冒頭から北朝鮮や中国に対して極めて厳しいタカ派的見解が飛び出すなど、警察官僚としてのキャリアから覗き見た政治経済社会世相雑感と言うべき本で、リスク＆危機管理に対する強い信念がバックボーンとして貫かれている。
リスクや危機と言っても、主体の次元によって全く対応が違ってくるが、著者の最大の関心事は、日本国の危機管理であり、豊かな政治経験の中で遭遇した日本の危機について論じながら、日本の外交を含めて、独立国家としての威厳と誇りの発揚を喚起している。
日本の政治家を黒白を付けて論じているが、著者が非とする政治家が、首相候補として国民の人気を博するこの国を、そしてこの国民の見識をどう考えるのか。
私生活以外は殆ど不安がなく、危機意識が希薄で有史以来かってないほど平和な生活を享受すしている我々日本人には、犬の遠吠えと思われるような強烈な見解も多いが、議論の大半は傾聴に値する。
苦手だと言う経済経営事象に対しては、はっきり、『国際社会は、「弱肉強食」何でもありの修羅場の世界で、資本主義は、「利潤の追求」が本質で、紳士協定も騎士道・武士道精神もない。食うか食われるか、非合法すれすれのやり直しなしの勝負の世界だ。』と言って、ホリエモン現象を容認し、アマイ日本の経営と企業不祥事を糾弾する。
最近数年間の世相を著者の独善と偏見で論じてはいるが、カレント・トピックスを反芻しながら読んでみても面白い。
平和ボケ日本に対する硬骨漢の繰言として聞いてみても興味深いし、歯切れが良いので痛快でもある。
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