今北純一氏の著書「欧米・対決社会でのビジネス」は欧米人のものの考え方を深く生き生きと
描いている。最近読み直す機会があり大変参考になったので、氏の著作を5冊ほど購入し読むと、
本書が特に読み応えがあった。
本書では知力と修羅場経験豊富な今北氏が縦横斬新に「突っ込み」、羽生善治氏がやわらかく、
核心を簡潔に「応じる」。普通の対談では引き出せない「心の奥襞」が垣間見える尋常ではない
対談になっている。
羽生氏は将棋だけの人ではない。多くの一流人に会い何かを吸収してきたことも滲み出ている。
筆者は昨年、友人と「究極のプレーヤー」の音色を体験したいと、寺垣武先生の研究所を訪問を
させてもらったとき、寺垣先生は、話の折に「将棋の羽生さんも2回、訪ねてきた」と言われた。
羽生氏は卓越した仕事をした人に積極的に会い直接に話を聴く努力をしてきた人なのだと知った。
本書は大変興味深い話が満載であるが、ひとつだけ紹介すると、こんな話である。
羽生氏がパリで仏の将棋愛好家に指導対局していた。その中に、チェスの名手ロチェ氏がいた。
今北氏は通訳を買って出て交流を支援した。今北氏はロチェ氏から「羽生さんの集中力は尋常で
はない」と聞いた。そこで、羽生氏に直接聞いた「集中力ってどんな感じですか?」。羽生氏は、
「海に潜る感じです」と応えた。
本書でその話の続きとなった。「本当に集中している状態というのは、雑念が一切消え去って、
澄み切った深い海の中の沈黙の世界にいる感じなのです。・・・(続く)」
全国の図書館に1冊づつ所蔵しておいてもらいたい本です。ただ、もう絶版なのは残念。
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定跡からビジョンへ 単行本 – 2004/7/22
不況からの脱出にはこの一手!
ミッション、ビジョン、パッションの三位一体がビジネスを活性化させる。次の妙手は定跡を超えたところに。目からウロコの対談
ミッション、ビジョン、パッションの三位一体がビジネスを活性化させる。次の妙手は定跡を超えたところに。目からウロコの対談
- 本の長さ283ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2004/7/22
- ISBN-104163660100
- ISBN-13978-4163660103
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
地位や肩書きを目指すと、間違った人生レースに入ってしまう。ヨーロッパでは学歴と名刺で勝負はできない。自分の世界を持つ人が、敬意を表される-。好奇心に燃えた天才棋士が、百戦錬磨のビジネス・エリートと対談。
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2004/7/22)
- 発売日 : 2004/7/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 283ページ
- ISBN-10 : 4163660100
- ISBN-13 : 978-4163660103
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,057,859位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,564位将棋 (本)
- - 94,793位エンターテイメント (本)
- - 140,630位ノンフィクション (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年10月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
プロ棋士羽生義治氏と経営コンサルタント今北純一氏が、
それぞれのフィールドのプロとしての知識・経験をぶつけ合い、
相互に自らのフィールドに引き直して深みのあるアナロジーを展開しながら、
対話は様々なテーマへと進んで行く。
その対話の中で生まれる「ヒューマンケミストリー」が読者にも十分に伝わって来て、
知らぬ間に引き込まれて行く感じだ。
両者に共通するのは、
定跡(専門知識)の深い理解・百戦錬磨の実戦経験・飽くなき知的好奇心の3つであると思う。
特に羽生氏のビジネスの世界への探究心は驚くほど深く、
そうした将棋の世界の外側から吸収したものが、
定跡だけからでは得られない氏の卓越した直観力や大局観を作り出しているのだろう。
「プロ棋士は十手先を想定できない」「フランス人は情報=りんごと考えている」など、
両氏ならではの知見から新しい理解を得られることも多く、
知的刺激を受ける良書だと思う。
それぞれのフィールドのプロとしての知識・経験をぶつけ合い、
相互に自らのフィールドに引き直して深みのあるアナロジーを展開しながら、
対話は様々なテーマへと進んで行く。
その対話の中で生まれる「ヒューマンケミストリー」が読者にも十分に伝わって来て、
知らぬ間に引き込まれて行く感じだ。
両者に共通するのは、
定跡(専門知識)の深い理解・百戦錬磨の実戦経験・飽くなき知的好奇心の3つであると思う。
特に羽生氏のビジネスの世界への探究心は驚くほど深く、
そうした将棋の世界の外側から吸収したものが、
定跡だけからでは得られない氏の卓越した直観力や大局観を作り出しているのだろう。
「プロ棋士は十手先を想定できない」「フランス人は情報=りんごと考えている」など、
両氏ならではの知見から新しい理解を得られることも多く、
知的刺激を受ける良書だと思う。
2005年11月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
羽生善治「決断力」を先に読みましたが、羽生さんの発言の内容が結構かぶっています。ですが、その発言の内容は非常に興味深いものでした。例えば、集中する感覚は海に潜るように徐々に段階を経て深い集中に達する。一気に深いところへは行くことができないといったこと。また、大駒のような強力な駒でも後に負担になるだけだと思えば、思い切って切り捨ててそこで得た駒を別の場所で使う。大駒を失うことはその部分では大きな損失だが全体ではバランスが取れている。などなど。厳しい勝負の世界でトップである人がいうことだけに本当に説得力があります。しかし、そのエッセンスが詰まっているのは「決断力」の方が上です。そちらをおすすめしておきます。
2007年3月12日に日本でレビュー済み
羽生さんについては、将棋の世界での七冠王という前人未到の業績を成し遂げた人として注目してましたが、今回のビジネス界の今北純一さんという方は知りませんでした。今回の対談で将棋の個人としての勝負の世界とビジネスの組織としての勝負の世界の共通項が多いことに今更ながら驚きました。会社という組織の中にいても、会社の規模や肩書きの威光が効かない世界へ個人としてでていかなけらばならない等、組織の中で働く者の心構え、将棋の勝負の世界の中での自分の磨き方、伸ばし方などについて、自由奔放に語り合ってる元気のでる本です。
2004年8月10日に日本でレビュー済み
ひとつの道を極めた人の言葉として、思わず羽生さんのコメントのいくつかにアンダーラインを引いてしまった。いっぽうの今北氏は、カバー帯の経歴を見ると圧倒されるが、話す内容が評論家っぽくて、氏が文中で批判するテレビのワイドショーと良く似た発言ばかりなのは、ブラックユーモアとしかいいようがない。氏の発言でアンダーラインを引く個所が驚くほど少ないのは、せっかく欧米で多くの経験を積んでいるのに、そこから引き出されたノウハウを語る部分が少なかったから。時間のない人は、羽生氏の発言だけチェックしよう!
2004年7月25日に日本でレビュー済み
このひとの頭の中はどうなっているのだろう。羽生善治さんのことだ。ビジネスに関する情報はさして多くストックされていないだろうに、百戦練磨のエリート・ビジネスマンと丁々発止とわたりあい、堂々としたものである。きっと文脈の読み方が天才的なのだろう。ビジネスの基本から、さまざまなビジネス・シーンの先行きまで、羽生さんの質問で実に見通しよく話は進んでゆく。何ページか読み進むうちに、明日のパワーランチの席ですぐに披露できる話題がいくつもあるというのもありがたい。役に立つ本というのは、こういう本のことをいうのだろう。
2004年10月3日に日本でレビュー済み
将棋の羽生氏と言えば7冠を取ったすごい人だが、それは将棋の世界の事だけだと思っていた。驚いたのはその好奇心・・・・なんとグローバル・ビジネスの世界の今北純一氏を相手に、勝負の世界で学んだことを普遍的なロジックに昇華させようとしている。今北氏といえば前著「ミッション」(新潮社)で、人間のモチベーションの意味を大きく変えた人物。これは、3回読み直しても得るところの多い好著である。でも、きっと今の読者には受けないんだろうな・・・・!