間違いなく絲山作品の最高傑作です。
謎解きの要素もありますがそこは本質ではなく、生きてゆくことは不条理との共存であるということを再認識させられる深い物語です。
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離陸 単行本 – 2014/9/11
絲山 秋子
(著)
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生命の「離陸」を描いた新境地長篇
謎の暗号文書に導かれて「女優」を探すうち、主人公は幾つもの大切な命を失っていく。透徹した目で寄る辺なき生を見つめた感動作。
謎の暗号文書に導かれて「女優」を探すうち、主人公は幾つもの大切な命を失っていく。透徹した目で寄る辺なき生を見つめた感動作。
- 本の長さ411ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2014/9/11
- ISBN-104163901221
- ISBN-13978-4163901220
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2014/9/11)
- 発売日 : 2014/9/11
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 411ページ
- ISBN-10 : 4163901221
- ISBN-13 : 978-4163901220
- Amazon 売れ筋ランキング: - 569,157位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 143,566位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1966年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。住宅設備機器メーカーに入社し、2001年まで営業職として勤務する。03年「イッツ・オンリー・ トーク」で文學界新人賞を受賞。04年『袋小路の男』で川端康成文学賞、05年『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、06年『沖で待つ』で芥川賞を 受賞する(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 ダーティ・ワーク (ISBN-13: 978-4087465679 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2015年5月31日に日本でレビュー済み
絲山秋子さんの本は「袋小路の男」から読み始め、だいたい読ませていただいています。
今回読みながら、途中から、ああ、なんか末裔に雰囲気が似ているなぁと思いながら読み進めましたが、
読後の感想としては「末裔」よりもより複雑で、高度(?)でした。あまりSFとかミステリーは読まないので、
こういう構成云々については自分は音痴で味の区別がつかないというか、、、
絲山先生の本ではもっぱら感情の機微だとかの描写を味わいたいというのが強いので、、、コメントが浮かびません。
(個人的には「末裔」の方が好きだったので、こちらは★4つにさせてもらいましたが、きっと本そのもののクオリティ?と言うモノサシで測っていいのか?わかりませんが、こちらの「離陸」の方が総合的には評価は高いんじゃないかと思います。)
「沖で待つ」もそうですが、死に対する捉え方や書き方への拘りがとても強い先生だとは思っていましたが、
今回はたくさん死んでびっくりしました。えーこの人も死んじゃうんですか、えーこの人もですか。と・・・。
読者の中で仄かに芽生える登場人物へのファン精神みたいなのが、ザクザクと削ぎ落とされていきました。
死に別れの大盤振る舞いというか、本当にどんどん死んじゃいます。とことんって感じです。
かんたんに死にすぎるので、ちょっとリアリティがないというか、そこは感情移入しにくかったですが、
タイトルの「離陸」からも、死がテーマの物語なので仕方ないのかなと思います。
乃緒さんがこの設定なのに死んじゃうのか(勝手に不老不死の魔女をイメージしてたので)
・・・とも思いましたが、死なないと話がまとまらないし、最後はすごく綺麗にまとめてて、
読後感もスッキリでした。ありがとうございます。
主人公はとってもエリートなんですけど、それより何より、絲山先生の情報量にびっくり・・・
この本を1冊書くのに、どれほどの取材を重ねたのかしら、暑い日も寒い日も・・・。
なんだかそっちに思いを馳せては、途方もない気持ちになってしまいました。
本当にすごいなぁと思います。
人の作法を聞いて借りてもしょうがないですが、情熱のモチベーションを下げない秘訣とかがあればエッセイでこっそり教えてほしいです。
私の旦那さんは、高卒ブルーカラーで、優しいい人ですが、主人公とリュシーみたいな会話ってまず成立しないので、
いいなぁこういう頭のいい思慮深い旦那さんっていいなぁと羨ましく思いながら読みました。
今回読みながら、途中から、ああ、なんか末裔に雰囲気が似ているなぁと思いながら読み進めましたが、
読後の感想としては「末裔」よりもより複雑で、高度(?)でした。あまりSFとかミステリーは読まないので、
こういう構成云々については自分は音痴で味の区別がつかないというか、、、
絲山先生の本ではもっぱら感情の機微だとかの描写を味わいたいというのが強いので、、、コメントが浮かびません。
(個人的には「末裔」の方が好きだったので、こちらは★4つにさせてもらいましたが、きっと本そのもののクオリティ?と言うモノサシで測っていいのか?わかりませんが、こちらの「離陸」の方が総合的には評価は高いんじゃないかと思います。)
「沖で待つ」もそうですが、死に対する捉え方や書き方への拘りがとても強い先生だとは思っていましたが、
今回はたくさん死んでびっくりしました。えーこの人も死んじゃうんですか、えーこの人もですか。と・・・。
読者の中で仄かに芽生える登場人物へのファン精神みたいなのが、ザクザクと削ぎ落とされていきました。
死に別れの大盤振る舞いというか、本当にどんどん死んじゃいます。とことんって感じです。
かんたんに死にすぎるので、ちょっとリアリティがないというか、そこは感情移入しにくかったですが、
タイトルの「離陸」からも、死がテーマの物語なので仕方ないのかなと思います。
乃緒さんがこの設定なのに死んじゃうのか(勝手に不老不死の魔女をイメージしてたので)
・・・とも思いましたが、死なないと話がまとまらないし、最後はすごく綺麗にまとめてて、
読後感もスッキリでした。ありがとうございます。
主人公はとってもエリートなんですけど、それより何より、絲山先生の情報量にびっくり・・・
この本を1冊書くのに、どれほどの取材を重ねたのかしら、暑い日も寒い日も・・・。
なんだかそっちに思いを馳せては、途方もない気持ちになってしまいました。
本当にすごいなぁと思います。
人の作法を聞いて借りてもしょうがないですが、情熱のモチベーションを下げない秘訣とかがあればエッセイでこっそり教えてほしいです。
私の旦那さんは、高卒ブルーカラーで、優しいい人ですが、主人公とリュシーみたいな会話ってまず成立しないので、
いいなぁこういう頭のいい思慮深い旦那さんっていいなぁと羨ましく思いながら読みました。
2014年12月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
孤独や辛さや悲しみが,あたたかさを含めて書かれていて,人間の優しさが伝わるのはいつもの絲山ワールドである。村上春樹を読んでいるような錯覚に陥る筆致もいつもながらである。ドライブ好きの彼女らしい話の流れで,パリも含めて ロードムービーにでもしたらいいような,長編は苦手とおっしゃるが,入り組んでくる人間模様を,小説でしか書き表せない世界で,もっともっと長くても読者は楽しい。
2014年11月2日に日本でレビュー済み
この作者は、長編は書かないのかとなんとなく思っていた。
が、長さを感じさせないと同時に、ずっしりと深みを感じさせていると思う。
長編ミステリーというくくりはあたらない。
静かで、どこかさめているようでありながら、
そのように主人公の佐藤に語らせながら、
実は、あたたかい目で人やものごとをみているように思う。
きっかけは、イルベールの突然の訪問をうけたこと。
以前にかかわりがあった女性をを探す、という大きな流れはある。
が、それよりも、そのことを通して、佐藤がさまざまな人物と会い、
気づくことがあり、考えることがあり、
一緒にその感じを味わえる。
離陸
作者にとっていみのある言葉。
そうなのかな、と最後に共感できる。
つぎの作品も読みたくなった。
が、長さを感じさせないと同時に、ずっしりと深みを感じさせていると思う。
長編ミステリーというくくりはあたらない。
静かで、どこかさめているようでありながら、
そのように主人公の佐藤に語らせながら、
実は、あたたかい目で人やものごとをみているように思う。
きっかけは、イルベールの突然の訪問をうけたこと。
以前にかかわりがあった女性をを探す、という大きな流れはある。
が、それよりも、そのことを通して、佐藤がさまざまな人物と会い、
気づくことがあり、考えることがあり、
一緒にその感じを味わえる。
離陸
作者にとっていみのある言葉。
そうなのかな、と最後に共感できる。
つぎの作品も読みたくなった。
2015年3月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とても面白かったです。小説としても新しい表現法といえるかも、、。不思議で深い余韻のある小説です。
2016年1月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
発刊時にラジオ番組であらすじ紹介をされていて面白そうと思ってウィッシュリストに入れてあり、古本が出ていたので購入。
アナウンサーが語るあらすじはとても魅力的なストーリーに聞こえましたが読んでみると結局なんだったのか?という終わり方。話にヤマがないままヌルヌル進む印象でした。
アナウンサーが語るあらすじはとても魅力的なストーリーに聞こえましたが読んでみると結局なんだったのか?という終わり方。話にヤマがないままヌルヌル進む印象でした。
2014年11月4日に日本でレビュー済み
ミステリーのような、ファンタジーのような、純文学のような感じの小説。
ダム設備に勤務するキャリア公務員の主人公が、女優という不可思議な元彼女を追う中で、
様々な近しい人の死を経験する。中で印象深いのが、人の死は、離陸のようなもの、という言葉。
生きている人は、離陸の順番を待っているのだ、という。
死んでしまった人は、離陸していったのだ、という。
生きとし生けるものは、必ず死ぬ。それを遠くに見ながら、また自分もその列に間違いなく並びながら、
飛び立つ人たちを見ている。そう考えると、人生は一度だけのフライトのための準備なのだとも思える。
著者が、離陸という言葉に込めた思いが少しだけ分かった気がした。
じんわり染みる良い物語だった。
ダム設備に勤務するキャリア公務員の主人公が、女優という不可思議な元彼女を追う中で、
様々な近しい人の死を経験する。中で印象深いのが、人の死は、離陸のようなもの、という言葉。
生きている人は、離陸の順番を待っているのだ、という。
死んでしまった人は、離陸していったのだ、という。
生きとし生けるものは、必ず死ぬ。それを遠くに見ながら、また自分もその列に間違いなく並びながら、
飛び立つ人たちを見ている。そう考えると、人生は一度だけのフライトのための準備なのだとも思える。
著者が、離陸という言葉に込めた思いが少しだけ分かった気がした。
じんわり染みる良い物語だった。
2016年2月8日に日本でレビュー済み
冒頭間もなく、謎の黒人のフランス人・イルベールが突然主人公のもとを訪れるのだが、
日本語のできない外国人が、日本人でもほとんど知らないような冬の奥利根のダムに、
せいぜい数分程度会って話すためだけに姿を現す、という展開がなんだか雑に思えて、
「あれ・・?」と若干の戸惑いを覚えた。エンタメ作家が、フックとしてあえて劇的な場面を
冒頭に置くにしても、さすがにもう少し説得力のある書き方をしそうな気がするのだ。
この時点で既に、「どうした絲山秋子・・」と思っていたわけだが、その後読み進めるうちに、
やはり雑な書き方をしているとしか思えない部分がいくつか出てきて、正直、途中で読む
のを止めるかどうかでかなり迷った(謎や伏線をどう解決するかが気になって、一応通読は
したのだが、結果的には失敗だったと思う)。以下、気にかかった箇所を挙げることにする。
・理系のサル山の序列の下の方、と自認する主人公に、なぜか乃緒は自分から接近して
くるのだが、まるで村上春樹の小説からそのまま取ってきたような、「コートのポケットの中に
手を突っ込んできた」という回想場面の描写を除くと、二人がどういうつき合い方をしていて、
どの程度の仲だったのかがあまり具体的に描かれず、彼女の人物像もどこか曖昧なまま
なので、作者が興味を惹こうと努めているほどには、乃緒という人物に興味が持てなかった。
これは作品として、かなり致命的な欠陥ではないかと思う。
・主人公がダムを去る間際、憎からず思っていたという「なっちゃん」が急に登場するのだが、
それまでは「サツキさん」のように主人公と絡む場面もなく、単なる後付けの「人物紹介」に
終わっているのが気になった。
・暗号と見えたものが、実は日本語のローマ字表記を逆さにしただけとか、もう少し頭の捻り
ようがありそうな気がする。
・会津の寺を訪ねると、僧侶からもっともらしい字面の書き付けを渡されるという展開に、
限りなく通俗なものを感じる。
・全般に、主人公はさほど強い個性を持たない脇役的人物であり、むしろ乃緒が物語の
「不在の中心」であり続けるのだが、最後まで読み通しても、彼女の謎はほとんど解かれ
ないまま終わっていて、作者は本書で何を書きたかったのかが、さっぱり伝わってこなかった。
(主人公の結婚生活などを長々と書かれても、あくまで脇筋を読まされているような気がして
ならなかったし、結局は脇筋を辿っているうちに終わってしまったような物足りなさがある。)
文章にしても、主人公の物理的移動の過程を逐一書いていたかと思えば、そこにいささか
感傷的な回想や心情描写がかぶさってきたりで、もう少し節約して書いていいんじゃないかと
思える部分が多かった。土木行政とかパリでの生活とかをあれこれ取材しつつ、今までよりは
格段に構えの大きい小説を書こうとすると、絲山秋子ですらこういう大味な書き方になって
しまうのか・・と、ちょっと残念な気分になった。
日本語のできない外国人が、日本人でもほとんど知らないような冬の奥利根のダムに、
せいぜい数分程度会って話すためだけに姿を現す、という展開がなんだか雑に思えて、
「あれ・・?」と若干の戸惑いを覚えた。エンタメ作家が、フックとしてあえて劇的な場面を
冒頭に置くにしても、さすがにもう少し説得力のある書き方をしそうな気がするのだ。
この時点で既に、「どうした絲山秋子・・」と思っていたわけだが、その後読み進めるうちに、
やはり雑な書き方をしているとしか思えない部分がいくつか出てきて、正直、途中で読む
のを止めるかどうかでかなり迷った(謎や伏線をどう解決するかが気になって、一応通読は
したのだが、結果的には失敗だったと思う)。以下、気にかかった箇所を挙げることにする。
・理系のサル山の序列の下の方、と自認する主人公に、なぜか乃緒は自分から接近して
くるのだが、まるで村上春樹の小説からそのまま取ってきたような、「コートのポケットの中に
手を突っ込んできた」という回想場面の描写を除くと、二人がどういうつき合い方をしていて、
どの程度の仲だったのかがあまり具体的に描かれず、彼女の人物像もどこか曖昧なまま
なので、作者が興味を惹こうと努めているほどには、乃緒という人物に興味が持てなかった。
これは作品として、かなり致命的な欠陥ではないかと思う。
・主人公がダムを去る間際、憎からず思っていたという「なっちゃん」が急に登場するのだが、
それまでは「サツキさん」のように主人公と絡む場面もなく、単なる後付けの「人物紹介」に
終わっているのが気になった。
・暗号と見えたものが、実は日本語のローマ字表記を逆さにしただけとか、もう少し頭の捻り
ようがありそうな気がする。
・会津の寺を訪ねると、僧侶からもっともらしい字面の書き付けを渡されるという展開に、
限りなく通俗なものを感じる。
・全般に、主人公はさほど強い個性を持たない脇役的人物であり、むしろ乃緒が物語の
「不在の中心」であり続けるのだが、最後まで読み通しても、彼女の謎はほとんど解かれ
ないまま終わっていて、作者は本書で何を書きたかったのかが、さっぱり伝わってこなかった。
(主人公の結婚生活などを長々と書かれても、あくまで脇筋を読まされているような気がして
ならなかったし、結局は脇筋を辿っているうちに終わってしまったような物足りなさがある。)
文章にしても、主人公の物理的移動の過程を逐一書いていたかと思えば、そこにいささか
感傷的な回想や心情描写がかぶさってきたりで、もう少し節約して書いていいんじゃないかと
思える部分が多かった。土木行政とかパリでの生活とかをあれこれ取材しつつ、今までよりは
格段に構えの大きい小説を書こうとすると、絲山秋子ですらこういう大味な書き方になって
しまうのか・・と、ちょっと残念な気分になった。