このタイトルと、このカバーデザイン……正直言って、“森絵都”でなければ
読まないよなあと思いつつ手にした(けれども、中扉の写真はとてもいい!)。
これは『ラン』のときも思ったこと。
が、ひとたび読み始めれば、悔しいけれど、というべきか、
嬉しいことにというべきか、話に引きこまれてしまい、前言を忘れるほど。
やっぱり、短編もうまいね。
むしろ、『ラン』の、長さの割に中盤までのもたもたした感じより、私自身は
この短編集の方が好みだ。
どの話にも登場する女性たちの目線と内心の迷いやとまどいが
ユーモラスであったり、尖っていたり。
日常を生きる時の私たちって、まさにこんなふうだ。
心の襞をのばしたり畳んだりしつつ、何事かを選びとり、何事かを置き去りにし、
現実とちょっとした憧れめいたものの間を行きつ戻りつしているのだ。
「パパイヤと五家宝」を筆頭に、どれもおもしろかったが、
「太陽のうた」、「彼らが失ったものと失わなかったもの」が示す矜持が小気味よい。
「ドバイ@建設中」の泣き笑いのような現実、「二人姉妹」の女同士のちくちくした
間柄の機微などを愉しんだ。
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架空の球を追う 単行本 – 2009/1/30
森 絵都
(著)
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購入オプションとあわせ買い
異国で、町のスーパーで、銀座の飲み屋で、タクシーの中で、野球場で……。日常の光景からふっと湧き上がってくる彼女たちの想い
- 本の長さ191ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2009/1/30
- ISBN-104163278303
- ISBN-13978-4163278308
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2009/1/30)
- 発売日 : 2009/1/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 191ページ
- ISBN-10 : 4163278303
- ISBN-13 : 978-4163278308
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,405,435位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 32,948位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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1968年東京都生まれ。早稲田大学卒。91年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。同作品で椋鳩十児童文学賞を受賞。『宇宙のみなしご』 で野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を、『アーモンド入りチョコレートのワルツ』で路傍の石文学賞を、『カラフル』で産経児童出版文 化賞を、『つきのふね』で野間児童文芸賞を、『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞を受賞。2006年『風に舞いあがるビニールシート』で第135回直 木賞を受賞した(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 宇宙のみなしご (ISBN-13: 978-4043941087 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年2月3日に日本でレビュー済み
森絵都さんファンのアラフォー(というか40歳!)女性です。
『風ビニ』以来久しぶりに読んだんですが、彼女の作品でこんなに
笑ったのは初めてだと思います。過去の作品もユーモアはありましたが
今回は声を出して笑っちゃいました。特に『ハチの巣退治』『パパイヤ
と五家宝』は共感しまくりでめっちゃ笑いました。
昔女子だった私達・仕事と生活に追われる忙しい世代へ、ニヤニヤ笑って
もらうために書かれた短編作品集なのでしょう。ドストライク世代の方々
是非このノスタルジーと現実とのギャップを面白可笑しく堪能しましょう!
『風ビニ』以来久しぶりに読んだんですが、彼女の作品でこんなに
笑ったのは初めてだと思います。過去の作品もユーモアはありましたが
今回は声を出して笑っちゃいました。特に『ハチの巣退治』『パパイヤ
と五家宝』は共感しまくりでめっちゃ笑いました。
昔女子だった私達・仕事と生活に追われる忙しい世代へ、ニヤニヤ笑って
もらうために書かれた短編作品集なのでしょう。ドストライク世代の方々
是非このノスタルジーと現実とのギャップを面白可笑しく堪能しましょう!
2014年12月22日に日本でレビュー済み
いま一番大好きな作家である森絵都さんの短編。
この作品以前に読んできた森さんの本に比べると、僕には少し物足りなさが残りました。
読み手の感受性の問題なのだと思うのですが、ストーリーに迫力みたいなものが感じられませんでした。
もっとも、軽妙で、示唆的なのでよしと思う方もいらっしゃるとは思いますが。
この作品以前に読んできた森さんの本に比べると、僕には少し物足りなさが残りました。
読み手の感受性の問題なのだと思うのですが、ストーリーに迫力みたいなものが感じられませんでした。
もっとも、軽妙で、示唆的なのでよしと思う方もいらっしゃるとは思いますが。
2009年2月3日に日本でレビュー済み
西日が注ぐグラウンドから、アフリカのどこかのキャンプ、スペインの空港まで、日本と世界の様々な場所での出来事を描いた話が、全部で十一。6頁の掌編から、長くても30頁に満たない短編まで。国籍も様々な十一の女の視点で語られていくそれらの話には、どれもカメラのファインダーが捉えたワンショットとでもいった風情がありましたね。気の向くまま風の吹くまま、ふわりと自由に世界のあちこちをショートトリップしたみたいな、そんなに気持ちに誘われました。
ジャームッシュ監督の映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』のように、十一の話が連続して起こり、繋がっていくというシチュエーションだったら、さらに洒落た、面白い読み物になったかもしれない、なんてね。これはまあ、一読者のつぶやき、無いものねだりってことで、ご容赦いただきたく。
『オール讀物』誌の2007年2月号〜12月号にわたって掲載された十一の話たち。
H・E・ベイツの短編小説に似た味がした「ハチの巣退治」、コミカルなファンタジーとでもいったテイストの「パパイヤと五家宝(ごかぼう)」、作品の底に静かに、しかし深く流れている何か、かけがえのないものにと胸を衝かれた「彼らが失ったものと失わなかったもの」、この三つの話がよかったな。格別、バルセロナ空港のリカーショップを舞台にしたおしまいの掌編が味わい深く、印象に強く残りました。
ジャームッシュ監督の映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』のように、十一の話が連続して起こり、繋がっていくというシチュエーションだったら、さらに洒落た、面白い読み物になったかもしれない、なんてね。これはまあ、一読者のつぶやき、無いものねだりってことで、ご容赦いただきたく。
『オール讀物』誌の2007年2月号〜12月号にわたって掲載された十一の話たち。
H・E・ベイツの短編小説に似た味がした「ハチの巣退治」、コミカルなファンタジーとでもいったテイストの「パパイヤと五家宝(ごかぼう)」、作品の底に静かに、しかし深く流れている何か、かけがえのないものにと胸を衝かれた「彼らが失ったものと失わなかったもの」、この三つの話がよかったな。格別、バルセロナ空港のリカーショップを舞台にしたおしまいの掌編が味わい深く、印象に強く残りました。
2011年12月17日に日本でレビュー済み
言葉にできないなにか大切なものを
短いお話の中で伝えてくれる
そんな作品です
読んだあと、大切なものに気付かされました
短いお話の中で伝えてくれる
そんな作品です
読んだあと、大切なものに気付かされました
2009年4月14日に日本でレビュー済み
本のタイトルになっている「架空の球を追う」なんて7ページしかないし、
11編すべて完成度は高く、はずれはないんだけど、その短さゆえに読んだ後の充実感は少ないです。
“もうちょっと読みたかった”という思いがどうしてもつきまといます。
だから評価の星はあえて低くして3つ。
生活のなかでのちょっとした瞬間を切り取った短編集。
その瞬間のチョイスが素晴らしくうまく、女性ならではの視点と観点で感じるものが多かったなぁ。
なかでも秀逸なのは「パパイヤと五家宝」。
高級スーパーマーケットへ非日常のファンタジーを求めにやってきた主人公。
2000円の高級マンゴーをなんの躊躇もせずにかごの中に入れる優雅マダムが目に止まり、
彼女がかごの中に入れるものとまったく同じものを自分もどんどん入れていく。
自分が本当に食べたいと思う食品を見つけて我に返ったのだけど、最後のレジの会計の時に・・・・サイコーです!
このお話に限らず、「ドバイ@建設中」も「二人姉妹」も「架空の球を追う」もラストの落とし方がうまい。
なのに・・・もったいない。こんな短い短編じゃなく、しっかりじっくり長編で読みたかったです。
11編すべて完成度は高く、はずれはないんだけど、その短さゆえに読んだ後の充実感は少ないです。
“もうちょっと読みたかった”という思いがどうしてもつきまといます。
だから評価の星はあえて低くして3つ。
生活のなかでのちょっとした瞬間を切り取った短編集。
その瞬間のチョイスが素晴らしくうまく、女性ならではの視点と観点で感じるものが多かったなぁ。
なかでも秀逸なのは「パパイヤと五家宝」。
高級スーパーマーケットへ非日常のファンタジーを求めにやってきた主人公。
2000円の高級マンゴーをなんの躊躇もせずにかごの中に入れる優雅マダムが目に止まり、
彼女がかごの中に入れるものとまったく同じものを自分もどんどん入れていく。
自分が本当に食べたいと思う食品を見つけて我に返ったのだけど、最後のレジの会計の時に・・・・サイコーです!
このお話に限らず、「ドバイ@建設中」も「二人姉妹」も「架空の球を追う」もラストの落とし方がうまい。
なのに・・・もったいない。こんな短い短編じゃなく、しっかりじっくり長編で読みたかったです。
2009年3月11日に日本でレビュー済み
自由自在に偏在する森さんの目線。
日常のありふれた風景の中に溶け込んでいるかと思えば、見知らぬ外国のワンシーンを捉えている。
この短編集をいっきに読むと、駆け足で世界一周旅行をして、時差ボケになったような気分がします。
一番印象に残っているのは「彼らが失ったものと失わなかったもの」。
この短編に出てくる英国人の夫婦の姿に、上質のものに触れたときに感じる、心地良さを感じ、また、まばゆいものを見たという高揚感すらありました。
森さんが演出する極上の「出会い」を贅沢に楽しめる短編集です。
日常のありふれた風景の中に溶け込んでいるかと思えば、見知らぬ外国のワンシーンを捉えている。
この短編集をいっきに読むと、駆け足で世界一周旅行をして、時差ボケになったような気分がします。
一番印象に残っているのは「彼らが失ったものと失わなかったもの」。
この短編に出てくる英国人の夫婦の姿に、上質のものに触れたときに感じる、心地良さを感じ、また、まばゆいものを見たという高揚感すらありました。
森さんが演出する極上の「出会い」を贅沢に楽しめる短編集です。
2018年4月9日に日本でレビュー済み
森絵都さんの短編集を何冊か読んで、面白かったのでこの本も読んでみました。
短編というには短すぎ、ショートショートというには少し長いような・・、そんな物語が11編おさめられています。
感想としては、面白かったのは2、3個くらいで、全体的には面白いと感じられる作品が少なかったように思います。
ほぼ1年の間に書かれた作品ばかりなので、どの作品も雰囲気が似てしまっているのと、突然終わりを迎えたり、ストーリーのの方向性が変わったり、「なぜ急にこの展開になるのか。」「この登場人物はなぜこんな気持ちになったのか。」と疑問に思うことが多かったです。
好みの問題もあるでしょうが、あまり私は好きではないので、自分の正直な気持ちに従って星2で。
最後まで読んだのと、1時間くらいで読了し、あまり時間を無駄にせず済んだので、そこは評価しても、やっぱり星2かな。自分の中で甘い評価で星2です。
短編というには短すぎ、ショートショートというには少し長いような・・、そんな物語が11編おさめられています。
感想としては、面白かったのは2、3個くらいで、全体的には面白いと感じられる作品が少なかったように思います。
ほぼ1年の間に書かれた作品ばかりなので、どの作品も雰囲気が似てしまっているのと、突然終わりを迎えたり、ストーリーのの方向性が変わったり、「なぜ急にこの展開になるのか。」「この登場人物はなぜこんな気持ちになったのか。」と疑問に思うことが多かったです。
好みの問題もあるでしょうが、あまり私は好きではないので、自分の正直な気持ちに従って星2で。
最後まで読んだのと、1時間くらいで読了し、あまり時間を無駄にせず済んだので、そこは評価しても、やっぱり星2かな。自分の中で甘い評価で星2です。