いやホント騙されたわ、悔しいけれど良い意味で。
別に叙述トリックとかがあるわけじゃないんですよ、でもねえラストでよりによってそんな真実を明かさんでええやろ的なことをチクショウ!
最初はヤケに分厚くて専門用語と独自設定だらけの珍妙なファンタジーだなあ、と舌打ちしながら読んでいましたけど、これまた悔しいことに気づいたら夜明けになってやがる。一度勢いに乗って作中世界にのめりこめると一気にラストまで読んでしまいますからね。
そして裏切られるんですよ。
どのように裏切られるのか詳しく説明すると最大のネタバレになるから言いませんけど、少なくとも爽やかな裏切りではないです。
おのれ、チクショウ、なぜ、どうして先に言ってくれなかった!
……という感想を読書で味わいたいならお薦めですね。
あと、ダンジョンズ&ドラゴンズとかソードワールドみたいなファンタジー系TRPGが好きな人にも超オススメです。
「ああ、リアルな“冒険者”ってこんな感じなんだろうな」ってキャラも登場するし、主人公たちが世界を救うためにどう見ても“パーティー”みたいなのを組む辺りも最高。
作中の文章から抜粋すると、この世界の冒険者は――
『調査、地図作成、そういったたぐいの有用なサービスを請け負う連中も、いることはいる。それ以外の大半は、墓泥棒とさして変わりはない。申し分のない勇敢さと、たまにたてる見事な手柄に価値をおく世界で、おのれの地位にしがみつき、最後は無残な死を迎えるゴミくずみたいな連中だ』
……言い得て妙ですな。そうそう、冒険者ってそんな感じだよね。
ちなみに作中で主人公たちが雇う冒険者たちは――超有能、めっちゃ頼りになるぞ。
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ペルディード・ストリート・ステーション (プラチナ・ファンタジイ) 単行本 – 2009/6/25
《バス=ラグ》と呼ばれる蒸気機関と魔術学が統べる世界で、最大の勢力を誇る都市国家ニュー・クロブゾン。その中心には巨大駅ペルディード・ストリート・ステーションが聳え、この暗黒都市で人間は鳥人や両生類人、昆虫型や植物型の知的生命体と共存していた。
大学を辞め、独自の統一場理論の研究を続ける異端の科学者アイザックは、ある日奇妙な客の訪問を受ける。みすぼらしい外套に身を包んだ鳥人族〈ガルーダ〉のヤガレクは、アイザックに驚くべき依頼をする。忌まわしき大罪の代償として、命にもひとしい翼を奪われたヤガレクは、全財産とひきかえにその復活をアイザックに託したのだった。
飛翔の研究材料を求めはじめたアイザックは、闇の仲買人から、正体不明の幼虫を手に入れる。そのイモ虫は特定の餌のみを食べ、驚くべき速さで成長した。そして、成虫となった夢蛾スレイク・モスが夜空に羽ばたくと、ニュー・クロブゾンに未曾有の大災害が引き起こされた。モスを解き放ってしまったことから複数の勢力から追われる身となったアイザックは、夢蛾を追って、この卑しき大都市をさまようこととなる。翼の復活を唯一の望みとするヤガレクとともに……。
英国SF/ファンタジイ界、最大の注目作家であるミエヴィルが、あらゆるジャンル・フィクションの歴史を変えるべく書き上げたエンターテインメント巨篇。アーサー・C・クラーク賞/英国幻想文学賞受賞作。
大学を辞め、独自の統一場理論の研究を続ける異端の科学者アイザックは、ある日奇妙な客の訪問を受ける。みすぼらしい外套に身を包んだ鳥人族〈ガルーダ〉のヤガレクは、アイザックに驚くべき依頼をする。忌まわしき大罪の代償として、命にもひとしい翼を奪われたヤガレクは、全財産とひきかえにその復活をアイザックに託したのだった。
飛翔の研究材料を求めはじめたアイザックは、闇の仲買人から、正体不明の幼虫を手に入れる。そのイモ虫は特定の餌のみを食べ、驚くべき速さで成長した。そして、成虫となった夢蛾スレイク・モスが夜空に羽ばたくと、ニュー・クロブゾンに未曾有の大災害が引き起こされた。モスを解き放ってしまったことから複数の勢力から追われる身となったアイザックは、夢蛾を追って、この卑しき大都市をさまようこととなる。翼の復活を唯一の望みとするヤガレクとともに……。
英国SF/ファンタジイ界、最大の注目作家であるミエヴィルが、あらゆるジャンル・フィクションの歴史を変えるべく書き上げたエンターテインメント巨篇。アーサー・C・クラーク賞/英国幻想文学賞受賞作。
- 本の長さ664ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2009/6/25
- ISBN-10415209043X
- ISBN-13978-4152090430
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商品の説明
著者について
チャイナ・ミエヴィル
CHINA MIEVILLE
1972年イングランドのノリッジに生まれ。ケンブリッジ大学で社会人類学の学位を取得。ロンドン大学で国際法の博士号を取得している。98年に長篇『キング・ラット』を発表してデビュー。ロンドンの暗部を鮮烈に描いたこのピカレスク小説で注目を集めたミエヴィルは、2000年に刊行した本書『ペルディード・ストリート・ステーション』で、一躍SF/ファンタジイ界を担う存在となる。《バス=ラグ》という異世界で展開されるスチームパンク+ゴシック小説であるこの大作は、ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞など主要SF/ファンタジイ賞の候補となり、アーサー・C・クラーク賞、英国幻想文学賞、クルト・ラスヴィッツ賞を受賞した。02年には The Scar、04年には Iron Councilと本書と同じ《バス=ラグ》世界に属する長篇を発表。両作ともにローカス賞他を受賞、高い評価を受けた。07年に発表された Un Lun Dun でもローカス賞を受賞したミエヴィルは、SF/ファンタジイ界の新たな可能性を切り拓く存在と期待されている作家である。
CHINA MIEVILLE
1972年イングランドのノリッジに生まれ。ケンブリッジ大学で社会人類学の学位を取得。ロンドン大学で国際法の博士号を取得している。98年に長篇『キング・ラット』を発表してデビュー。ロンドンの暗部を鮮烈に描いたこのピカレスク小説で注目を集めたミエヴィルは、2000年に刊行した本書『ペルディード・ストリート・ステーション』で、一躍SF/ファンタジイ界を担う存在となる。《バス=ラグ》という異世界で展開されるスチームパンク+ゴシック小説であるこの大作は、ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞など主要SF/ファンタジイ賞の候補となり、アーサー・C・クラーク賞、英国幻想文学賞、クルト・ラスヴィッツ賞を受賞した。02年には The Scar、04年には Iron Councilと本書と同じ《バス=ラグ》世界に属する長篇を発表。両作ともにローカス賞他を受賞、高い評価を受けた。07年に発表された Un Lun Dun でもローカス賞を受賞したミエヴィルは、SF/ファンタジイ界の新たな可能性を切り拓く存在と期待されている作家である。
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2009/6/25)
- 発売日 : 2009/6/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 664ページ
- ISBN-10 : 415209043X
- ISBN-13 : 978-4152090430
- Amazon 売れ筋ランキング: - 757,739位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 63,193位文芸作品
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年3月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『都市と都市』が面白かったから、同じ作者の作品を読んでみた。
世界観が凄い。
『都市と都市』はSF とはいえ、現実にあり得るような世界だったが、この作品は、ブッ飛んでいる。
蒸気機関と魔法をごちゃ混ぜにした、19世紀のロンドンのイメージだ。そこの住民は、昆虫人(頭が昆虫で身体は人間の女性)と水棲人と羽の生えた鳥人や、植物型人間などで、様々な地域に分かれて暮らしている。
肉体の改造を愉しむ人や、刑罰として改造されることもあるため、人間とはいえ、グロテスクな姿をしている人もいる。わざと改造して、見世物小屋で日銭をかせぐ貧困層など、悲惨な世界である。
でも、種族を超えた恋愛の素晴らしさも同時に描かれている。これが良い。
統一理論の研究者、アイザックのもとに、羽根を根元から切られた鳥人が訪ねて来る。羽根のある生物を研究するうちに、珍しい幼虫を手に入れたのだが、成虫になったときに恐ろしい事実が判明する。
人間以外の登場人物の設定から、ドラマ『スタートレック:エンタープライズ』のズィンディを想像しながら読んでました。鳥人は、エンキ・ビラルの映画『ゴッド・ディーバ』か。もしくは、ジョジョ第三部の”マジシャンズ=レッド”(あれ、羽根なかったっけ?)のイメージで・・。『ベヨネッタ』の巨大クモに、『モスラ』、異世界(我々の世界?)の悪魔も出てくるし、都市国家ニュー・クロブゾン以外の世界は、ナウシカの世界みたい。映画『アイ・ロボット』、『トランス・フォーマー』のイメージも、湧いて出てきた。
結末は、好き嫌いが分かれるかも知れない。
世界観が凄い。
『都市と都市』はSF とはいえ、現実にあり得るような世界だったが、この作品は、ブッ飛んでいる。
蒸気機関と魔法をごちゃ混ぜにした、19世紀のロンドンのイメージだ。そこの住民は、昆虫人(頭が昆虫で身体は人間の女性)と水棲人と羽の生えた鳥人や、植物型人間などで、様々な地域に分かれて暮らしている。
肉体の改造を愉しむ人や、刑罰として改造されることもあるため、人間とはいえ、グロテスクな姿をしている人もいる。わざと改造して、見世物小屋で日銭をかせぐ貧困層など、悲惨な世界である。
でも、種族を超えた恋愛の素晴らしさも同時に描かれている。これが良い。
統一理論の研究者、アイザックのもとに、羽根を根元から切られた鳥人が訪ねて来る。羽根のある生物を研究するうちに、珍しい幼虫を手に入れたのだが、成虫になったときに恐ろしい事実が判明する。
人間以外の登場人物の設定から、ドラマ『スタートレック:エンタープライズ』のズィンディを想像しながら読んでました。鳥人は、エンキ・ビラルの映画『ゴッド・ディーバ』か。もしくは、ジョジョ第三部の”マジシャンズ=レッド”(あれ、羽根なかったっけ?)のイメージで・・。『ベヨネッタ』の巨大クモに、『モスラ』、異世界(我々の世界?)の悪魔も出てくるし、都市国家ニュー・クロブゾン以外の世界は、ナウシカの世界みたい。映画『アイ・ロボット』、『トランス・フォーマー』のイメージも、湧いて出てきた。
結末は、好き嫌いが分かれるかも知れない。
2011年11月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
異世界を舞台にしたSFと云うより怪奇冒険小説。
我々の世界とは異なる技術体系と思しき科学が発展し、人間とは異なる様々な知的種族が、中には高次元生物と想われる種族迄もが存在し、しかも人間と共存している世界が舞台。
SFと云うよりは幻想小説だが、純然たるエンターテイメント。
作者自身は本作をニュー・ウィアードと呼んでいるそうだが、スプロール・フィクションやSF、ファンタジーなどと呼ぶよりは、その方が合いそうだ。作者のデビュー作はホラーで本作はそれに次ぐ第二作だが、矢張り本質的にはホラー。この世界を舞台にした第一作でもあると云うので、続くこの世界を舞台にした作品も訳出される事を望む。
我々の世界とは異なる技術体系と思しき科学が発展し、人間とは異なる様々な知的種族が、中には高次元生物と想われる種族迄もが存在し、しかも人間と共存している世界が舞台。
SFと云うよりは幻想小説だが、純然たるエンターテイメント。
作者自身は本作をニュー・ウィアードと呼んでいるそうだが、スプロール・フィクションやSF、ファンタジーなどと呼ぶよりは、その方が合いそうだ。作者のデビュー作はホラーで本作はそれに次ぐ第二作だが、矢張り本質的にはホラー。この世界を舞台にした第一作でもあると云うので、続くこの世界を舞台にした作品も訳出される事を望む。
2019年5月21日に日本でレビュー済み
もっと評価されるべき、ダークファンタジー
たまたま図書館に置いてあったのを手に取り、スチームパンクというのが気になって読んでみました。
驚くほど綿密に練り込まれた設定と、巧みな文章表現で、
最初の内は聞きなれない単語、(ガルーダ、ヴォジャノーイ、ケプリ等々)のオンパレードで辞書とスマホ片手に読んでまして、10ページ読むのに30分とか時間がかかってたんですが、情景描写が非常に丁寧で訳者さんのおかげかもしれないですけど時間を忘れる程のめり込むことのできる作品だったかと
あと、キャラクターの設定が非常に丁寧なんですよね、生まれ育った価値観とか、しゃべり方とか
うまくレビューできていないけど、物凄くおすすめの本です。
たまたま図書館に置いてあったのを手に取り、スチームパンクというのが気になって読んでみました。
驚くほど綿密に練り込まれた設定と、巧みな文章表現で、
最初の内は聞きなれない単語、(ガルーダ、ヴォジャノーイ、ケプリ等々)のオンパレードで辞書とスマホ片手に読んでまして、10ページ読むのに30分とか時間がかかってたんですが、情景描写が非常に丁寧で訳者さんのおかげかもしれないですけど時間を忘れる程のめり込むことのできる作品だったかと
あと、キャラクターの設定が非常に丁寧なんですよね、生まれ育った価値観とか、しゃべり方とか
うまくレビューできていないけど、物凄くおすすめの本です。
2010年9月28日に日本でレビュー済み
アーサー・C・クラーク賞、英国幻想文学賞受賞作。
二段組み600ページを越える超大作。内容的にはファンタジーなんだろうけど、どこかスチームパンクを思わせる。スチームパンク好きの自分にはぴったりなんだけど、2009年の6月に出版されてすぐに購入したにもかかわらず、辞書のような分厚さに恐れをなして、今まで読んでなかった。
しかし、それを後悔させるぐらいの内容。どうして、こんなに面白い、想像力豊かな作品をすぐ読まなかったのだろう。
舞台は、バス=ラグと呼ばれる魔術と蒸気機関が支配する世界の都市、ニュー・クロブゾン。そして、その中心に位置するのは、題名にもなっているペルディード・ストリート・ステーション。
その世界では、人体改造された人間や昆虫人?、鳥人?などが混在しているが、そこに住む異端の科学者アイザックが主人公。そのアイザックに飛べなくなった鳥人族ガルーダのヤガレクが再び飛べるようにして欲しいと頼み、アイザックは、鳥や昆虫など空をとぶことのできるものの研究を初め、そこで、見つけた不思議な幼虫を育て始めるところから話は進む。
前半部分はなかなか話が進まず、この世界がどういうものなのか理解するので精一杯なのだが、読んでいくうちに、不思議とこの世界や主人公の行動が自然なものに感じられるようになってくる。この世界のディテールの描写がいい。まるでSF映画を観ているようになり、物語の世界に引き込まれていく。この辺が著者のスゴイところだ。
後半は、打って変わってスピーディな展開。自らが育てた幼虫のせいで、世界が破滅の危機に瀕し、それを救おうとするアイザック。その過程で出てくる、不思議な生き物やコンピュータらしきもの。ファンタジーの世界とスチームパンクが見事に融合し、衝撃的な結末を迎える。ネタバレになってしまうので、詳しく書けないのが残念だけど、ページを捲るのがもどかしいぐらい、グイグイと引き込まれていく。
いやぁ、スゴイ小説だった。
この同じ世界を舞台にした続編もあるようなので、そちらも読んでみたい。翻訳されないかなぁ。
二段組み600ページを越える超大作。内容的にはファンタジーなんだろうけど、どこかスチームパンクを思わせる。スチームパンク好きの自分にはぴったりなんだけど、2009年の6月に出版されてすぐに購入したにもかかわらず、辞書のような分厚さに恐れをなして、今まで読んでなかった。
しかし、それを後悔させるぐらいの内容。どうして、こんなに面白い、想像力豊かな作品をすぐ読まなかったのだろう。
舞台は、バス=ラグと呼ばれる魔術と蒸気機関が支配する世界の都市、ニュー・クロブゾン。そして、その中心に位置するのは、題名にもなっているペルディード・ストリート・ステーション。
その世界では、人体改造された人間や昆虫人?、鳥人?などが混在しているが、そこに住む異端の科学者アイザックが主人公。そのアイザックに飛べなくなった鳥人族ガルーダのヤガレクが再び飛べるようにして欲しいと頼み、アイザックは、鳥や昆虫など空をとぶことのできるものの研究を初め、そこで、見つけた不思議な幼虫を育て始めるところから話は進む。
前半部分はなかなか話が進まず、この世界がどういうものなのか理解するので精一杯なのだが、読んでいくうちに、不思議とこの世界や主人公の行動が自然なものに感じられるようになってくる。この世界のディテールの描写がいい。まるでSF映画を観ているようになり、物語の世界に引き込まれていく。この辺が著者のスゴイところだ。
後半は、打って変わってスピーディな展開。自らが育てた幼虫のせいで、世界が破滅の危機に瀕し、それを救おうとするアイザック。その過程で出てくる、不思議な生き物やコンピュータらしきもの。ファンタジーの世界とスチームパンクが見事に融合し、衝撃的な結末を迎える。ネタバレになってしまうので、詳しく書けないのが残念だけど、ページを捲るのがもどかしいぐらい、グイグイと引き込まれていく。
いやぁ、スゴイ小説だった。
この同じ世界を舞台にした続編もあるようなので、そちらも読んでみたい。翻訳されないかなぁ。
2010年1月6日に日本でレビュー済み
まず、私はSFは素人です。読書履歴は見てのとおり。採点は甘口であることをお断りする。
とにかく長い。ハードカバーで1ページに上下2段組で650ページだ。
改造人間や虫人間など人間以外の登場人物がやたらと出てくるため、前半説明的な叙述が多くだるいが、物語は後半加速する。
主人公の科学者アイザックとその仲間たちとスレイク・モスと呼ばれる巨大蛾との対決が物語の基軸となるが、飛べない鳥人ヤガレクに飛行装置を作ってあげる話など思いもかけない展開を見せる。特に気になるキャラクターとして知性を持つ巨大蜘蛛"ウィーバー”が挙げられる。彼が後半のクライマックスを強烈かつ愉快に彩る。
叙述は論理的というより映像のように詳細で、字を追って考えるより、いかに速く場面を頭に浮かべられるかで、このボリュームを楽しめるか苦痛になるかが決まりそうだ。
あとがきの解説によれば、どこかの国ではこの話を原作にゲームが作られているそうだ。だれか映画化してほしい。映像向きの話だ。
とにかく長い。ハードカバーで1ページに上下2段組で650ページだ。
改造人間や虫人間など人間以外の登場人物がやたらと出てくるため、前半説明的な叙述が多くだるいが、物語は後半加速する。
主人公の科学者アイザックとその仲間たちとスレイク・モスと呼ばれる巨大蛾との対決が物語の基軸となるが、飛べない鳥人ヤガレクに飛行装置を作ってあげる話など思いもかけない展開を見せる。特に気になるキャラクターとして知性を持つ巨大蜘蛛"ウィーバー”が挙げられる。彼が後半のクライマックスを強烈かつ愉快に彩る。
叙述は論理的というより映像のように詳細で、字を追って考えるより、いかに速く場面を頭に浮かべられるかで、このボリュームを楽しめるか苦痛になるかが決まりそうだ。
あとがきの解説によれば、どこかの国ではこの話を原作にゲームが作られているそうだ。だれか映画化してほしい。映像向きの話だ。
2009年8月11日に日本でレビュー済み
まずひとこと! 本書をまだ読んでいない方、これから読もうと意気込んでいらっしゃる方で「SFってそんなに難しくないよ」と思っていらっしゃれる方々へ【警告です】【まず訳者後書きを決して読まないでください】――物語は錯綜しておりますが、訳者がその筋道を述べていらっしゃっているので、【ネタバレ】とはいいませんが、それに近いものがあります。また
訳者はその筋道を述べても余りあるほどの情景描写・たたき込めた大量のガジェットがあるので、その筋道を述べても関係ないといわれるが、そこに疑問を感じてしまう。わたしがなんの先入観なしに読んでいたらどうなっていたか……、それから【SFマガジン】に掲載された【《バス=ラグ》世界用語集】わたしの手元にもあるが、こちらはわたしは一切、目を通していない。
「SF好きの皆さん! 新しい想像空間に対し、こちらもタブラ・ラサでいこうではありませんか! 完成された世界があるのではありません、皆さん自身がイマジネーションを解き放ち、その新しい世界を構築していくのです」
物語のあちらこちら飛躍しすぎ、SF大人を納得させられないものも、ちらちらしておりますが、そうそう、作者のチャイナ・ミエヴィルは、結構(いや、かなり?)理数系の知識が不足しているとわたしは思う。それが故に彼(ミエヴィル)はファンタジーともSFとも異なる(その両方?)異世界を構築したのであろう。
訳者はその筋道を述べても余りあるほどの情景描写・たたき込めた大量のガジェットがあるので、その筋道を述べても関係ないといわれるが、そこに疑問を感じてしまう。わたしがなんの先入観なしに読んでいたらどうなっていたか……、それから【SFマガジン】に掲載された【《バス=ラグ》世界用語集】わたしの手元にもあるが、こちらはわたしは一切、目を通していない。
「SF好きの皆さん! 新しい想像空間に対し、こちらもタブラ・ラサでいこうではありませんか! 完成された世界があるのではありません、皆さん自身がイマジネーションを解き放ち、その新しい世界を構築していくのです」
物語のあちらこちら飛躍しすぎ、SF大人を納得させられないものも、ちらちらしておりますが、そうそう、作者のチャイナ・ミエヴィルは、結構(いや、かなり?)理数系の知識が不足しているとわたしは思う。それが故に彼(ミエヴィル)はファンタジーともSFとも異なる(その両方?)異世界を構築したのであろう。
2012年9月30日に日本でレビュー済み
SFといっても,ファンタジーとの融合なので,多少強引な設定もやむを得ないと気にしなければ,買って後悔する内容ではありません。設定も奇抜で面白いです。「地獄の大使」との謁見とか。わくわくしました。分量も読み応えがありますよね。ただ,やたら長い物語の中で,主人公もけっこう酷いことをやってるのに,最後の最後に主人公が示す潔癖症は,ストーリー全体に何だかちぐはぐな後味を残しましたね。おそらく最初のアイディアでは,自然な結末だったのでしょうが,編集者に言われていろいろと冒険的要素を詰め込んだ結果の破綻でしょう。この綻びをどう見るかで,作品の評価は分かれますね。あとがき(文庫版)は作者の戦略だと述べていますが,どうでしょうか?ということで,私は,この点で★をひとつ落としています。