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タンノイのエジンバラ 単行本 – 2002/12/6
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋社
- 発売日2002/12/6
- ISBN-104163214909
- ISBN-13978-4163214900
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商品の説明
商品説明
同じ団地の隣家に住む風変わりな女の子の世話を押しつけられた男と彼女との、ひと晩の交感を描いた「タンノイのエジンバラ」。3人姉弟と義理の母親との確執を描いた「夜のあぐら」。半年前に結婚した主人公と妻、半年前に離婚した主人公の姉の3人組によるバルセロナ観光の物語「バルセロナの印象」。そして、パチンコ屋の景品係としてアルバイトをする主人公女性のバイト仲間との日常にスポットを当てた「三十歳」。現代家族と個人の関係のありようが、長嶋有ならではの独特の視点と状況設定によって描かれる。
作者の筆が描き出すのは、失業中の男と少女の束の間の疑似家族的な関係であり、普段は疎遠の姉弟が目的を達成するためにいっとき結束することから始まるドラマであり、海外という逃げ場のない空間での肉親者同士の緊張関係であり、著者自身の年齢にも重なる30歳という微妙な年齢に達した女性の内面の物語である。
長嶋文学の核心には家族小説の枠組みがあるが、この短編集でも家族ならではの微妙な距離感や感情のせめぎ合いが、物語のバリエーションを形づくる動機となっている。漫画家の高野文子による印象的な挿画と本文イラストも、現代的な技巧性に満ちあふれた作品世界にフィットしている。(榎本正樹)
内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋社 (2002/12/6)
- 発売日 : 2002/12/6
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 208ページ
- ISBN-10 : 4163214909
- ISBN-13 : 978-4163214900
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,194,470位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 27,617位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
1972年生まれ。2001年に「サイドカーに犬」で第92回文學界新人賞を受賞しデビュー。02年に「猛スピードで母は」で第126回芥川賞を受賞、07年に『夕子ちゃんの近道』で第1回大江健三郎賞を受賞した(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 エロマンガ島の三人 (ISBN-13: 978-4167693046 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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題名からして素敵だわ。
短編集でしたが、彼の小説を読むだに、温かな家族愛が感じられます。ひねてない。私と全然違うから惹かれます。゛夜のあぐら゛のゲイラカイトなんて!!まぁ。知っている方は私と同年代ね!ぺらっとした良く上がる タコ。兄弟で集まる。みんな別々な生き方で、血が繋がっていようと、個々でしかない。自分で感じ学び咀嚼し人生を一度きりしかない刹那的なこの地獄天国極楽阿鼻叫喚の世の中を一人で、歩いていくしかない。そして、許し易い血。
そんな、判っている事をちゃんと判っている方ですから、文章が頭に入り文化的なものすら共感出来る。゛感傷(!)が、現状を改善することは無い…゛(三十歳。)です。でも、ひとは、感傷で涙し祈り愛する。判っているのかというと、私自身は、全然何もかもメチャメチャな人間なので、少なくとも彼に共感は、出来るまで来たかなと。
尊敬してしまいます。作家。そして長嶋有さん。
淡々とした話の展開に盛り上がりとかは決して感じられないのだけれど、
だからこそ逆に、少しずつ積み重なっていく人物像に思わずシンクロしてしまう。
強くないけど優しい想い、自分の性格に戸惑を持ち続けていることなど、
それぞれの人間らしさが、静かにじわっと伝わってくる作品ばかりでした。
「サイドカーに犬」が好きな読者はいいかも。
こういうの長嶋さんはとても巧いと思う。
読了後は、雨あがりに陽射しを垣間見た気分になりました。
登場してくる固有名詞について、福永信は「居心地の悪さ」として解説いているけれど、ぼくはこの作家特有の文体のリズムをもたらすアクセントとして作用しているように思う。また、スピーカーやオーディオメーカーのこともほとんど知らないのだが、タンノイのエジンバラというスピーカーやCD、漫画や小説のタイトルや作家名、バルセロナの観光地や建築家の固有名詞などがテンポよく次々とでてくるのもおもしろいと思った。
ここでは4つの短編、すなわち「タンノイのエジンバラ」「夜のあぐら」「バルセロナの印象」「三十歳」という物語が収められているのだが、いずれも甲乙つけがたい代物でおもしろい。
唐突にも隣に住む小学生の娘を預かることになった失業中の男、“ちぐはぐな”その娘とのやりとりを描いた表題作の「タンノイのエジンバラ」。真夜中、実家の金庫を盗むことになる三姉弟の不器用で滑稽ともいえる感情の動きと切羽詰まった挙句の行動がおもしろい「夜のあぐら」。半年前、離婚した姉を元気づけるという大義名分があるにはあったが、「どこにもいかないなら、いってもいい」と妻に告げる“ちぐはぐな”動機で出かけたバルセロナへの旅行でのちぐはぐなエピソードや出来事を描いた「バルセロナの印象」。部屋いっぱいの大きなグランドピアノの下で寝ている秋子三十歳のちぐはぐな日常を描いた「三十歳」。
3.11の大震災以後、絆とか家族との繋がりということが注目されたけれど、ここではその繋がりの一方で離婚、フリーター、バイト生活、隣家との希薄な関係などといった時代を象徴する典型的な設定が用意されている。
だが、文章それ自体の起伏はほとんどなく平たんそのもの、淡々とした日常の時間の流れと会話が進行しているに過ぎない。“ちぐはぐな”様子として客観的には受けとれるけれど、当然ながら当事者たちにその客観性はないし意識もない。テンポの良いリズムとともに平たんな時間と会話が流れていく。もしかしたら、そこがいいようのない笑いを感じさせ滑稽さをもたらすのかもしれない。
他愛のないやりとりとはいえ物語の当事者たちはいずれもまじめで本気そのもの、それが滑稽さだけでなく切なさと哀しさを感じさせる、と言い換えてもいい。
だが、本著ではどことなく刹那的にみえる日常の価値観に支えられているようでもありそれは見事というほかない。それゆえに、この時代の気分を描いた傑出した小説といえるのではないか。芥川賞受賞後の注目の作品とあるけれど、なるほどこれは必見ものといって不思議ではない。
旅先で登場人物たちが別行動、はじめてひとつになるところ、
主人公が怒り出してとまらないところ。
友人と行った猛暑イタリア貧乏旅行の思い出と交じり合って
読むたび、なんとも言えない思いが胸に込み上げます。
そして美装丁。解説もよい。
タンノイもビックカメラの有楽町店に聴きにいきました。
だけど、年齢的・やる気なさ的にどうにもこうにも自分に重ねて読んで
しまいがちだ。所謂「ちょっと冷めた感じ」の性格で積極性を発揮する
ことなど滅多にないようなヌボーッとした人たちが、隣家の女の子を
押し付けられてあずかるはめになったり、実家の金庫を盗みに行くはめに
なったりする。
私は通ではないので知らなかったが、タンノイのエジンバラとはイギリス
タンノイ社というオーディオメーカーのことで、エジンバラとはそこで
製作されたAV機器であった。この製品は実在し、インターネットでついつい
その実像を眺めてしまった。昨年で販売中止となったらしいこの勇姿も
登場するこの短編は、淡々と日常を描いているようでしっかりとした
後味が読者には残ると思う。
自分も今や立派な30代。なにか大きな目標をもって進んだことのない人間
だけに、どこかしら主人公には励まされるような気がしないでもない。
考え事が多かったり、自分の生活がうまくいってない時などに、惹かれるようにこの短編小説を手に取ってしまうことが、たまにあります。
つまらないような日常を送る人たちですが、その人たち自身がつまらない分けではもちろんなく、読み終えると、じん、とします。今の時代を描く、ことに成功していると思います。
さらさらと流れていきますが、内容は薄くありません。