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為替がわかれば世界がわかる 単行本 – 2002/12/1
- 本の長さ214ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2002/12/1
- ISBN-104163592407
- ISBN-13978-4163592404
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商品の説明
商品説明
著者は、為替市場は、モノの市場とは異なったバーチャルな市場のため、著しく流動的、相対的、主観的になりがちであると考える。経済学者ケインズの有名な「美人投票」を説明し、誰にもコントロールできない最も自由な市場であると説明している。
そして、ソロスの誤謬性(人間の知識は不完全で間違いやすく予想しても間違うということ)、やルービンの人生哲学、スティグリッツの情報の非対称性(持てる者と持たざる者の情報格差)を挙げて、為替を読むうえでの大きな考え方を導いている。
そのうえで、本書では実際に著者が大蔵省時代に経験し実行した為替介入に付随する話や具体的な情報の取り方、戦略が詳しく解説されている。ここで強調されているのは、人間には誤謬性があるため、現実の変化に合わせて自分の見方を絶えず見直し、長期の見通しを立てるべきだという考え方である。
評論家や為替ディーラーが書いた本は数多くあるが、本書では、通貨当局の人間が、国家政策レベルでの情報戦略を解説している。これまでにない為替関連書として、金融関係者はもちろん、学生やビジネスパーソンにもすすめたい。(木村昭二)
内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2002/12/1)
- 発売日 : 2002/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 214ページ
- ISBN-10 : 4163592407
- ISBN-13 : 978-4163592404
- Amazon 売れ筋ランキング: - 514,778位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 469位債券・為替・外貨預金
- - 1,166位一般・投資読み物 (本)
- - 49,658位ビジネス・経済 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
1941年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業。
大蔵省入省後、ミシガン大学で経済学博士号取得。
IMFエコノミスト、ハーバード大学客員准教授、大蔵省国際金融局長、同財務官を歴任。
97年~99年財務官を務め、「ミスター円」の異名をとる。
慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、青山学院大学教授、財団法人インド経済研究所理事長。
2004年より高校生向けの合宿研修会「日本の次世代リーダー養成塾」を定期的に開き、日本の将来を担う人材の育成にも携わっている。
(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 「データ」で読み解く 安倍政権でこうなる! 日本経済 (2時間で未来がわかる!) (ISBN-10: 4776207710)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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1997年から1999年まで財務官を務め、「ミスター円」の異名をとる人でもありました。
本書の中ではジョージソロスのことや日本とアメリカの為替に関する情報の取り扱いの違い、特に日本のほうが幼稚であるということを具体的な例を出し、説明してくれています。
そういえば、民主党が政権を取った後、経済指標が発表前にリークしてシンガポール市場の日経先物が妙な動きをしたこともありました。そういう意味でも日本の情報に関わる人たちのリスク管理のなさが問題なのかもしれません。
著者ならではの切り口と独自の視点で書かれています。
プロが見る為替の世界に興味のある方にはお勧めです。
著者自身が為替政策の陣頭指揮を執っていた90年代半ば〜後半を回顧しながら、リーダーに求められる資質(知的に謙虚であること)、完璧な理論などあり得ないこと、市場との対話の重要性、等々について著者の考えを述べていく内容。
経済理論家を「所詮、ペーパー・ドライバー」(「あとがき」より)と言い切ってしまうあたりに、「現場の人間」としての誇りが見て取れる。著者によれば、新古典派の経済理論が切り捨ててしまっている「情報の不完全性と市場のゲーム論的性質」にこそ、現実の為替市場の動向を読むポイントが潜んでいるという。市場の声に耳を傾け、理論からは抜け落ちている知識・情報・経験に学ぶことが、何よりも重要であると述べられている。
「あとがき」を読んで「なるほど、そういうことか」と感じたのだが、著者の胸のうちには、本書執筆当時の小泉首相、竹中金融担当相による独善的な政策立案・実施スタイルへの憤りがあったようだ。また、(IMFを念頭に)現場を見ずに教条的に経済理論を振りかざす官僚的組織、情報の価値を吟味する能力のない報道メディアに対する批判も比較的厳しい。
仕方のないことだが、時事的なネタに関しては、ロシア・ルーブル危機、アジア通貨危機、等の90年代後半〜2000年代初めに起きた事例が挙げられており、今となっては取り上げるトピックに古臭さを感じた。そういう意味では、既に「賞味期限」の切れた本かもしれない。ただし、著者の強調するポイント自体が時代遅れになっているわけではなく、「消費期限」はまだ迎えていないように思う。
ロバート・ルービンの「世の中たしかなものなど決して存在せず、すべての現象は確率論的なものである」いう哲学、ジョージ・ソロスの「開かれた社会」における人間の「誤謬性」という哲学を称賛している。また、スティグリッツが現在のマクロ経済学批判の姿勢を支持し、市場を読むさいの基本原則の理論化で彼が成した貢献を評価している。
ヘッジ・ファンドの役割、情報の非対称性の容認、為替介入に必要なサプライズ、為替変動予測の限界などに関する著者の見解は傾聴に値する。5つの章(「第1章:為替市場は『美人投票』である」「第2章:為替取引は情報ゲームである」「第3章:為替の予測など当たるはずがない」「第4章:情報戦争で勝利する」「第5章:為替の背後に ing の世界が見える」)にキーワードが示され、これがいい指南役を果たしている。ReflexivityとFallibility(第1章)、イベント介入とロシア通貨危機(第2章)、プロジェクト・ファイナンスとワシントン・コンセンサス(第3章)、情報管理とフィジカル・コンタクト(第4章)、不胎化介入とグローバル資本主義(第5章)。
コラム(「円・ドル相場の歴史をたどる」「古典派経済学と新古典派経済学」「アメリカが警戒するアジア共通通貨」「アジア通貨基金(AFM)構想」「Love Affair with Chinese economy?」)も面白い。
でもある程度は予測できると期待して読み進むと、色々発見が
あった。市場参加者は多く、人は間違える生き物。
市場は参加者が相互に干渉しながら形成される。
情報は均質に伝達しない。それぞれ立場が違うと答えも
違うなど、プレーヤーとして、知っておくべき条件が描かれている。
また為替市場に介入するということはどういうことか、我々では
実体験できない事にも言及されており、ためになった。
最後にはここ10年から、この後10年先の動きについての世界情勢
にも視野が広がり、そういうことが始まっているのかと気付かされた
さすがはミスター円、榊原先生の私にもわかる良書でした。
しかし各章の後にある「コラム」と最終章である第5章において現在の日本及び世界の経済状況と今後日本が進むべき方向性を示唆しているので救われました。
上記の理由により星を3つとしましたが、為替市場を知り尽くした人がその当時の榊原采配の真意を知りたいと言う意図で購読するのであれば価値はあると思います。
本書の内容は多岐にわたり、非常に興味深く読ませて頂きました。目的を達成するための「武器」として、どう情報を活用していくか?ここでの基本的な考えは、単に行政の担当者のみに止まらず、我々が、社会の中で生きていく上においても、様々な応用が可能だと思います。
特に私が興味を引かれたのは、「サプライズ効果」についての話です。
為替市場に政府が介入する際、従来の方法は「①少額ずつ、②毎日のように、③市場に見え見えのやり方」という、小出しに投入するというやり方を取っていたそうです。これは市場の心理から言えば、「またか」という事になり、介入しても成功しないという見方が定説になっていたそうです。
榊原教授が、国際金融局長として指揮を取った際、試みた方法は「①一回に大量の資金を投入する、②介入の回数を絞る、③市場にサプライズさせるやり方」、これにより市場が反応し、円高の流れを円安に反転させる事に成功したそうです。
人間の心理や専門分野に関する深い洞察力、果断な実行、「失敗に学ぶ事」、がいかに目的達成のために重要であるか、についての好例と言えるでしょう。
「機能的分権、戦略的集中(組織論について)」「『暗記・詰め込み』が創造性を育てる(ゆとり教育の弊害)」の項にも、大変有意義な話が書かれております。
榊原教授は、「元大蔵官僚」的なイメージでは収まらない柔軟な発想、「自己検証」の重要性(真の意味での謙虚さ)について、の深い見識を持っておられる優秀な方だと思います。
また、この本から情報の重要性について学ぶことができた。人と直接会って情報収集する大切さ、多角的情報収集の重要性などを知ることができた。
一線で活躍されてきた方の本とあって、市場に対峙するうえでのヒントがあちこちにちらばっていると思う。