最初のデパートの屋上から降りられなくなった象インディラの話から、もう胸が締め付けられてたまらなくなった。マスターが死んでバスから出られなくなって、吊り上げられた時も。ミイラが更衣室に消えていった、その意味を知った時も。ゴンドラでミイラとすれ違った時も。書いてる今でも苦しくなって泣きそうになる。
全体的にずっと暗い感じの雰囲気だったけど、嫌な感じがしなかった。普通だと浮いてしまうような、でも静かに優しい人たちが周りにちゃんといたからかな。リトルアリョーヒン本人ももちろん、すごくすごく優しかった。
ちょっと悔しかったのは、チェスを全く知らなくて、広い世界の端っこでも、分かりながら読みたかったなーと思った。ちょっとじゃないな、すごく悔しかった。
小川さんの選ぶ言葉とか見える景色とか、静かな感じが好きだった。また好きな本に出会えた。良かった。
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猫を抱いて象と泳ぐ 単行本 – 2009/1/9
小川 洋子
(著)
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- 本の長さ368ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2009/1/9
- ISBN-104163277501
- ISBN-13978-4163277509
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2009/1/9)
- 発売日 : 2009/1/9
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 368ページ
- ISBN-10 : 4163277501
- ISBN-13 : 978-4163277509
- Amazon 売れ筋ランキング: - 295,114位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 7,077位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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1962(昭和37)年、岡山県生れ。早稲田大学第一文学部卒。
1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。1991(平成3)年「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。主な著書に『やさしい訴え』『ホテル・アイリス』『沈黙博物館』『アンネ・フランクの記憶』『薬指の標本』『夜明けの縁をさ迷う人々』『猫を抱いて象と泳ぐ』等。2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞を受賞。『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、2006年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞受賞。翻訳された作品も多く、海外での評価も高い。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年10月25日に日本でレビュー済み
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2023年4月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小川洋子さんの作品を初めて取った私は、読み終えた素直な感想は「この作品で良かった」と思いました。チェスの事は分かりませんが、チェスを通して主人公の思想や関係者との繋がり方・・何よりも私の想像を遥かに超えた思想の深さは、チェスの世界観だけでなく現代を生きる私たちに何かを投げかけているようにも感じながら最後までドキドキしながら読む事ができ、関係者の方々に感謝します。
2024年2月9日に日本でレビュー済み
小川さんの作品には、いつも「静謐」さを感じます。
今回もとてもしっとりした、そして味わいのある「静謐」でした。
・・・
話は、唇の上下が繋がって出生した少年の数奇な人生についてです。
出生の事実に呼応するかのように寡黙な少年はふとしたことからチェスにのめり込み、やがて裏チェスクラブで「リトル・アリョーヒン」として働くことになります。
・・・
で、何が良いかというとやはり小川さんの筆致が素敵です。
チェスにのめり込む「リトル・アリョーヒン」。デパートの屋上から降りられなくなった「インディラ」に思いを致し、自室の壁の隙間に入り込んだ「ミイラ」と会話をして、落ち着いたところで眠りに落ちる。
素人の私がさらっと書くと実につかみどころのない表現になりますが、ちょっと変わった少年を優しく、静かに、幻想的に描くのです。
・・・
また、それ以外の周囲のキャラクターもいいですね。
寡黙な家具職人のおじいさん、無条件の愛で少年を包むおばあさん、廃バスで少年にチェスをじっくり教えるマスター、長じておじいさんとともに家具職人となる弟、闇チェスクラブのパトロンの老婆令嬢、現実の世界に現れた少年のヒロイン的な「ミイラ」、養老院で年中白衣で仕事をする総婦長。
全員が全員、ちょっと優しすぎる気もしますが、セリフ繰りがどれも巧みで、また愛のある格言のようなセリフが随所に潜みます。
まあチェックするわりにはそのまんまですが笑
・・・
ということで、久々の小川作品でした。相変わらず素晴らしい。
この静かで愛すべき作品、どう表現すればよいのでしょうか。雪のふる寒くて静かな日、外を眺めながら、ホッと一息お茶を飲むかのような気持ち?余計分かりませんね笑
暖かく、優しい、そしてちょっぴり悲しい作品でした。
今回もとてもしっとりした、そして味わいのある「静謐」でした。
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話は、唇の上下が繋がって出生した少年の数奇な人生についてです。
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で、何が良いかというとやはり小川さんの筆致が素敵です。
チェスにのめり込む「リトル・アリョーヒン」。デパートの屋上から降りられなくなった「インディラ」に思いを致し、自室の壁の隙間に入り込んだ「ミイラ」と会話をして、落ち着いたところで眠りに落ちる。
素人の私がさらっと書くと実につかみどころのない表現になりますが、ちょっと変わった少年を優しく、静かに、幻想的に描くのです。
・・・
また、それ以外の周囲のキャラクターもいいですね。
寡黙な家具職人のおじいさん、無条件の愛で少年を包むおばあさん、廃バスで少年にチェスをじっくり教えるマスター、長じておじいさんとともに家具職人となる弟、闇チェスクラブのパトロンの老婆令嬢、現実の世界に現れた少年のヒロイン的な「ミイラ」、養老院で年中白衣で仕事をする総婦長。
全員が全員、ちょっと優しすぎる気もしますが、セリフ繰りがどれも巧みで、また愛のある格言のようなセリフが随所に潜みます。
まあチェックするわりにはそのまんまですが笑
・・・
ということで、久々の小川作品でした。相変わらず素晴らしい。
この静かで愛すべき作品、どう表現すればよいのでしょうか。雪のふる寒くて静かな日、外を眺めながら、ホッと一息お茶を飲むかのような気持ち?余計分かりませんね笑
暖かく、優しい、そしてちょっぴり悲しい作品でした。
2022年11月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この小説から伝わってくるのは、温度と匂い。文字を追いながら、触覚と嗅覚が刺激される。最初から最後までずっと、もわっとした温かい吐息のような空気と甘い香りを感じる。
それはまるで、母親の胎内にいるかのような、静かで温かな世界なのだ。
この物語では、登場人物たちが小さな箱に閉じ込められているような描写が繰り返し出てくる。これは作者の小川洋子さん自身が意識しているのかわからないけど、彼女は外の世界に出て競ったり闘ったりすることを嫌っていて、母の胎内から出ることなく美しいものをただ愛でていたいという欲望があるのかな?と思った。そしてその美しいものを大事に閉じ込めてしまいたいというような。そんな少女のような心を感じた。主人公も、最初から最後までずっと何かの箱に入っていて、その中から出ることなく美しいものを外の世界に送り出し、自分は終ぞそこから出ることなく死んでゆく。
とても美しくて小さな宝箱をそっと覗き見るような物語でした。
それはまるで、母親の胎内にいるかのような、静かで温かな世界なのだ。
この物語では、登場人物たちが小さな箱に閉じ込められているような描写が繰り返し出てくる。これは作者の小川洋子さん自身が意識しているのかわからないけど、彼女は外の世界に出て競ったり闘ったりすることを嫌っていて、母の胎内から出ることなく美しいものをただ愛でていたいという欲望があるのかな?と思った。そしてその美しいものを大事に閉じ込めてしまいたいというような。そんな少女のような心を感じた。主人公も、最初から最後までずっと何かの箱に入っていて、その中から出ることなく美しいものを外の世界に送り出し、自分は終ぞそこから出ることなく死んでゆく。
とても美しくて小さな宝箱をそっと覗き見るような物語でした。
2023年9月6日に日本でレビュー済み
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博士の・・の面白さを期待するとガックリする
2022年4月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
穏やかな凪の中にいるような静かなストーリーですが、少年や登場人物の一つ一つの言葉が美しく、独特な世界観の中に惹き込まれました。チェスを指す少年の繊細な感情や仕草に共感出来ているようで共感出来ない。そんなどこか不思議な感情にさせてくれる傑作です。
2021年10月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「人間は、脆いが故に美しい」というテーマの映画や小説が好きな私にとっては最高の作品でした。本作においてチェスが重要な役割を担いますが、チェスを知らない人でも理解できるよう丁寧に描写されています。おすすめしたい一作です。
2020年9月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
主人公が死んで終わるストーリーのホッと感とやるせ無さの切なさ。
色々なカラクリエピソードは面白いけれど。
でもこれ以上のhappy endは望めない哀しい哀しいお話でしたね。
久しぶりの小説でスルスル読めたけど読後感が切なさしか残らなかったなあ。
博士の愛した‥の何だか温かい読後感を期待したい方にはチト違うかも。
色々なカラクリエピソードは面白いけれど。
でもこれ以上のhappy endは望めない哀しい哀しいお話でしたね。
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