私は昔からの紅楼夢ファンで、この本はミステリー仕立てというところに好奇心を掻き立てられた衝動買いでしたが、買って大正解だったと思います。
紅楼夢という題材の面においては、主な人物関係や主人公たちのキャラクター、名場面(限られたいくつかの場面だけではあるが)などがとてもわかりやすくギュッとまとめられており、内容的には大変面白いが体系的には一見してまとまりがないという紅楼夢のとっつきにくい点をみごとに克服しています。紅楼夢が初めてという方でも、これを読めばだいたいの主人公のキャラクターや物語の筋がなんとなく身につくのではないかと思います。
ミステリー仕立てという面においても、なかなか完成度の高いミステリーに仕上がったのではないかと思います。恐らく紅楼夢をよく知る人でも全く知らない人でも、ワクワクして一気に読めるのではないでしょうか。最後に明かされる真相はちょっぴり夢のあるもので、読んだあとは不思議とスッキリしました。
欲をいえば…おすすめではありますが、これはあくまでも紅楼夢を「改編」した「ミステリー小説」なので、この本から紅楼夢に興味を持ったという方には、ぜひ原作も読んでいただきたいです。もっとたくさんの美しい場面や面白い場面、教科書などには決して載っていないきれいな漢詩などがありますし、やはり殺人事件のぞくっとする場面よりは、原作本来の美しい名場面のほうを心に残していただきたいので…
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紅楼夢の殺人 (HONKAKU mystery masters) 単行本 – 2004/5/26
芦辺 拓
(著)
80周年記念出版 栄華を極めた人工空間・大観園で殺人が!
中国きっての奇書『紅楼夢』の世界を背景に、貴公子や美少女ら多彩な人々が栄華から没落へ向かう大邸宅で繰りひろげる神秘の殺人劇
中国きっての奇書『紅楼夢』の世界を背景に、貴公子や美少女ら多彩な人々が栄華から没落へ向かう大邸宅で繰りひろげる神秘の殺人劇
- 本の長さ436ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2004/5/26
- ISBN-104163213708
- ISBN-13978-4163213705
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
絶世の貴公子と少女たちが遊ぶ理想郷で、謎の詩句に導かれるように起こる連続殺人の真相とは? 中国四大奇書のひとつ「紅楼夢」を背景に、栄華から没落へ向かう大邸宅で繰り広げられる奇怪な殺人絵巻。
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2004/5/26)
- 発売日 : 2004/5/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 436ページ
- ISBN-10 : 4163213708
- ISBN-13 : 978-4163213705
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,338,613位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 238,062位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年9月22日に日本でレビュー済み
中国四大奇書に並ぶ評価をされている「紅楼夢」を題材にし、その名場面を上手く散りばめ探偵小説として仕上げています。
元勲の一族である賈家「栄国府」の二男の息子「宝玉」、舞台は、貴妃になった宝玉の姉「元春」の里帰りのために莫大な費用を掛けて造営された「大観園」。
この世のものとは思えぬこの楽園に住むのは、林黛玉、薛宝釵、迎春、惜春、探春等の美女・美少女ばかりで、男性は「宝玉」一人。
この桃源郷のような「大観園」で美少女連続殺人事件が起こります。
事件を解決すべく刑部の官僚「頼尚栄」が探偵として登場しますが、非現実的な現象、華麗なトリックをどのように暴いてく行くのでしょう?
私の推理はすっかり外れてしまいました。
独特の世界を是非味わってみて下さい。
以前から「紅楼夢」には興味があったのですが、是非読んでみたいと思います。
元勲の一族である賈家「栄国府」の二男の息子「宝玉」、舞台は、貴妃になった宝玉の姉「元春」の里帰りのために莫大な費用を掛けて造営された「大観園」。
この世のものとは思えぬこの楽園に住むのは、林黛玉、薛宝釵、迎春、惜春、探春等の美女・美少女ばかりで、男性は「宝玉」一人。
この桃源郷のような「大観園」で美少女連続殺人事件が起こります。
事件を解決すべく刑部の官僚「頼尚栄」が探偵として登場しますが、非現実的な現象、華麗なトリックをどのように暴いてく行くのでしょう?
私の推理はすっかり外れてしまいました。
独特の世界を是非味わってみて下さい。
以前から「紅楼夢」には興味があったのですが、是非読んでみたいと思います。
2005年2月17日に日本でレビュー済み
高校生の時に「紅楼夢」にハマり、甘く退廃的な雰囲気に酔いたく、その後幾度も読み返しております。
原作は長編ではありますが、「三国志」「水滸伝」「金瓶梅」に比べても非常にとっつきやすく、決して難しい文学ではありません。
本作では、謎解きで明かされる伏線が唐突過ぎて、原作を未読の人には置いてけぼりの気分をくわされ、原作を熟知している側の人には推理も何もあったもんじゃない・・・という感想を持たれるのではないでしょうか。
文体も人物描写も、原作ではもっと上品でした。買宝玉だって、あんなわざとらしいカッコつけの美少年ではありません。これではまるでハウルです。
でもこれをきっかけに、紅楼夢ファンが多くなってくれれば、沢山関連本が出版されるかもしれませんね。楽しみです。
原作は長編ではありますが、「三国志」「水滸伝」「金瓶梅」に比べても非常にとっつきやすく、決して難しい文学ではありません。
本作では、謎解きで明かされる伏線が唐突過ぎて、原作を未読の人には置いてけぼりの気分をくわされ、原作を熟知している側の人には推理も何もあったもんじゃない・・・という感想を持たれるのではないでしょうか。
文体も人物描写も、原作ではもっと上品でした。買宝玉だって、あんなわざとらしいカッコつけの美少年ではありません。これではまるでハウルです。
でもこれをきっかけに、紅楼夢ファンが多くなってくれれば、沢山関連本が出版されるかもしれませんね。楽しみです。
2004年12月26日に日本でレビュー済み
本作は、中国の四大小説の1つである「紅楼夢」を題材に、その設定や登場人物をそのまま用いて長編ミステリーに仕上げたものです。作中、「紅楼夢」の名場面などもさり気なく組み込まれており、原作の雰囲気が巧く活かされていると思います。
主人公は元勲貴顕の名家に生を受けた絶世の美少年で、やはり美しい幾多の姉妹・従姉妹たち共に、贅と風流を尽くした庭園邸宅「大観園」で華やかな暮らしを送っています。永遠に続くかと思われた華やかな日々ですが、「大観園」の内外では様々な思惑と愛憎が渦巻いており、謎と悲劇が打ち続くなか、彼らの生活も徐々に変化を遂げていきます。
原作とも言うべき「紅楼夢」そのものは、大部で登場人物も多い上、清代中国の風俗習慣などを詳述したり、話が詩詞の評論に及んだりするといったヤッカイな小説です。文学的価値の高さは誰しも認めるものの、とにかく取っ付き難いので、我が国では必ずしも多くの人々に愛読されるところとはなっていません。その「紅楼夢」を本作のように「俗」な形でリメイクすることについて違和感を覚える向きもあるかもしれません。他方、あの難しい原作をいきなり読むのもキツイ話で、その前に、本作のようなカジュアルなものを入門書代りに楽しく読んでおくというのも良い考えかも知れません。また、原作との関係云々といった無粋なことは置いておいて、純然たるミステリーとしてもそこそこ楽しく読めます。
いずれにしても、「紅楼夢」の原作に興味がある人にもない人にも、一読をオススメしても良いかなと思うような本です。
主人公は元勲貴顕の名家に生を受けた絶世の美少年で、やはり美しい幾多の姉妹・従姉妹たち共に、贅と風流を尽くした庭園邸宅「大観園」で華やかな暮らしを送っています。永遠に続くかと思われた華やかな日々ですが、「大観園」の内外では様々な思惑と愛憎が渦巻いており、謎と悲劇が打ち続くなか、彼らの生活も徐々に変化を遂げていきます。
原作とも言うべき「紅楼夢」そのものは、大部で登場人物も多い上、清代中国の風俗習慣などを詳述したり、話が詩詞の評論に及んだりするといったヤッカイな小説です。文学的価値の高さは誰しも認めるものの、とにかく取っ付き難いので、我が国では必ずしも多くの人々に愛読されるところとはなっていません。その「紅楼夢」を本作のように「俗」な形でリメイクすることについて違和感を覚える向きもあるかもしれません。他方、あの難しい原作をいきなり読むのもキツイ話で、その前に、本作のようなカジュアルなものを入門書代りに楽しく読んでおくというのも良い考えかも知れません。また、原作との関係云々といった無粋なことは置いておいて、純然たるミステリーとしてもそこそこ楽しく読めます。
いずれにしても、「紅楼夢」の原作に興味がある人にもない人にも、一読をオススメしても良いかなと思うような本です。
2010年3月8日に日本でレビュー済み
2004年に出た単行本の文庫化。
中国の四大小説のひとつ『紅楼夢』を下敷きにしたミステリ。著者が大ファンであり、10年間もあたためていたアイデアというから、そのつくりこみには凄いものがある。『紅楼夢』が好きな読者なら、二重に楽しめるだろう。
残念ながら私は『紅楼夢』は読んでいないので、充分に楽しむことは出来なかった。そういった読者は、せめて、巻末の解説に先に目を通して一通りの知識を得てから本文に取りかかるべきと反省している。
結末は思いもよらないもの。衝撃的だ。
中国の四大小説のひとつ『紅楼夢』を下敷きにしたミステリ。著者が大ファンであり、10年間もあたためていたアイデアというから、そのつくりこみには凄いものがある。『紅楼夢』が好きな読者なら、二重に楽しめるだろう。
残念ながら私は『紅楼夢』は読んでいないので、充分に楽しむことは出来なかった。そういった読者は、せめて、巻末の解説に先に目を通して一通りの知識を得てから本文に取りかかるべきと反省している。
結末は思いもよらないもの。衝撃的だ。
2008年1月12日に日本でレビュー済み
中国四大奇書の一つ『紅楼夢』の登場人物や舞台はそのままに、
ミステリーの要素を加味した幻想的な作品です。
賈宝玉と頼尚栄を探偵役として、本来の物語では殺されるはずの
ない人たちが次々と殺されていき、その度に奇怪なことが起きます。
文体が中国風で、すごく雰囲気が出てました。
全てが解決し終わると、なるほど、と納得できる結末でしたが、
ラストの部分は、なんだかぼんやりとしてしまいました。
中国の名前に馴染みが薄いので、覚えるのが大変でしたが、最初から
最後まで楽しめる作品でした。
ミステリーの要素を加味した幻想的な作品です。
賈宝玉と頼尚栄を探偵役として、本来の物語では殺されるはずの
ない人たちが次々と殺されていき、その度に奇怪なことが起きます。
文体が中国風で、すごく雰囲気が出てました。
全てが解決し終わると、なるほど、と納得できる結末でしたが、
ラストの部分は、なんだかぼんやりとしてしまいました。
中国の名前に馴染みが薄いので、覚えるのが大変でしたが、最初から
最後まで楽しめる作品でした。
2008年1月22日に日本でレビュー済み
芦辺拓は、『明智小五郎対金田一耕助』ではじめて作品を読みました。その作品でも横溝正史や江戸川乱歩の作品世界を自家薬籠中のものにしていましたが、この『紅楼夢の殺人』も、かの中国の古典を活かしつつ、ミステリーの世界に作っています。特に宝玉がいい味を出しています。原作は岩波文庫で、学生時代に1度読んだだけなので、どこまでがそれでどこからが『紅楼夢の殺人』なのか、記憶の中で混然としてしまいました。
本格とはいえませんが、とにかく面白く一気に読めます。
本格とはいえませんが、とにかく面白く一気に読めます。