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中野のお父さん 単行本 – 2015/9/12
北村 薫
(著)
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〈本の達人〉が贈る新名探偵シリーズ
体育会系な文芸編集者の娘&定年間際の高校国語教師の父が挑むのは、出版界に秘められた《日常の謎》!
□「応募してませんよ、わたしは」
新人賞最終選考に残った候補者からの思いがけない一言は?(夢の風車)
□「実は、扱いに困っている手紙がありましてね」
ある大物作家に宛てた女性作家の手紙には愛の告白が?(幻の追伸)
□「わたしは殺人事件の現場に行き合わせることになったわけです」
定期購読者の話を聞いているうちに思いもよらない事態に?(茶の痕跡)
ほか、大手出版社の文宝出版を舞台に繰り広げられる8つのミステリーの推理の結末やいかに……。〈円紫さんと私〉〈覆面探偵〉〈ベッキーさん〉シリーズほか、多くのファンを唸らせてきた名手による、新たな名探偵コンビが誕生。
体育会系な文芸編集者の娘&定年間際の高校国語教師の父が挑むのは、出版界に秘められた《日常の謎》!
□「応募してませんよ、わたしは」
新人賞最終選考に残った候補者からの思いがけない一言は?(夢の風車)
□「実は、扱いに困っている手紙がありましてね」
ある大物作家に宛てた女性作家の手紙には愛の告白が?(幻の追伸)
□「わたしは殺人事件の現場に行き合わせることになったわけです」
定期購読者の話を聞いているうちに思いもよらない事態に?(茶の痕跡)
ほか、大手出版社の文宝出版を舞台に繰り広げられる8つのミステリーの推理の結末やいかに……。〈円紫さんと私〉〈覆面探偵〉〈ベッキーさん〉シリーズほか、多くのファンを唸らせてきた名手による、新たな名探偵コンビが誕生。
- 本の長さ284ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2015/9/12
- ISBN-104163903259
- ISBN-13978-4163903255
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2015/9/12)
- 発売日 : 2015/9/12
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 284ページ
- ISBN-10 : 4163903259
- ISBN-13 : 978-4163903255
- Amazon 売れ筋ランキング: - 527,411位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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北村 薫
1949(昭和24)年、埼玉県生れ。早稲田大学ではミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、’89(平成元)年「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。’91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。作品に『ニッポン硬貨の謎』(2006年本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(’09年直木賞受賞)など:本データは『1950年のバックトス (ISBN-13:978-4101373324 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年12月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日々忙しい娘。でも困ったときには実家に帰って父に質問。ちゃっかりしてる娘と嬉しそうな父の姿がとってもいいなあ〜!
2021年1月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
話に起伏がなく、更にお父さんが簡単に速攻で問題解決しちゃうので、読み応えとしては弱いかも
でも、ハラハラもイライラもドキドキもないので、心穏やかに読めます
でも、ハラハラもイライラもドキドキもないので、心穏やかに読めます
2015年10月18日に日本でレビュー済み
田川美希は出版社の文芸部に勤める編集者だ。
仕事の過程で出くわした、ミステリアスな未解決事件のことを、東京・中野の実家に帰るたびに父に話して聞かせる。すると、母と暮らす定年間近の父は、たちまちのうちに事件の真相を見つけてしまう。
今年(2015年)、≪私と円紫さん≫のシリーズが『 太宰治の辞書 』でほぼ20年ぶりに読者のもとに帰って来ました。噺家の≪円紫さん≫という安楽椅子探偵とともに日常の小さな謎を解き明かしていくそのシリーズの当初、まだ学生だった語り手の≪私≫が、今や子育てしながら出版編集の仕事をしている女性として私たち読者の前に元気な姿を見せてくれたのです。
今回の『中野のお父さん』は≪私と円紫さん≫シリーズの姉妹編ともいえる短編集です。
主人公は美希という出版編集者。日常で目にするちょっとした謎。お父さんはその話を聞いただけで謎を解明する。――すべてが≪私と円紫さん≫シリーズとパラレルな関係にあります。
ただし、『お父さん』のほうは、≪私と円紫さん≫シリーズに比べるとかなり小ぶりな感じがします。
一文で一段落を成す箇所がたいへん多く、そのぶん改行の頻度が各段に高いので、ぱっと見たところ頁には余白部分がかなりあると感じられます。事実一編あたりの文章量は少なく、それぞれの掌編はかなりの短時間で読み通せました。
また、≪私と円紫さん≫ではそれぞれの事件の背後に人間の業(ごう)のようなものの存在を感じさせたものですが、『お父さん』のほうにはそれはあまり見られません。その点が食い足りなさを与える気がします。
そして、≪私≫という主人公が学生時代から社会人として世間のとば口に立つまでの、人生でもっとも多感な時期を内省しながら歩んでいたのに引き較べると、美希は比較的軽やかに日々を楽しんでいる若者という印象を抱かせます。主人公への感情移入という面からいっても、『お父さん』のほうには軽量感を覚えます。
ただ、今年父を亡くした私は、最終編の『数の魔術』には少し思うところがありました。
幼かった美希の一輪車の練習にそっと寄り添ってくれた父が――裏表紙にその様子が益田ミリのかわいらしいイラストで描かれています――間もなく退職の時を迎えようとしている。若々しさを失うことなど以前は想像だに出来なかった父親に、老いの季節が確実にやって来たことを美希は心淋しく感じているのです。彼女のその胸の内が、いまの私の気持ちにぴたりと寄り添ったのです。
思えば北村薫は実父の日記をもとに現在『 いとま申して 』、『 慶應本科と折口信夫 』という連作を書いています。父の存在を強く思い返す時期というのが人にはあるのです。
『数の魔術』の後段に、父が教えてくれたあれやこれやを思い返して美希がひとりこう思う場面が出てきます。
「――それも覚えておくよ、……お父さん。」(282頁)
美希の心のこのつぶやきが、私自身の言葉となって聞こえました。
仕事の過程で出くわした、ミステリアスな未解決事件のことを、東京・中野の実家に帰るたびに父に話して聞かせる。すると、母と暮らす定年間近の父は、たちまちのうちに事件の真相を見つけてしまう。
今年(2015年)、≪私と円紫さん≫のシリーズが『 太宰治の辞書 』でほぼ20年ぶりに読者のもとに帰って来ました。噺家の≪円紫さん≫という安楽椅子探偵とともに日常の小さな謎を解き明かしていくそのシリーズの当初、まだ学生だった語り手の≪私≫が、今や子育てしながら出版編集の仕事をしている女性として私たち読者の前に元気な姿を見せてくれたのです。
今回の『中野のお父さん』は≪私と円紫さん≫シリーズの姉妹編ともいえる短編集です。
主人公は美希という出版編集者。日常で目にするちょっとした謎。お父さんはその話を聞いただけで謎を解明する。――すべてが≪私と円紫さん≫シリーズとパラレルな関係にあります。
ただし、『お父さん』のほうは、≪私と円紫さん≫シリーズに比べるとかなり小ぶりな感じがします。
一文で一段落を成す箇所がたいへん多く、そのぶん改行の頻度が各段に高いので、ぱっと見たところ頁には余白部分がかなりあると感じられます。事実一編あたりの文章量は少なく、それぞれの掌編はかなりの短時間で読み通せました。
また、≪私と円紫さん≫ではそれぞれの事件の背後に人間の業(ごう)のようなものの存在を感じさせたものですが、『お父さん』のほうにはそれはあまり見られません。その点が食い足りなさを与える気がします。
そして、≪私≫という主人公が学生時代から社会人として世間のとば口に立つまでの、人生でもっとも多感な時期を内省しながら歩んでいたのに引き較べると、美希は比較的軽やかに日々を楽しんでいる若者という印象を抱かせます。主人公への感情移入という面からいっても、『お父さん』のほうには軽量感を覚えます。
ただ、今年父を亡くした私は、最終編の『数の魔術』には少し思うところがありました。
幼かった美希の一輪車の練習にそっと寄り添ってくれた父が――裏表紙にその様子が益田ミリのかわいらしいイラストで描かれています――間もなく退職の時を迎えようとしている。若々しさを失うことなど以前は想像だに出来なかった父親に、老いの季節が確実にやって来たことを美希は心淋しく感じているのです。彼女のその胸の内が、いまの私の気持ちにぴたりと寄り添ったのです。
思えば北村薫は実父の日記をもとに現在『 いとま申して 』、『 慶應本科と折口信夫 』という連作を書いています。父の存在を強く思い返す時期というのが人にはあるのです。
『数の魔術』の後段に、父が教えてくれたあれやこれやを思い返して美希がひとりこう思う場面が出てきます。
「――それも覚えておくよ、……お父さん。」(282頁)
美希の心のこのつぶやきが、私自身の言葉となって聞こえました。
2015年12月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文芸編集者の父が「名探偵」!? 都築道夫とかブロンクスのママの系譜だろう。日常に起こる謎を娘が実家に持ち帰り、父に解いて貰うのだ。彼女の職業が「編集者」だから、自然に謎は「文学」の話になる。ただ、「夢の風車」「幻の追伸」などは、そのままミステリのトリックとしても使えそうだし、「茶の痕跡」などは、ミステリそのものではないか、と思う。
ミステリとしての側面も充分に楽しめるのだが、この作品に描かれている「お父さん」の娘と同じ位大事な「本への愛」。ここに引用されている尾崎一雄のエピはそのまま、「お父さん」そして、北村薫にも繋がる強い思いだろう。心から書物を愛する気持ちが心を打つ。自分が独占するのではなく、文化遺産として、それを広める事、守る事がどんなに重要であるかを北村さんご自身が良くご存じだから。
でもそれを大上段に構えて描いてない。あくまでもさりげなく、さらりと。この辺がにくいなあ、うまいなあと思う。
ヒロインが体育会系っていうのも、バランスが取れている。「飲めば都」のヒロインとはちょっとまた違う魅力あるキャラ。個人的には百合原ゆかりもイチオシではある。こういう女性に「ちょっと叱られてみたい!」と思う人もいるのでは(笑)
ミステリとしての側面も充分に楽しめるのだが、この作品に描かれている「お父さん」の娘と同じ位大事な「本への愛」。ここに引用されている尾崎一雄のエピはそのまま、「お父さん」そして、北村薫にも繋がる強い思いだろう。心から書物を愛する気持ちが心を打つ。自分が独占するのではなく、文化遺産として、それを広める事、守る事がどんなに重要であるかを北村さんご自身が良くご存じだから。
でもそれを大上段に構えて描いてない。あくまでもさりげなく、さらりと。この辺がにくいなあ、うまいなあと思う。
ヒロインが体育会系っていうのも、バランスが取れている。「飲めば都」のヒロインとはちょっとまた違う魅力あるキャラ。個人的には百合原ゆかりもイチオシではある。こういう女性に「ちょっと叱られてみたい!」と思う人もいるのでは(笑)
2016年11月30日に日本でレビュー済み
大手出版社文芸部の若い編集者・田川美希は、元大学バスケット部の体育会系女子。
中野に住む父は定年間近の高校国語教師で、美希が仕事がらみの難問を持ち込むと、スルリと解いてくれる。ミステリの世界では「アームチェア・ディテクティブ」(安楽椅子探偵)に分類される作品になるんでしょうか。
いまどきの日本では高校教師はけっこう激務だと聞きますから、本作の美希の父のように、ありあまる余裕で難問を解きほぐすなんてことがホントにできるかな、という疑念は湧きます。
しかし、そんなことはおもしろい小説の前ではどうでもいいこと。知的なナゾ解きの楽しさに満ちた、明るい連作短編集です。殺人も、抗争も、裏切りもないミステリ、いいですね。
中野に住む父は定年間近の高校国語教師で、美希が仕事がらみの難問を持ち込むと、スルリと解いてくれる。ミステリの世界では「アームチェア・ディテクティブ」(安楽椅子探偵)に分類される作品になるんでしょうか。
いまどきの日本では高校教師はけっこう激務だと聞きますから、本作の美希の父のように、ありあまる余裕で難問を解きほぐすなんてことがホントにできるかな、という疑念は湧きます。
しかし、そんなことはおもしろい小説の前ではどうでもいいこと。知的なナゾ解きの楽しさに満ちた、明るい連作短編集です。殺人も、抗争も、裏切りもないミステリ、いいですね。
2015年9月21日に日本でレビュー済み
文芸系編集者である娘が巡り合う様々な日常の謎を、定年間際の教師である父親が解決する、という連作短編。
円紫さんと私に近い感じで、タッチの軽さは飲めば都に近い感じでしょうか。
安楽椅子探偵のような父親は元教師という設定からも北村薫本人を連想させます。
するする読めましたし、著者の近年の論文めいた文学ミステリーより好きな感じではあるのですが、
過去の作品の焼き直しのような感じもあり少し物足りません。
編集者ネタや文学ネタはそりゃあ書きやすいだろうけれど、盤上の敵にしびれた身としては、もうこの先は手の届く範囲の事柄しか書かないのかなぁという淋しさもあり。
飲めば都は胸が震える言葉もあったので、気に入っているのですが。
決して悪くないのですが、
もっと期待してました。
明るい話を軽く読みたいという時には良いかもしれません。
円紫さんと私に近い感じで、タッチの軽さは飲めば都に近い感じでしょうか。
安楽椅子探偵のような父親は元教師という設定からも北村薫本人を連想させます。
するする読めましたし、著者の近年の論文めいた文学ミステリーより好きな感じではあるのですが、
過去の作品の焼き直しのような感じもあり少し物足りません。
編集者ネタや文学ネタはそりゃあ書きやすいだろうけれど、盤上の敵にしびれた身としては、もうこの先は手の届く範囲の事柄しか書かないのかなぁという淋しさもあり。
飲めば都は胸が震える言葉もあったので、気に入っているのですが。
決して悪くないのですが、
もっと期待してました。
明るい話を軽く読みたいという時には良いかもしれません。
2016年7月3日に日本でレビュー済み
小節と言う形でなくても、筆者本人のエッセイでもよかったかとは思うが…北村氏のエキスがたっぷり感じられます。
2016年1月6日に日本でレビュー済み
出版社に勤める娘が持ち帰った【謎】を、定年間際の国語教師である父が解き明かすというスタイルのミステリー集。
ミステリーといっても、日常に潜む小さな謎ばかりなので、血生臭さはありません。
うーん、お父さんがまったく悩まずにすぐに解決してしまうのがな~。
文学的な知識と洞察力があってこその推理なのだけど、文学的な観点から謎を解かれても私にはちんぷんかんぷんで、
「ああ!そうか!」という爽快感が味わえない点で謎解きものとしては物足りない気がします。
謎解きの面白さよりも、父娘のすごくいい関係がほほえましく、それに関しては読んでいて気持ちがよかったです。
シリーズ化もありそうな予感ですな。
ミステリーといっても、日常に潜む小さな謎ばかりなので、血生臭さはありません。
うーん、お父さんがまったく悩まずにすぐに解決してしまうのがな~。
文学的な知識と洞察力があってこその推理なのだけど、文学的な観点から謎を解かれても私にはちんぷんかんぷんで、
「ああ!そうか!」という爽快感が味わえない点で謎解きものとしては物足りない気がします。
謎解きの面白さよりも、父娘のすごくいい関係がほほえましく、それに関しては読んでいて気持ちがよかったです。
シリーズ化もありそうな予感ですな。