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黒澤明という時代 単行本 – 2009/9/11
小林 信彦
(著)
〈世界のクロサワ〉の全作品をその公開時に見ることをつづけてきた著者が書く、時代と格闘してきた映画作家の栄光と挫折、喜びと苦悩
- ISBN-10416371720X
- ISBN-13978-4163717203
- 出版社文藝春秋
- 発売日2009/9/11
- 言語日本語
- 本の長さ270ページ
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2009/9/11)
- 発売日 : 2009/9/11
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 270ページ
- ISBN-10 : 416371720X
- ISBN-13 : 978-4163717203
- Amazon 売れ筋ランキング: - 407,260位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 116,201位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2013年5月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小林さんの本はやはりいい。いつのまにか説得されている自分が嬉しい、小林さんの本を読むいや買う若い衆は信用できる気がする
2014年3月16日に日本でレビュー済み
黒澤映画愛好者でかつ小林信彦ファンには至福の一冊。
やや客観的すぎるドナルド・リチーの「黒澤明の映画」(でも、もちろん名著!)、批判と賞賛のバランスが心地良い佐藤忠男「黒沢明の世界」(不朽の名著!)のいずれとも違う、小林信彦ならではの黒澤明の人と作品論。
若き日の小林評論のこってり感はないが、小林さんもいいお年なんですよ、皆さん。「黒澤明が年齢とともに絵画の静的世界に入っていった」というような記述もあるが、まさに然り。人間いつまでも若い頃のネバリなんか維持できませんよ。
しかし、1本1本を公開時に見続けてきた小林さんの確かな目。作品の本質をがっしり捉まえて語る、簡潔な語り口。特に自殺未遂事件の事情についての記述には深くうなずいた。
これからも何度も読み返そうと思う。映画を観て昭和を生きてきた自覚のある方には必読の名著です。
やや客観的すぎるドナルド・リチーの「黒澤明の映画」(でも、もちろん名著!)、批判と賞賛のバランスが心地良い佐藤忠男「黒沢明の世界」(不朽の名著!)のいずれとも違う、小林信彦ならではの黒澤明の人と作品論。
若き日の小林評論のこってり感はないが、小林さんもいいお年なんですよ、皆さん。「黒澤明が年齢とともに絵画の静的世界に入っていった」というような記述もあるが、まさに然り。人間いつまでも若い頃のネバリなんか維持できませんよ。
しかし、1本1本を公開時に見続けてきた小林さんの確かな目。作品の本質をがっしり捉まえて語る、簡潔な語り口。特に自殺未遂事件の事情についての記述には深くうなずいた。
これからも何度も読み返そうと思う。映画を観て昭和を生きてきた自覚のある方には必読の名著です。
2009年10月31日に日本でレビュー済み
私は黒澤監督の大ファンで、書名でこの本を買ったタイプ。そういう目線でのレビューという事をご了承願いたい。
黒澤作品30本について、作品のほんの概要、著者の同時代的な思い出・世相と作品評価、という構成。一言で言うと、「濃密なエッセイ」みたいな印象。読みやすいし、何事かをほんわか感じることはできる。また数々の名作をものしている著者なので文章力もしっかりしていて流石と感じた。
が、黒澤ファンからすると、事実ベースでの新しさも、作品評としての新機軸も無い。作品への掘り下げは決してコアなファンは満足させられないと思う。入門編としてはどうかというと、いきなり作品技術や役者については同時代的な書き方をしているので、当然数十年前の事に不案内な読者には不親切なところもある。
では、著者のファンが買い求めた場合はどうだろう?そこそこは満足でくるだろうが、黒澤一色のネタで本1冊感動しようとするのはちょっと難しいはず。
とううことは、特定の映画監督と特定の著述家の共通のファンで、かつ、それぞれの掘り下げについては初級から中級程度、というのが本書の適切な読者層だろうというのが私の意見。
ということで、私にはちょっと物足りませんでしたが、一般的な作品としては文句なしに星は平均点の3つとした次第。
黒澤作品30本について、作品のほんの概要、著者の同時代的な思い出・世相と作品評価、という構成。一言で言うと、「濃密なエッセイ」みたいな印象。読みやすいし、何事かをほんわか感じることはできる。また数々の名作をものしている著者なので文章力もしっかりしていて流石と感じた。
が、黒澤ファンからすると、事実ベースでの新しさも、作品評としての新機軸も無い。作品への掘り下げは決してコアなファンは満足させられないと思う。入門編としてはどうかというと、いきなり作品技術や役者については同時代的な書き方をしているので、当然数十年前の事に不案内な読者には不親切なところもある。
では、著者のファンが買い求めた場合はどうだろう?そこそこは満足でくるだろうが、黒澤一色のネタで本1冊感動しようとするのはちょっと難しいはず。
とううことは、特定の映画監督と特定の著述家の共通のファンで、かつ、それぞれの掘り下げについては初級から中級程度、というのが本書の適切な読者層だろうというのが私の意見。
ということで、私にはちょっと物足りませんでしたが、一般的な作品としては文句なしに星は平均点の3つとした次第。
2010年1月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この作者の小林信彦氏は私より2才年下だけれど ほぼ同年代なので黒沢明野第一作「姿 三四郎」を私同様 リアルタイム で見ている また私も黒沢作品全30作を見たので その時代々々が思い出されて一気に読んでしまいました
学生時代 アルバイトで砧の東宝撮影所で「素晴らしき日曜日」のエキストラをやったこなど思い出して楽しく読みました
学生時代 アルバイトで砧の東宝撮影所で「素晴らしき日曜日」のエキストラをやったこなど思い出して楽しく読みました
2009年9月28日に日本でレビュー済み
自分には面白く読めました。
本書は、かつて日本の喜劇人を論じ、志ん朝や渥美清や横山やすしを論じ、
TVの“黄金時代”を論じ、また、アメリカ文化をずっと注視してきた小林信彦が、
黒澤映画全作の同時代人(本書に拠れば、黒澤の初監督作品「姿三四郎」を
封切り直後観たのは国民学校4年のときとか)として、黒澤映画全作について、
年代順に昭和の世相や御自身の半生のスケッチを交えて描いたもの。
コアな黒澤ファンにとっては自明の情報や逸話もあるかも知れませんが、
本書は結局、小林信彦という作家の語り口が身上。
小林ならではの、先行する黒澤論(堀川弘通、佐藤忠男、荻昌弘等々)
からの引用もまた然り。
黒澤映画に何を求めるかで、作品の評価が全く変わるように、
小林信彦に何を求めるかで、本書の評価も変わるでしょう。
小林さんが今、これを書きたかった気持ちは最後まで読めば分かるし、
それだけに、本書を読んで良かったと思います。
本書は、かつて日本の喜劇人を論じ、志ん朝や渥美清や横山やすしを論じ、
TVの“黄金時代”を論じ、また、アメリカ文化をずっと注視してきた小林信彦が、
黒澤映画全作の同時代人(本書に拠れば、黒澤の初監督作品「姿三四郎」を
封切り直後観たのは国民学校4年のときとか)として、黒澤映画全作について、
年代順に昭和の世相や御自身の半生のスケッチを交えて描いたもの。
コアな黒澤ファンにとっては自明の情報や逸話もあるかも知れませんが、
本書は結局、小林信彦という作家の語り口が身上。
小林ならではの、先行する黒澤論(堀川弘通、佐藤忠男、荻昌弘等々)
からの引用もまた然り。
黒澤映画に何を求めるかで、作品の評価が全く変わるように、
小林信彦に何を求めるかで、本書の評価も変わるでしょう。
小林さんが今、これを書きたかった気持ちは最後まで読めば分かるし、
それだけに、本書を読んで良かったと思います。
2012年5月6日に日本でレビュー済み
海外の友人たちと話していて、
あるとき黒澤明監督とその作品の話になった。
よくよく考えてみればそのとき僕は
黒澤作品は数えるほどしか観ていなかった。
日本人としてこれじゃちょっと恥ずかしいなと思って、
全32作品を一通り観てみた。
ひとりの作家の全作品を観たり読んだり聴いたりすることは、
作品群の骨格・構造を知り、
作家の成長・円熟・衰退を観察することになる。
そんな個人的背景があり、
小林信彦の新作『黒澤明という時代』を興味深く読んだ。
この作家のいい点は伝聞、噂によっては一行も書かず、
自分が見聞きしたことをベースに書いてゆく姿勢である。
メモ魔であり、博覧強記である著者だからこそなし得る技とも言える。
小林は黒澤全作品を同時代の作品として劇場で鑑賞している。
その上でDVDで作品を観直し、作家論としてこの本を書いた。
「黒澤流ヒューマン・アクション」として小林が認めているのは
「姿三四郎」(作品01/昭和18年)から
「天国と地獄」(作品22/昭和38年)までである。
黒澤の初期から中期までは時代の空気を吸いながら
人々が映画に期待するエンターテインメントを提供していた。
「世界のクロサワ」と称されジャーナリズムに持ち上げられる頃から
映像は美しくなるが気持ちを揺さぶる映画的醍醐味は減ってゆき、
やがて、作品が枯れてゆくのはなぜだろうと考えていた。
小林の著書は僕の疑問のいくつかに小林なりの視点で答えている。
ちなみに僕の黒澤映画ベストワンは、
「羅生門」(作品11)でも「七人の侍」(作品14)でもありません。
「椿三十郎」(作品21)です。
読書の秋、映画を愛する諸兄はぜひご一読を。
(文中敬称略)
あるとき黒澤明監督とその作品の話になった。
よくよく考えてみればそのとき僕は
黒澤作品は数えるほどしか観ていなかった。
日本人としてこれじゃちょっと恥ずかしいなと思って、
全32作品を一通り観てみた。
ひとりの作家の全作品を観たり読んだり聴いたりすることは、
作品群の骨格・構造を知り、
作家の成長・円熟・衰退を観察することになる。
そんな個人的背景があり、
小林信彦の新作『黒澤明という時代』を興味深く読んだ。
この作家のいい点は伝聞、噂によっては一行も書かず、
自分が見聞きしたことをベースに書いてゆく姿勢である。
メモ魔であり、博覧強記である著者だからこそなし得る技とも言える。
小林は黒澤全作品を同時代の作品として劇場で鑑賞している。
その上でDVDで作品を観直し、作家論としてこの本を書いた。
「黒澤流ヒューマン・アクション」として小林が認めているのは
「姿三四郎」(作品01/昭和18年)から
「天国と地獄」(作品22/昭和38年)までである。
黒澤の初期から中期までは時代の空気を吸いながら
人々が映画に期待するエンターテインメントを提供していた。
「世界のクロサワ」と称されジャーナリズムに持ち上げられる頃から
映像は美しくなるが気持ちを揺さぶる映画的醍醐味は減ってゆき、
やがて、作品が枯れてゆくのはなぜだろうと考えていた。
小林の著書は僕の疑問のいくつかに小林なりの視点で答えている。
ちなみに僕の黒澤映画ベストワンは、
「羅生門」(作品11)でも「七人の侍」(作品14)でもありません。
「椿三十郎」(作品21)です。
読書の秋、映画を愛する諸兄はぜひご一読を。
(文中敬称略)
2009年10月11日に日本でレビュー済み
黒澤フリークスというより、「黒澤論」フリークスである僕。
新刊でちょっとでも黒澤とタイトル名がつくものが出れば迷わず購入している。
で、週刊文春で小林信彦氏が発売を予告していたこの本もすぐに購入し、先日わくわくしながら読み始めた。
なにしろ「あの」小林信彦が書いた黒澤論だ。
「あの」というのは、これまで彼の書いた過去の評伝モノは、確実に面白かったからである。
小説でも「ぼくたちの好きな戦争」がなかなかのものだったが、「天才伝説 横山やすし」「おかしな男 渥美清」などの芸人の評伝モノに独特の切れ味を見せる人だ。芸人たちとの彼自身の私的なエピソードを交えて書かれているので、どれも飽きずに読める。
しかし。
結論から申し上げると、この本には失望した。
タイトルからも伺えるように、リアルタイムで観てきた黒澤映画を、その時々の「時代」とリンクさせて
論じていくのだが、どれも切り口としてはご本人が思っているほどに斬新なものではない。
堀川弘通氏の「評伝 黒澤明」をベースにしたと断っているが、ベースにしたどころではなく、エピソードの材料はほとんどがそれだけ。禁欲的に論じたい気持ちはわかるが、それぞれの作品評価の根拠が圧倒的に不足している。堀川氏の評伝はいい本だと思うが、だからといってそれだけに依拠しなければならないほどに映画を知らない氏でもあるまい。これでは聞いたことのある断片的なエピソードの引用が脈絡なく並んでいるだけだ。
また「リアルタイムに観た」ということだけでは、いくら「時代論」の目線を入れたといっても説得力に乏しい
「姿三四郎」初見時の少年たちの時代の空気だけは確かに面白い。通読して感じたが、たぶん作者はこれを書きたくて書き始め、それをすべての作品論に広げていけると思ったのではないか。
しかし氏自身が気づいているように、黒澤が本当の意味で時代とともに息づいていたのは、「野良犬」ぐらいまでなので(百歩譲って「7人の侍」までか)、どだいその手法には無理があるといわざるを得ない。「時代性」が消えた後期作品に近づくにつれて、どんどんステレオタイプな個人の「印象批評」になっていくのである。
・・・
小林氏は大御所なので少々遠慮なく、かつ偉そうに書かせていただくと、実は彼の近年の筆力の低下は目に余るものがあった。(自分が文章力などをいえた立場でないことを前提に言ってるのだが。。。)
僕は彼の週刊文春のエッセイが好きで常に愛読してきた。自分のブログの文体でもたまに借用させていただいたこともあるほどである。
しかし、なぜかここ数年、ガクッという感じで面白くなくなった。
内容もそうだが、あの独特の洒脱なリズムが消え、愚痴っぽい老人の「言葉の羅列」に堕しているのである。
そのことが今回の黒澤論の文章にもよく現れており、「横山」や「渥美」を論じた筆の冴えはもはやない。
厳しい評価を書かざるをえなかったが、黒澤を愛し、かつての小林氏のエッセイを愛したものだからこそ記しました。
新刊でちょっとでも黒澤とタイトル名がつくものが出れば迷わず購入している。
で、週刊文春で小林信彦氏が発売を予告していたこの本もすぐに購入し、先日わくわくしながら読み始めた。
なにしろ「あの」小林信彦が書いた黒澤論だ。
「あの」というのは、これまで彼の書いた過去の評伝モノは、確実に面白かったからである。
小説でも「ぼくたちの好きな戦争」がなかなかのものだったが、「天才伝説 横山やすし」「おかしな男 渥美清」などの芸人の評伝モノに独特の切れ味を見せる人だ。芸人たちとの彼自身の私的なエピソードを交えて書かれているので、どれも飽きずに読める。
しかし。
結論から申し上げると、この本には失望した。
タイトルからも伺えるように、リアルタイムで観てきた黒澤映画を、その時々の「時代」とリンクさせて
論じていくのだが、どれも切り口としてはご本人が思っているほどに斬新なものではない。
堀川弘通氏の「評伝 黒澤明」をベースにしたと断っているが、ベースにしたどころではなく、エピソードの材料はほとんどがそれだけ。禁欲的に論じたい気持ちはわかるが、それぞれの作品評価の根拠が圧倒的に不足している。堀川氏の評伝はいい本だと思うが、だからといってそれだけに依拠しなければならないほどに映画を知らない氏でもあるまい。これでは聞いたことのある断片的なエピソードの引用が脈絡なく並んでいるだけだ。
また「リアルタイムに観た」ということだけでは、いくら「時代論」の目線を入れたといっても説得力に乏しい
「姿三四郎」初見時の少年たちの時代の空気だけは確かに面白い。通読して感じたが、たぶん作者はこれを書きたくて書き始め、それをすべての作品論に広げていけると思ったのではないか。
しかし氏自身が気づいているように、黒澤が本当の意味で時代とともに息づいていたのは、「野良犬」ぐらいまでなので(百歩譲って「7人の侍」までか)、どだいその手法には無理があるといわざるを得ない。「時代性」が消えた後期作品に近づくにつれて、どんどんステレオタイプな個人の「印象批評」になっていくのである。
・・・
小林氏は大御所なので少々遠慮なく、かつ偉そうに書かせていただくと、実は彼の近年の筆力の低下は目に余るものがあった。(自分が文章力などをいえた立場でないことを前提に言ってるのだが。。。)
僕は彼の週刊文春のエッセイが好きで常に愛読してきた。自分のブログの文体でもたまに借用させていただいたこともあるほどである。
しかし、なぜかここ数年、ガクッという感じで面白くなくなった。
内容もそうだが、あの独特の洒脱なリズムが消え、愚痴っぽい老人の「言葉の羅列」に堕しているのである。
そのことが今回の黒澤論の文章にもよく現れており、「横山」や「渥美」を論じた筆の冴えはもはやない。
厳しい評価を書かざるをえなかったが、黒澤を愛し、かつての小林氏のエッセイを愛したものだからこそ記しました。
2012年4月1日に日本でレビュー済み
小林信彦が国民小学校の4年から5年に向かう昭和18年の春休みに「姿三四郎」を観て、黒澤明の面白さに熱狂した同じ論理で、その20年後、私が小学校の5年から6年に向かう昭和38年の春休みに「天国と地獄」を観て、取分け走る「特急第二こだま」からバッグに入れた身代金を落とすシークエンスは鳥肌が立つほど痺れ、黒澤明という名前を脳裏に叩き付けられた。
本書は黒澤の全作品を時代の空気と共に淡々と書かれており、作品によってはもう少し書いて欲しいなと思ったが、要所は押さえているので我慢するとして、小林は「天国と地獄」をこう書いている。
「天国と地獄」で私が胸をふるわせた昭和38年は、処女作「姿三四郎」で<映画の面白さ>を知った昭和18年から、丁度、二十年目であった。<黒澤流ヒューマン・アクション>が存分に発揮されたのは、「姿三四郎」(昭和18年)から「天国と地獄」(昭和38年)までであった。
まさに私が黒澤明に目覚め、これから観ていこうとした時、「黒澤明という時代」は終ったのだ。
本書は黒澤の全作品を時代の空気と共に淡々と書かれており、作品によってはもう少し書いて欲しいなと思ったが、要所は押さえているので我慢するとして、小林は「天国と地獄」をこう書いている。
「天国と地獄」で私が胸をふるわせた昭和38年は、処女作「姿三四郎」で<映画の面白さ>を知った昭和18年から、丁度、二十年目であった。<黒澤流ヒューマン・アクション>が存分に発揮されたのは、「姿三四郎」(昭和18年)から「天国と地獄」(昭和38年)までであった。
まさに私が黒澤明に目覚め、これから観ていこうとした時、「黒澤明という時代」は終ったのだ。