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黒猫の遊歩あるいは美学講義 単行本 – 2011/10/21
森 晶麿
(著)
ダブルポイント 詳細
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でたらめな地図に隠された意味、
しゃべる壁に隔てられた青年、
川に振りかけられた香水、
現れた住職と失踪した研究者、
頭蓋骨を探す映画監督、
楽器なしで奏でられる音楽……。
日常のなかにふと顔をのぞかせる、幻想と現実が交差する瞬間。
美学・芸術学を専門とする若き大学教授、通称「黒猫」は、
美学理論の講義を通して、その謎を解き明かしてゆく。
第1回アガサ・クリスティー賞受賞作!
しゃべる壁に隔てられた青年、
川に振りかけられた香水、
現れた住職と失踪した研究者、
頭蓋骨を探す映画監督、
楽器なしで奏でられる音楽……。
日常のなかにふと顔をのぞかせる、幻想と現実が交差する瞬間。
美学・芸術学を専門とする若き大学教授、通称「黒猫」は、
美学理論の講義を通して、その謎を解き明かしてゆく。
第1回アガサ・クリスティー賞受賞作!
- 本の長さ293ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2011/10/21
- ISBN-104152092483
- ISBN-13978-4152092489
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商品の説明
著者について
森晶麿(もり・あきまろ)
1979年生まれ、静岡県浜松市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了。
ライターとして漫画脚本などを手掛けながら小説の執筆活動を続け、
本作で第1回アガサ・クリスティー賞を受賞。
1979年生まれ、静岡県浜松市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了。
ライターとして漫画脚本などを手掛けながら小説の執筆活動を続け、
本作で第1回アガサ・クリスティー賞を受賞。
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2011/10/21)
- 発売日 : 2011/10/21
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 293ページ
- ISBN-10 : 4152092483
- ISBN-13 : 978-4152092489
- Amazon 売れ筋ランキング: - 774,955位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年4月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現代文の高度な評論にミステリの要素を入れた感じで、面白い。続編も読もうと思う。
2012年2月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ファイロ・ヴァンスという名探偵をご存じでしょうか?S・S・ヴァン=ダインという作家が生涯に書いた12作の長編推理小説(ベンスン殺人事件、グリーン家殺人事件、僧正殺人事件、カナリ殺人事件…)のすべてに、この名探偵が登場します。ヴァン=ダインは1920年代末から登場した古い作家ですが、第二次大戦後、欧米の翻訳<探偵>小説全盛期に高校〜大学生だった変愚院は夜遅くまで読みふけったものです。
ファイロ・ヴァンスが断片的な証拠から犯人を見つける推理は明晰ですが、その過程で様々なウンチクが散りばめられていて、煙に巻かれながらも楽しみでした。今でいえば、TVドラマ「相棒」の杉下右京を、もっとスペシャリストにしたような感じです。
昨年、早川書房がイギリスのアガサ・クリスティー社の公認を得て「アガサ・クリスティー賞」を創設して、新人の発掘を試みました。アガサ・クリスティーはE・ポワロやミス・マープルもので知られる「ミステリの女王」と呼ばれた作家ですが、候補作107編から選ばれて「第1回アガサ・クリスティー賞」を受賞したのが、この本です。(副賞100万円、漫才大賞に比べるともっとあげて欲しい)
最初にファイロ・ヴァンスの事を書いたのは、この本の探偵役「黒猫」が、ファイロ・ヴァンスに負けず劣らずのペダンティックな言葉をまき散らすからなのです。なにしろ「黒猫」は弱冠24才の「美学」を駆使する大学教授。普段の付き人(これが同世代の女性でポーの研究者)との会話でも「僕がここで言うカタルシスはプラトン的なものではなくてアリストテレス的なもので、アリストテレスは負の感情を浄化する点で悲劇にこの効用があるといっている」くらいは当たり前。焼き鳥屋にいっても「焼き鳥というのも死のアレゴリーになったりはしないのかしら?」「んん、普遍性がまだ足りないね」といったやり取りになるんです。ついていけんなあ。
この本は六つの短編からできていますが、すべて彼と彼女の身の回りのちょっとした謎ばかりです。たとえば「川に振り掛けられた香水」「でたらめな地図」などで、大きな事件は起こりません。しかし、すべてE・A・ポーの作品、これまた懐かしい「モルグ街の殺人事件」「盗まれた手紙」「黄金虫」…をモチーフにしているという趣向です。
その謎をイケメンで、頭が良くて、ぶっきら棒なようで時にふとした優しさを見せる「黒猫」が解いていく。こんな男には敵いません。もちろん「話し手」でもある私はメロメロ。最後には、どうも黒猫もまんざらではない様子で、これはプラトニックな恋愛小説でもあります。ウンチクもそれ程嫌味もなく、難しいところはザット読み飛ばすと爽やかな読後感が残りました。
ただ、この本で惜しいと思ったのは、何か所かにポー作品の「ネタばらし」があることです。
S・S・ヴァン=ダインはアガサ・クリスティの処女作『アクロイド殺人事件』を酷評しました。理由は彼が推理小説を書く上での鉄則を記した「ヴァン・ダインの二十則」に、クリスティが違反している、つまり「読者に対してフェアでない」という点にあります。
いかにポーの作品はすでに古典に属するとはいえ、推理小説のネタをばらすことは、最大のルール違反ではないでしょうか?
ファイロ・ヴァンスが断片的な証拠から犯人を見つける推理は明晰ですが、その過程で様々なウンチクが散りばめられていて、煙に巻かれながらも楽しみでした。今でいえば、TVドラマ「相棒」の杉下右京を、もっとスペシャリストにしたような感じです。
昨年、早川書房がイギリスのアガサ・クリスティー社の公認を得て「アガサ・クリスティー賞」を創設して、新人の発掘を試みました。アガサ・クリスティーはE・ポワロやミス・マープルもので知られる「ミステリの女王」と呼ばれた作家ですが、候補作107編から選ばれて「第1回アガサ・クリスティー賞」を受賞したのが、この本です。(副賞100万円、漫才大賞に比べるともっとあげて欲しい)
最初にファイロ・ヴァンスの事を書いたのは、この本の探偵役「黒猫」が、ファイロ・ヴァンスに負けず劣らずのペダンティックな言葉をまき散らすからなのです。なにしろ「黒猫」は弱冠24才の「美学」を駆使する大学教授。普段の付き人(これが同世代の女性でポーの研究者)との会話でも「僕がここで言うカタルシスはプラトン的なものではなくてアリストテレス的なもので、アリストテレスは負の感情を浄化する点で悲劇にこの効用があるといっている」くらいは当たり前。焼き鳥屋にいっても「焼き鳥というのも死のアレゴリーになったりはしないのかしら?」「んん、普遍性がまだ足りないね」といったやり取りになるんです。ついていけんなあ。
この本は六つの短編からできていますが、すべて彼と彼女の身の回りのちょっとした謎ばかりです。たとえば「川に振り掛けられた香水」「でたらめな地図」などで、大きな事件は起こりません。しかし、すべてE・A・ポーの作品、これまた懐かしい「モルグ街の殺人事件」「盗まれた手紙」「黄金虫」…をモチーフにしているという趣向です。
その謎をイケメンで、頭が良くて、ぶっきら棒なようで時にふとした優しさを見せる「黒猫」が解いていく。こんな男には敵いません。もちろん「話し手」でもある私はメロメロ。最後には、どうも黒猫もまんざらではない様子で、これはプラトニックな恋愛小説でもあります。ウンチクもそれ程嫌味もなく、難しいところはザット読み飛ばすと爽やかな読後感が残りました。
ただ、この本で惜しいと思ったのは、何か所かにポー作品の「ネタばらし」があることです。
S・S・ヴァン=ダインはアガサ・クリスティの処女作『アクロイド殺人事件』を酷評しました。理由は彼が推理小説を書く上での鉄則を記した「ヴァン・ダインの二十則」に、クリスティが違反している、つまり「読者に対してフェアでない」という点にあります。
いかにポーの作品はすでに古典に属するとはいえ、推理小説のネタをばらすことは、最大のルール違反ではないでしょうか?
2018年1月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本の表紙に描かれている若き大学教授とその助手が、日常の謎を、人文系の知識を使って解き明かすというもの。確かに知識や蘊蓄のひけらかしのようでもあるが、まー、文学研究とか文芸評論が好きな人ならば、すらすら読める本です。謎を解くときの論理展開(ロジック)もそんなに飛躍しているところはないです(良い意味で)。
2014年2月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
黒猫シリーズが面白すぎます! 黒猫と付き人が遭遇する謎、ポオをはじめ作中に出てくる物語や美意識についての黒猫や付き人の解釈、いくつもの疑問や謎が鮮やかに解き明かされて行く様が最高です! そしてもうひとつの見所は、なかなか進まない二人の恋愛模様。よほどのミステリー好きじゃないかぎりミステリーや解釈だけだと、なにもおこらない勉強一辺倒の大学生活みたいに飽きてしまうけれど、この二人の恋愛模様が入ると、ミステリーのワクワク+恋愛のドキドキで格段に面白くなってるのです! 続きが待ち切れませんー! ドキドキ、ワクワク、時々キュンなこのお話し、 ぜったいオススメです!
2021年5月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
解決編のトンデモ理論は、小栗虫太郎を目指したからでしょうか。
それ自体は、さほど嫌いではないのですが、ライトノベル的なテイストの物語/文章が、探偵役が推理を披露し始めると急に小栗印になるギャップに戸惑ってしまいました。
ポー作品の雰囲気やパロディもあまり感じられず、表現したいことと、実際に出来上がった作品に隔たりがあるように思いました。
残念ながら話についていけず、2つ目の話を読み終えた時点で挫折しました。しかし、独自のテイストはあると思うので、ひょっとするとこの作風に慣れれば面白いのかもしれません。
しばらく時間をおいて、続きを読むかもしれません。
それ自体は、さほど嫌いではないのですが、ライトノベル的なテイストの物語/文章が、探偵役が推理を披露し始めると急に小栗印になるギャップに戸惑ってしまいました。
ポー作品の雰囲気やパロディもあまり感じられず、表現したいことと、実際に出来上がった作品に隔たりがあるように思いました。
残念ながら話についていけず、2つ目の話を読み終えた時点で挫折しました。しかし、独自のテイストはあると思うので、ひょっとするとこの作風に慣れれば面白いのかもしれません。
しばらく時間をおいて、続きを読むかもしれません。
2015年9月24日に日本でレビュー済み
内容は少々難しいと感じますが、読んでいて惹きこまれました。
知らない知識がいっぱいでてきました。
ゆっくりじっくり読みたい作品です。
また主人公の二人の絶妙な距離感も注目です。
離れすぎず近すぎない関係が爽やかで素敵ですよ。
知らない知識がいっぱいでてきました。
ゆっくりじっくり読みたい作品です。
また主人公の二人の絶妙な距離感も注目です。
離れすぎず近すぎない関係が爽やかで素敵ですよ。
2014年9月7日に日本でレビュー済み
「ジャケ買い」なんて言葉がありますが、美しい装丁や言葉のリズムに惹かれて手に取る作品というものがあります。
今日、手に取った一冊はそんな一冊。
早川書房が主催する第1回アガサ・クリスティー賞受賞作。
24歳にして教授職につく通称「黒猫」と、同じく24歳でエドガー・アラン・ポオの研究者「付き人」が出会う6つの事件を通じた物語。
殺人事件と名探偵といった狭義のミステリではない、いわゆる「日常の謎」系の短編小説。
かなりクセの強い小説。ミステリよりも、黒猫と付き人、各編に登場する人々の幻想のような淡く浮かぶ恋物語を感じる小説、だと思う。
そういう意味で、英国アガサ・クリステイー社の許諾を得て募集した第1回のアガサ・クリスティー賞がこれでいいの? という気持ちで揺れてしまいます。
「黒猫」も「付き人」も研究者であるが故に、会話も高尚すぎてついて行けない点が多数。焼き鶏屋で、「焼き鳥というのも死のアレゴリーになったりはしないのかしら?」「んん、普遍性がまだ足りないね」なんてやり取りをされると、もうね……。
選者の一人の北上次郎さんは「謎解きではあるけれど、そこに人間のぎりぎりの営みがあるという点で素晴らしい。」と評価されていますが、この点は同感。
人を想う、生きる、死ぬが全編とも書き込まれており、その一つ一つを「理解」できなくても「感じる」ことが出来、読み終えたあとに何か小さなものが読者の心に張り付きます。
美学講義に囚われると、難解でつまらない作品になりますし、それに囚われずに作品全体を音楽のように流して感じることが出来れば……個人的にはあまりはまれない作品ではあります。
選者にも指摘されていましたが、エドガー・アラン・ポオの作品をモチーフにしながら、ネタばらしをしている点はちょっとマナー違反な気がします
今日、手に取った一冊はそんな一冊。
早川書房が主催する第1回アガサ・クリスティー賞受賞作。
24歳にして教授職につく通称「黒猫」と、同じく24歳でエドガー・アラン・ポオの研究者「付き人」が出会う6つの事件を通じた物語。
殺人事件と名探偵といった狭義のミステリではない、いわゆる「日常の謎」系の短編小説。
かなりクセの強い小説。ミステリよりも、黒猫と付き人、各編に登場する人々の幻想のような淡く浮かぶ恋物語を感じる小説、だと思う。
そういう意味で、英国アガサ・クリステイー社の許諾を得て募集した第1回のアガサ・クリスティー賞がこれでいいの? という気持ちで揺れてしまいます。
「黒猫」も「付き人」も研究者であるが故に、会話も高尚すぎてついて行けない点が多数。焼き鶏屋で、「焼き鳥というのも死のアレゴリーになったりはしないのかしら?」「んん、普遍性がまだ足りないね」なんてやり取りをされると、もうね……。
選者の一人の北上次郎さんは「謎解きではあるけれど、そこに人間のぎりぎりの営みがあるという点で素晴らしい。」と評価されていますが、この点は同感。
人を想う、生きる、死ぬが全編とも書き込まれており、その一つ一つを「理解」できなくても「感じる」ことが出来、読み終えたあとに何か小さなものが読者の心に張り付きます。
美学講義に囚われると、難解でつまらない作品になりますし、それに囚われずに作品全体を音楽のように流して感じることが出来れば……個人的にはあまりはまれない作品ではあります。
選者にも指摘されていましたが、エドガー・アラン・ポオの作品をモチーフにしながら、ネタばらしをしている点はちょっとマナー違反な気がします
2017年3月12日に日本でレビュー済み
アニメの原作のようなライトノベル風です。
情景描写はうまくて映像が頭に浮かびやすいですが、事件の詳細よりも、文学的うんちくが長くて著者の見解を無理矢理聞かされるような感じです。
著者の教養を誇示する内容になると、作品として好感が持たれにくくなります。
一般人には文学部の授業を受けてるような気分になり話の骨子がぼやけるので、マニア受けになりやすいのですが、マニアは逆に物足りないらしく批判評が目立ちます。一般受けかマニア受けか絞った方が良さそうです。
情景描写はうまくて映像が頭に浮かびやすいですが、事件の詳細よりも、文学的うんちくが長くて著者の見解を無理矢理聞かされるような感じです。
著者の教養を誇示する内容になると、作品として好感が持たれにくくなります。
一般人には文学部の授業を受けてるような気分になり話の骨子がぼやけるので、マニア受けになりやすいのですが、マニアは逆に物足りないらしく批判評が目立ちます。一般受けかマニア受けか絞った方が良さそうです。