町田康は,最初の一行でいきなり読者を引きつける。
このレビューのタイトルは,本書収録の「けものがれ,俺らの猿と」の出だしの一文だが,
おおお!何だ何だ!何がおこりやがるのだ?と興味を引かれるじゃありませんか。
主人公は,一見いい加減なようでいて,実は自分のモラルを持っており,主人公よりも遙かに独特な個性をもつ変な奴らが登場し
主人公が否応なくそこに巻き込まれていく課程が実に不条理で最高に可笑しい。
そしてついに,理不尽な状況下で「自分はとにかく頑張る。この局面さえ乗り切れば俺は大暴れ,全人的に解放されて好き放題をやってこます。と自らに言い聞かせる」という心境に至る。
町田康の各作品群は,このような巻き込まれ型タイプが多く,巻き込まれながらも何とかその状況を受け入れ,ここを乗り切ればなんとかなると頑張るのだけれども,結局思うようにならないというもどかしさ,そして,その先で燦然と輝く最高傑作「告白」へと発展するのだと思うと何だか感慨深い気持ちもするのだがいかがであろうか。

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屈辱ポンチ 単行本 – 1998/12/7
町田 康
(著)
友人に頼まれて復讐する事になった「オレ」と手下の帆一との珍道中を描く表題作に、「けものがれ、俺らの猿と」を収録する最新短篇集
- 本の長さ180ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日1998/12/7
- ISBN-104163181709
- ISBN-13978-4163181707
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
狂っているのは、世界なのか、それとも「オレ」なのか? 友人に頼まれて復讐することになった「オレ」と手下の帆一との珍道中を描く標題作のほか、「けものがれ、俺らの猿と」を収録する。
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (1998/12/7)
- 発売日 : 1998/12/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 180ページ
- ISBN-10 : 4163181709
- ISBN-13 : 978-4163181707
- Amazon 売れ筋ランキング: - 609,573位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 14,394位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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作家、ミュージシャン。1962年大阪生まれ。高校時代より町田町蔵の名で音楽活動を始める。97年に処女小説『くっすん大黒』で野間文芸新人賞、 Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2000年には「きれぎれ」で芥川賞を受賞する。01年詩集『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、02年「権現の踊り 子」で川端康成文学賞を受賞、05年『告白』で谷崎潤一郎賞、08年『宿屋めぐり』で野間文芸賞を受賞した(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 あなたにあえてよかった―テースト・オブ・苦虫〈8〉 (ISBN-13: 978-4120041235 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年12月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2012年7月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
町田氏は不条理な世界を書かせたら面白い。
怖いくらいに凶悪狂暴の世界。「けものがれ〜」は
何たる世界か、訳が分からない。ダメ人間を書かすと
町田氏は面白くもあり、狂暴である。
怖いくらいに凶悪狂暴の世界。「けものがれ〜」は
何たる世界か、訳が分からない。ダメ人間を書かすと
町田氏は面白くもあり、狂暴である。
2014年3月2日に日本でレビュー済み
町田康の小気味好い一人称の語りは、本書においてもやはり健在であり、おかげで読者は声を上げるほどに笑ったり、あるいはにやにやしてしまうことだろう。
いわゆる私小説を読むとき、読者は主人公とある一定の距離感を保ちながら小説を読んでいく。どこかに文語体が挟まれることで、一旦小説の舞台からせり出した主人公は、また小説の中に落ち着くのである。ところが町田康の小説は、どこまでも口語体の語りゆえに、主人公が小説の中から飛び出したままとなり、非常に緊迫した臨場感に満ちているのである。本書に書かれた専ら口語体の羅列を読むと、時おり今読んでいるものが、小説の中の活字であることを忘れてしまうが、それはまさに小説から浮かび上がった主人公と近接しているからにほかならないのである。
いわゆる私小説を読むとき、読者は主人公とある一定の距離感を保ちながら小説を読んでいく。どこかに文語体が挟まれることで、一旦小説の舞台からせり出した主人公は、また小説の中に落ち着くのである。ところが町田康の小説は、どこまでも口語体の語りゆえに、主人公が小説の中から飛び出したままとなり、非常に緊迫した臨場感に満ちているのである。本書に書かれた専ら口語体の羅列を読むと、時おり今読んでいるものが、小説の中の活字であることを忘れてしまうが、それはまさに小説から浮かび上がった主人公と近接しているからにほかならないのである。
2016年3月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
町田康のテンポ感を感じれる。疾走感。話しの推進力がとにかく凄い。
2014年6月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文章のクセが強すぎて、読了できずに売ってしまいました。ホントに内容が頭に入ってこなかった…。
2011年1月13日に日本でレビュー済み
町田康の短編では、最高傑作かも・・・。
タイトル作では無いのですが、かなりの力作!
この諧謔精神は半端じゃない。
最後の主人公が喫茶店の店員になりきっているところなんかは、笑いが止まりませんでした。
この頃は、作家として、町田康自身、油がのりきっていたのではないのでしょうか?
そう思ってしまう位、強烈な文学的グルーヴがあります。
タイトル作は、本の3分の1位の小品ですが、この作家らしい、くだらない展開が良いです。
ただ、「けものがれ、俺らの猿と」程ではないかも・・・。
そのくらい、この作品は面白かった。
僕は、まだ、「告白」「宿屋めぐり」などは、読んでいないのですが、この「けものがれ、俺らの猿と」を超えるほどの作品なのか、凄く楽しみです。
そろそろ、この2作を読んでみます!!
タイトル作では無いのですが、かなりの力作!
この諧謔精神は半端じゃない。
最後の主人公が喫茶店の店員になりきっているところなんかは、笑いが止まりませんでした。
この頃は、作家として、町田康自身、油がのりきっていたのではないのでしょうか?
そう思ってしまう位、強烈な文学的グルーヴがあります。
タイトル作は、本の3分の1位の小品ですが、この作家らしい、くだらない展開が良いです。
ただ、「けものがれ、俺らの猿と」程ではないかも・・・。
そのくらい、この作品は面白かった。
僕は、まだ、「告白」「宿屋めぐり」などは、読んでいないのですが、この「けものがれ、俺らの猿と」を超えるほどの作品なのか、凄く楽しみです。
そろそろ、この2作を読んでみます!!
2005年2月16日に日本でレビュー済み
収録されている2編の小説は、まるでパンク・ミュージックのように、最後までハイテンションで突っ切ります。
その独特の世界に感服しました。こんな発想は一体どこから出てくるのだろうかというくらい、最高に奇抜で独特な世界が構築されています。
それは、くだらない事を必死に考えに考え抜いた末に、出来上がった世界なのです。
一つ一つのネタが、いい意味でくだらなさのMAXを振り切っている感じです。
また、すばらしいなと思ったのは、主人公に最低限の道徳観を持たせた点です。わかりやすく言うならば、主人公は「つっこみ」の役目を果たしています。本作は、どいつも好き勝手やってばかりの「ボケ」ばかりですが、そこにちゃんと主人公が「つっこみ」を入れることで我々一般人にも感情移入する余地を作者は与えてくれています。
そのバランス感覚が見事です。私は、本作が町田康氏の初体験でしたが、そんな氏の才能に感服いたしました。
その独特の世界に感服しました。こんな発想は一体どこから出てくるのだろうかというくらい、最高に奇抜で独特な世界が構築されています。
それは、くだらない事を必死に考えに考え抜いた末に、出来上がった世界なのです。
一つ一つのネタが、いい意味でくだらなさのMAXを振り切っている感じです。
また、すばらしいなと思ったのは、主人公に最低限の道徳観を持たせた点です。わかりやすく言うならば、主人公は「つっこみ」の役目を果たしています。本作は、どいつも好き勝手やってばかりの「ボケ」ばかりですが、そこにちゃんと主人公が「つっこみ」を入れることで我々一般人にも感情移入する余地を作者は与えてくれています。
そのバランス感覚が見事です。私は、本作が町田康氏の初体験でしたが、そんな氏の才能に感服いたしました。
2013年12月31日に日本でレビュー済み
町田康をちゃんと読んだのはこれが初めて。筒井康隆が高く評価していたので、読んでみることにした。文体、リズム、擬音は筒井康隆に近いものがある。ただ、筒井康隆がジャズなら町田康はパンクなので、違った味わいがありどちらも楽しめる。