この本書ではシャクルトンの準備不足がクローズアップされていますが
戦争中という当時の時代背景を考えると仕方ないかなと思う部分も多いです。
それよりもロス海支隊の最大の問題は指揮官マッキントッシュ(パソコンじゃないよ)
の能力不足に尽きるといえます。(以下マッキントッシュ=マック)
自分より上の物には従順に仕事をこなしますが、自分より下の物に対しては
どんな優れたアイデアや意見にも全く耳を傾けずに突き進んでしまってます。
エンデュアランス号にとって犬はそれほど大きな大役は果たせませんでしたが
ロス海支隊にとって2トン以上の支援物資を2000キロ以上運搬するには
犬が成功の可否を握っている重要な要となっていたのです。
マックは犬の扱いも不慣れで重要性がわかっておらず、南極の経験もあり、
犬の扱いにも慣れているジョイスの意見を全く無視し旅の序盤で多くの犬に
鞭を打ち能力以上の荷を引かせ死亡させています。
これでスケジュールは遅れ、大切な食料をより多く消費してしまい
序盤の遅れが旅をよりいっそう困難な物にしてしまいます。
しかしながら凄いのはエンデュアランス号の運命は自分たちが握っているという
使命感でこの困難を達成してしまうところは凄いとしかいいようがないです。
(マックがもう少し部下と協力していればこれほど苦労は無かったと思います)
本書では生き残ったメンバーの救出後の人生も記録されているので参考になります。
最後の生存者が1985年まで生きておられたのも驚きですね。
もう一つ驚くのはこの本が発行されたのは2000年以降だということ、
エンデュアランス号の物語が50年以上前に出版されていることを考えれば
まさにシャクルトンに消された物語ってことですね。
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南極横断隊の悲劇 シャクルトンに消された男たち 単行本 – 2007/8/30
隊員を一人も死なせなかった――シャクルトンの伝説は本当か? 本隊の食料基地設営のために、南極を逆から上陸、遭難していった悲劇の隊
- 本の長さ376ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2007/8/30
- ISBN-104163693904
- ISBN-13978-4163693903
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2007/8/30)
- 発売日 : 2007/8/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 376ページ
- ISBN-10 : 4163693904
- ISBN-13 : 978-4163693903
- Amazon 売れ筋ランキング: - 662,806位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 6,275位英米文学研究
- - 104,904位ノンフィクション (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年12月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2014年5月22日に日本でレビュー済み
シャクルトンの南極横断プロジェクトに際しては
反対側に上陸して物資を運び込んでおく隊が別にいた
あと壊滅したスコット隊の物資も当てにしていた
しかし資金が集まらなかったことで準備は難航する
そして南極に上陸してもトラブル多発だし
船はそのまま流されてしまうし、という状況
リーダーはシャクルトンへの忠誠心はあったのだが
思考に柔軟性がなく状況はどんどん悪化していく
その中で若い科学者やベテランの船乗りが状況を改善しようとする
リーダーは結局は命を落とすわけだったのだが
gdgdなプロジェクトと忠実で頭の固いリーダーという最悪の取り合わせ
それがシャクルトンの奇跡の裏で大変なことになっていたのである
さらには救出に際しては英豪での権限争いがあったり
救出された隊員がWW1の惨状に心を痛めるなど
何とも救われない話なのである
反対側に上陸して物資を運び込んでおく隊が別にいた
あと壊滅したスコット隊の物資も当てにしていた
しかし資金が集まらなかったことで準備は難航する
そして南極に上陸してもトラブル多発だし
船はそのまま流されてしまうし、という状況
リーダーはシャクルトンへの忠誠心はあったのだが
思考に柔軟性がなく状況はどんどん悪化していく
その中で若い科学者やベテランの船乗りが状況を改善しようとする
リーダーは結局は命を落とすわけだったのだが
gdgdなプロジェクトと忠実で頭の固いリーダーという最悪の取り合わせ
それがシャクルトンの奇跡の裏で大変なことになっていたのである
さらには救出に際しては英豪での権限争いがあったり
救出された隊員がWW1の惨状に心を痛めるなど
何とも救われない話なのである
2009年2月1日に日本でレビュー済み
この本を読む前にシャクルトンのエンデュアランス号漂流記を読んだ。それは表舞台の話だった。この本はその表の人たちを支えるための「ロス海支隊」と言うシャクルトン本隊の予定経路に食料基地を設営し物資を供給するためルートの逆側から南極点に向かって行った一行の物語である。
本隊が華々しい取り上げ方をされる一方でこの支隊の存在はほとんど話題にならなかった。実際には本隊は南極を横断するどころか南極大陸に上陸することもかなわず漂流し一応全員生還したものの本来の目的を果たすことはなかった。シャクルトンも支隊を気にかけるものの本隊の方で手一杯で、資金・船・隊員・装備等、全ては指揮官のマッキントッシュ任せであった。全てが準備不足、隊のまとまりもなく、犬の訓練も不十分、内紛や不信感渦巻く経験不足の最低の組織を、最低の準備で率いなければならないマッキントッシュ自身には、一番必要な指揮官の能力が欠如していた。それにも関わらずこの支隊は「自分たちの行う食料基地設営が本隊のシャクルトンの生死を分ける」という使命感のために、筆舌しがたい苦難の末、目的を達成する。結果3人の隊員の命が失われる。その中にマッキントッシュ自身も含まれている。残った一行が救出されたのも、最後の最後である。ただしその救助にシャクルトン自身が率先して参加しているのが、彼の責任感の強さが表れているところである。
筆者のケリー・テイラー・ルイスは丹念な取材を行い、イギリス・オーストラリア・ニュージーランド、そして南極にまで行って取材を行い、このとてつもない事実をまとめ上げた。南極から戻った本隊・支隊隊員たちのその後も描き、人間の欲望や思惑などについて考えさせられるような内容となっている。
先の本隊の物語と合わせて読むと、組織をまとめるには、とか、リーダーシップとは、リーダーに求められる資質や行動、判断とは、、といったことが成功例と失敗例で示されるようで興味深い。しかし、結果だけ見ると、実は当初の目的を達成したのは組織のまとまりとしては最低だった支隊の方であったことは皮肉なことだ。こうして両方の話を読むと、果たしてシャクルトンは危機に陥ったときのリーダーとしては卓越していたかも知れないが、本当のリーダーはそのような危機に陥らないような先見の明を持った人でなければいけないのでは?と計画段階の杜撰さ・見通しの甘さが浮き彫りになったような気がする。
本隊が華々しい取り上げ方をされる一方でこの支隊の存在はほとんど話題にならなかった。実際には本隊は南極を横断するどころか南極大陸に上陸することもかなわず漂流し一応全員生還したものの本来の目的を果たすことはなかった。シャクルトンも支隊を気にかけるものの本隊の方で手一杯で、資金・船・隊員・装備等、全ては指揮官のマッキントッシュ任せであった。全てが準備不足、隊のまとまりもなく、犬の訓練も不十分、内紛や不信感渦巻く経験不足の最低の組織を、最低の準備で率いなければならないマッキントッシュ自身には、一番必要な指揮官の能力が欠如していた。それにも関わらずこの支隊は「自分たちの行う食料基地設営が本隊のシャクルトンの生死を分ける」という使命感のために、筆舌しがたい苦難の末、目的を達成する。結果3人の隊員の命が失われる。その中にマッキントッシュ自身も含まれている。残った一行が救出されたのも、最後の最後である。ただしその救助にシャクルトン自身が率先して参加しているのが、彼の責任感の強さが表れているところである。
筆者のケリー・テイラー・ルイスは丹念な取材を行い、イギリス・オーストラリア・ニュージーランド、そして南極にまで行って取材を行い、このとてつもない事実をまとめ上げた。南極から戻った本隊・支隊隊員たちのその後も描き、人間の欲望や思惑などについて考えさせられるような内容となっている。
先の本隊の物語と合わせて読むと、組織をまとめるには、とか、リーダーシップとは、リーダーに求められる資質や行動、判断とは、、といったことが成功例と失敗例で示されるようで興味深い。しかし、結果だけ見ると、実は当初の目的を達成したのは組織のまとまりとしては最低だった支隊の方であったことは皮肉なことだ。こうして両方の話を読むと、果たしてシャクルトンは危機に陥ったときのリーダーとしては卓越していたかも知れないが、本当のリーダーはそのような危機に陥らないような先見の明を持った人でなければいけないのでは?と計画段階の杜撰さ・見通しの甘さが浮き彫りになったような気がする。