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夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 単行本 – 2009/6/10

4.0 5つ星のうち4.0 325個の評価

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ベネチアのサンマルコ広場を舞台に、流しのギタリストとアメリカのベテラン大物シンガーの奇妙な邂逅(かいこう)を描いた「老歌手」。芽の出ない天才中年サックス奏者が、図らずも一流ホテルの秘密階でセレブリティと共に過ごした数夜の顛末(てんまつ)をユーモラスに回想する「夜想曲」を含む、書き下ろしの連作五篇を収録。人生の黄昏を、愛の終わりを、若き日の野心を、才能の神秘を、叶えられなかった夢を描く、著者初の短篇集。
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商品の説明

著者について

1954年11月8日長崎生まれ。1960年、五歳のとき、海洋学者の父親の仕事の関係でイギリスに渡る。同地で育ち、英国籍を取得した。イースト・アングリア大学大学院で創作を学んだ後、一時はミュージシャンを目指していた。やがて、ソーシャルワーカーとして働きながら執筆活動を開始し、1982年の長篇デビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞に、1986年発表の『浮世の画家』でウィットブレッド賞に輝き、一躍重要作家としての地歩を確立した。1989年発表の第三長篇『日の名残り』(以上、すべてハヤカワepi文庫刊)はイギリス文学の最高峰ブッカー賞に輝き、アンソニー・ホプキンス主演で映画化された。
その後、『充たされざる者』(1995)、『わたしたちが孤児だったころ』(2000)を発表。2005年に上梓した『わたしを離さないで』は世界的なベストセラーとなった。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 早川書房 (2009/6/10)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2009/6/10
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 256ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4152090391
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4152090393
  • 寸法 ‏ : ‎ 13.5 x 2.1 x 19.5 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.0 5つ星のうち4.0 325個の評価

著者について

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カズオ イシグロ
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原作は星五つだが、翻訳は星一つ
1 星
原作は星五つだが、翻訳は星一つ
実績のある訳者だが、この本の翻訳はよくない。誰もこの点について書いていないのが不思議なくらいだ。このような訳文でしか読めない日本の読者は不幸だ。 訳文は日本語として不自然なものではなく、筋もはずしているわけではないが、原文と比較して違和感を感じる。違和感は、大きく分けて2点あり、原文の品位が損なわれていることと、訳者のヨーロッパとイギリスについての知識経験が乏しいことによる不適当な用語の使用である。 原作については、ペーパーバックの裏に、gentle, intimate and witty と評してあるように、まず、作品の気品が特色になっているが、翻訳は、ただのドタバタで品がない。当然だがイシグロは単語を慎重に吟味して書いているのに、翻訳では、訳語の選択が十分に考慮されているように見えない。気の利いた単語の使用がそこかしこにあるにもかかわらず、ほとんど無視されているので、原文の気品は全くと言ってよいほど損なわれている。まるで、ジェフリー アーチャーの大衆向け小説の翻訳みたいだ。これでは、ノーベル賞作家と思えないというレビューがあっても当然だろう。どうも、日本では、どうせ外国語はわからないので、外国作品は筋だけ追えばよいという傾向があるように思う。 2番目の点について、最初の作品を取り上げてコメントする。ベネチアのサンマルコ広場のカフェが舞台だ。「大テントは天井も壁もはためいていた」と訳してある部分だが、カフェに「大テント」なんてあっただろうか。写真の通り、大テントと言っているのは、天蓋のようなもので、はためく壁があれば、演奏の邪魔になるし、原文では壁なんて書いていない。ここは、tentではなく、marquee という洒落た単語が用いられている。黒服が演奏する、原文の「カフェオーケストラ」を「カフェバンド」とシャビーに訳したのにも抵抗がある。 カフェの名前だって、「ラベナ」「フロリアン」「カドリ」とローマ字読みそのものでは話にならない。イタリア語の語感を移した「ラヴェーナ」「フローリアン」「クアドリ」にすべきだ。旅行ガイドでさえそうなっているのに。表題の「crooner」にも「老歌手」というような老人の意味合いはない。バラードなどを優しく歌う歌手のことだ。この翻訳は全体的にシャビーだ。 イギリスの特異な地名の読み方や単語の訳し方も不適当だ。題名になっている、モールバンヒルズだが、イギリスにそんな読み方の地名はない。これは、モーヴァンヒルズが正しい。そのまま日本でも薔薇の品種名にもなっている。キャムデンタウンは、ロンドンでは、カムデンタウンと読む。ベッドアンドブレックファストを、「朝食付き民宿」とわざわざ訳してあるのには、笑ってしまう。B &Bは、誰だって知っているだろう。その所有者を「女将」と訳すのも変だ。「六月初頭のイギリスにしては、驚くほどさわやかな夕方」もおかしい。イギリスの6月は日本と違い、多少寒いが爽やかだ。イシグロは、ここでも、balmyという、あまり出くわさない単語を用いている。暖かくて気持ちの良いことだ。スペインと比較したのだろう。このように、一つひとつ挙げるとキリがないが、翻訳と原作との違いは、わかってもらえるだろうか? 波乱のある筋は、イシグロの品のある文体によって、intimateでwittyになる。時間をかけてもよいから、もっとマシな翻訳にして欲しかった。原作は繰り返して読み直しても流石によいと思う。もう一つ、204ページに、「プロント」というのが出てくるが、これで分かる人がいるのだろうか?ラテン系の語源の言葉で、すぐ、という意味だ。訳してないのに驚いた。
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上位レビュー、対象国: 日本

2022年7月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『老歌手』ギタリストのヤネクは出身地が旧共産圏だという事で音楽活動の上でも何かと割を食っています。ある時彼は演奏していたサンマルコ広場で母親が大ファンだった歌手のガードナーを見かけて声をかけ、逆にガードナーからある事を頼まれますが彼の話しが興味深いです。「西側の国では、わしがかつてのような大物ではないという事実から目の逸らしようがない・・だが現実の受け入れを拒否する事もできる。カムバックだ・・多くの犠牲を覚悟しなければならん・・愛するもの(妻)を捨てるという・・・」  人気絶頂を過ぎた過去の大物になってしまっている老歌手ガードナーの侘しさと、共産圏とは違った意味の残酷さが伝わってくる作品です
『チェリスト』天才という甘い言葉の響きに心を奪われて自分自身を簡単に見失ってしまう人間の弱さ哀れを誘う心が痛くなる話です
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年10月30日に日本でレビュー済み
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きれいな包装ですぐに届きました。本もきれいでした。また機会があればよろしくお願いいたします。
2024年2月29日に日本でレビュー済み
カズオ・イシグロの作品を読むのはこれで三作目。

これまで読んだ二作の長編(「私を離さないで」と「遠い山なみの光」)と異なり、今回は短編集でした。これまた全く作風が異なり、エンタメ寄りの味わいのある作品集でした。器用な方なのですね。

・・・
そんな短編集の中で私が一番気に入ったのは「降っても晴れても」ですかね。

英語教師としてフラフラしつつ?今はスペインで教えている主人公(50ちょいのおっさん)が、大学時代の仲間の元へ遊びに行く話。

この二人(夫婦)とも世間でしかるべく出世を果たした模様。ただし来てみると人柄も何となく変わり、どうにも不穏な空気。諸々聞くと、主人公氏は二人のこじれた仲を取り持つべく呼ばれた模様。彼は孤軍奮闘するさなかで、物事がうまく運ばないという不穏さを引きずりつつ、徐々にユーモラスなテイストが混じりつつ進行してゆく模様は技ありでありました。

・・・
なお、それ以外の短編もなかなか良かったです。

因みに解説によると、夫婦仲というテーマが一つ。もう一つは音楽とのこと。特に前者では明言されない不穏な夫婦仲を描く様子がどれにも挿入されており良かったですね。お尻がむずむずしてくる感じ。
一応以下、簡単に。

「老歌手」・・・一発飛ばした歌手が、再ヒットを目指し愛する妻と別れるために用意した儀式とは。行き過ぎた資本主義ショービズ界と純朴な共産圏出身の若者とのギャップがスパイスに。
「モールバンヒルズ」・・・アーティストを目指す若者が田舎でカフェを営む姉夫婦の居所で過ごす日々。そこで出会うプロの演奏家夫婦とのふれあいを描く。
「夜想曲」・・・これも良かった。才能は十分、ルックスだけ欠けた男。妻に出ていかれ、その代わりに整形費用を出すという元妻。とうとう離婚も整形手術も承諾した男は、術後に一流ホテルで日々を過ごす。隣室にはご意見番的芸能人が手術後の安静のため過ごしており、彼女の勢いに次第に翻弄されてゆく。ドタバタ系。

「チェリスト」・・・決してチェロを弾かない「大家」が指導する、才能ある若手チェリストの話。若手チェリストの、師匠を見る目と揺れる心の具合。これもまたなかなか良かった。

・・・
ということで、イシグロ作品、三作目を読了しました。

三作品読んで感じたのは、氏の「不穏」の表現の秀逸さです。Uneasinessとでも言いましょうか。嫁が普通のふりして怒っている時に似ています(似ていません)。

明示的ではなく、説明的でもなく、人物はしっかり描かれているのに、何だか尻が落ち着かんのです。

こういう「味の効かせ方」もあるのか、と感心した読書体験でした。他の作品も続けて読んでみたくなりました。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2017年10月8日に日本でレビュー済み
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著者カズオ・イシグロは、日本人の両親から生まれ5歳まで日本で育ったので、
日本の社会と文化の影響を多分に受けていることは、間違いありません。

しかし、顔などの外見上は日本人であっても、日本語を満足には話せず、
自分でも外国人と意識している、という国籍不明の存在になってしまっています。

日本人の体に、英国人の脳を移植した、ようにも見えます、感じられます。

そんなふうに読者には感じられる著者が英語で書いた小説を、
日本語の翻訳で読む私たち日本人の読者も、なんとも不思議な感じがします。

英語で話す日本人の顔をしたノーベル文学賞作家の講演を、通訳の声と言葉で
しか理解できない「純粋の」ニッポンジンの自分がなんとも残念です。

この本の冒頭の短篇小説「老歌手」を読んだだけで、そんな風に感じました。

この「老歌手」という作品は、アメリカの有名な歌手と二十七年間
連れ添ってきた妻との物語、六十男と五十女の夫婦の物語です。

語り手の「私」は、イタリアの観光地ベネチアのカフェで演奏して
生きているギタリスト。
生まれは共産主義の「国」(いまは自由の「国」、民主主義の「国」)の
外「国」人。

「私」はなぜ「国」にこだわるのでしょう。
音楽は、国境を越え、世界中の人たちに楽しまれ愛されるというのに、
税関職員のように「国」にこだわるのでしょう。
「私」も「生まれた国」にいまだに影響され続けているせいなのでしょう。
おそらく著者のカズオ・イシグロさんも同じようです。

この「老歌手」という作品を読んだだけで、著者のカズオ・イシグロさんも
自分の故郷の日本「国」をずいぶん意識して生きてきたようだ、と感じます。

老歌手が妻に「名前をからかってはいかん。レディのすることではない」(18頁)
と言うセリフがあります。

カズオ・イシグロさん自身も、もしかしたら、こどものころ、遊び仲間の
女の子から「日本人のような」名前をからかわれて腹が立った経験があった?
のかも。

この作品「老歌手」の舞台は、イタリアという「国」を設定していますが、
「国」境なんか無視して越境してくるインターネットで世界中がつながって
しまった今日の世界では、どの「国」を舞台にしても通用する、人類普遍の
物語になっています。

「私がベネチア生まれでない(どころか、イタリア人でもない)という
ちょっとした事情もある」(12頁)

そんなことは「ちょっとした事情」でしかないよ、とイシグロさんは
教えてくれているような気がします。

語り手の「私」のように、自分の生まれや国籍に強くこだわっていても、
ベネチアという外国でもどこでもギタリストとして生計を立てて食っている、
生きていることこそ大事だよ、と言いたいのではないかと思いました。

音楽の世界には国籍なんてありません。
国境の南だろうが北だろうが、スイングさえできれば、ジャズです。
音楽の演奏家個人にはそれぞれ国籍があっても、出身の国の音楽から
いろいろな影響を受けているのは当たり前だろう、と言っているよう。

アメリカ人の老歌手に向かって、「私」が
「あなたの歌が、世界中の―――私の故郷の―――人の心に訴えかける」
(49頁)と言います。

ここで、「世界中の」と言いながら、「私の故郷の」と追加してしまう
著者イシグロさん。
共産主義の「私の故郷の」国の人の心にも訴えかける、老歌手の歌の力に
心から敬服している「私」。

でも、この「私の故郷」という「私」の頭の中にいるのは、自分の母親だった
のでしょう。「私」の母は、このお気に入りの老歌手の熱烈なファンで、
彼のレコードをほぼ全部集めたコレクターでしたから。

この「老歌手」という作品を読んで、カズオ・イシグロ氏の作品を「ほぼ」全部
読もうと決心しました。遅ればせながら、死ぬまでに、という時限付きで。
11人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2019年6月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み始めた時は、音楽がモチーフの洒落たストーリーの短編集かな、と思ったが、特にあっと驚くオチがあるわけでもないし、すごく面白いコメディというわけでもない。ただ、読み進めるうちに、結構な“毒”があるな、と感じてくる。洒落たストーリーどころか、辛辣な人生訓だ。
登場人物たちはなんか不満やストレスを抱えており、その原因がどうも、本人の気持ちが現実と(あるいは他人が持つイメージと)ズレていることにあるようだ。
例えば、「自分は実力があるミュージシャンなのに、売れないのは世間が悪い」と考えている、とか、「自分は才能があるのに、それを開花させてくれる優秀な教師に出会わないので開花しない」と信じている、とか、精神的なトラブルを抱えているのに、そうは認識せずに「自分は“親友”と対等な友情を築いている」と思っている、などのズレだ。
これらの登場人物は、物語の中でいろいろな出来事に遭遇するが、根本的な自己認識を改めない限り、自分を変えられない。そしてそのまま人生は続く。。。
「今この本を読んでいるあなたも、そうなんですよ」と著者に言われている気がする。

ところで、アマゾンレビューをはじめとする人々の感想がこれだけ出回っている今、文庫本巻末のほぼ感想だけの「解説」は不要である。本書でも「訳者あとがき」の後にさらに「解説」がある。訳者あとがきは貴重な情報などがあるが、解説の方は蛇足だ。もっと言えば、読後の余韻を台無しにしかねない。
17人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2017年10月11日に日本でレビュー済み
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最初の1行から
一気に物語の中にひきこまれ、

静寂、光と闇、音、湿度や風、石壁の質感、
バンドの演奏、テントのはためき、ウエイターのしぐさ、
老夫婦のヒストリー、重ねる手と手…描かれている世界を
体感し、堪能した。

たとえば『老歌手』の、ゴンドラのシーン。

ガードナーがいきなり歌いはじめた。
ゴンドラの中に棒立ちになり、いまにもバランスを崩しそうな
不安定な姿勢ながら、その声は私が覚えている昔のままだった。
穏やかで、ささやくほどにハスキー。だが、
びっしり中身が詰まっている。
目にみえないマイクがあって、そこから流れ出してくるようだ。
歌声にはじれったさが籠もり……偉大な歌手はみなそうやって歌う。

いつか再びベネチアを訪れたとき、
実体験のようにこの場面がよみがえるだろう。
ガードナーの、ささやくほどにハスキーで
じれったさの籠もった歌声が聴こえるだろう。

小説の醍醐味を、初めて知った気がする。
ゆっくり、くりかえし、味わいたい。
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2019年9月23日に日本でレビュー済み
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カズオイシグロの凄いところは、同じパターンではなく、様々なパターンの魅力ある作品を造れるというところである。コメディタッチの作品も面白い。そして、移ろいゆく人の心が、どの作品にも感じられる。人の好みにもよると思うが、とにかく、面白くて次が読みたくなる、そんな作家である。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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