ベル研究所はなぜこれだけの成果を出すことができたのか。
(1)非常に明確なミッションがあった。急激に増大する通信の処理という喫緊の課題が目の前にぶら下がっていたので、それを一つ一つ解決していくうちに学術的な基礎から実用化までの膨大な業績の蓄積となった。
(2)研究者間の共鳴。異分野の研究者間の協力が無ければ成し得ない成果ばかり。必要な研究者がすぐ近くにいたのが大きい。また、隣でなされた発明発見にinspireされて次々と発明発見の連鎖反応が起きたともいえるかもしれない。それによって個人の能力をはるかに超えた発明発見を成し遂げてしまうことになる。
最終章で著者は、この種のイノベーションはもはや起きないだろうとのことを暗示している。Googleやiphoneに見られる「知の集積」が新たなタイプのイノベーションの例だとも言っている。本当にそうなのか納得しかねるが、80年~90年代にかけての日本のバブル期にベル研を模した基礎研究所が電機メーカーなどで雨後の筍のごとくできたが、四半世紀後のいま結局潰れたのをみると、確かにそうかもしれないと思う。でも、バイオなど全く違う分野では「ベル研」タイプのイノベーションがこれから起こるかもしれない。iPS細胞を核にして、など。

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世界の技術を支配する ベル研究所の興亡 単行本 – 2013/6/28
ビル・ゲイツいわく「タイムマシンに乗ることがあったら、最初に降りるのは1947年12月のベル研究所だ」。ピーター・ドラッカーいわく「現代のエレクトロニクス産業の大半を生み出したのは、ベル研究所の発明や発見である」。
巨大独占資本AT&T社の庇護のもと、ノーベル賞級の頭脳を全米から招集。パソコンやタブレットを動かすトランジスタ、携帯電話の原型、GPSを可能にした通信衛星の開発、そして今日のすべての情報処理や伝達のもととなるデジタル情報理論を発明。
人類の知を一変させるイノベーションの秘密が明らかに。HONZの成毛眞が解説。
巨大独占資本AT&T社の庇護のもと、ノーベル賞級の頭脳を全米から招集。パソコンやタブレットを動かすトランジスタ、携帯電話の原型、GPSを可能にした通信衛星の開発、そして今日のすべての情報処理や伝達のもととなるデジタル情報理論を発明。
人類の知を一変させるイノベーションの秘密が明らかに。HONZの成毛眞が解説。
- 本の長さ492ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2013/6/28
- ISBN-104163764704
- ISBN-13978-4163764702
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2013/6/28)
- 発売日 : 2013/6/28
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 492ページ
- ISBN-10 : 4163764704
- ISBN-13 : 978-4163764702
- Amazon 売れ筋ランキング: - 399,536位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
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2015年2月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2014年2月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一世を風靡したベル研究所の興亡が本書を読めば理解出来る.R&Dの大切さ,国家支援の大切さも理解出来るであろう.日本においては福島第1原発事故後に「脱原発路線」の風潮が強まったが,現在の先端技術の推進と維持にはR&Dの継続,国家の支援が欠かせないことが,本書を通じて理解出来るであろう.
2013年9月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
わが国の技術も誇れる物が沢山あ事も事実です。しかし、目標設定の単純化(AT&Tの遠隔交信の夢)(具体化のための半導体への願望)ベル研究所の活動。その時から、少し遅れて、1965年~1980年に民間企業で製品開発に携わった技術者の一人として、懐かしく愉しかったその頃を思い出させて頂きました。知識より身を以て肌で感じた知恵こそ発展の原点です。
製品開発の若い皆さんにぜひ読んで頂きたい本です。まだまだわが国頑張れます。
製品開発の若い皆さんにぜひ読んで頂きたい本です。まだまだわが国頑張れます。
2013年10月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み進むにつれて、1940年代からの通信、デジタル、情報関連のR&D、技術開発マネージメント、人材の発掘など目から鱗の話題満載。
2017年11月16日に日本でレビュー済み
電話網が巨大システムになり、ベルは独占企業になる
そこで巨大システムのために最適なものを自分で開発し
さらに系列の会社で生産するというシステムを作った
開発するとなると、現状での技術水準ではおいつかず
新しい概念のシステムや素材を開発してそれを生産して運用する
そうなると、新しい概念を考える科学者も必要になり
その素材や生産するための科学者も必要になっていくし
運用のための訓練やマニュアルも必要になる
そのようにしてどんどん現業から離れて分業を進めていった結果
研究所は巨大組織になっていくし、彼らを使いこなす経営者も出てくる
そして異なる分野の専門家がふれあうことで新しいステップに進む
それがベル研究の最盛期の到来をもたらすことになる
しかし、技術を惜しみなくライセンスして社会に普及していったし
AT&Tは独占禁止法で分割を強いられるようになる
自分たちが生み出したイノベーションで社会が発展して
ライバルが山ほど出てきて埋もれて行ってしまうのである
技術があればその上にサービスでイノベーションを起こせるので
企業研究所がそういうのをやらなくなるんだよねえ
ありふれた未来を作り出してそしてそのありふれた未来によって滅んでいったのは皮肉であろう
そこで巨大システムのために最適なものを自分で開発し
さらに系列の会社で生産するというシステムを作った
開発するとなると、現状での技術水準ではおいつかず
新しい概念のシステムや素材を開発してそれを生産して運用する
そうなると、新しい概念を考える科学者も必要になり
その素材や生産するための科学者も必要になっていくし
運用のための訓練やマニュアルも必要になる
そのようにしてどんどん現業から離れて分業を進めていった結果
研究所は巨大組織になっていくし、彼らを使いこなす経営者も出てくる
そして異なる分野の専門家がふれあうことで新しいステップに進む
それがベル研究の最盛期の到来をもたらすことになる
しかし、技術を惜しみなくライセンスして社会に普及していったし
AT&Tは独占禁止法で分割を強いられるようになる
自分たちが生み出したイノベーションで社会が発展して
ライバルが山ほど出てきて埋もれて行ってしまうのである
技術があればその上にサービスでイノベーションを起こせるので
企業研究所がそういうのをやらなくなるんだよねえ
ありふれた未来を作り出してそしてそのありふれた未来によって滅んでいったのは皮肉であろう
2013年9月15日に日本でレビュー済み
本書は本文(436頁)に加えて、註,参考文献,訳者あとがき,成毛眞氏の解説からなり492頁の大著であるが,日本語訳はこなれていて読みやすい.プロローグから引用すると,「本書は、ベル電話研究所を舞台にした数人の男たちの活躍を通じて、近代コミュニケーションに起源に迫ろうとしている」とのこと.
1920年初頭,米国の独占電話会社AT&Tは巨大化しその技術部門は3600人もの大所帯であった.そのため,「電話産業において科学的研究がより大きな役割を果たす」という認識の元でベル電話研究所が別会社として発足する.絶頂期の1960年代には1万5千人の従業員がいた.
本書では,マービン・ケリー,ジム・フィスク,ウイリアム・ショックレイ,クロード・シャノン,ジョン・ピアース,ウイリアム・ベーカーを中心とした多くの従業員と大学関係者(Cal Tech,MITなど),政府関係者(軍を含む),産業界との絡みが詳細に語られる.
ベル研究所は電話会社の支援研究を行う最大級の産業研究所で,幅広い研究を行っていた.例えば,真空管研究,レーザー,光ファイバー,トランジスタ,太陽電池,海底ケーブル,マイクロ波通信,セルラー通信,通信衛星,携帯電話,情報理論(順不同)などを生んだ.その中にはノーベル賞を受けたものも含まれている.しかし、1984年にAT&Tが分割されると、多くの画期的な発明を生み出してきたベル電話研究所も終焉を迎える.
本書で扱われるエピソードは数多く、複雑に絡み合っており,1,2回の通読では全体を把握できるものではない.その意味で,索引があればもっと深読みできたと思う.更に欲を言えば、もっと、写真類があれば良かったと思う.
1920年初頭,米国の独占電話会社AT&Tは巨大化しその技術部門は3600人もの大所帯であった.そのため,「電話産業において科学的研究がより大きな役割を果たす」という認識の元でベル電話研究所が別会社として発足する.絶頂期の1960年代には1万5千人の従業員がいた.
本書では,マービン・ケリー,ジム・フィスク,ウイリアム・ショックレイ,クロード・シャノン,ジョン・ピアース,ウイリアム・ベーカーを中心とした多くの従業員と大学関係者(Cal Tech,MITなど),政府関係者(軍を含む),産業界との絡みが詳細に語られる.
ベル研究所は電話会社の支援研究を行う最大級の産業研究所で,幅広い研究を行っていた.例えば,真空管研究,レーザー,光ファイバー,トランジスタ,太陽電池,海底ケーブル,マイクロ波通信,セルラー通信,通信衛星,携帯電話,情報理論(順不同)などを生んだ.その中にはノーベル賞を受けたものも含まれている.しかし、1984年にAT&Tが分割されると、多くの画期的な発明を生み出してきたベル電話研究所も終焉を迎える.
本書で扱われるエピソードは数多く、複雑に絡み合っており,1,2回の通読では全体を把握できるものではない.その意味で,索引があればもっと深読みできたと思う.更に欲を言えば、もっと、写真類があれば良かったと思う.
2013年8月30日に日本でレビュー済み
かつてAT&T傘下にあった、様々な画期的発見(イノベーション)をしたベル研究所について、その栄枯盛衰の様子が書かれた本。
トランジスタを始め、シリコン半導体、シリコン太陽電池、人工衛星、情報理論、レーザー、光ファイバー、携帯電話など、現代社会に無くてはならない技術の発展の歴史が詰め込まれている。
技術的な話はあまり無く、研究開発に関わった様々な研究者の当時の活動の描写に焦点が当てられており、門外漢でも読みやすい。
また当時はAT&Tが電話事業を自然独占していたため、それを独占禁止法で取り締まろうとする司法省と、阻止しようとするベル研究所幹部らの駆け引きの様子なども描かれている。
コンピュータが溢れかえった現代社会において、是非読んでおきたい一冊。
トランジスタを始め、シリコン半導体、シリコン太陽電池、人工衛星、情報理論、レーザー、光ファイバー、携帯電話など、現代社会に無くてはならない技術の発展の歴史が詰め込まれている。
技術的な話はあまり無く、研究開発に関わった様々な研究者の当時の活動の描写に焦点が当てられており、門外漢でも読みやすい。
また当時はAT&Tが電話事業を自然独占していたため、それを独占禁止法で取り締まろうとする司法省と、阻止しようとするベル研究所幹部らの駆け引きの様子なども描かれている。
コンピュータが溢れかえった現代社会において、是非読んでおきたい一冊。
2013年7月16日に日本でレビュー済み
ちまたでは、ウエスタンエレクトロニックのケーブルの切れっぱしが、高値で取引されています。
本書を読めば、その理由の一端が分かります。
オーディオの原点が、そして、今の電子機器の源流がここに書いてあります。
本書を読めば、その理由の一端が分かります。
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オーディオの原点が、そして、今の電子機器の源流がここに書いてあります。
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