遺伝子操作された新人類、脳を利用したコンピュータ、アンドロイド、月へのテラフォーミング、無人戦闘機・・、などなど、最近話題のSF的ガジェットが、盛りだくさんにちりばめられていますが、きちんとストーリー(の本筋)に位置づけられていて、単発の”ネタ”として適当に使い捨てられていないところは、非常に好印象でした。
特に、物語の初めから、大きな展開を二度乗り越え、大きくスケールアップしていく前半部は、非常に読みごたえがありました。リアリティとSF的なロマンが、いいバランスで混ざり合っていて、想像力が掻き立てられます。
後半から末尾は、理論的・SF的論理展開で話が進み、登場人物たちの心情の起伏や運命的な再会・・・等、前半部分でつみあげてきた物語がやや淡泊に・機械的に処理されてしまった印象を受けました。
個人的な好みかもしれませんが、前半部のSF的想像力・ガジェットがちりばめられた世界観で、生きたキャラクターが活躍する、スペースオペラ的な路線で最後まで描ききることができれば、名作に化けたのではないかと、惜しく思います。途中から世界設定の解説が長くて、キャラクターが活きなくなってしまいました。
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Delivery (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) 単行本 – 2012/5/24
八杉将司
(著)
ノンオリジンの少年アーウッドは、天上に輝く月という"神の世界"に憧れていた。
だが、突如として起きた原因不明のスーパーディザスターにより、地球は災厄に見舞われた。
それから10年――。
荒廃した世界で仲間とともに生き延びたアーウッドは、地球と月をめぐる畏怖すべき運命に巻き込まれていく。
日本SF新人賞受賞作家が満を持して放つ、“誕生"の物語。
だが、突如として起きた原因不明のスーパーディザスターにより、地球は災厄に見舞われた。
それから10年――。
荒廃した世界で仲間とともに生き延びたアーウッドは、地球と月をめぐる畏怖すべき運命に巻き込まれていく。
日本SF新人賞受賞作家が満を持して放つ、“誕生"の物語。
- 本の長さ323ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2012/5/24
- ISBN-104152092963
- ISBN-13978-4152092960
商品の説明
著者について
八杉将司【やすぎ・まさよし】
1972年生まれ。兵庫県姫路市出身。九州国際大学法経学部法律学科卒。
2004年、第5回日本SF新人賞受賞作『夢見る猫は、宇宙に眠る』で作家デビュー。
他の作品に『光を忘れた星で』がある。
日本SF作家クラブ公式ネットマガジン「SF Prologue Wave」編集長。
1972年生まれ。兵庫県姫路市出身。九州国際大学法経学部法律学科卒。
2004年、第5回日本SF新人賞受賞作『夢見る猫は、宇宙に眠る』で作家デビュー。
他の作品に『光を忘れた星で』がある。
日本SF作家クラブ公式ネットマガジン「SF Prologue Wave」編集長。
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2012/5/24)
- 発売日 : 2012/5/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 323ページ
- ISBN-10 : 4152092963
- ISBN-13 : 978-4152092960
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,431,856位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年6月26日に日本でレビュー済み
書店で平積みされた本書を見かけて、表紙買い。
裏表紙に書かれている粗筋を読んでもいまいちピンとこないので、読み始めるまでは面
白いのかどうか不安だったが、結論から言えばそれは杞憂だった。帯に「SFであること
を極限まで追求した」とあるが、その宣伝文句に偽りはない。全323ページにSFのエッ
センスを詰め込めるだけ詰め込んだ、今年度の日本SF小説界の代表作になり得る良作だ
と感じた。
この著者の作品を読むのは初めてだが、一見して起伏に乏しい、淡々とした、独特の透
明感を漂わせる文章。しかし、その大人しい顔に騙されて読み始めたところ、すぐに面
食らうことになった。物語は急転に次ぐ急転で、月並みな表現を借りればジェットコー
スター状態。起承転結のアナロジーで言えば、起転転転転転転結。これほど先の展開を
読めなかった作品は、過去に数えるほどしかない。
というわけで、内容に触れれば即ネタバレに直結するので感想を書きにくいのだが、背
景世界だけ紹介すると、恐らく現在から数十年後の近未来。高度な科学技術と経済発展
を謳歌する人類文明が、前触れ無く全地球規模の大災害に見舞われ、崩壊の一歩手前に
まで追い込まれる。動植物の大半が死滅し、自然環境も激変した地球上では、災害後に
創設された統一政府が科学技術を維持し文明再興を目指しているが、世界各地の生存者
はその大半が残された食料や資源を奪い合う弱肉強食なマッドマックス状態にあり、統
一政府自身も政治闘争や腐敗・汚職が蔓延し、復興は遅々として進まない。そんな世界
で、自分達を「ノンオリジン」と呼称するグループの一員である主人公は、敵対集団と
の抗争を繰り返す日々を送っていたが、負傷して行き倒れた謎の旅人を助けたことによ
り、思いも寄らぬ巨大な陰謀に巻き込まれていく・・・。
以降は章が変わるたび、あっけにとられるほどの急展開が繰り返されるのだが、空中分
解の一歩手前で踏み止まる危ういバランスのストーリー展開に、ページを繰る手が止ま
らない。序盤の展開からは想像もつかない壮大なエピローグを迎えた瞬間には、良いSF
を読了したときに感じる心地よい余韻に包まれた。
なお、本作の主人公だが、飄々と斜に構えて刹那的に生きる姿に、冒頭は感情移入が難
しかった。しかし、様々な出来事で人間としての尊厳を何度も徹底的に踏みにじられ、
人格が崩壊しても不思議でないほど酷い扱いを受けつつも、最後の最後まで自分を失わ
なかった「人としての強さ」には、結果的に感動を覚えることになった。
日本SF界の歴史に残る傑作かというと微妙なところだが、私はとても気に入った。永久
保存版として本棚に収め、数年したらまた読み返そうと思う。
裏表紙に書かれている粗筋を読んでもいまいちピンとこないので、読み始めるまでは面
白いのかどうか不安だったが、結論から言えばそれは杞憂だった。帯に「SFであること
を極限まで追求した」とあるが、その宣伝文句に偽りはない。全323ページにSFのエッ
センスを詰め込めるだけ詰め込んだ、今年度の日本SF小説界の代表作になり得る良作だ
と感じた。
この著者の作品を読むのは初めてだが、一見して起伏に乏しい、淡々とした、独特の透
明感を漂わせる文章。しかし、その大人しい顔に騙されて読み始めたところ、すぐに面
食らうことになった。物語は急転に次ぐ急転で、月並みな表現を借りればジェットコー
スター状態。起承転結のアナロジーで言えば、起転転転転転転結。これほど先の展開を
読めなかった作品は、過去に数えるほどしかない。
というわけで、内容に触れれば即ネタバレに直結するので感想を書きにくいのだが、背
景世界だけ紹介すると、恐らく現在から数十年後の近未来。高度な科学技術と経済発展
を謳歌する人類文明が、前触れ無く全地球規模の大災害に見舞われ、崩壊の一歩手前に
まで追い込まれる。動植物の大半が死滅し、自然環境も激変した地球上では、災害後に
創設された統一政府が科学技術を維持し文明再興を目指しているが、世界各地の生存者
はその大半が残された食料や資源を奪い合う弱肉強食なマッドマックス状態にあり、統
一政府自身も政治闘争や腐敗・汚職が蔓延し、復興は遅々として進まない。そんな世界
で、自分達を「ノンオリジン」と呼称するグループの一員である主人公は、敵対集団と
の抗争を繰り返す日々を送っていたが、負傷して行き倒れた謎の旅人を助けたことによ
り、思いも寄らぬ巨大な陰謀に巻き込まれていく・・・。
以降は章が変わるたび、あっけにとられるほどの急展開が繰り返されるのだが、空中分
解の一歩手前で踏み止まる危ういバランスのストーリー展開に、ページを繰る手が止ま
らない。序盤の展開からは想像もつかない壮大なエピローグを迎えた瞬間には、良いSF
を読了したときに感じる心地よい余韻に包まれた。
なお、本作の主人公だが、飄々と斜に構えて刹那的に生きる姿に、冒頭は感情移入が難
しかった。しかし、様々な出来事で人間としての尊厳を何度も徹底的に踏みにじられ、
人格が崩壊しても不思議でないほど酷い扱いを受けつつも、最後の最後まで自分を失わ
なかった「人としての強さ」には、結果的に感動を覚えることになった。
日本SF界の歴史に残る傑作かというと微妙なところだが、私はとても気に入った。永久
保存版として本棚に収め、数年したらまた読み返そうと思う。
2015年11月14日に日本でレビュー済み
4章から構成されるSFで、それぞれの章は趣の異なる内容になっている長編SF。最初の章は、すばらしい内容で、このまま引っ張って行くのかな、と思ったら、違う趣になる。これが好きな人はいいのだが、私は少しがっかりである。最初の章がよかったので、最後まで読んだのだが、全体としては、どうなんだろう?
2014年2月25日に日本でレビュー済み
地球に、ある天変地異が起きたあとの近未来社会。
数々の災害と事件を生き延びた、ある若者の物語。
短くて品性のある文章で、これでもか! と次々に展開していくダイナミックな奇想が読みどころ。それでいて、大震災を思い出してゾッとしてしまうような、実にリアルな社会も描かれている。冒頭の雰囲気は、萩尾望都のギムナジウムものみたい。おかげで主人公たちは、少女マンガの登場人物みたいに魅力的に過ぎて、軽々しくも感じられるが、だからこそ、物語は徹底してカラフルで、わかりやすい。
なによりも、まったくもって先が読めない、このサーヴィス精神の過剰さは、拍手喝采、素晴らしいと思う。ギムナジウムもののような冒頭から、誰がこんな結末を予測できるだろう?
科学的な知識については、ざっくりとした最新科学情報があれば、(私のような文系読者にでも)どうにかついていけます。大きなウソ(土台となる世界観)の上に、小さな真実(現代の科学にて正しいとされているあれこれ)を積み重ねて、その上に極小のウソ(SFガジェット)をばらまいたような構成は、読者に対して親切設計です。また、すべての奇想がビジュアルとして美しいのも魅力です。(表紙に描かれている景観もそのひとつ。美しい。)
ただし。期待していたような吃驚仰天!・・・な読後感はなかったのが残念でした。これは、とっくに薹のたった大人の女性読者特有の読後感かも。吃驚するより、妙に親しみ深く、微笑ましく感じてしまうのですね。
よって、若者向き、あるいは男性向きの物語かな? と思います。
数々の災害と事件を生き延びた、ある若者の物語。
短くて品性のある文章で、これでもか! と次々に展開していくダイナミックな奇想が読みどころ。それでいて、大震災を思い出してゾッとしてしまうような、実にリアルな社会も描かれている。冒頭の雰囲気は、萩尾望都のギムナジウムものみたい。おかげで主人公たちは、少女マンガの登場人物みたいに魅力的に過ぎて、軽々しくも感じられるが、だからこそ、物語は徹底してカラフルで、わかりやすい。
なによりも、まったくもって先が読めない、このサーヴィス精神の過剰さは、拍手喝采、素晴らしいと思う。ギムナジウムもののような冒頭から、誰がこんな結末を予測できるだろう?
科学的な知識については、ざっくりとした最新科学情報があれば、(私のような文系読者にでも)どうにかついていけます。大きなウソ(土台となる世界観)の上に、小さな真実(現代の科学にて正しいとされているあれこれ)を積み重ねて、その上に極小のウソ(SFガジェット)をばらまいたような構成は、読者に対して親切設計です。また、すべての奇想がビジュアルとして美しいのも魅力です。(表紙に描かれている景観もそのひとつ。美しい。)
ただし。期待していたような吃驚仰天!・・・な読後感はなかったのが残念でした。これは、とっくに薹のたった大人の女性読者特有の読後感かも。吃驚するより、妙に親しみ深く、微笑ましく感じてしまうのですね。
よって、若者向き、あるいは男性向きの物語かな? と思います。
2012年12月17日に日本でレビュー済み
SEKAI NO OWARIの世界観が似ている。
ENTERTAINMENT 初回版(CD+DVD)
生きる意味とか、生かされるとかを気にかけながら任務を遂行する主人公。
力の抜けた切ない感じ。
最後はスケールがでか過ぎて、おいてけぼりをくらいいそうになったが、「生物学的幻想曲」をBGMにして着いて行きました。
生きる意味とか、生かされるとかを気にかけながら任務を遂行する主人公。
力の抜けた切ない感じ。
最後はスケールがでか過ぎて、おいてけぼりをくらいいそうになったが、「生物学的幻想曲」をBGMにして着いて行きました。