももちろん出ている。
ただ、若干疑わしいと思ったデータもあった。
例えば、違法薬物との比較でアルコールの方がはるかにより多くの人数を殺してきたと書かれている(p181)
だが、これはそもそも「違法薬物を使う人数」と「アルコールを飲む人数」とが全然違うので比較として間違っている。
ただ、そういうのも自分で判断しつつ読んでいけば(判断するポイント自身は本書に出ている)、いろいろと有用なデータも多い。
リスクが騒がれる今日だからこそ読むべき本だろう。
2009年10月9日に日本でレビュー済み
教育水準、食糧事情、医療などなど、現在は人類の歴史上、もっとも恵まれている時代です。
それは平均寿命の推移からも知ることができます(アメリカは1930年に59歳。今は78歳)。
しかし、私たちは「今は昔に比べてリスクが高い」と感じます。統計上(著者は「頭」と呼ぶ)、リスクがなくても、感情(「腹」と呼ぶ)が結論をだすからです。
なぜ、統計よりも感情で、人々は判断するのかを論理的に検証しています。
著者は、「もっと論理的になりましょうよ」という目的で書いていますが、私自身は「なぜ、人は論理的に判断しないのか」を知る目的で読むことができました。
人が「頭」よりも「腹」で決定した例をいくつかあげ、その理由を論じる形をとっています。エピソードが興味深いため、飽きずに読むことができました。
エピソードの例:
1 豊胸シリコンパッドが結合組織の病気をおこす。根拠はないが、FDAが禁止し、製造業者は使用者に賠償命令がでる。賠償金額が多すぎたために、倒産。結局、利益を得たのは弁護士だけ。
2 コレステロール薬。以前は病気ではなかった高脂血症に対して、危険をあおり、抗コレステロール薬のマーケティングを行う。「ファイザーは販促のために死の恐怖を用いている」を引用している。
3 ネット監視ソフト。「5万人の小児性愛者がネットを徘徊している」という、根拠のない統計が使われている
4 テロ。テロの死ぬ確率は1万〜10万分の1。雷で死ぬ確率は79746分の1。しかし、アメリカ人の6割がテロの恐怖を感じている。
最初の部分は「経済は感情で動く」という本とほとんど同じ内容でした。この本はジャーナリストが書き、「経済は感情で動く」は学者の書いたものです。こちらもおすすめです。
それは平均寿命の推移からも知ることができます(アメリカは1930年に59歳。今は78歳)。
しかし、私たちは「今は昔に比べてリスクが高い」と感じます。統計上(著者は「頭」と呼ぶ)、リスクがなくても、感情(「腹」と呼ぶ)が結論をだすからです。
なぜ、統計よりも感情で、人々は判断するのかを論理的に検証しています。
著者は、「もっと論理的になりましょうよ」という目的で書いていますが、私自身は「なぜ、人は論理的に判断しないのか」を知る目的で読むことができました。
人が「頭」よりも「腹」で決定した例をいくつかあげ、その理由を論じる形をとっています。エピソードが興味深いため、飽きずに読むことができました。
エピソードの例:
1 豊胸シリコンパッドが結合組織の病気をおこす。根拠はないが、FDAが禁止し、製造業者は使用者に賠償命令がでる。賠償金額が多すぎたために、倒産。結局、利益を得たのは弁護士だけ。
2 コレステロール薬。以前は病気ではなかった高脂血症に対して、危険をあおり、抗コレステロール薬のマーケティングを行う。「ファイザーは販促のために死の恐怖を用いている」を引用している。
3 ネット監視ソフト。「5万人の小児性愛者がネットを徘徊している」という、根拠のない統計が使われている
4 テロ。テロの死ぬ確率は1万〜10万分の1。雷で死ぬ確率は79746分の1。しかし、アメリカ人の6割がテロの恐怖を感じている。
最初の部分は「経済は感情で動く」という本とほとんど同じ内容でした。この本はジャーナリストが書き、「経済は感情で動く」は学者の書いたものです。こちらもおすすめです。