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私の男 単行本 – 2007/10/30
桜庭 一樹
(著)
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- 本の長さ381ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2007/10/30
- ISBN-104163264302
- ISBN-13978-4163264301
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2007/10/30)
- 発売日 : 2007/10/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 381ページ
- ISBN-10 : 4163264302
- ISBN-13 : 978-4163264301
- Amazon 売れ筋ランキング: - 256,878位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 6,221位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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2000年デビュー。04年『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が、ジャンルを超えて高い評価を受け、07年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞を受賞。同書は直木賞にもノミネートされた。08年『私の男』で第138回直木賞受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 GOSICK IV-ゴシック・愚者を代弁せよ- (ISBN-13:978-4044281106)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年3月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この作家の作品を読むのは3冊目ですが、ライトノベルを書いていたという知識があるせいか、文芸作品的な本を読んでもどこまで作者は真剣に文学的な表現しようとしているのかを、つい疑いながら読んでしまうのが良くない点です。この作品も実際のところ、そういう疑いを抱きつつ読みましたが、読後に読んだ解説によれば、解説者の北上次郎氏が「まったく素晴らしい」と絶賛しているし、直木賞の選考委員の浅田次郎氏にも「文句なしに推挽させていただいた」と言わしめたそうなので、文芸作品としての価値はおそらく高い作品なのだと思います。
実際私も作品に感動したというほどではなかったですが、ストーリーとしては面白い作品だと思いましたし、読み応えのある作品でした。
ただ父と娘の禁忌を非常に生々しく描いているという作品の性格上、中途半端にこの作品のことを知っている人に対して、この本を読んだことを気軽に話すこともはばかられるし、身近にいる人に対して(特に女性に)奨める気にはならないですね。
ところでこの本の解説の冒頭で、「何の予備知識もなく、先入観もなく、ただ読み始めるのがよい。」と書いてありますが、私も解説者と同じ意味でではないかもしれないですが、この作品は、予備知識も先入観もなしに読むのが良いと思いました。
その理由は、この作品を読む前提として、遠縁の若い男に養女にされた少女の話だと思って読む方が多いと思いますが、読み進めると義父淳悟と娘花の正確な関係や、紋別出身の小町と淳悟の関係、また花の元の両親と淳悟との関係など、小出しにされる形で徐々にわかってくるので、自分がレビューを書いておいてなんですが、あまり前もって書評などで予備知識を仕入れてしまうと、この作品はつまらなくなってしまうと思います。
作品はamazonの商品紹介にも書いてある通り。現在から過去に逆に遡って描かれますが、章のタイトルに20××年×月と書いてあるので、話の順序とその時点での登場人物の年齢がわかりやすいですね。桜木紫乃の「ホテルローヤル」を読んだときに、同じように時間軸を逆に遡る話でしたが、はっきり年代が書いてなくて、よく読まないと話の順序がわからなかったのに比べると、時間軸はわかりやすいと思います。
また、全6章はそれぞれ花、花の婚約者の美郎、淳悟、小町の各人物の視点で描かれるのですが、たとえば「第一章 2,008年6月 花とふるいカメラ」というタイトルの「花と」の人物の視点で描かれていることに気づきました。
なお、作品の裏表紙にあるように、この作品は「内なる空虚を抱え、愛に飢えた親子が超えた禁忌」を描いているのだとは思いますが、私は内容的にリアリティは感じませんでした。文芸作品に必ずしもリアリティが求められるわけではないのかもしれませんが、現実社会で養父や実父に性的な関係を迫られている少女・女性が、この作品を読んだことで、その行為が養父(実父)の愛情なのではないかなどと、無用な幻想を抱かないでほしいです。現実世界での娘に対するそういった行為は、まず例外なく父親の肉欲に基づく卑しい行為です。
実際私も作品に感動したというほどではなかったですが、ストーリーとしては面白い作品だと思いましたし、読み応えのある作品でした。
ただ父と娘の禁忌を非常に生々しく描いているという作品の性格上、中途半端にこの作品のことを知っている人に対して、この本を読んだことを気軽に話すこともはばかられるし、身近にいる人に対して(特に女性に)奨める気にはならないですね。
ところでこの本の解説の冒頭で、「何の予備知識もなく、先入観もなく、ただ読み始めるのがよい。」と書いてありますが、私も解説者と同じ意味でではないかもしれないですが、この作品は、予備知識も先入観もなしに読むのが良いと思いました。
その理由は、この作品を読む前提として、遠縁の若い男に養女にされた少女の話だと思って読む方が多いと思いますが、読み進めると義父淳悟と娘花の正確な関係や、紋別出身の小町と淳悟の関係、また花の元の両親と淳悟との関係など、小出しにされる形で徐々にわかってくるので、自分がレビューを書いておいてなんですが、あまり前もって書評などで予備知識を仕入れてしまうと、この作品はつまらなくなってしまうと思います。
作品はamazonの商品紹介にも書いてある通り。現在から過去に逆に遡って描かれますが、章のタイトルに20××年×月と書いてあるので、話の順序とその時点での登場人物の年齢がわかりやすいですね。桜木紫乃の「ホテルローヤル」を読んだときに、同じように時間軸を逆に遡る話でしたが、はっきり年代が書いてなくて、よく読まないと話の順序がわからなかったのに比べると、時間軸はわかりやすいと思います。
また、全6章はそれぞれ花、花の婚約者の美郎、淳悟、小町の各人物の視点で描かれるのですが、たとえば「第一章 2,008年6月 花とふるいカメラ」というタイトルの「花と」の人物の視点で描かれていることに気づきました。
なお、作品の裏表紙にあるように、この作品は「内なる空虚を抱え、愛に飢えた親子が超えた禁忌」を描いているのだとは思いますが、私は内容的にリアリティは感じませんでした。文芸作品に必ずしもリアリティが求められるわけではないのかもしれませんが、現実社会で養父や実父に性的な関係を迫られている少女・女性が、この作品を読んだことで、その行為が養父(実父)の愛情なのではないかなどと、無用な幻想を抱かないでほしいです。現実世界での娘に対するそういった行為は、まず例外なく父親の肉欲に基づく卑しい行為です。
2020年11月3日に日本でレビュー済み
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現在から過去にかけて、主人公二人の過程を逆に描写していく構成。現在の状態に及ぶ流れと共に、その中にある伏線が解消されつつ、あいまいだったものが徐々に明らかになっていく部分でどんどん引き込まれた。が、描かれている関係性や気持ちが、自分の中で理解に苦しむ部分が大きく、頭がショートして熱くなるような感覚を覚えた
2023年10月20日に日本でレビュー済み
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各章の時間が逆の配置になっている。
物語には、秘密が大切だという立場でいつも色々読んでいる。この時間軸が逆に設定されているところは、よい。
私のような何の変哲も無い人間からすると、全く別の人間の感性を疑似体験できて興味深かった。
改めて、小説って面白いと思った。
物語には、秘密が大切だという立場でいつも色々読んでいる。この時間軸が逆に設定されているところは、よい。
私のような何の変哲も無い人間からすると、全く別の人間の感性を疑似体験できて興味深かった。
改めて、小説って面白いと思った。
2020年8月26日に日本でレビュー済み
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文学として倫理観とか現実味がない、という評価は横に置いておいて、やたら文章の運びが巧いので、気持ち悪いなぁ‥と思いつつとりあえず最後まで読んでしまった。
読み進むごとに[私の男]と女主人公から呼ばれる男のタバコのヤニが纏わり付いたようなイヤーな感じが増してゆく。
吸い殻を執拗なまでに踏みにじる、そのヤニが広がる気持ち悪さが口のなかに広がる…
なのに性行為の描写が空想の域を出ない甘ちゃんな稚拙さで笑った。
章の運びを逆さまにしたら、少しはあざとさ消えるかなぁ、とか男が太っててビジュアル悪かったら成立しないな、とか考えていたら作品自体が作者の自慰的行為に見えてきた。
いくらご自身の美意識に叶わないからといってあの二つの殺人は乱暴過ぎるし処理の仕方がホラーチックで一気に覚める。
唯一、拓殖銀行の小町さんの章だけが血の通ったものに感じられた。
こちらも作者の悪意?でビジュアル大幅に変えられてはいたが…笑
読み進むごとに[私の男]と女主人公から呼ばれる男のタバコのヤニが纏わり付いたようなイヤーな感じが増してゆく。
吸い殻を執拗なまでに踏みにじる、そのヤニが広がる気持ち悪さが口のなかに広がる…
なのに性行為の描写が空想の域を出ない甘ちゃんな稚拙さで笑った。
章の運びを逆さまにしたら、少しはあざとさ消えるかなぁ、とか男が太っててビジュアル悪かったら成立しないな、とか考えていたら作品自体が作者の自慰的行為に見えてきた。
いくらご自身の美意識に叶わないからといってあの二つの殺人は乱暴過ぎるし処理の仕方がホラーチックで一気に覚める。
唯一、拓殖銀行の小町さんの章だけが血の通ったものに感じられた。
こちらも作者の悪意?でビジュアル大幅に変えられてはいたが…笑
2020年9月7日に日本でレビュー済み
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内容が内容ですので、好き嫌いはあると思います。「気持ち悪い」「気分が悪くなる」と受け入れがたい人もいると思います。反対に「至高の愛」と読む人もいるかもしれません。
好き嫌いを別とするなら、構成力も文筆力もたいへん優れており、こういう小説もあるのかと、読み終えてみて一読の価値はあったと思います。個人的には「好きではないけれど、すごい小説に出会った」と受け止めています。
好き嫌いを別とするなら、構成力も文筆力もたいへん優れており、こういう小説もあるのかと、読み終えてみて一読の価値はあったと思います。個人的には「好きではないけれど、すごい小説に出会った」と受け止めています。
2014年10月16日に日本でレビュー済み
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「生きろ」と言ってくれた義父の言葉を真摯に受け取れない花が哀れ。
肉の繋がりでしか愛を実感出来ない二人が哀れ。
津波、流氷、オホーツクの描写は上手いと思った。
肉の繋がりでしか愛を実感出来ない二人が哀れ。
津波、流氷、オホーツクの描写は上手いと思った。