『銀齢の果て』の読後にも感じたが、
御大は意固地になって“一般的に”差別用語とされている語を
使おうとしているように思えてならない。
一応このことは指摘しておく。
……おくけれど、そのことがこの作品の価値を下げるものでは、ない。
僕は文学者ではないので、こんな卑近な表現しか出来ませんが、
ミルフィーユのごとく、もしくはラザニアのごとく、
「虚構現実」のうえに「現実虚構」を重ね、
「虚構虚構」で味付けしたら「現実現実」が出来上がった。
そういう感じの作品でしょうか。
文学界の現状に、御大はYESともNOとも言いかねているのだと思う。
だけれども「俺は俺。死ぬまでこういう作品を書いていくんだもんね〜」と
宣言しているかのような、「筒井、いまだ老いず」を証明する作品。
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巨船ベラス・レトラス 単行本 – 2007/3/16
筒井 康隆
(著)
出版不況、文学の衰退……。この船のさだめは、海の底へ導かれているのか。「大いなる助走」から30年。鬼才のおそるべき文学作品
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2007/3/16
- ISBN-104163256903
- ISBN-13978-4163256900
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2007/3/16)
- 発売日 : 2007/3/16
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 208ページ
- ISBN-10 : 4163256903
- ISBN-13 : 978-4163256900
- Amazon 売れ筋ランキング: - 314,571位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 7,638位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。
1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1997年、パゾリーニ賞受賞。他に『家族八景』『邪眼鳥』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』など著書多数。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年2月27日に日本でレビュー済み
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虚構の壁を突破するという技術的な意味では、「朝のガスパール」に近いものがあるが、この作品には明確なストーリーがありません。「虚構のなかで虚構を考える小説をテーマにした作品」と作者が書いているように、この作品では、小説について様々なことが語られますが、ごく簡単に表現すると、小説について考える座談会の寄せ集めのような感じを受けます。
しかし、作者が一番伝えたいことは、「満腹亭へようこそ」という筒井氏の短編集を勝手に出版した北宋社の著作権侵害事件に対する怒りと社会への周知であり、つまりは怨念で書かれた小説だということです。それ以外の9割方を占める小説の話は、既読感もあったりする、ほとんど付け足しといってもいい内容だと思います。
しかし、作者が一番伝えたいことは、「満腹亭へようこそ」という筒井氏の短編集を勝手に出版した北宋社の著作権侵害事件に対する怒りと社会への周知であり、つまりは怨念で書かれた小説だということです。それ以外の9割方を占める小説の話は、既読感もあったりする、ほとんど付け足しといってもいい内容だと思います。
2022年5月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ところが「ツツイスト」の末席あたりに存在する(同時に「文学世界」の末端に存在している)一読者の私は、この「巨船べラス・レトラス」を今(2022年5月現在)になって読んだのである。何故かと言うと、この作品が出版された2007年頃、自分は筒井康隆の本に限らず「読書」(すなわち「文学活動」)をしていない時期だったからである。そういうのってバイオリズムがあるでしょ。たとえどれほど自分が好きなものごと(活動、対象物)であっても。
55歳の中年(初老?)の現在、人生で何度目かの「読書指向期」が訪れているようなので、未読で以前から気にはなっていたこの作品をkindleで先ずは立ち読み(試し読み)、途中、これが立ち読みであることを忘れるくらい没頭して読んでいたら途中で読めなくなったので(立ち読みだから)、その先を読みたいと思ったので購入(購入すれば全部読めるので)。
あの、十代から二十代(及び三十台)にかけて味わったワクワクの「ツツイ体験」(没頭して一気読み)を久しぶりに体験できた僥倖。
ただ今度は、あの頃より、より高度な読書体験として。
作家(この場合、筒井康隆)も読者(この場合、私)も、進化していたのだなあ。
内容に関するレビューは書かない(面倒くさいので)。
単に、若いころから筒井康隆のファンであって良かったなあ、と、再認識(だって面白くてためになるので)。
55歳の中年(初老?)の現在、人生で何度目かの「読書指向期」が訪れているようなので、未読で以前から気にはなっていたこの作品をkindleで先ずは立ち読み(試し読み)、途中、これが立ち読みであることを忘れるくらい没頭して読んでいたら途中で読めなくなったので(立ち読みだから)、その先を読みたいと思ったので購入(購入すれば全部読めるので)。
あの、十代から二十代(及び三十台)にかけて味わったワクワクの「ツツイ体験」(没頭して一気読み)を久しぶりに体験できた僥倖。
ただ今度は、あの頃より、より高度な読書体験として。
作家(この場合、筒井康隆)も読者(この場合、私)も、進化していたのだなあ。
内容に関するレビューは書かない(面倒くさいので)。
単に、若いころから筒井康隆のファンであって良かったなあ、と、再認識(だって面白くてためになるので)。
2007年5月13日に日本でレビュー済み
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久しぶりに筒井康隆の新作を読んだ。
文学状況についての筒井康隆の危機感というのは,読んでいて成程と思った。
とはいえ,門外漢にはそこまで。
現代文学についても,現代詩についても暗い私には,もう一つ共感できない内容であった。
主題が共感できないと,筒井康隆の世界を楽しむという以上のものはなかった。
文学状況についての筒井康隆の危機感というのは,読んでいて成程と思った。
とはいえ,門外漢にはそこまで。
現代文学についても,現代詩についても暗い私には,もう一つ共感できない内容であった。
主題が共感できないと,筒井康隆の世界を楽しむという以上のものはなかった。
2018年8月27日に日本でレビュー済み
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老害が愚痴をたれ、作者の愚痴で締める。他の人が書いたら間違いなく星一つでしょうが……それ込みで自虐的に記述したようにも見えどう判断したら良いのか分からない。
作者自身の戒め?なのか、こうはなりたくないという意思表明なのか。読書が趣味という人なら一度は読むべき内容かもしれません、しかし決して面白くない。面白くないことを目指して書かれてるのだとしたら、間違いなく成功でしょう。
変わりたい、変われない。老いてゆく心の叫びなのか……。
作者自身の戒め?なのか、こうはなりたくないという意思表明なのか。読書が趣味という人なら一度は読むべき内容かもしれません、しかし決して面白くない。面白くないことを目指して書かれてるのだとしたら、間違いなく成功でしょう。
変わりたい、変われない。老いてゆく心の叫びなのか……。
2016年2月21日に日本でレビュー済み
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作家自身が登場するのは東海道中膝栗毛の一九先生がおなじみだが、本作品では作中人物まで登場する三重構造でやがて船の中で同じ次元に描かれる。老成した大家の秀作と思わせるのは作品末尾が予定調和を感じさせるため。若かりし頃なら結末にもうひとひねりあったと思うが、これくらいでちょうど収まっているということなのでしょう。
2014年5月9日に日本でレビュー済み
中学生の頃から20代の終わりぐらいまで、読書の愉しみを教えてくれた作家の中心に筒井康隆がいた。その後半の代表作が「大いなる助走」で、当時、何度も直木賞の候補になりながら、結局受賞しなかった経緯もあって、その文藝春秋社から堂々と出版された同作品を、ニヤニヤしながら読んだのを憶えている。
本書の惹句に「巨匠が文壇の内幕を暴露する」だの、「『大いなる助走』に連なる快作」とか書かれているので、これはあの時の感涙を、今一度蘇らせてくれる期待もあって、久しぶりに筒井康隆を読もうと思った。
登場人物の「錣山」「幻麝」「鮪」「韻峨」等々、読みにくい名前も「大いなる助走」に似ていて懐かしい。伊川谷などはおそらく垂水の近くの地名から取ったのだろう。冒頭から筒井康隆で、この人の作品を読む快感が、肌にジンワリと染込んでいく。
相変わらず、章が変わっていないのに、あまつさえ行の余白もないのに場面展開と人物変更がされ戸惑うが、長年読んでいると慣れたものである。
この小説のテーマがほかならぬ「小説」であり、虚構の中で虚構を考えるというメタフィクショナルな要素を兼ね備えている以上、作者筒井康隆もまた虚構内存在として、ひとりの登場人物として書かれるこのテーマに相応しいと思うからである。と云って、後半筒井が登場する段になって、大向こうから、待ってました!と声を掛けたくなったが、内容に大いなる違和感を持った。
著作権の問題そのものは興味深いのだが、流れ的に唐突感がある。延々とここで書く内容なのか。正直、現実に戻って、小説を読むどころではなかった。
本書の惹句に「巨匠が文壇の内幕を暴露する」だの、「『大いなる助走』に連なる快作」とか書かれているので、これはあの時の感涙を、今一度蘇らせてくれる期待もあって、久しぶりに筒井康隆を読もうと思った。
登場人物の「錣山」「幻麝」「鮪」「韻峨」等々、読みにくい名前も「大いなる助走」に似ていて懐かしい。伊川谷などはおそらく垂水の近くの地名から取ったのだろう。冒頭から筒井康隆で、この人の作品を読む快感が、肌にジンワリと染込んでいく。
相変わらず、章が変わっていないのに、あまつさえ行の余白もないのに場面展開と人物変更がされ戸惑うが、長年読んでいると慣れたものである。
この小説のテーマがほかならぬ「小説」であり、虚構の中で虚構を考えるというメタフィクショナルな要素を兼ね備えている以上、作者筒井康隆もまた虚構内存在として、ひとりの登場人物として書かれるこのテーマに相応しいと思うからである。と云って、後半筒井が登場する段になって、大向こうから、待ってました!と声を掛けたくなったが、内容に大いなる違和感を持った。
著作権の問題そのものは興味深いのだが、流れ的に唐突感がある。延々とここで書く内容なのか。正直、現実に戻って、小説を読むどころではなかった。
2013年1月17日に日本でレビュー済み
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ある程度、筒井氏のメタフィクションを読み慣れていないと、
最初の3分の1くらいまでは読むのに苦労すると思います。
時間や階層が交錯し、しかも章立てされていないので
筒井氏の作品の90%程度を読破している私も戸惑いました。
逆にそれが久々にスリリングな体験でもあり。
中盤以降、時間と物語の階層の交錯に慣れると、
普通の小説として特に難しいものではないので、
筒井氏の作品としては凡庸かな?という印象です。
雑多な知識(とまではいかない情報)を知っていると
より楽しめると思います。
しかし最近の文壇事情、芸能界にあまり詳しくないので
私は半分くらいはわかったかなという程度です。
★4つでもいいのですが、登場人物の名前の読みが難解で、
感情移入しにくいので★1つ減らしました。
(そもそも普通の物語ではないので感情移入するのは難しく、
特に何か感動するとかのめり込んで読むものではないと思いますが)
筒井ファン向けの気楽に読める本だと思います。
最初の3分の1くらいまでは読むのに苦労すると思います。
時間や階層が交錯し、しかも章立てされていないので
筒井氏の作品の90%程度を読破している私も戸惑いました。
逆にそれが久々にスリリングな体験でもあり。
中盤以降、時間と物語の階層の交錯に慣れると、
普通の小説として特に難しいものではないので、
筒井氏の作品としては凡庸かな?という印象です。
雑多な知識(とまではいかない情報)を知っていると
より楽しめると思います。
しかし最近の文壇事情、芸能界にあまり詳しくないので
私は半分くらいはわかったかなという程度です。
★4つでもいいのですが、登場人物の名前の読みが難解で、
感情移入しにくいので★1つ減らしました。
(そもそも普通の物語ではないので感情移入するのは難しく、
特に何か感動するとかのめり込んで読むものではないと思いますが)
筒井ファン向けの気楽に読める本だと思います。