著者の広い教養に裏付けられた人間洞察がユーモアあふれる文章でつづられ、極高級な知的な満足を味わうことができました。もっと生きて、もっと高級な読書の楽しみを提供し続けてほしかった。
本の到着も早く、街の本屋さんはネットに叶いませんね。
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シモネッタの男と女 単行本 – 2010/8/11
田丸 公美子
(著)
伊語通訳として長年活躍する著者が殊更思い出深い男たち、女たちを描く6篇。盟友・米原万里さんを偲ぶ感涙必至の追悼随筆を収録
- 本の長さ207ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2010/8/11
- ISBN-104163729003
- ISBN-13978-4163729008
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2010/8/11)
- 発売日 : 2010/8/11
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 207ページ
- ISBN-10 : 4163729003
- ISBN-13 : 978-4163729008
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,052,877位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 284,672位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年7月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
イタリア語には関心があるので、この道の達人田丸さんが書いた本は羨望と畏敬を持って愛読する。色香と才知を併せ持った彼女が堂々とイタリア人と渡り合うさまは、痛快極まりない。彼女の本が何故もてはやされるのだろうか?それは私たちののぞき趣味に起因する。いくら国際化が叫ばれようと、西欧は西欧、明治からこの方、遠い外国なのであって、極東の島国の住民は生涯外国語を使う必要もなく暮らしてゆける。だが興味はある。彼ら<異人さん>は、どんな人達であるか?それを田丸さん達、語学のエキスパートが探索し語ってくれる。われわれ庶民の興味はそれで満たされる。
これまで出版されたものは、どちらかといえば楽しいけれど、突っ込んだものではなかった。通訳の世界で見聞した彼我の落差を面白おかしく、そして<下ネタ>で味付けしつつ物語った艶笑小話、といった趣だった。
しかし第一作「パーネ・アモーレ」の成功から10年。今回の最新作は少し事情が異なる。
作者自身、従来の軽い小話では飽き足らなくなって、本来書きたかったものーー同じ人間としてのイタリア人ーーを書こうとしたのではないか。
登場するのは彼女が当初通訳業務で知り合った男女。従って、大企業人でもなく一般庶民でもなく、起業し成功し日本に製品販路を求めてやってきた個人企業家が中心である。それだけにかれらの後半生はドラマティックだが、いずれも最後は心なしか哀しい。今や親友米原万里さんの最期を看取った著者としては、洋の東西を問わず人の運命に<諸行無常・盛者必衰>を感じないではいられないのかもしれない。
田丸さんは「下ネッタ」で売り出したけれど、もはや下ネタに頼ることなく本著のようなしみじみとして面白い小説が書けるのだから「シモネッタの、、」はもう止めた方が良くはないか。それにルネッサンス史を少し学んだ方なら、メディチ家大ロレンツォの弟ジュリアーノの想い人に絶世の美女シモネッタ・ヴェスプッチがいたことは誰でも知っている。ボッティチェリの作品にまで描かれたこの美女を百も承知の田丸さんが素知らぬフリして僭称している(されるに任せている)のも少々見苦しい。
これまで出版されたものは、どちらかといえば楽しいけれど、突っ込んだものではなかった。通訳の世界で見聞した彼我の落差を面白おかしく、そして<下ネタ>で味付けしつつ物語った艶笑小話、といった趣だった。
しかし第一作「パーネ・アモーレ」の成功から10年。今回の最新作は少し事情が異なる。
作者自身、従来の軽い小話では飽き足らなくなって、本来書きたかったものーー同じ人間としてのイタリア人ーーを書こうとしたのではないか。
登場するのは彼女が当初通訳業務で知り合った男女。従って、大企業人でもなく一般庶民でもなく、起業し成功し日本に製品販路を求めてやってきた個人企業家が中心である。それだけにかれらの後半生はドラマティックだが、いずれも最後は心なしか哀しい。今や親友米原万里さんの最期を看取った著者としては、洋の東西を問わず人の運命に<諸行無常・盛者必衰>を感じないではいられないのかもしれない。
田丸さんは「下ネッタ」で売り出したけれど、もはや下ネタに頼ることなく本著のようなしみじみとして面白い小説が書けるのだから「シモネッタの、、」はもう止めた方が良くはないか。それにルネッサンス史を少し学んだ方なら、メディチ家大ロレンツォの弟ジュリアーノの想い人に絶世の美女シモネッタ・ヴェスプッチがいたことは誰でも知っている。ボッティチェリの作品にまで描かれたこの美女を百も承知の田丸さんが素知らぬフリして僭称している(されるに任せている)のも少々見苦しい。
2010年10月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
故米原万里氏のファンだという友人からのメールがきっかけで読みました。
「今、田丸公美子の『男と女』を読んだの。あ〜、よかった!」
「どういう風によかったの?」
「私にとっての良い本とは、私を別の世界に連れてってくれて、なおかつ、ページを手繰る手が止まらない本。私、分析は苦手だからそれ以上は言えないわ。興味あったら読んでみて」。
<別の世界に連れて行ってくれて、なおかつ、ページを手繰る手が止まらなくなる>
それなら私も・・・実際に読んでみました。
同書は心に触れる6つの物語から成っています。それぞれの物語が、実在の人物達を描いた実話だというのが特徴のひとつ。筆者田丸公美子氏が長い職業人生のなかで出会い、日本とイタリアに離れていながらも、仕事を通じて再会を重ね、それなりに長い時間を共有した人々の人生模様が描かれています。つまり物語のスパンが長いというのがもうひとつの特徴です。イタリアの各業界で名を成したセレブなひとびとの人生の浮沈が、筆者独特の距離感――一流の通訳者ならではの洞察力と共鳴力に客観性が加わった絶妙の距離感――を保って描かれています。
どのエピソードも、かなりセレブな人々の華やかでいて、ちょっと可笑しくて、やがて悲しい人生の変遷を語っています。ユーモア溢れる語り口に魅了され、ついついページを手繰るスピードが加速していきますが、ざっと読み飛ばすには勿体無い深遠な人生訓に満ちたエピソードの連続です。ティッシュとイタリアンローストのコーヒーを用意して、舐めるように味わいながら読みました。
なかでも個人的にたいへん身につまされたのは、イタリアのエステ業界の大物女性カルラの人生です。このエピソードは堪えました・・・。堪えすぎて、読後しばらく感想を述べる気がしなかったほどでした。こんなにセレブなひとの人生と卑近なものを較べてしまうのはおこがましいのはもっともですが・・・しかし、しかしです、女に生まれてウン十年、恋も結婚も経験してくれば、それなりに色々あります。カルラの人生はシチリアの田舎娘が幸せを求めて北イタリアの貴族の血を引く青年の妻になったところから始まります。さほど愛しているともいえない男との結婚。生活の安定(社会的なステータスや職業上の便宜など)や子供の人生のために継続している不甲斐無い男との仮面夫婦生活。美貌と生活力とカリスマ性に溢れた妻に、ある日訪れる『人生初めての本当の恋』。そんな彼女を襲う不治の病の宣告。女としての自分を偽ってがむしゃらに働いてきたカルラは、人生で初めて、ひとりの女として正直に生きたいと願います。そして離婚と癌宣告を夫に打ち明けようとしますが・・・。そこで妻の前に顕れた、見栄えが良いだけの不甲斐無い夫の真実とは!?そしてカルラの下した決断は・・・・・・。
人生の最後の日々、人として、女として、私ならどう生きたいか?誰と過ごしたいか?誰に看取られたいか?などとしみじみ考えさせられる物語でした。
著者の親友であられた故米原万里氏の最後の日々の物語とあわせて、人生の秋を迎える女性には深く心に響くことでしょう。
6つの物語のなかで唯一の日本男子の物語『ウタマロ・ミラネーゼ』も秀逸です。こんなにヨーロッパ社会で女性にもてる日本男児なんて・・・と、正直に感銘を覚えると同時に、イタリア社会の深層部を知り尽くした筆者ならではのイタリア男に関する洞察に唸りました。イタリア男よりもイタリア女に愛されるミラノ在住日本男子。だがどんなにカサノヴァを気取っても、イタリア男には為りきれない限界を見抜く筆者の眼力は素晴らしいと思います。
総てのエピソードを網羅してネタばれしてはいけないので、他の物語については割愛します。
最後に、本業は通訳者の田丸氏ですが、執筆経験を重ねて、なんというか・・・書き手としてのスタンスが心地よく定まってきたように思います。読んでいて素直に楽しませてくれます。いつかオフレコのご自身の武勇伝を披露してくださることを期待します。
「今、田丸公美子の『男と女』を読んだの。あ〜、よかった!」
「どういう風によかったの?」
「私にとっての良い本とは、私を別の世界に連れてってくれて、なおかつ、ページを手繰る手が止まらない本。私、分析は苦手だからそれ以上は言えないわ。興味あったら読んでみて」。
<別の世界に連れて行ってくれて、なおかつ、ページを手繰る手が止まらなくなる>
それなら私も・・・実際に読んでみました。
同書は心に触れる6つの物語から成っています。それぞれの物語が、実在の人物達を描いた実話だというのが特徴のひとつ。筆者田丸公美子氏が長い職業人生のなかで出会い、日本とイタリアに離れていながらも、仕事を通じて再会を重ね、それなりに長い時間を共有した人々の人生模様が描かれています。つまり物語のスパンが長いというのがもうひとつの特徴です。イタリアの各業界で名を成したセレブなひとびとの人生の浮沈が、筆者独特の距離感――一流の通訳者ならではの洞察力と共鳴力に客観性が加わった絶妙の距離感――を保って描かれています。
どのエピソードも、かなりセレブな人々の華やかでいて、ちょっと可笑しくて、やがて悲しい人生の変遷を語っています。ユーモア溢れる語り口に魅了され、ついついページを手繰るスピードが加速していきますが、ざっと読み飛ばすには勿体無い深遠な人生訓に満ちたエピソードの連続です。ティッシュとイタリアンローストのコーヒーを用意して、舐めるように味わいながら読みました。
なかでも個人的にたいへん身につまされたのは、イタリアのエステ業界の大物女性カルラの人生です。このエピソードは堪えました・・・。堪えすぎて、読後しばらく感想を述べる気がしなかったほどでした。こんなにセレブなひとの人生と卑近なものを較べてしまうのはおこがましいのはもっともですが・・・しかし、しかしです、女に生まれてウン十年、恋も結婚も経験してくれば、それなりに色々あります。カルラの人生はシチリアの田舎娘が幸せを求めて北イタリアの貴族の血を引く青年の妻になったところから始まります。さほど愛しているともいえない男との結婚。生活の安定(社会的なステータスや職業上の便宜など)や子供の人生のために継続している不甲斐無い男との仮面夫婦生活。美貌と生活力とカリスマ性に溢れた妻に、ある日訪れる『人生初めての本当の恋』。そんな彼女を襲う不治の病の宣告。女としての自分を偽ってがむしゃらに働いてきたカルラは、人生で初めて、ひとりの女として正直に生きたいと願います。そして離婚と癌宣告を夫に打ち明けようとしますが・・・。そこで妻の前に顕れた、見栄えが良いだけの不甲斐無い夫の真実とは!?そしてカルラの下した決断は・・・・・・。
人生の最後の日々、人として、女として、私ならどう生きたいか?誰と過ごしたいか?誰に看取られたいか?などとしみじみ考えさせられる物語でした。
著者の親友であられた故米原万里氏の最後の日々の物語とあわせて、人生の秋を迎える女性には深く心に響くことでしょう。
6つの物語のなかで唯一の日本男子の物語『ウタマロ・ミラネーゼ』も秀逸です。こんなにヨーロッパ社会で女性にもてる日本男児なんて・・・と、正直に感銘を覚えると同時に、イタリア社会の深層部を知り尽くした筆者ならではのイタリア男に関する洞察に唸りました。イタリア男よりもイタリア女に愛されるミラノ在住日本男子。だがどんなにカサノヴァを気取っても、イタリア男には為りきれない限界を見抜く筆者の眼力は素晴らしいと思います。
総てのエピソードを網羅してネタばれしてはいけないので、他の物語については割愛します。
最後に、本業は通訳者の田丸氏ですが、執筆経験を重ねて、なんというか・・・書き手としてのスタンスが心地よく定まってきたように思います。読んでいて素直に楽しませてくれます。いつかオフレコのご自身の武勇伝を披露してくださることを期待します。
2011年10月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者の「シモネッタのデカメロン」を読んでファンになり購入したのですが、
どうもノリというか、文体が違う感じがしたんですよね。
鋭くも温かな視点はそのままなのですが、あの「ふふっ」と笑えるようなネタがなりを
潜めてしまっていました。
その理由が、最終章を読んでようやくわかりました。
今まで彼女があの「ふふっ」と笑えるような、だけど決して下品ではないシモネタを書いていたのは、
一番読んで欲しい読者であり、また大親友でもある米原万里さんの存在があったからなんですね。
著者はプロの物書きですから、顔も知らない不特定多数の読者に向けて、
あくまでもエンターテイメントとして文章を書いているはずなのですが、
著者のモチベーションは、実は米原さんに読んでもらって、
そしてつっこんでもらうことだったのではないかと思います。
米原さん亡き後、著者がどんな思いで本書を書き上げたのだろうと思うと、胸がしめつけられます。
お疲れ様でしたと言いたい。
ブックオフ等で安く買おうとか思わないで、ちゃんと定価で買って欲しい1冊です。
どうもノリというか、文体が違う感じがしたんですよね。
鋭くも温かな視点はそのままなのですが、あの「ふふっ」と笑えるようなネタがなりを
潜めてしまっていました。
その理由が、最終章を読んでようやくわかりました。
今まで彼女があの「ふふっ」と笑えるような、だけど決して下品ではないシモネタを書いていたのは、
一番読んで欲しい読者であり、また大親友でもある米原万里さんの存在があったからなんですね。
著者はプロの物書きですから、顔も知らない不特定多数の読者に向けて、
あくまでもエンターテイメントとして文章を書いているはずなのですが、
著者のモチベーションは、実は米原さんに読んでもらって、
そしてつっこんでもらうことだったのではないかと思います。
米原さん亡き後、著者がどんな思いで本書を書き上げたのだろうと思うと、胸がしめつけられます。
お疲れ様でしたと言いたい。
ブックオフ等で安く買おうとか思わないで、ちゃんと定価で買って欲しい1冊です。
2010年11月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
このかたの本のなかで私にとっては一番良い本でした。
前4冊すべて素晴らしい本ですけど、こういう内容のものを
もっともっと命あるかぎり書き続けて欲しいと思います。
前4冊すべて素晴らしい本ですけど、こういう内容のものを
もっともっと命あるかぎり書き続けて欲しいと思います。
2010年11月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
イタリア文化への入り口でした。芸術、ファッションのイタリアのイメージでしたが 人間味を知る入り口でした。
2013年6月7日に日本でレビュー済み
男女のラブストーリーではなく、田丸さんと親交のある男女6人の人生いろいろについて書かれたエッセイです。
軽い気持ちで読み始めたのですが、途中でやめられなかった。それくらい面白い。
まさに人生劇場!一人一人のエピソードがドラマ化できそうです。
面白いのは人物をとことん掘り下げているから。
とりわけイタリア人という人間味あふれる人柄のせいなのか、はたまた愛に自由なお国柄のせいかよけいにドラマチックです。
男性にしても女性にしてもとことん、良いも悪いもわかってつきあう著者の懐の深さを感じました。根底に相手に対する愛情があふれています。
それはまるでイタリア女性のよう。
そして言葉遣いの上手さ。
同時通訳という瞬時に言葉を繰り出す職業ならではの簡潔かつ言い得て妙な表現は言葉を操る魔女のごとき。
洞察力の鋭さ、ウィットに富んだ会話など飽きずに読めます。
田丸さんの著書は軽妙で読みやすく何冊か読んでいます。そのどれかにも出てきてたウタマロ氏の後日談を含んだエピソードがありました。
ご自身も期待度大だったようで、どんな男性かとわくわくしていたようですが、「あれっ?」という感じで。妙に説得力のある洞察でした。
ウタマロ氏についてのみ、つてを頼りにインタビューをしたとのことです。
米原さんの項はちょっと涙無くしては読めません。
著者ご本人があとがきにも書いていますが、思うまま感じるままに書かれた様な文章が余計に田丸さんの悲しみ、寂しさの深さを物語っているように見えました。
私は米原さんをあまり知りませんでしたが、彼女の人となりをあの短い文章の中で的確に表現されていて、すっかり米原通になったつもりです。
自他ともに認めるシモネッタですから、さぞかし男性の話は面白かろうと思いましたが、意外にもじっくり読んだのは女性のエピソード。
自分の周りの人に対して愛情を持って懐深く受け容れているか、そんなことを問われたような気がしました。
軽い気持ちで読み始めたのですが、途中でやめられなかった。それくらい面白い。
まさに人生劇場!一人一人のエピソードがドラマ化できそうです。
面白いのは人物をとことん掘り下げているから。
とりわけイタリア人という人間味あふれる人柄のせいなのか、はたまた愛に自由なお国柄のせいかよけいにドラマチックです。
男性にしても女性にしてもとことん、良いも悪いもわかってつきあう著者の懐の深さを感じました。根底に相手に対する愛情があふれています。
それはまるでイタリア女性のよう。
そして言葉遣いの上手さ。
同時通訳という瞬時に言葉を繰り出す職業ならではの簡潔かつ言い得て妙な表現は言葉を操る魔女のごとき。
洞察力の鋭さ、ウィットに富んだ会話など飽きずに読めます。
田丸さんの著書は軽妙で読みやすく何冊か読んでいます。そのどれかにも出てきてたウタマロ氏の後日談を含んだエピソードがありました。
ご自身も期待度大だったようで、どんな男性かとわくわくしていたようですが、「あれっ?」という感じで。妙に説得力のある洞察でした。
ウタマロ氏についてのみ、つてを頼りにインタビューをしたとのことです。
米原さんの項はちょっと涙無くしては読めません。
著者ご本人があとがきにも書いていますが、思うまま感じるままに書かれた様な文章が余計に田丸さんの悲しみ、寂しさの深さを物語っているように見えました。
私は米原さんをあまり知りませんでしたが、彼女の人となりをあの短い文章の中で的確に表現されていて、すっかり米原通になったつもりです。
自他ともに認めるシモネッタですから、さぞかし男性の話は面白かろうと思いましたが、意外にもじっくり読んだのは女性のエピソード。
自分の周りの人に対して愛情を持って懐深く受け容れているか、そんなことを問われたような気がしました。
2011年12月27日に日本でレビュー済み
その名もシモネッタの田丸さんの描く,ビジネスマン,ウーマンたちの下世話でパワフルで人間のしょうがなさと愛しさが入り混じったイタリア人物模様です。華奢な印象の女性が出てきたとしてもあっぱれの強さ,そしてマッチョな男女のその人生の先,と本を閉じられなくて寝不足必至です。
イタリアといえば須賀敦子の描いた静謐な庶民と歴史だわと,うっとりとしてしまう読者層には呆気にとられるようなごりごりのラテンな強さと弱さが目白押しで,きっと根が凄くまじめな田丸さんは20代からこの濃い人たちの瘴気でシモネッタへと華麗に成長されたのでしょう。
そして最後の添えられた米原真理さんへの追悼の文章は,まだ全然死が消化されていない中に著されたことが分かる読んでいて辛さが迫ってくるものでした。なぜ人は本当に近しい人の死に接すると,悪いところがなくても自己を責めてしまうのでしょうか。
イタリアといえば須賀敦子の描いた静謐な庶民と歴史だわと,うっとりとしてしまう読者層には呆気にとられるようなごりごりのラテンな強さと弱さが目白押しで,きっと根が凄くまじめな田丸さんは20代からこの濃い人たちの瘴気でシモネッタへと華麗に成長されたのでしょう。
そして最後の添えられた米原真理さんへの追悼の文章は,まだ全然死が消化されていない中に著されたことが分かる読んでいて辛さが迫ってくるものでした。なぜ人は本当に近しい人の死に接すると,悪いところがなくても自己を責めてしまうのでしょうか。