アフガニスタンで起こったある出来事（彼らはそれを「出来事」という言葉で片づけることにしたのだ！）にまつわる部隊の兵士たちの、その地に至るまでと、事件が起こってからのそれぞれの身の振り方を描いている。なんの華々しさも、英雄的行為もそこにはない。みっともなさも含めて淡々と描写しているので、戦争小説らしいなんらかのカタルシスを期待して読んだ人にとっては平凡で退屈に受け取られるかもしれない。自分にとっては、逆にそこがよかった。兵士になったからといって特別な人間になれるわけではない。ホモソーシャルの地獄は、兵士以前も兵士以降も彼らを取り巻いている。カタルシスを与えないことが、逆に誠実さだと感じた。そういうものを読みたかったので、とても満足しています。個人的には、アンリ・ヴェルヌイユの「ダンケルク」と、クレール・ドニの「美しき仕事」を連想しました。
同著者の「コロナの時代の僕ら」は期間限定ですが、今、無料公開されているので、併せて読んでみてはいかがでしょうか。
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