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がんと闘った科学者の記録 単行本 – 2009/5/29

4.5 5つ星のうち4.5 71個の評価

ニュートリノ観測によりノーベル賞が確実視されていた物理学者・故戸塚洋二氏が科学者ならではの冷徹な視線で綴っていた最期の日々
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 文藝春秋 (2009/5/29)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2009/5/29
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 366ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4163709002
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4163709000
  • カスタマーレビュー:
    4.5 5つ星のうち4.5 71個の評価

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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2023年2月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
がんと闘うことの難しさが心に残ります。
私の父は60年前に胃癌で58歳の若さで亡くなりました。
抗がん剤はなく、本人には病名を告げない時代でした。
ピロリ菌の除菌で胃癌は減りましたが、がんは現在も死因のトップです。
がんの専門医に限らず、多くの医師に読んでいただきたい本です。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2016年7月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 戸塚洋二氏はノーベル賞にもっとも近いといわれていた物理学者のひとり。
その戸塚先生ががんに冒された。大腸がんから始まって8年のあいだにがんは左肺、
右肺、肝臓、骨、脳にまで転移していく。この本は著者の最後の一年間のブログを
立花隆が編集したものである。

 ブログにつけられた名前は A Few More Months。つまり著者の願いはもう数ヶ月
なんとか生きのびること。そのためには副作用の強い過酷な抗がん剤もいとわない。
自分の余命があとわずかだと知っていても戸塚先生は見かけ上は泰然と生活を
楽しみ、冷静に所感をブログに書いていく。例えば、死の8ヶ月前のブログ。

 ・・昨日は土曜日なので、いつも霞がかかったような頭をすっきりさせるため、
  ショッピングセンターの中にある映画館にいってきました。(中略)
  妻はアクション映画が苦手なので私一人で車を運転して朝からでかけました。・・

 見た映画は「ボーン・アルティメイタム」。マット・デイモン主演の複雑なスパイ
映画です。私なんか筋の展開が速くてほとんどついていけなかった。あと一年後には
すでに亡くなられている先生がこんな知的でハイテクな映画を楽しめる。
がんという病気の恐ろしい側面を見せつけられたような気がしました。

 読んでいてとてもせつなかったのは、ノーベル賞をもらえそうなえらい科学者である
戸塚先生が一がん患者としてはまことに主治医にたいしては遠慮していることです。
いろんなことや悩みを相談したいのに忙しい主治医のことを慮って質問できない。
同じ科学者同志としてフランクに聞けばいいのにやらない。たぶんがんという不思議な
病気のことは、あまりにも個人個人によって状況が異なるので、誰にもわからないと
思っているからなのでしょうか。自分のからだのことは自分で調べるしかないと
あきらめています。

 戸塚先生が抗がん剤をアルコールに例えて説明しているところに感心しました。
アルコールを体内に注入するとある人には無上の甘露になり、またある人には
無上の苦痛になる。個体差が大きい。抗がん剤でも同じことが言えるだろう。

 (1)本当に抗がん剤がその人に効くのか?
 (2)ひどい副作用はその人に生じないのか?

そういったことを何も考えずに、いまの標準治療でやみくもに患者に抗がん剤を
与えている。それはいかがなものかと批判しています。がんという病気はよく
わからないことだらけだからいまはそれしかないとしても、戸塚先生が主張する
個人事例の公開やDB化をおしすすめて「知見」の蓄積をはかってもらいたいものです。
どうもがん医者は自分たちの治療の無力性・無効性をひたすら隠すために、
個人情報秘匿をたてにとって、事例のDB作成に反対しているとしか思えません。
自分とよく似た経過をとるがん事例の治療状況を知りたいのはがん患者の共通の願望だと
思います。
32人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2015年12月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
立花隆は先輩だし、戸塚先生は同い年で天才の早世を惜しみます。植物を同定するのも素晴らしいと思います。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2015年8月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 ノーベル物理学賞受賞者、小柴昌俊氏の弟子で次期ノーベル賞に最も近いと言われた著者が、志半ばでがんを患い、生涯を終えるぎりぎりまで、科学者の目で自らの病状を客観的に見つめつつ、絶望的な現実を前になおポジティブな精神を持ち続けた姿勢に感動しました。
刻々と悪化の一途を辿る自らの病状、投与される抗がん剤の効果を示すグラフ、散歩の途中で目にする草木や庭の花々について写真に収めながら、徹底的に分析するところなどいかにも科学者らしい一面は同時に、迫りくる死の恐ろしさから目をそらし、気を紛らせるための努力であることが読み進むほどに明らかになります。
著者は 「自分の命が消滅した後でも世界は何事もなく進んでいく」  「自分が存在したことは、この時間とともに進む世界で何の痕跡も残さずに消えていく」  「自分が消滅した後の世界を垣間見ることは絶対にできない」 ということに気づき慄然とします。 そして人生が終わるという恐ろしさを考えないように気を紛らわして死までの時間を過ごさなければならないと考えます。 
死の恐れを克服するための手段の一つが徹底的なデータ分析の作業でした。 腫瘍の大きさと抗がん剤との関係、その投与時期のタイミング等のち密なデータ分析は、彼の東大時代からの友人で元国立がんセンター長の垣添忠生氏に「おそらく世界に例がない」とまで言わせています。

また著者は「一日一日を充実してお過ごしください」と言われるのが一番困るとも書き、正岡子規の次のような言葉を紹介しています。
「死を前にした正岡子規がこんなことを言っているんですよ。『悟りということは如何なる場合にも平気で死ぬる事かと思って居たのは間違ひで、悟りという事は如何なる場合にも平気で生きていることであった』」

近い死を宣告された時に精神のバランスをどう保つかという課題は昨今の私の最も関心のあるところです。  立花隆の序文と、著者との対談、垣添氏の解説も読みごたえがありました。
35人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2015年12月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大切な人が末期癌と診断、転移もすでにしていて1年後生存率は1桁%。
健康な自分が、想像していろんなことを言いましたが、想像でしかありません。
癌の場所は違いますが、当人の心情が少しでもわかればと思い読みました。
想像では及ばないこと、さまざまなTVドラマなどで描かれるところは、遺族なり回りの見方なのだと思いました。
もちろん、価値観は違いますし、ドラマと同じ感覚もあるのかもしれませんし、一概にはいえませんが、
このように感じ生きた方がいらっしゃるのだなと知ることは大切だと思いました。
ここまで客観的にとらえ、時々の心情も含めて書かれているものはないと思います。
読んだ後、かける言葉がかわりました。
ブログが閉じられているのが残念です。
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2015年12月16日に日本でレビュー済み
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カミオカンデを発展させてスーパーカミオカンデに導いた人で、惜しくも癌で亡くなっちゃったので、ノーベル賞を貰い損ねた人。立花隆の語り口も素晴らしく感心して読んだ。でも途中に「私は原発推進論者であり、温暖化物質を減らすために原発を作るべきだと思っている」との記述。どうやって廃棄すべきかも分からない代物を作って、どないするつもりなのか、その挙句の果てが、福島原発人災じゃないのか、と思ったけど、この人、原発人災の前に死んじゃったのょね。その点で、亡霊に出会ったような気がして、半分で投げ捨てました。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年1月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
生身の人間としての戸塚氏が本書に描かれていることに驚いた。戸塚氏は雲の上のような人なのだが、通常、こうした人が自らが病に倒れ、死に直面し、自分が消滅するとは一体どういうことなのか、と思い悩む心情を一般人に吐露することはない。

これまで評者が見聞きした限りでは、T細胞の発見でやはりノーベル賞級の研究者だった多田富雄氏が読売新聞のコラムで、「もうすぐ自分は死ぬだろう。目をつぶると子供たちが遊ぶ声が頭に浮かび、将来は明るい」「お願いだから、最後の読み書きする力だけは残してほしい」と死の数週前に書かれ、コラム連載を終了されたのを思い出すくらいである。多田氏は医師としての死生感をお持ちだからだろう、と考えていた。

戸塚氏の草木のけなげさをいとおしむような文章を読んでいると、通常は家族や親しい友人、いやむしろ誰にも明かさないような心情や闘病まで公表を許可されたのは、戸塚氏の真摯なお人柄にあると考えざるを得ない。

戸塚氏はガンの治療のデータベース化の必要性を述べられている。本書があれば、多くの患者さん(および医師)が戸塚氏の採用した化学療法だけでなく、より広範囲なデータベースをつくるお手本になるのではないか。自分には、戸塚氏がガンを楽しんでいるようには読めなかった、科学的に化学療法の効果を自ら評価し(医師は勘でしか判断していない、と戸塚氏は述べている)、自らの症例を他の患者に活用してほしい、とおっしゃっている。「ガンが完治してほしいというより、今の状態でよいからより長く生きたい」と書かれている。

自分が本書を手にしたのは、戸塚氏の業績を知っていて(その理論までは理解できないが)業績の背景に興味があったからだが、実際、物理学で未知の現象や対象には系統的に実験を積み重ね、データベース化してゆくという記述は多いに勉強になった。ただ、本書は専門書ではもちろんなく、健常者に対しても健康に生きるために心がけるべきこと、また心の持ちようについて教えてくれる。

仏教の世界観の箇所は自分には難解だったが、草木を愛し、スメタナのわが祖国の5, 6楽章のフス族の凱歌を愛聴された、とあり、雲の上のような存在の戸塚氏がふと身近に感じた。1999年の人間ドックで潜血無しだったのに、翌年にはレベル3の大腸ガンとは不運なのではないか
16人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2016年1月19日に日本でレビュー済み
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先端科学の研究者が、これだけの文章を紡いでおられたとは知りませんでした。読み進むうちにガンと対峙する戸塚洋二博士から大きなパワーを貰っていることに気付きました。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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