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きけわだつみのこえの戦後史 単行本 – 1999/11/1
保阪 正康
(著)
根拠無き改訂、恣意的な削除……。戦没学生の遺稿集には、不可解な部分が少なくない。彼らの遺志は、いかに次世代に継承されるべきか
- 本の長さ267ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日1999/11/1
- ISBN-104163555307
- ISBN-13978-4163555300
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
95年刊の岩波文庫新版「きけわだつみのこえ」には、根拠無き改訂、恣意的な削除など不可解な部分が多く見られる。戦没学生の遺稿集を誰が、何故、変えてしまったのか。「政治の道具」となり果てたその背景と歴史を探る。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年6月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は、1949年に刊行された戦没学徒の遺稿集である「きけわだつみのこえ」と、翌年その出版を記念して遺族らによって設立された「わだつみ会」の、1999年までの50年間の変遷と軌跡を明らかにした労作である。著者は、この間に特定の勢力とその政治的な思惑により、知性の産物であり歴史的文化遺産である「きけわだつみのこえ」と「わだつみ会」が作意的に改悪・変質を余儀なくされた動きを、遺稿原文の緻密な精査や関係者からの地道な聴き取り調査に基づき、暴き出し糾弾する。著者の主張の要諦は、詰まる所、戦没学徒の遺稿原文はすべて「あきらめまい、この現実を受けいれまいとしつつ、…それに抗することができなかった」ことを「痛切に訴えて」おり、「『時流に流されたり』、『社会の動きをそのままあきらめて受けいれたり』してはいけないという教訓」から学ぶべきということであろう。昨今の時勢に鑑みれば、これを殊更心に刻みたい。
2023年7月1日に日本でレビュー済み
興味深く読みました。「きけわだつみのこえ」の内容というよりこの本を契機として
発足したわだつみ会の変遷を追いかけておられます。当初は紙数の都合やGHQによる
統制のため部分的に削除されたのは好ましくないがやむを得なかったと思います。
しかし一旦出版された本の評価は読者に委ねられるべきであって、これを意図的に読
ませようとする団体などあってはならない。反戦平和運動の象徴としてのわだつみ像
も制作者の気持ちは分かるが不要だったなと思う。
発足したわだつみ会の変遷を追いかけておられます。当初は紙数の都合やGHQによる
統制のため部分的に削除されたのは好ましくないがやむを得なかったと思います。
しかし一旦出版された本の評価は読者に委ねられるべきであって、これを意図的に読
ませようとする団体などあってはならない。反戦平和運動の象徴としてのわだつみ像
も制作者の気持ちは分かるが不要だったなと思う。
2006年7月27日に日本でレビュー済み
たしかに、これまでの「わだつみ」イメージを覆してくれる本だろう。だが、読み終わったあと味は良くなかった。とくに、わだつみ会の内紛についての記述は、一方のグループの立場に立っているようにも見える。どっちが正しいかではなく、そのような争いを生み出した社会的な背景のようなものへの考察があってもいい気がする。多くの関係者への取材を通して歴史を再構成するジャーナリスティックなセンスは著者の特長だと思うが、この本では、そのことが逆に限界にもなっているように思える。争いの当事者たちを、一歩引いて眺める視点があってもいいのではないだろうか。
2013年1月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
遺書を書いた方の思いとはかけ離れてしまったのは残念です。
WEB上に全て収集した資料を公開して編集者のバイアスが掛からないようにしたらと考えましたが、現在、どのくらいの方が読まれるかは疑問ですが。
WEB上に全て収集した資料を公開して編集者のバイアスが掛からないようにしたらと考えましたが、現在、どのくらいの方が読まれるかは疑問ですが。
2013年10月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
特攻で死んだ若者の遺書を後世の人達が自分勝手に利用していたとは
思ってもみませんでした。出版社は金儲けの為に本を出しているのですね。
思ってもみませんでした。出版社は金儲けの為に本を出しているのですね。
2012年12月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表向きの印象と違う事実が、大いに参考になった。戦後の左傾化はこんなところにも及んでいた。
2022年8月11日に日本でレビュー済み
書籍は編集者の存在が大きいのだと教えてくれます。つまり編集工学を前提に我々は書物を読まなければならないということです。そんなことは歴史学だけじゃなく、社会科学を学ぶものは当然のこととしてわきまえていなければならないのですが。それゆえ本書を読んでショックを受けるような人は自らの批判力不足を露呈していますから、人文社会学をじっくり学びましょう。なお内容は「さもありなん」でした。本書により「きけわだつみのこえ」の価値は昇華しました。
2020年12月18日に日本でレビュー済み
保阪正康(1939年~)氏は、北海道生まれ、同志社大文学部卒の作家・評論家。2004年、菊池寛賞受賞。昭和史に関する著書多数。
本書は、1999年に単行本で出版され、2002年に文春文庫、2020年に朝日文庫から刊行された。
本書は、題名の通り、1947年に『きけわだつみのこえ』の元となった『はるかなる山河に』(東大版)が発行されてからこれまでの、『きけわだつみのこえ』を取り巻く歴史を辿ったものである。
著者は「あとがき」で次のように書いている。「『きけわだつみのこえ』(東大版、光文社版、岩波文庫旧版)は、戦後日本の文化的遺産である。この書がこれまでに三百万部近くも売れたという事実が、それを裏づけている。・・・本書を書こうと思ったのは、1995年12月に刊行された「岩波文庫新版」を手にとったからである。それまで私たちが読んでいた各社版の『きけわだつみのこえ』に、時代の制約による削除などがあったことは仄聞していたし、私なりにその事実をたしかめてもいた。したがって、「新版」には期待していたのだが、それはかなえられなかった。現在のわだつみ会の幹部たちは「新版」刊行時に、これが『きけわだつみのこえ』の「完本」だと胸を張ったが、これまでに多数編まれている戦没学徒たちの故人遺稿集と読みくらべても、「新版」には首をひねらざるをえないような個所が数多くあるのだ。」
そして、
第1章:『きけわだつみのこえ』の誕生~学業半ばで死んだ息子、兄弟、友人の霊を慰めたいという初心に早くも政治の影が
第2章:バイブルへの道~安保闘争のなかで『きけわだつみのこえ』は反戦を叫ぶ若者たちの「聖典」になった
第3章:倒された「わだつみ像」~既成秩序の破壊を叫ぶ学生たちは、学園に立つ知性と平和の象徴をひきずりおろした
第4章:「反天皇制」の中で~わだつみ会は昭和天皇の戦争責任を問う声を大きくあげることで会員を増やしていく
第5章:戦没学徒の「戦争責任」~一部会員たちは死んだ学徒にも戦争責任があると言い張り遺族たちを怒り悲しませた
第6章:追放された遺族~「わだつみ」を支えつづけた人々を「インテリ」たちが陰険なやりくちで追い出した
第7章:わだつみ学徒、五十年後の「死」~岩波文庫に収録された「新版」は戦没学徒の遺志を踏みにじる欠陥だらけのものだった
という展開で、『きけわだつみのこえ』が、いかに政治的に、或いは一部の集団の恣意的な独断によって利用されてきたのかを、明らかにしていく。
私は、『きけわだつみのこえ』には関心がありながら、これまで手に取ることはなかったものの、本書を読む前に、先入観なく触れておきたいと思い通読したのだが、家族や友人への愛、死に対する無念と覚悟、日本の将来への願い、(たまたま検閲を免れたと思われる)戦争や軍部への批判など、全篇に溢れつつも、学徒それぞれの境遇や個性を反映した思いには、強く共感を覚えた。
そして、本書を読んで思うのだ。『きけわだつみのこえ』に載っている戦没学徒の遺稿自体になんの罪もないし、その価値が減ずるものでもない。巻末の「解説に代えて」で片山杜秀氏が述べている。「死者の声を独占して政治利用することの虚しさは、明治国家以来の靖国神社の歴史にまず示され、戦後のわだつみ会の歴史においても残念ながらついには反復された。われわれは死者の声を一色に染め上げようとするあらゆる作り話に抗さねばならない。」全く同感である。
(2020年12月了)
本書は、1999年に単行本で出版され、2002年に文春文庫、2020年に朝日文庫から刊行された。
本書は、題名の通り、1947年に『きけわだつみのこえ』の元となった『はるかなる山河に』(東大版)が発行されてからこれまでの、『きけわだつみのこえ』を取り巻く歴史を辿ったものである。
著者は「あとがき」で次のように書いている。「『きけわだつみのこえ』(東大版、光文社版、岩波文庫旧版)は、戦後日本の文化的遺産である。この書がこれまでに三百万部近くも売れたという事実が、それを裏づけている。・・・本書を書こうと思ったのは、1995年12月に刊行された「岩波文庫新版」を手にとったからである。それまで私たちが読んでいた各社版の『きけわだつみのこえ』に、時代の制約による削除などがあったことは仄聞していたし、私なりにその事実をたしかめてもいた。したがって、「新版」には期待していたのだが、それはかなえられなかった。現在のわだつみ会の幹部たちは「新版」刊行時に、これが『きけわだつみのこえ』の「完本」だと胸を張ったが、これまでに多数編まれている戦没学徒たちの故人遺稿集と読みくらべても、「新版」には首をひねらざるをえないような個所が数多くあるのだ。」
そして、
第1章:『きけわだつみのこえ』の誕生~学業半ばで死んだ息子、兄弟、友人の霊を慰めたいという初心に早くも政治の影が
第2章:バイブルへの道~安保闘争のなかで『きけわだつみのこえ』は反戦を叫ぶ若者たちの「聖典」になった
第3章:倒された「わだつみ像」~既成秩序の破壊を叫ぶ学生たちは、学園に立つ知性と平和の象徴をひきずりおろした
第4章:「反天皇制」の中で~わだつみ会は昭和天皇の戦争責任を問う声を大きくあげることで会員を増やしていく
第5章:戦没学徒の「戦争責任」~一部会員たちは死んだ学徒にも戦争責任があると言い張り遺族たちを怒り悲しませた
第6章:追放された遺族~「わだつみ」を支えつづけた人々を「インテリ」たちが陰険なやりくちで追い出した
第7章:わだつみ学徒、五十年後の「死」~岩波文庫に収録された「新版」は戦没学徒の遺志を踏みにじる欠陥だらけのものだった
という展開で、『きけわだつみのこえ』が、いかに政治的に、或いは一部の集団の恣意的な独断によって利用されてきたのかを、明らかにしていく。
私は、『きけわだつみのこえ』には関心がありながら、これまで手に取ることはなかったものの、本書を読む前に、先入観なく触れておきたいと思い通読したのだが、家族や友人への愛、死に対する無念と覚悟、日本の将来への願い、(たまたま検閲を免れたと思われる)戦争や軍部への批判など、全篇に溢れつつも、学徒それぞれの境遇や個性を反映した思いには、強く共感を覚えた。
そして、本書を読んで思うのだ。『きけわだつみのこえ』に載っている戦没学徒の遺稿自体になんの罪もないし、その価値が減ずるものでもない。巻末の「解説に代えて」で片山杜秀氏が述べている。「死者の声を独占して政治利用することの虚しさは、明治国家以来の靖国神社の歴史にまず示され、戦後のわだつみ会の歴史においても残念ながらついには反復された。われわれは死者の声を一色に染め上げようとするあらゆる作り話に抗さねばならない。」全く同感である。
(2020年12月了)