こんなにも複雑なキャラクターを良く作り上げられるものなのか、と驚きました。
主人公、トマス•クロムウェル、本当にひきこまれます。
トマス•クロムウェルを主役にした本そのものもなかったと思いますが、こんなに重厚なキャラクターにもなかなかお会いしたことはないです。
チューダー朝好きはもちろん、そうでない方にも是非おすすめしたい本です。
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ウルフ・ホール (上) 単行本 – 2011/7/8
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購入オプションとあわせ買い
ブッカー賞・全米批評家協会賞受賞作!
「トマス・クロムウェル?」人はいう。「あれはたいした男だ」
1520年代のイギリス、ロンドン。息子が生まれないと悩むヘンリー八世は、王妃との離婚を願う。しかし、教皇の反対により、一向に離婚協議は進まない。
トマス・クロムウェルは、卑しい生まれから自らの才覚だけで生きてきた男。数カ国語を流暢に話し、記憶力に優れ、駆け引きに長けた戦略家だった。仕える枢機卿の権勢が衰えていくなか、クロムウェルはヘンリー八世に目をかけられるようになるが――
希代の政治家クロムウェルを斬新な視点で描き、世界を熱狂させた傑作、ついに登場。
「トマス・クロムウェル?」人はいう。「あれはたいした男だ」
1520年代のイギリス、ロンドン。息子が生まれないと悩むヘンリー八世は、王妃との離婚を願う。しかし、教皇の反対により、一向に離婚協議は進まない。
トマス・クロムウェルは、卑しい生まれから自らの才覚だけで生きてきた男。数カ国語を流暢に話し、記憶力に優れ、駆け引きに長けた戦略家だった。仕える枢機卿の権勢が衰えていくなか、クロムウェルはヘンリー八世に目をかけられるようになるが――
希代の政治家クロムウェルを斬新な視点で描き、世界を熱狂させた傑作、ついに登場。
- 本の長さ492ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2011/7/8
- 寸法13.8 x 3.3 x 19.6 cm
- ISBN-10415209205X
- ISBN-13978-4152092052
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著者について
1952年にイギリスのグロソップで生まれる。ロンドン大学とシェフィールド大学で法律を学んだのち、ソーシャルワーカーとして働きはじめる。ボツワナやサウジアラビアでの滞在を経て1986年に帰国し、歴史小説から随筆まで幅広い分野の作品を発表。2006年にはその功績により大英帝国勲章を授与された。2009年に発表された12番目の著作にあたる本書は、全世界から高い評価を受け、ブッカー賞および全米批評家協会賞、歴史小説を対象とするウォルター・スコット賞を受賞したほか、コスタ賞およびオレンジ賞の最終候補となった。
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2011/7/8)
- 発売日 : 2011/7/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 492ページ
- ISBN-10 : 415209205X
- ISBN-13 : 978-4152092052
- 寸法 : 13.8 x 3.3 x 19.6 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 382,742位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 4,628位英米文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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上位レビュー、対象国: 日本
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2021年6月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2016年12月15日に日本でレビュー済み
ヒラリー・マンテルの16世紀の英国史を描いた『ウルフ・ホール』と『罪人を召し出せ』(ともに早川書房、宇佐川晶子訳)は、卑しい身分からやがてヘンリー八世の寵臣として絶大な権勢を誇る身分に登りつめたトマス・クロムウェルが主人公。いろんな小説を読んできたが、これほど魅力的なキャラクターは滅多にない。ミーハーのわたしはすっかり夢中になって、早速、両方のペーパーバックを手に入れたが、これが思いの外の難物で、『Wolf Hall』だけで、読み上げるのにほとんど1年がかりとなった。
我流の英語で多少ヨタヨタしながらも、たいていの小説なら、2、3週間もあれば十分なのだけれど(その気になればであって、最近は寝つきが良すぎてそうはいかないけど)、この作家の場合は一読しただけではなかなか容易に意味が取れないのですね。
ひとつは人称代名詞がちょっと曖昧で、うっかり気をぬくと、別の人の動作や描写のつもりで読み進め、全然違った解釈をしてしまったりするということがある。少し大げさだが、源氏物語の文体を連想したりもする。基本的に 'He' で始まると、それはクロムウェルだという約束を吞み込むのがコツのようだ。
また、風景や歴史の叙述はけっこう饒舌なくせに、いざ肝心なところでは、言わずもがなの説明は一切しないという、ある意味不親切極まりない文体なので、たぶんこういうことだろうけど、果たして自分の読みが正しいのかどうか、途方にくれるような気持ちもときどき起こる。雲の動きに誘われて、どんどん見知らぬ土地に入って行って、結局道に迷うような感じとでもいうか・・・
だから、今回は、すでに読んだ宇佐川晶子氏の訳と逐一突きあわせながらの精読である。一度は読んでいるとはいえ、さすがに細部は覚えてないので、再読で思わぬ発見が多い。年をとるとだんだん同じ本を何度も読むということが面白くなる。
たとえば——
と以下のことを書くのは少し迷った。実は誤訳のことに触れることになるからだ。だから、まずそのことを書く前に、この翻訳はたいへんな力技だっただろうとその苦労に謝したいと思う。上に書いたように、道に迷って途方にくれたときに、翻訳に当たって、ああ、そういう意味か!と自分の不明を恥じるとともに、的確な日本語訳に舌を巻くことの方が(当然)圧倒的に多かったのである。
さて、たとえば、の続きだが、小説の後半で、クロムウェルが息子を連れて、ハットフィールドを訪ねるところ。ヘンリー八世の頼みで彼の二人の娘(キャサリン妃の娘メアリとアン王妃との間に生まれた、このときはまだ赤子のエリザベスですが)の養育をしている館へ向かう途中です。
実はクロムウェルは9歳か10歳の頃にこの館を訪ねたことがあった。史実かどうか知らないが、クロムウェルの叔父はモートン枢機卿お抱えの料理人で、枢機卿がこのハットフィールドの領地に籠ると、はるばるロンドンからこの館に向かったものだ、という昔話を父親が息子に聞かせているという場面です。
まず、翻訳から
・・・・わたしが九つか十だった頃、ジョンおじさんは上等のチーズやパイといった食糧のたくわえを積んだ荷車に、わたしを乗せたものだった。そうやって追いはぎにあう場合にそなえたわけだ」
「護衛はいなかったの?」
「おじさんは護衛の身を心配したんだ」
「誰が護衛を守るの?(クイス・クストディエト・イプソス・クストデス)」
「もちろんわたしだ」
「どうやって?」
「さて。噛みつくとか?」
(『ウルフホール(下)』p.320)
原文はこうです。
..... and when I was nine or ten my uncle John used to pack me in a provisions cart with the best cheeses and the pies, in case anybody tried to steal them when we stopped.'
'Did you not have guards?'
'It was the guards he was afraid of'
'Quis custodiet ipsos custodes?'
'Me, evidently'
'What would you have done?'
'I don't know. Bitten them?'
(p.549)
問題はもちろん「おじさんは護衛の身を心配したんだ」という箇所である。これは、本当に上手の手から、の一例かなあ。
ひまだったら、Quis custodiet ipsos custodes でググって見てください。
山下太郎のラテン語入門というサイトに以下のような説明がありました。
「誰が見張り人自身を見張るのだろうか」と訳せます。
ローマの風刺詩人ユウェナーリスの言葉です(Juv.6.347-348)。
ローマ諷刺詩集 (岩波文庫)
ペルシウス ユウェナーリス 国原 吉之
ただしこのページの日付は2015年1月10日となっていますので、翻訳作業の時にネット検索してもヒットしなかったのは残念ですね。
たぶん、こうなるのではないでしょうか。
「護衛はいなかったの?」
「その護衛だよ、おじさんが心配してたのは」
「ミハリハ・ダレガ・ミハル・ノカ?(クイス・クストディエト・イプソス・クストデス)」
「もちろんわたしだ」
「どうやって?」
「さて。噛みつくとか?」
ちなみにこのシリーズ、最終的にはクロムウェル三部作となる予定らしいが、(第三作 The Mirror and the Light はまだ刊行されていない)なんと第一、第二作ともブッカー賞を受賞しています。BBCがテレビシリーズにしているらしいので、コスチュームドラマ大好き人間としては、NHKにはぜひ頑張って買って放映してもらいたいところ。
我流の英語で多少ヨタヨタしながらも、たいていの小説なら、2、3週間もあれば十分なのだけれど(その気になればであって、最近は寝つきが良すぎてそうはいかないけど)、この作家の場合は一読しただけではなかなか容易に意味が取れないのですね。
ひとつは人称代名詞がちょっと曖昧で、うっかり気をぬくと、別の人の動作や描写のつもりで読み進め、全然違った解釈をしてしまったりするということがある。少し大げさだが、源氏物語の文体を連想したりもする。基本的に 'He' で始まると、それはクロムウェルだという約束を吞み込むのがコツのようだ。
また、風景や歴史の叙述はけっこう饒舌なくせに、いざ肝心なところでは、言わずもがなの説明は一切しないという、ある意味不親切極まりない文体なので、たぶんこういうことだろうけど、果たして自分の読みが正しいのかどうか、途方にくれるような気持ちもときどき起こる。雲の動きに誘われて、どんどん見知らぬ土地に入って行って、結局道に迷うような感じとでもいうか・・・
だから、今回は、すでに読んだ宇佐川晶子氏の訳と逐一突きあわせながらの精読である。一度は読んでいるとはいえ、さすがに細部は覚えてないので、再読で思わぬ発見が多い。年をとるとだんだん同じ本を何度も読むということが面白くなる。
たとえば——
と以下のことを書くのは少し迷った。実は誤訳のことに触れることになるからだ。だから、まずそのことを書く前に、この翻訳はたいへんな力技だっただろうとその苦労に謝したいと思う。上に書いたように、道に迷って途方にくれたときに、翻訳に当たって、ああ、そういう意味か!と自分の不明を恥じるとともに、的確な日本語訳に舌を巻くことの方が(当然)圧倒的に多かったのである。
さて、たとえば、の続きだが、小説の後半で、クロムウェルが息子を連れて、ハットフィールドを訪ねるところ。ヘンリー八世の頼みで彼の二人の娘(キャサリン妃の娘メアリとアン王妃との間に生まれた、このときはまだ赤子のエリザベスですが)の養育をしている館へ向かう途中です。
実はクロムウェルは9歳か10歳の頃にこの館を訪ねたことがあった。史実かどうか知らないが、クロムウェルの叔父はモートン枢機卿お抱えの料理人で、枢機卿がこのハットフィールドの領地に籠ると、はるばるロンドンからこの館に向かったものだ、という昔話を父親が息子に聞かせているという場面です。
まず、翻訳から
・・・・わたしが九つか十だった頃、ジョンおじさんは上等のチーズやパイといった食糧のたくわえを積んだ荷車に、わたしを乗せたものだった。そうやって追いはぎにあう場合にそなえたわけだ」
「護衛はいなかったの?」
「おじさんは護衛の身を心配したんだ」
「誰が護衛を守るの?(クイス・クストディエト・イプソス・クストデス)」
「もちろんわたしだ」
「どうやって?」
「さて。噛みつくとか?」
(『ウルフホール(下)』p.320)
原文はこうです。
..... and when I was nine or ten my uncle John used to pack me in a provisions cart with the best cheeses and the pies, in case anybody tried to steal them when we stopped.'
'Did you not have guards?'
'It was the guards he was afraid of'
'Quis custodiet ipsos custodes?'
'Me, evidently'
'What would you have done?'
'I don't know. Bitten them?'
(p.549)
問題はもちろん「おじさんは護衛の身を心配したんだ」という箇所である。これは、本当に上手の手から、の一例かなあ。
ひまだったら、Quis custodiet ipsos custodes でググって見てください。
山下太郎のラテン語入門というサイトに以下のような説明がありました。
「誰が見張り人自身を見張るのだろうか」と訳せます。
ローマの風刺詩人ユウェナーリスの言葉です(Juv.6.347-348)。
ローマ諷刺詩集 (岩波文庫)
ペルシウス ユウェナーリス 国原 吉之
ただしこのページの日付は2015年1月10日となっていますので、翻訳作業の時にネット検索してもヒットしなかったのは残念ですね。
たぶん、こうなるのではないでしょうか。
「護衛はいなかったの?」
「その護衛だよ、おじさんが心配してたのは」
「ミハリハ・ダレガ・ミハル・ノカ?(クイス・クストディエト・イプソス・クストデス)」
「もちろんわたしだ」
「どうやって?」
「さて。噛みつくとか?」
ちなみにこのシリーズ、最終的にはクロムウェル三部作となる予定らしいが、(第三作 The Mirror and the Light はまだ刊行されていない)なんと第一、第二作ともブッカー賞を受賞しています。BBCがテレビシリーズにしているらしいので、コスチュームドラマ大好き人間としては、NHKにはぜひ頑張って買って放映してもらいたいところ。
2011年7月30日に日本でレビュー済み
時代背景はヘンリー8世の最初の離婚問題にまつわるウルジーの失脚からモアの処刑まで。
この手垢がついたような題材にも関わらず、最初の1ページから、小説の世界に引き込まれました。
この本を面白くさせているのは、
なんといっても、新鮮な人物像の提示と生き生きとした時代活写。
主人公は貧しい卑賤の生まれから、ヘンリー8世の側近に上りつめたトマス・クロムウェル。
野心的な策謀家というイメージの強い彼を、
作者は彼の人生と家族を含む周辺人物を丹念に描くことで、
血の通った生身の人間として、読者の前に登場させてくれました。
ところどころに挿入される、彼の惨めな少年時代、大陸を放浪した青年期。
それらの経験が、彼の血肉となり、非凡な一人の男を誕生させました。
彼は最悪な現状の中で、現実的に最善な道を探そうと奮闘する人物として描かれています。
そして、数多い登場人物の中で彼と対をなす、モア。
多くの作品で、高潔な人物として描かれることの多い彼を、
この作品では、虚栄心の強い、偏狭な人間として描いています。
モアが自己の良心を守ろうとしていた時、
クロムウェルは、目の前で奪われようとしている命を守り、次代のイングランドを見据えていました。
この従来のイメージとは違う人物像に脱帽です!
また、登場人物が宮廷人・聖職者だけではなく、
アントワープの商人、クロムウェルの家族を含む、使用人や下層の人々と多岐にわたっているのも魅力。
彼らのやりとり、会話が、その時代の息遣いを感じさせます。
最後、「ウルフホール」と呼ばれる、シーモアの館に行く予定をたてるクロムウェル。
遠からぬ彼の最期と考え合わすと、なかなか秀逸な題名・そして余韻のある終わり方だとうなりました。
上下巻あわせて約1000頁とボリュームがありますが、一気に読ませる魅力をもった本です。
作者の深い知識に基づく想像力が、新たな面白さを提示してくれた好著。
蛇足ですが、「ブーリン家の姉妹」(フィリッパ・グレゴリー著)をお読みになった方なら、
同時進行のサイドストーリー的に読まれても興味深いと思います。
アンの一連の騒動の水面下で行われていた、実務的な動きはもちろんですが、
クロムウェル、メアリー・ブーリン、W・スタフォードが揃うワンシーンなどニヤリとしてしまいます。
この手垢がついたような題材にも関わらず、最初の1ページから、小説の世界に引き込まれました。
この本を面白くさせているのは、
なんといっても、新鮮な人物像の提示と生き生きとした時代活写。
主人公は貧しい卑賤の生まれから、ヘンリー8世の側近に上りつめたトマス・クロムウェル。
野心的な策謀家というイメージの強い彼を、
作者は彼の人生と家族を含む周辺人物を丹念に描くことで、
血の通った生身の人間として、読者の前に登場させてくれました。
ところどころに挿入される、彼の惨めな少年時代、大陸を放浪した青年期。
それらの経験が、彼の血肉となり、非凡な一人の男を誕生させました。
彼は最悪な現状の中で、現実的に最善な道を探そうと奮闘する人物として描かれています。
そして、数多い登場人物の中で彼と対をなす、モア。
多くの作品で、高潔な人物として描かれることの多い彼を、
この作品では、虚栄心の強い、偏狭な人間として描いています。
モアが自己の良心を守ろうとしていた時、
クロムウェルは、目の前で奪われようとしている命を守り、次代のイングランドを見据えていました。
この従来のイメージとは違う人物像に脱帽です!
また、登場人物が宮廷人・聖職者だけではなく、
アントワープの商人、クロムウェルの家族を含む、使用人や下層の人々と多岐にわたっているのも魅力。
彼らのやりとり、会話が、その時代の息遣いを感じさせます。
最後、「ウルフホール」と呼ばれる、シーモアの館に行く予定をたてるクロムウェル。
遠からぬ彼の最期と考え合わすと、なかなか秀逸な題名・そして余韻のある終わり方だとうなりました。
上下巻あわせて約1000頁とボリュームがありますが、一気に読ませる魅力をもった本です。
作者の深い知識に基づく想像力が、新たな面白さを提示してくれた好著。
蛇足ですが、「ブーリン家の姉妹」(フィリッパ・グレゴリー著)をお読みになった方なら、
同時進行のサイドストーリー的に読まれても興味深いと思います。
アンの一連の騒動の水面下で行われていた、実務的な動きはもちろんですが、
クロムウェル、メアリー・ブーリン、W・スタフォードが揃うワンシーンなどニヤリとしてしまいます。
2015年9月29日に日本でレビュー済み
16世紀のイングランドの王がお世継ぎ問題で離婚を望み・・・というお話。
まず、クロムウェルと聞いて、清教徒革命の時に活躍したした人と勘違いしたことをお断りしておきます。本書の主人公はその先代に当たる方のクロムウェルという人の波乱に満ちた人生を追った小説でした。
ここで問題になる国王のお世継ぎ問題ですが、今を生きる我々にも縁がない訳ではなく、皇太子様のお妃がなかなか子供を産めないで、宮内庁から圧力がかかったという話は少し時間が経過した今でも割とよく覚えている方も多いのではないかと思います(私もそうです)。しかし、時代が違うせいか、この小説に出てくる王は離婚して新しい妃を得ようという考えで、今の時代との彼我の違いを感じます。そこに、この小説の真の主人公のクロムウェルらが機略や権謀術数を弄して奔走するというのが本書の肝になっております。
その物語は面白いことこの上ないですが、やや登場人物が多すぎると共に、その登場人物が個々に様々な悩みや計略を考えていたりと、筋を追いつつ、登場人物を覚えつつ、その上で小説を楽しむのに些か疲れたのも真実でした。欧米の人はこの辺の歴史の趨勢や人物のキャラクターを割と学校で習ったりして、よく判る為に大変楽しめたと憶測しますが、私みたいに日本の学校でさわりだけ習うような輩には読むのが大変だったということを記しておきます。文章は明晰で構成も判り易いのでそういう点では読み易くはありましたが。
しかし、この著者のマンテルという人はかなり膨大な資料を当たって本書を書いたと思いますが、よくここまで調べたな、と思う程細かい所まで調べてあるので感心しました。凄い労作だと思います。そのかいあってか、色々な賞をものしたとか。納得できます。
16世紀の欧米の諸相が判る歴史大作。機会があったら是非。
まず、クロムウェルと聞いて、清教徒革命の時に活躍したした人と勘違いしたことをお断りしておきます。本書の主人公はその先代に当たる方のクロムウェルという人の波乱に満ちた人生を追った小説でした。
ここで問題になる国王のお世継ぎ問題ですが、今を生きる我々にも縁がない訳ではなく、皇太子様のお妃がなかなか子供を産めないで、宮内庁から圧力がかかったという話は少し時間が経過した今でも割とよく覚えている方も多いのではないかと思います(私もそうです)。しかし、時代が違うせいか、この小説に出てくる王は離婚して新しい妃を得ようという考えで、今の時代との彼我の違いを感じます。そこに、この小説の真の主人公のクロムウェルらが機略や権謀術数を弄して奔走するというのが本書の肝になっております。
その物語は面白いことこの上ないですが、やや登場人物が多すぎると共に、その登場人物が個々に様々な悩みや計略を考えていたりと、筋を追いつつ、登場人物を覚えつつ、その上で小説を楽しむのに些か疲れたのも真実でした。欧米の人はこの辺の歴史の趨勢や人物のキャラクターを割と学校で習ったりして、よく判る為に大変楽しめたと憶測しますが、私みたいに日本の学校でさわりだけ習うような輩には読むのが大変だったということを記しておきます。文章は明晰で構成も判り易いのでそういう点では読み易くはありましたが。
しかし、この著者のマンテルという人はかなり膨大な資料を当たって本書を書いたと思いますが、よくここまで調べたな、と思う程細かい所まで調べてあるので感心しました。凄い労作だと思います。そのかいあってか、色々な賞をものしたとか。納得できます。
16世紀の欧米の諸相が判る歴史大作。機会があったら是非。
2012年1月15日に日本でレビュー済み
往年の映画「わが命つきるとも」を観て、トマス・モアの高潔な姿に感動をおぼえたものでした。
すなわち、皆がイングランド王の顔色を見て保身に走る中、自らの信条を変えずに斬首刑を甘んじて受けるその姿にです。
皆がイエスという中で、一人だけノーという勇気、激しさに心打たれたものでした。
映画では、トマス・クロムウェルもちらっと登場しましたが、狡猾で欲の皮がつっぱった、はなはだ誠実なイメージからほど遠いものでした。
本書は、上記のイメージを根本から覆してくれました、良い意味でです。
トマス・モアがイギリス国教会や、ヘンリー8世とキャサリン妃の離婚を認めずに斬首されたのは、歴史的に事実であっても
彼が高潔な人物であるというイメージは、後から美化されて出来上がったものではないかと、本書を読んで思いました。
美しいイメージにも光と影があることでしょう。 トマス・モアが自らの信条に相容れない者に対して冷酷であったことも想像に難くありません。
訳者のあとがきによれば、トマス・クロムウェルについては資料が少なく、半生に空白期間が多く、謎に満ちているとあります。
それゆえ、マンテル女史が築き上げたクロムウェル像は、説得力に満ち、フィクションでありながら
あながち大まかには間違っていないのではと信じてしまいそうになります。
他のレヴュアーが十二分に本書の魅力を語ってくださっているので、くどくどした説明はこれ以上不要です。
ただ、文章が凝りすぎていて、文体に慣れるのに少し努力が要ります。
原文がそうなのでしょうが、スムーズな日本語とは言い難い個所も少なからずあります。 邦訳が難しい作品だと思います。
すなわち、皆がイングランド王の顔色を見て保身に走る中、自らの信条を変えずに斬首刑を甘んじて受けるその姿にです。
皆がイエスという中で、一人だけノーという勇気、激しさに心打たれたものでした。
映画では、トマス・クロムウェルもちらっと登場しましたが、狡猾で欲の皮がつっぱった、はなはだ誠実なイメージからほど遠いものでした。
本書は、上記のイメージを根本から覆してくれました、良い意味でです。
トマス・モアがイギリス国教会や、ヘンリー8世とキャサリン妃の離婚を認めずに斬首されたのは、歴史的に事実であっても
彼が高潔な人物であるというイメージは、後から美化されて出来上がったものではないかと、本書を読んで思いました。
美しいイメージにも光と影があることでしょう。 トマス・モアが自らの信条に相容れない者に対して冷酷であったことも想像に難くありません。
訳者のあとがきによれば、トマス・クロムウェルについては資料が少なく、半生に空白期間が多く、謎に満ちているとあります。
それゆえ、マンテル女史が築き上げたクロムウェル像は、説得力に満ち、フィクションでありながら
あながち大まかには間違っていないのではと信じてしまいそうになります。
他のレヴュアーが十二分に本書の魅力を語ってくださっているので、くどくどした説明はこれ以上不要です。
ただ、文章が凝りすぎていて、文体に慣れるのに少し努力が要ります。
原文がそうなのでしょうが、スムーズな日本語とは言い難い個所も少なからずあります。 邦訳が難しい作品だと思います。
2012年2月1日に日本でレビュー済み
ヘンリー8世、クロムウェルとくれば読まずばなるまい。装丁も良し、上下刊の量も良し、と期待して買いました。
しかしなんじゃこの翻訳は高校生レベルか!!! ひどい、読み進めるのが苦痛、難行苦行です。翻訳者は翻訳後にもう一度読み返して欲しい。日本の読者が読みやすいかどうか日本語として不自然でないかどうか、当たり前のことですが。
数人の登場人物が入り乱れても彼・彼・彼とか彼女・彼女・彼女じゃ誰のことか分からない。英語の構文に引きずられたまま訳してる。
へたくそ!! 原作を読むか、他の訳者の版が出ることを祈る、のいずれかです。
しかしなんじゃこの翻訳は高校生レベルか!!! ひどい、読み進めるのが苦痛、難行苦行です。翻訳者は翻訳後にもう一度読み返して欲しい。日本の読者が読みやすいかどうか日本語として不自然でないかどうか、当たり前のことですが。
数人の登場人物が入り乱れても彼・彼・彼とか彼女・彼女・彼女じゃ誰のことか分からない。英語の構文に引きずられたまま訳してる。
へたくそ!! 原作を読むか、他の訳者の版が出ることを祈る、のいずれかです。