原題はフランス語で日本語に訳すと、
「動物知能 鳥の脳と象の記憶」という具合になると思う。
本書のタイトルは、鳥類学者・川上和人氏の著書のタイトルを想起させる。
川上氏の新著かな?と思わせる、あるいは川上氏の著書によって鳥類に興味を持った読者層を意識した、
と思わざるを得ない「あざとさ」を感じる。
実際は、本書は鳥にとどまらず魚類、爬虫類、哺乳類などなど様々な生物を対象として紹介している。
とはいえ、鳥類についてはそれなりにページを割いている。
興味深い事例として日本のカラスのエピソードが挙げられている。ワタリガラスが口にクルミを道路の上に置き、車に踏ませて殻を割り、さらには歩行者信号が青になるのを待って(つまり車が来ない状態で)実を回収した。という話だ。
カレドニアガラスは、小枝やパンダナスの葉から複雑な道具を作り、木の穴の中にいるミミズをひっかけるらしい。
他の生物では、ナゲナワグモは好物のダニを捕えるのに、メスダニの出すフェロモンに似た物質を放出し、誘引されたオスダニに投げ縄のような糸を投げつけて動けなくして引寄せ狩りを終える。
ワニが小枝をおとりに鳥を捕まえる?シラサギが繁殖期に巣作りを始める時、ワニはその材料となる枝を口に咥え、その枝を取ろうとした鳥に飛びかかる。なんてことだ!
メジロダコは、人が捨てた二つ割りにされたココナツの殻を隠れ家がわりにして深くまで泳ぐという。よってココナツダコとも呼ばれている。
原著のタイトル通り、象の記憶力の高さについても触れている。
まだまだ多くの生物の知能が紹介されており、驚嘆するばかりである。

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鳥頭なんて誰が言った?:動物の「知能」にかんする大いなる誤解 単行本(ソフトカバー) – 2019/5/23
エマニュエル プイドバ
(著),
松永 りえ
(翻訳)
まえがき:イヴ・コパン(化石人類「ルーシー」の発見者)
鳥はすぐにものを忘れる、知能の低い動物だとよく言われる。
しかし、行動生物学研究によれば、この俗説はまちがっている。
記憶力に限った話ではない。戦略的にサバ漁を行なうカンパチ、
タオルを使うツル、投げ縄づかいのクモ……
実に多様な「知恵」のありかたを見せつけられると、
動物の知能についての私たちの常識は、いとも簡単に揺らいでしまう。
気鋭のフランス人行動生物学者が
自らのフィールドワークなどから得た豊富な実例をもって
興味深く語るポピュラー・サイエンス。
- 本の長さ262ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2019/5/23
- ISBN-104152098619
- ISBN-13978-4152098610
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
鳥はすぐにものを忘れる、知能の低い動物だとよく言われる。しかし、行動生物学研究によれば、この俗説はまちがっている。記憶力に限った話ではない。戦略的にサバ漁を行なうカンパチ、タオルを使うツル、投げ縄づかいのクモ…実に多様な「知恵」のありかたを見せつけられると、動物の知能についての私たちの常識は、いとも簡単に揺らいでしまう。気鋭のフランス人行動生物学者が自らのフィールドワークなどから得た豊富な実例をもって興味深く語るポピュラー・サイエンス。
著者について
◎著者紹介
エマニュエル・プイドバ(Emmanuelle Pouydebat)
フランス国立科学研究センターの研究主任で、フランス国立自然史博物館に勤務。
専攻は行動の進化で、動物行動学、形質人類学、生物力学、
機能形態学にまたがる学際的な研究を行なう。
本書はフランス高等教育・研究・イノベーション省主催
「科学の醍醐味賞」科学書部門の2017年度最終候補となった。
◎訳者略歴
松永りえ(まつなが・りえ)
1971年生。上智大学外国語学部フランス語学科卒。翻訳家。
訳書にヴィラーニ『定理が生まれる』(共訳)、ジャン『エル ELLE』、
ハマ『死せる獣―殺人捜査課シモンスン――』、
マクロン『革命 仏大統領マクロンの思想と政策』(共訳)ほか多数。
エマニュエル・プイドバ(Emmanuelle Pouydebat)
フランス国立科学研究センターの研究主任で、フランス国立自然史博物館に勤務。
専攻は行動の進化で、動物行動学、形質人類学、生物力学、
機能形態学にまたがる学際的な研究を行なう。
本書はフランス高等教育・研究・イノベーション省主催
「科学の醍醐味賞」科学書部門の2017年度最終候補となった。
◎訳者略歴
松永りえ(まつなが・りえ)
1971年生。上智大学外国語学部フランス語学科卒。翻訳家。
訳書にヴィラーニ『定理が生まれる』(共訳)、ジャン『エル ELLE』、
ハマ『死せる獣―殺人捜査課シモンスン――』、
マクロン『革命 仏大統領マクロンの思想と政策』(共訳)ほか多数。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
プイドバ,エマニュエル
フランス国立科学研究センターの研究主任で、フランス国立自然史博物館に勤務。専攻は行動の進化で、動物行動学、形質人類学、生物力学、機能形態学にまたがる学際的な研究を行なう。『鳥頭なんて誰が言った?―動物の「知能」にかんする大いなる誤解』はフランス高等教育・研究・イノベーション省主催「科学の醍醐味賞」科学書部門の2017年度最終候補となった
松永/りえ
1971年生。上智大学外国語学部フランス語学科卒。翻訳家。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
フランス国立科学研究センターの研究主任で、フランス国立自然史博物館に勤務。専攻は行動の進化で、動物行動学、形質人類学、生物力学、機能形態学にまたがる学際的な研究を行なう。『鳥頭なんて誰が言った?―動物の「知能」にかんする大いなる誤解』はフランス高等教育・研究・イノベーション省主催「科学の醍醐味賞」科学書部門の2017年度最終候補となった
松永/りえ
1971年生。上智大学外国語学部フランス語学科卒。翻訳家。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2019/5/23)
- 発売日 : 2019/5/23
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 262ページ
- ISBN-10 : 4152098619
- ISBN-13 : 978-4152098610
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,101,882位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,629位動物学
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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2019年8月25日に日本でレビュー済み
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2023年1月18日に日本でレビュー済み
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鳥の脳力についての本ではない。人間や動物の道具使用や知能をめぐる常識を覆す。
著者のエマニュエル・プイドバ(女性)は1973年生まれ。専門は先史人類学、パリの自然史博物館の研究者だ。
人類の石器使用の痕跡は330万年前にさかのぼる。使っていたのはおそらくアウステラロピテクス。そこには人間の知性の萌芽が垣間見える……ふつうはそのように考える。でも、はたしてそうだろうか。石器を使い始めたということがほんとうにそんなに画期的で、それは知性の表われなのだろうか。素人の疑問ではない。プイドバは石器研究のプロ。本書では、この疑問を出発点にして、自身の研究の土台を根底からひっくり返す。
石を道具として使うことは、動物界では珍しいことではない(例は枚挙にいとまがないほどある)。それに植物や動物性の道具もよく使われる。だとすると、石器使用は知能の指標になるのか。そもそも、知能とは人間社会を生きる上でのひとつの能力の指標とされてきたのに、それをまったく別の環境で生きる動物に適用してよいのか。
最初は半信半疑で読み出したが、目から鱗。最後はプイドバの深い考察に納得する。
著者のエマニュエル・プイドバ(女性)は1973年生まれ。専門は先史人類学、パリの自然史博物館の研究者だ。
人類の石器使用の痕跡は330万年前にさかのぼる。使っていたのはおそらくアウステラロピテクス。そこには人間の知性の萌芽が垣間見える……ふつうはそのように考える。でも、はたしてそうだろうか。石器を使い始めたということがほんとうにそんなに画期的で、それは知性の表われなのだろうか。素人の疑問ではない。プイドバは石器研究のプロ。本書では、この疑問を出発点にして、自身の研究の土台を根底からひっくり返す。
石を道具として使うことは、動物界では珍しいことではない(例は枚挙にいとまがないほどある)。それに植物や動物性の道具もよく使われる。だとすると、石器使用は知能の指標になるのか。そもそも、知能とは人間社会を生きる上でのひとつの能力の指標とされてきたのに、それをまったく別の環境で生きる動物に適用してよいのか。
最初は半信半疑で読み出したが、目から鱗。最後はプイドバの深い考察に納得する。