桑田槇原斉藤あたりの時代までで
野球を熱心に見ることをやめてしまったので、
この本の時代のことはそんなによく知りませんでした。
とはいえ、その頃は今より野球中継もいっぱいあったと思うし、
長嶋茂雄という今世紀最大級のスターが率いる巨人軍は、
今よりも輝いていたような気がします。
というような印象で読み始めたわけですが、
舞台裏の権謀術数渦巻きぶりにはまったく驚嘆しました。
野球を楽しむ分には、
ナベツネがどうとかヘッドコーチは監督とそりが合わないとか、
スパイス程度にそんな情報があったほうが楽しいものですが、
スパイスをぎっしりつめられると刺激の強さにめまいがします。
まあ、国内の最大人気スポーツの最大人気球団ですからね、
さわやかに野球だけをやっていればうまくいく
というものではないというのは考えればわかりますけれども。
そのような球団内外の舞台裏を、
河田弘道という人物の作成したファイルから詳細に描きます。
長嶋第二次政権を「黒衣の参謀」として支えた、
自分のことを「わたくし」と呼ぶ
何やら得体の知れない薄気味悪げな人物。
(河田氏側の視点で描いているのに、
上記のような河田氏の印象は一貫しています。)
名選手が必ずしも名監督ではないとはよくいわれることです。
河田氏がGファイルでチーム運営について鋭い進言をしていますが、
長嶋氏はこれらを腹の底から理解してやっていたのでしょうか。
「グーッと来た球をバーンと打つ」みたいな長嶋語録がありますが、
全体的にチーム指揮も終始その調子だったような気がしてなりません。
まして選手や選手出身の監督やコーチは政治家ではないので、
これだけの利権がうなりをあげる世界にいるにも関わらず、
そっちの方面にはかなり能天気といってよいような状態ですよね。
中曽根だとか正力だとか、政治と骨がらみになったような
読売本社がグイッグイに絡んでくるわけですから、
傍から見ていると面白いには違いないけれど、
ちょっとこれは見てられないなあみたいな事も起こるのでしょう。
その必然的な結末として、
「長嶋茂雄にとっての敗北は1980年10月21日の解任ではない。
1997年9月18日の「留任」こそ、真の敗北なのである」
ということに至るわけですけども、
その結論に至る終盤の迫力はすごかったです。
今もこういうことが当然舞台裏で繰り広げられてるんでしょうね。
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長嶋茂雄と黒衣の参謀 Gファイル 単行本 – 2006/10/13
武田 賴政
(著)
94年長嶋巨人軍の“メークミラクル”の裏には誰も知らない名参謀の存在があった。5000頁にわたる極秘ファイルが明かす衝撃の真実
- 本の長さ446ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2006/10/13
- ISBN-104163681906
- ISBN-13978-4163681900
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2006/10/13)
- 発売日 : 2006/10/13
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 446ページ
- ISBN-10 : 4163681906
- ISBN-13 : 978-4163681900
- Amazon 売れ筋ランキング: - 854,778位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 22,427位スポーツ (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2006年10月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
徳光和夫さんをはじめとした巨人ファン(というよりも長嶋茂雄シンパ)は読むと泣いてしまう作品です。今の巨人の低迷を考えた場合、「病巣」はかなり根深いなと、この書物を読んで思いました。今のフロントの在り方が10年前とまるっきり変化がなく、現在の巨人のトップに君臨する方々が考えを改めないかぎり、このチームの優勝は無理だなと感じました。
もう一つ感じたのは長嶋さんに面と向かって意見をする人間がいないということでしょうか?この書物のもう一つの側面は「長嶋茂雄はいかにして読売の狗になったか」というテーマも入っています。この老害も中田英寿くらい引き際を大切にしていれば、日本のプロ野球もメチャクチャにならなかったろうにと思いました。
もう一つ感じたのは長嶋さんに面と向かって意見をする人間がいないということでしょうか?この書物のもう一つの側面は「長嶋茂雄はいかにして読売の狗になったか」というテーマも入っています。この老害も中田英寿くらい引き際を大切にしていれば、日本のプロ野球もメチャクチャにならなかったろうにと思いました。
2006年12月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現在、なぜジャイアンツが弱くなってしまったのかだけでなく、
日本プロ野球の主力メンバーが大リーグに続々と行ってしまう
遠因にも気づかされる。
「お家騒動」=「阪神タイガース」というイメージを
強く抱いていましたが、今のジャイアンツも同じ病に
侵されてしまっているようです。
ただ、読み進むにつれ
これは1球団の問題にとどまらず
日本球界全体にも当てはまるのではないかとの
思いにとらわれてならない。
日本プロ野球に関心のある方には
是非お薦めしたい1冊。
日本プロ野球の主力メンバーが大リーグに続々と行ってしまう
遠因にも気づかされる。
「お家騒動」=「阪神タイガース」というイメージを
強く抱いていましたが、今のジャイアンツも同じ病に
侵されてしまっているようです。
ただ、読み進むにつれ
これは1球団の問題にとどまらず
日本球界全体にも当てはまるのではないかとの
思いにとらわれてならない。
日本プロ野球に関心のある方には
是非お薦めしたい1冊。
2007年6月4日に日本でレビュー済み
よもや勘違いしている読者などは居ないとは思いますが、これは球界への提言本などではなく、単なる私怨により綴られた暴露本であります。
黒衣の参謀殿とやらは、一体全体「長嶋茂雄」に何を求めていたのでしょう?
目標と手段とがまるでバラバラで、黒衣の参謀殿の戦略が皆目理解不能です。
唯一評価できるのが、前巨人軍オーナーの渡辺氏の過去の発言「スパイ野球だとか云々」は、それが誰に向けて発信されたものであったのか、この本で初めて理解できました。
結局、黒衣の参謀殿は何もかもが自業自得なのですが、逆切れしてるとしか評価できません。
ということで、暴露本だと分っていて、そしてスキャンダル好きな方であればご一読下さい。
ところでこの本の主人公たる黒衣の参謀殿ではなく、著者武田氏にひとつ申し上げたい。
この本には、細かな事実関係の記述や前後関係のミスがあまりに多過ぎます。
この有り様では黒衣の参謀殿が提示した、核心部分についての信憑性すら疑わしいと評価されてしまいます。
暴露本ならばこそ、そう云ったディティールに、より注意をば払うべきであります。
そして本当に野球が好きな人ならば、この様な内容の本に感じ入ったり怒りを抱いたり軽蔑したりと、心を惑わされることもないでしょう。
黒衣の参謀殿とやらは、一体全体「長嶋茂雄」に何を求めていたのでしょう?
目標と手段とがまるでバラバラで、黒衣の参謀殿の戦略が皆目理解不能です。
唯一評価できるのが、前巨人軍オーナーの渡辺氏の過去の発言「スパイ野球だとか云々」は、それが誰に向けて発信されたものであったのか、この本で初めて理解できました。
結局、黒衣の参謀殿は何もかもが自業自得なのですが、逆切れしてるとしか評価できません。
ということで、暴露本だと分っていて、そしてスキャンダル好きな方であればご一読下さい。
ところでこの本の主人公たる黒衣の参謀殿ではなく、著者武田氏にひとつ申し上げたい。
この本には、細かな事実関係の記述や前後関係のミスがあまりに多過ぎます。
この有り様では黒衣の参謀殿が提示した、核心部分についての信憑性すら疑わしいと評価されてしまいます。
暴露本ならばこそ、そう云ったディティールに、より注意をば払うべきであります。
そして本当に野球が好きな人ならば、この様な内容の本に感じ入ったり怒りを抱いたり軽蔑したりと、心を惑わされることもないでしょう。
2009年10月6日に日本でレビュー済み
決してつまらない本ではない。長嶋監督を影で支えた参謀が監督に宛てた資料に基づき、当時の舞台裏を明かすという内容だ。
どこの社会でもありそうなややこしい人間関係はスポーツ界にも当然あるわけで、へぇーとは思うのが、それで終わってしまうのが物足りないところ。読者の野球観が変わるわけでもないし、ましてや、現在の球界への提言になっているわけでもない。
長嶋さんて愛すべき人柄ではあるけれど、やっぱり監督の資質はなかったのね、と再認識するにはいいかもしれません。
どこの社会でもありそうなややこしい人間関係はスポーツ界にも当然あるわけで、へぇーとは思うのが、それで終わってしまうのが物足りないところ。読者の野球観が変わるわけでもないし、ましてや、現在の球界への提言になっているわけでもない。
長嶋さんて愛すべき人柄ではあるけれど、やっぱり監督の資質はなかったのね、と再認識するにはいいかもしれません。
2007年2月9日に日本でレビュー済み
長嶋はじめ昔からの巨人ファンには厳しい内容だと思う。
巨人の強さは圧倒的で無敵だった。言い換えれば巨人選手、監督・コーチ、フロントは、闘うべき敵を見失っていたということだ。己の尾を食べるウロボロスのように、内部抗争が激化していく理由もよくわかった。
現在の巨人は優勝とはほど遠く、現役の巨人選手をCMなどで見かけることはない。もはや全国区の人気球団ではないということだろう。
巨人を冷静に観てきた人にとって、本書のような病巣が根深いことには薄々気づいており、ある程度予想された内容ではないだろうか。最大発行部数の新聞とキーTV局を背景にした金満球団がこれほど低迷しているのだから、その原因を真面目なプロ野球ファンは気づいていたはずです。
ヒーローが必要なときに、長嶋が現れた。読売は長嶋にイノセントな聖性を持たせファンもそれを支持した。本書を読むと、ファンの信仰を背景に、批判機能を失った巨人軍は内紛を繰り返し、自滅していく様子がよくわかる。巨人で落合のような他球団から来た選手がいかにやりづらいか、また読売新聞と巨人との絶望的な温度差も悲しいほどよくわかる。
おそらく阪神も、それに類する内部の問題はあるだろう。今後も類書の発刊を期待したい。
巨人の強さは圧倒的で無敵だった。言い換えれば巨人選手、監督・コーチ、フロントは、闘うべき敵を見失っていたということだ。己の尾を食べるウロボロスのように、内部抗争が激化していく理由もよくわかった。
現在の巨人は優勝とはほど遠く、現役の巨人選手をCMなどで見かけることはない。もはや全国区の人気球団ではないということだろう。
巨人を冷静に観てきた人にとって、本書のような病巣が根深いことには薄々気づいており、ある程度予想された内容ではないだろうか。最大発行部数の新聞とキーTV局を背景にした金満球団がこれほど低迷しているのだから、その原因を真面目なプロ野球ファンは気づいていたはずです。
ヒーローが必要なときに、長嶋が現れた。読売は長嶋にイノセントな聖性を持たせファンもそれを支持した。本書を読むと、ファンの信仰を背景に、批判機能を失った巨人軍は内紛を繰り返し、自滅していく様子がよくわかる。巨人で落合のような他球団から来た選手がいかにやりづらいか、また読売新聞と巨人との絶望的な温度差も悲しいほどよくわかる。
おそらく阪神も、それに類する内部の問題はあるだろう。今後も類書の発刊を期待したい。
2006年10月21日に日本でレビュー済み
1994年10月8日、中日×巨人のセリーグ優勝をかけた1戦は「国民的行事」とまで言われる一戦となりました。野球とは「筋書きのないドラマ」と称されることが多いですが、この年のジャイアンツの優勝へのシナリオは綿密な調査と分析、そして心理戦によるものであるということが分かりました。
一見、純粋なスポーツマンの技の勝負のようですが、プロ野球、ことジャイアンツにあっては何とも形容しがたい真っ黒なものがその裏に蔓延していることが分かります。
人間同士の政治的な駆け引きや、国民的スターとして、今もなお痛々しいまでの姿でファンの声援に応える長嶋「終身名誉監督」の存在意義、そして「V9」の功罪・・・
『週刊現代』の記事でこの本を知り勢いで購入しましたが、一人の野球バカとして純粋なスポーツエンターテインメントとしてプロ野球の世界が浄化・再構築されることを願ってやみません。今年のジャイアンツの不振の原因が分かる一冊として、ジャイアンツファンの皆さんにこそ読んで頂きたい本だと思います。
一見、純粋なスポーツマンの技の勝負のようですが、プロ野球、ことジャイアンツにあっては何とも形容しがたい真っ黒なものがその裏に蔓延していることが分かります。
人間同士の政治的な駆け引きや、国民的スターとして、今もなお痛々しいまでの姿でファンの声援に応える長嶋「終身名誉監督」の存在意義、そして「V9」の功罪・・・
『週刊現代』の記事でこの本を知り勢いで購入しましたが、一人の野球バカとして純粋なスポーツエンターテインメントとしてプロ野球の世界が浄化・再構築されることを願ってやみません。今年のジャイアンツの不振の原因が分かる一冊として、ジャイアンツファンの皆さんにこそ読んで頂きたい本だと思います。
2006年11月7日に日本でレビュー済み
一気に読んでしまいました。確かに面白い。
野球ファンなら衝撃的な内容が最初から最後まで書いていて全く飽きずに読み進められました。
桑田真澄の右ひじ手術時のエピソードなどなど・・これってマジなの???って衝撃的な内容でした。
これが事実ならば、巨人は根本的な改革が必要であり、しばらくは上昇しそうな気がしないって言うのが偽らざる感想ですね・・・
野球ファンなら衝撃的な内容が最初から最後まで書いていて全く飽きずに読み進められました。
桑田真澄の右ひじ手術時のエピソードなどなど・・これってマジなの???って衝撃的な内容でした。
これが事実ならば、巨人は根本的な改革が必要であり、しばらくは上昇しそうな気がしないって言うのが偽らざる感想ですね・・・