テロ組織のファイナンス調査を専門とする著者による本書は、池上彰氏の解説にもあるように、
「イスラム国」が単なる過激テロ集団であるという思い込みの修正を迫る本です。
本書を読むと、彼らがプロパガンダと現代的なテクノロジーを利用した戦略によって
自分たちのブランド価値を周到に高めていることが伺えます。
自爆テロ一件ごとの費用詳細を記載した決算報告書を作成している彼らは、
アメリカという遠い敵と終わりのない戦いを続けるアルカイダとは違って、
具体的な目標を掲げています。
その目標とは、「かつてイスラム帝国が存在した領土を奪回して新しい国を建国すること」であり、
著者が用いる比喩によれば「スンニ派のムスリムにとって、ユダヤ人にとってのイスラエルになること」です。
1916年のサイクス・ピコ協定(イギリスとフランスによるオスマントルコ帝国の領土解体)で
欧米諸国により作られた国境よりも、かつてのイスラム帝国の領土に基づく国家に歴史的な正統性がある、
それが彼らの主張の核心です。
歴史的な正統性を主張することは、国家にせよ企業にせよ、有効なブランディングの手法だと思います。
(ラーメン屋が「うちが元祖xxラーメンです」と名乗ったりするのと大差ない手法だと思います。)
一部のムスリムの若者たちにとって彼らの主張は大きな説得力と訴求力を持っていると著者は述べており、
労働者階級と比べても安い賃金であるにもかかわらず「イスラム国」は兵士のリクルーティングに成功しています。
彼らにとって「アラブの春」以降の混乱を招いている民主主義というブランドや既存のレガシー国家は訴求力を持たず、
カリフ制国家の再興を訴える「イスラム国」にスタートアップ企業のような希望を感じているのかもしれません。
ただし、本書は「イスラム国」の「近代性」と「現実主義」を指摘することにフォーカスしており、
彼らが採用しているとても近代的とは思えない残忍な行為や制度についてはあまり触れていません。
それでも、暴力により地図を塗り替えるという危険なロマンがなぜ先進国を含む一部の若者を惹きつけてしまっているか、
その背景を理解するために最適な一冊だと思います。
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イスラム国 テロリストが国家をつくる時 単行本 – 2015/1/7
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購入オプションとあわせ買い
中東の国境線をひきなおす。
アルカイダの失敗は、アメリカというあまりに遠い敵と
第二戦線を開いたことにあった。
バグダッド大学で神学の学位をとった一人の男、バグダディは
そう考えた。
英米、ロシア、サウジ、イラン、複雑な代理戦争をくりひろげる
シリアという崩壊国家に目をつけた、そのテロリストは
国家をつくること目指した。
領土をとり、石油を確保し、経済的に自立
電力をひき、食料配給所を儲け、予防接種まで行なう。
その最終目標は、失われたイスラム国家の建設だと言う。
対テロファイナンス専門のエコノミストが放つ
まったく新しい角度からの「イスラム国」。
池上彰が渾身の解説。
はじめに 中東の地図を塗り替える
欧米の多くの専門家は「イスラム国」をタリバンと同じ時代錯誤の組織だと考えている。しかし、それは違う。彼らは、グローバル化し多極化した世界を熟知し、大国の限界を驚くべきほど明確に理解している
序章 「決算報告書」を持つテロ組織
冷戦下のテロ組織は、PLOにしてもIRAにしても、狭い領域内で正規軍に対して戦いを挑んだ。イスラム国の決定的な違いは、群雄割拠する国際情勢の間隙をついて、広大な地域を支配下においた点だ
第1章 誰が「イスラム国」を始めたのか?
「イスラム国」の起源は、ビンラディンに反旗を翻したザルカウィに始まる。「遠い敵」アメリカではなくシーア派を攻撃するその路線は、バグダッド大学でイスラム神学の学位をとった一人の知識人にうけつがれる
第2章 中東バトルロワイヤル
米ソという超大国にいきつく冷戦期の代理戦争と違い、今日の代理戦争は多岐にわたるスポンサー国家が存在する。そうした多頭型代理戦争の間隙をついたのが「イスラム国」だ。いち早く経済的自立を達成し、優位にたった
第3章 イスラエル建国と何が違うのか?
イギリス、フランスの手によって引かれた中東の国境線を消し、新しいカリフ制国家を樹立する。そうとなえる「イスラム国」は、ユダヤ人がイスラエルを建国したのと同じ文脈にあるのだろうか?
第4章 スーパーテロリストの捏造
イラクのサダム・フセインとアルカイダをつなげるために、欧米によってザルカウィの神話がでっちあげられた。十年後、後継者のバグダディは、ソシアルネットワークの力でカリフ制国家の神話を欧米の若者に信じ込ませる
第5章 建国というジハード
「イスラム国」は、カリフ制国家の建国というまったく新しい概念をジハードに持ち込んだ。それは、アメリカという遠い敵に第二戦線を開いたアルカイダ、腐敗と独裁の中東諸国の権威を一気に色あせさせたのだ
第6章 もともとは近代化をめざす思想だった
「イスラム国」がよりどころにして
アルカイダの失敗は、アメリカというあまりに遠い敵と
第二戦線を開いたことにあった。
バグダッド大学で神学の学位をとった一人の男、バグダディは
そう考えた。
英米、ロシア、サウジ、イラン、複雑な代理戦争をくりひろげる
シリアという崩壊国家に目をつけた、そのテロリストは
国家をつくること目指した。
領土をとり、石油を確保し、経済的に自立
電力をひき、食料配給所を儲け、予防接種まで行なう。
その最終目標は、失われたイスラム国家の建設だと言う。
対テロファイナンス専門のエコノミストが放つ
まったく新しい角度からの「イスラム国」。
池上彰が渾身の解説。
はじめに 中東の地図を塗り替える
欧米の多くの専門家は「イスラム国」をタリバンと同じ時代錯誤の組織だと考えている。しかし、それは違う。彼らは、グローバル化し多極化した世界を熟知し、大国の限界を驚くべきほど明確に理解している
序章 「決算報告書」を持つテロ組織
冷戦下のテロ組織は、PLOにしてもIRAにしても、狭い領域内で正規軍に対して戦いを挑んだ。イスラム国の決定的な違いは、群雄割拠する国際情勢の間隙をついて、広大な地域を支配下においた点だ
第1章 誰が「イスラム国」を始めたのか?
「イスラム国」の起源は、ビンラディンに反旗を翻したザルカウィに始まる。「遠い敵」アメリカではなくシーア派を攻撃するその路線は、バグダッド大学でイスラム神学の学位をとった一人の知識人にうけつがれる
第2章 中東バトルロワイヤル
米ソという超大国にいきつく冷戦期の代理戦争と違い、今日の代理戦争は多岐にわたるスポンサー国家が存在する。そうした多頭型代理戦争の間隙をついたのが「イスラム国」だ。いち早く経済的自立を達成し、優位にたった
第3章 イスラエル建国と何が違うのか?
イギリス、フランスの手によって引かれた中東の国境線を消し、新しいカリフ制国家を樹立する。そうとなえる「イスラム国」は、ユダヤ人がイスラエルを建国したのと同じ文脈にあるのだろうか?
第4章 スーパーテロリストの捏造
イラクのサダム・フセインとアルカイダをつなげるために、欧米によってザルカウィの神話がでっちあげられた。十年後、後継者のバグダディは、ソシアルネットワークの力でカリフ制国家の神話を欧米の若者に信じ込ませる
第5章 建国というジハード
「イスラム国」は、カリフ制国家の建国というまったく新しい概念をジハードに持ち込んだ。それは、アメリカという遠い敵に第二戦線を開いたアルカイダ、腐敗と独裁の中東諸国の権威を一気に色あせさせたのだ
第6章 もともとは近代化をめざす思想だった
「イスラム国」がよりどころにして
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2015/1/7
- 寸法13.8 x 2.1 x 19.4 cm
- ISBN-104163902112
- ISBN-13978-4163902111
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2015/1/7)
- 発売日 : 2015/1/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 192ページ
- ISBN-10 : 4163902112
- ISBN-13 : 978-4163902111
- 寸法 : 13.8 x 2.1 x 19.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 747,725位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 190,417位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年1月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年2月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
第一次世界大戦以降初めて、フランスとイギリスが線引きした中東の地図をイスラム国が書き換えている。
イスラム国は、1916年にサイクス・ピコ協定(イギリス、フランス、ロシアの三カ国がオスマン帝国の領土分割を取り決めた密約)で定められた国境線を破壊しつつある。イスラム国が制圧した地域はイギリスやテキサス州よりも広く、シリアの地中海沿岸部からイラクの内陸奥深く、スンニ派の居住地域にまでおよんでいる。
イスラム国が冷戦期も含めて先行するどの武装集団とも決定的にちがう点は、その近代性と現実主義にあると本書は指摘する。
「イスラム国」が制圧した地域の住民は、軍隊がやって来たおかげで村の生活が改善されたと証言している。
彼らは道路を補修し、家を失った人のために食糧配給所を設置し、電力の供給も確保した。
「イスラム国」が発するメッセージは、ヨーロッパやアメリカで暮らすムスリムの若者にとっても、魅力的で訴求力がある。
彼らの多くは公民権を持たず、なかなか欧米社会の一員になることができない。
しかも先進国社会では、若い世代の機会が乏しくなる一方である。
「アラブの春」と「イスラム国」は、…中東の腐敗した指導者という同じ問題に対する二つの回答である。では、前者が失敗に終わったのに、後者がいまのところ成功しているのはなぜだろう。
著者は、こう分析している。
世界が多極体制に移行し、中国を始めとする新興勢力がアメリカのパワーの対抗できるようになると、従来の外交政策は通用しなくなる。
中国とロシアが拒否権を行使する現状では、欧米が国連決議を得てシリアに軍事介入するといったことは、考えにくい。
多極体制の出現は、ゲームの新しいルールを知り尽くした人間に、これまでにない機会を提供した。
「イスラム国」は近代政治の駆け引きに長けているだけでなく、最新のテクノロジーの応用にも通じており、布教、志願兵の募集、資金調達に活用している。
バーチャル・コミュニケーションにおけるプロパガンダを駆使して国家を建設していく彼らの手腕は、まるでコミュニケーション術活用法のお手本のようでもある。ここ10年間に展開された民主化運動には、残念ながらそうしたスキルが見られなかった。
「イスラム国」は、最新のテクノロジーを駆使して、中東の人びとがこの100年間にわたって心の奥底にしまい込んでいた、民族としての誇りに働きかけ、今までのところ成功をおさめている。
西洋、とりわけ米国の圧倒的な支配力が陰りつつある現在、抑圧された民族の誇りが世界の至るところで息を吹き返しつつあるのだ。
ヨーロッパ諸国によって恣意的に作られた国家に対する忠誠心と、イスラムが一体であった時代に対する郷愁の相克。
本書は、(日本を含む)欧米メディアと政府が流布する「無法な暴力集団」というイスラム国のイメージに対して、イスラム国を生み出した、より根源的な世界の構造変化を明らかにした、勇気ある作品である。
イスラム国は、1916年にサイクス・ピコ協定(イギリス、フランス、ロシアの三カ国がオスマン帝国の領土分割を取り決めた密約)で定められた国境線を破壊しつつある。イスラム国が制圧した地域はイギリスやテキサス州よりも広く、シリアの地中海沿岸部からイラクの内陸奥深く、スンニ派の居住地域にまでおよんでいる。
イスラム国が冷戦期も含めて先行するどの武装集団とも決定的にちがう点は、その近代性と現実主義にあると本書は指摘する。
「イスラム国」が制圧した地域の住民は、軍隊がやって来たおかげで村の生活が改善されたと証言している。
彼らは道路を補修し、家を失った人のために食糧配給所を設置し、電力の供給も確保した。
「イスラム国」が発するメッセージは、ヨーロッパやアメリカで暮らすムスリムの若者にとっても、魅力的で訴求力がある。
彼らの多くは公民権を持たず、なかなか欧米社会の一員になることができない。
しかも先進国社会では、若い世代の機会が乏しくなる一方である。
「アラブの春」と「イスラム国」は、…中東の腐敗した指導者という同じ問題に対する二つの回答である。では、前者が失敗に終わったのに、後者がいまのところ成功しているのはなぜだろう。
著者は、こう分析している。
世界が多極体制に移行し、中国を始めとする新興勢力がアメリカのパワーの対抗できるようになると、従来の外交政策は通用しなくなる。
中国とロシアが拒否権を行使する現状では、欧米が国連決議を得てシリアに軍事介入するといったことは、考えにくい。
多極体制の出現は、ゲームの新しいルールを知り尽くした人間に、これまでにない機会を提供した。
「イスラム国」は近代政治の駆け引きに長けているだけでなく、最新のテクノロジーの応用にも通じており、布教、志願兵の募集、資金調達に活用している。
バーチャル・コミュニケーションにおけるプロパガンダを駆使して国家を建設していく彼らの手腕は、まるでコミュニケーション術活用法のお手本のようでもある。ここ10年間に展開された民主化運動には、残念ながらそうしたスキルが見られなかった。
「イスラム国」は、最新のテクノロジーを駆使して、中東の人びとがこの100年間にわたって心の奥底にしまい込んでいた、民族としての誇りに働きかけ、今までのところ成功をおさめている。
西洋、とりわけ米国の圧倒的な支配力が陰りつつある現在、抑圧された民族の誇りが世界の至るところで息を吹き返しつつあるのだ。
ヨーロッパ諸国によって恣意的に作られた国家に対する忠誠心と、イスラムが一体であった時代に対する郷愁の相克。
本書は、(日本を含む)欧米メディアと政府が流布する「無法な暴力集団」というイスラム国のイメージに対して、イスラム国を生み出した、より根源的な世界の構造変化を明らかにした、勇気ある作品である。
2015年2月11日に日本でレビュー済み
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この本よ読めば、今までのような米国追随の政策が無効になりそうだということがわかる。
第一次大戦から100年欧米諸国は中東の地を好き勝手に操り、利益をむさぼり自国の利益のために利用してきたが、中東の人びとの生活、意識、文化などに頓着してこなかった。欧米が据えた傀儡政権によって土地の大規模な収奪や、殺害の恐怖。欧米では許されない行為がみのがされてきた。そして、その構図は今も欧米諸国の生活の基盤となっている。今、ISILが発生して領土的野心を成し遂げようとすることには、歴史的な必然がある。
欧米諸国は、自分たちの生活基盤を失うことを潔しとしないだろう。
つまり戦争状態にならざるを得ない。
欧米諸国の青年らがISILに参加する原因の根底には、富の偏重と格差社会がある。これは現代資本主義の最大の問題になるだろう。
また日本でも『未来はホームレス。希望は戦争』という言葉が若者の中にあると聞く、
日本政府は、今、どう国内の格差社会や、富の偏重という諸問題富む気合い解決策を探すのか。また、ISILどう対峙するのか。
将来、イラクとシリアをまとめてISIL国家が生まれる可能性はないとは限らない。その展望さえ本書には少し触れられている。
中東で資本主義国の存亡とイスラム国の勃興をかけた戦争は起こるだろう。そしてどちらが勝つか不明なのだ。
ただ過去、朝鮮戦争以降米国が関わった戦争で、米国が真に勝利した戦争はないということを覚えておいてもいいと思う。
本書読んでそんなことを考えました。
第一次大戦から100年欧米諸国は中東の地を好き勝手に操り、利益をむさぼり自国の利益のために利用してきたが、中東の人びとの生活、意識、文化などに頓着してこなかった。欧米が据えた傀儡政権によって土地の大規模な収奪や、殺害の恐怖。欧米では許されない行為がみのがされてきた。そして、その構図は今も欧米諸国の生活の基盤となっている。今、ISILが発生して領土的野心を成し遂げようとすることには、歴史的な必然がある。
欧米諸国は、自分たちの生活基盤を失うことを潔しとしないだろう。
つまり戦争状態にならざるを得ない。
欧米諸国の青年らがISILに参加する原因の根底には、富の偏重と格差社会がある。これは現代資本主義の最大の問題になるだろう。
また日本でも『未来はホームレス。希望は戦争』という言葉が若者の中にあると聞く、
日本政府は、今、どう国内の格差社会や、富の偏重という諸問題富む気合い解決策を探すのか。また、ISILどう対峙するのか。
将来、イラクとシリアをまとめてISIL国家が生まれる可能性はないとは限らない。その展望さえ本書には少し触れられている。
中東で資本主義国の存亡とイスラム国の勃興をかけた戦争は起こるだろう。そしてどちらが勝つか不明なのだ。
ただ過去、朝鮮戦争以降米国が関わった戦争で、米国が真に勝利した戦争はないということを覚えておいてもいいと思う。
本書読んでそんなことを考えました。
2015年6月25日に日本でレビュー済み
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国取り物語は現在も続いているという話。
弾一発入手するだけでも資金が必要です。
戦争(地域紛争)を維持するには、スポンサーがいないといけません。
だれがスポンサーかを継ぐっていけば、戦争(地域紛争)をしている本当の原因と目的が解かると言ってます。
この本はイスラム国建国の原因を、誰がスポンサーかにスポットを当てて説明し、
「手段に関わらず、勝利したものが歴史を作る」と言っていると思います。
また、ISが実行している手法を分析し、説明しています。
いろいろな意味で参考になりました。
弾一発入手するだけでも資金が必要です。
戦争(地域紛争)を維持するには、スポンサーがいないといけません。
だれがスポンサーかを継ぐっていけば、戦争(地域紛争)をしている本当の原因と目的が解かると言ってます。
この本はイスラム国建国の原因を、誰がスポンサーかにスポットを当てて説明し、
「手段に関わらず、勝利したものが歴史を作る」と言っていると思います。
また、ISが実行している手法を分析し、説明しています。
いろいろな意味で参考になりました。
2015年2月15日に日本でレビュー済み
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著者が執筆を始めたのが昨年6月という。そして当日本語版の販売は、早くも本年1月7日に始まっている。さすがは出版大国、やることが素早い。本の作りもいいし翻訳も優れている。
カリフ制国家「イスラム国」の建国宣言がなされたのが昨年六月。程なく日本人ジャーナリスト二名が拘束・殺害された。日本は否応なくイスラム国と対峙せざるを得ない状況に陥った。
イスラム国とは一体どんな国か、どうして生まれたのか、何を目指しているのか、指導者はどんな人たちか。従来のイスラム過激派組織と異なるとすればそれはどう違うのか、が説得力を持って説かれている。
「非近代的イスラム法支配、残忍な殺害手口、巧妙なネット操作を通じての情報誘導・兵士のリクルート」欧米メディアはイスラム国を不気味で非情な過激派組織として処理しようと躍起になっている中、過去何世紀も屈辱と貧困に放置されたイスラムの民がイスラム国建国に寄せる心情を理解しない限り真の中東和平策は生まれない、というのが著者の立場のようである。イスラムによる国家建設はタリバンもアルカイダもPLOも掲げたが民衆の生活は一向に改善しなかった。チェニジア、エジプト、リビア、シリアを席巻した民主化運動「アラブの春」も挫折した。成功するかどうかはわからない。しかしイスラム国はジハード戦を戦う一方、占領地住民に食料を与え電気を供給し、橋や道路を補修しワクチン接種まで行っている。
考えてみればイスラム国の周囲は敵ばかりだ。シーア派主導のイラン・イラク・レバノンのヒズボラ、アサドのシリアそして宿敵イスラエル。王家存続を脅かされるアラブ湾岸諸国。そして米・英・仏・ヨルダンなどの有志連合。イスラム国の存続は占有地住民の広範な支持を勝ち得るかどうかにかかっているし、指導者もそれをよく心得ていると思われる。今後有志連合による空爆も強化されよう。その盾となるのは住民なのだから。
領地拡張のための無慈悲な殺戮、資金獲得のための人質誘拐ビジネスなどの負の側面はとりあえずおいておいて、イスラム国がなぜ出現したのか、何を目指すのか、そのために何をやっているのかを掘り下げた点が本書の特色だ。結局のところ、過去の欧米列強の中東政策がイスラムの反逆を引き起こしていると読めなくもない(筆者は欧米批判は避けている)だけに本書が欧米でベストセラーにはならないだろうが注目すべき良書である。
カリフ制国家「イスラム国」の建国宣言がなされたのが昨年六月。程なく日本人ジャーナリスト二名が拘束・殺害された。日本は否応なくイスラム国と対峙せざるを得ない状況に陥った。
イスラム国とは一体どんな国か、どうして生まれたのか、何を目指しているのか、指導者はどんな人たちか。従来のイスラム過激派組織と異なるとすればそれはどう違うのか、が説得力を持って説かれている。
「非近代的イスラム法支配、残忍な殺害手口、巧妙なネット操作を通じての情報誘導・兵士のリクルート」欧米メディアはイスラム国を不気味で非情な過激派組織として処理しようと躍起になっている中、過去何世紀も屈辱と貧困に放置されたイスラムの民がイスラム国建国に寄せる心情を理解しない限り真の中東和平策は生まれない、というのが著者の立場のようである。イスラムによる国家建設はタリバンもアルカイダもPLOも掲げたが民衆の生活は一向に改善しなかった。チェニジア、エジプト、リビア、シリアを席巻した民主化運動「アラブの春」も挫折した。成功するかどうかはわからない。しかしイスラム国はジハード戦を戦う一方、占領地住民に食料を与え電気を供給し、橋や道路を補修しワクチン接種まで行っている。
考えてみればイスラム国の周囲は敵ばかりだ。シーア派主導のイラン・イラク・レバノンのヒズボラ、アサドのシリアそして宿敵イスラエル。王家存続を脅かされるアラブ湾岸諸国。そして米・英・仏・ヨルダンなどの有志連合。イスラム国の存続は占有地住民の広範な支持を勝ち得るかどうかにかかっているし、指導者もそれをよく心得ていると思われる。今後有志連合による空爆も強化されよう。その盾となるのは住民なのだから。
領地拡張のための無慈悲な殺戮、資金獲得のための人質誘拐ビジネスなどの負の側面はとりあえずおいておいて、イスラム国がなぜ出現したのか、何を目指すのか、そのために何をやっているのかを掘り下げた点が本書の特色だ。結局のところ、過去の欧米列強の中東政策がイスラムの反逆を引き起こしていると読めなくもない(筆者は欧米批判は避けている)だけに本書が欧米でベストセラーにはならないだろうが注目すべき良書である。
2015年1月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者はイタリア系アメリカ人で、おそらくイスラム教の信者でもないし、
イラク、シリアに住んでいるひとではないようですが、
両国に幅広いネットワークを持っているようで、
地域の住民達が、イスラム国に何を期待しているのか、
を解き明かしてくれます。
また、イスラム国の代表者がカリフを名乗ることで、
全世界のイスラム教徒にどのような影響があるかも教えてくれます。
報道では、イスラム国の住民は圧政に苦しんでいるとされていますが、
それだけではないようです。
イスラム国の経済的な側面の情報も貴重です。
ただ、急いで出版(翻訳も早い)のため、中味のばらつきはありますね。
岩波のイスラーム国の本も同時に読むと互いに補い合って、
理解しやすいと思います。
イラク、シリアに住んでいるひとではないようですが、
両国に幅広いネットワークを持っているようで、
地域の住民達が、イスラム国に何を期待しているのか、
を解き明かしてくれます。
また、イスラム国の代表者がカリフを名乗ることで、
全世界のイスラム教徒にどのような影響があるかも教えてくれます。
報道では、イスラム国の住民は圧政に苦しんでいるとされていますが、
それだけではないようです。
イスラム国の経済的な側面の情報も貴重です。
ただ、急いで出版(翻訳も早い)のため、中味のばらつきはありますね。
岩波のイスラーム国の本も同時に読むと互いに補い合って、
理解しやすいと思います。
2015年1月31日に日本でレビュー済み
ある日、日本人たちは気づくのです。物事には本当に裏があるということに。気付いたひとたちはこの本を読みません。