ジョーカーゲームからのファンです、「シートン(探偵)動物記」「新世界」逸品でした。今、「道成寺」「黒塚」のふたつまで読み終わったところですが、あまりのすごさに筆をとる次第。
接客業をしていた折、3.11のあと、現地の見聞記を耳にしました。キャンピングカーであの3月11日に、偶然フクイチのあたりの海岸線におられた方の話。「津波が来る」轟音(だったかな)の中、走って逃れる方をキャンピングカーに乗せながら津波から逃れるために内陸に向かうとき、後ろで「助けて・・・」と同乗を望む方が走ってくるが、止まって乗せていると間に合わない。そのまま走り去るしかなかった、というあまりにも生々しい話。
学校の同期がF県で農業をしていたのだが、被災後、土壌の放射能汚染もともかく、風評被害で継続は無理と判断。今は私も住まう道内の峠のあっちの某町村で頑張っています。僕は震災のはるか前に自分で望んで北海道に移り住んだのですが、同級生は止むにやまれない状態でだからなぁ・・・。
性懲りもなく原発再稼働を推進する人々は、ぜひ、この本を読むといいですよ。僕は付随して、電気自動車にも乗る気がありません、今の電力供給の体制では原発を後押しすることになるから、結果。
僕自身は、原発が必要なほどに電気を使っているとはとうてい考えられない日常生活をしているつもり。
この本、買ってよかったです。残りの話、楽しみでもあり、怖くもあり。
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象は忘れない 単行本 – 2016/2/8
柳 広司
(著)
「なかったことには、ならない。」
「福島」が「フクシマ」になったあの日、原発に人生を奪われた。
だが、何としてでも生き抜いてやるーー。
【象は忘れない】
“象は非常に記憶力が良く、自分の身に起きたことは決して忘れない”(英語の諺)
あの日あの場所で何が起きたのか(「道成寺」)、
助けられたかもしれない命の声(「黒塚」)、
原発事故によって崩れてゆく言葉の世界(「卒都婆小町」)など、
エンターテイメントの枠を超え、研ぎ澄まされた筆致で描かれた五編。
著者プロフィール・柳広司(やなぎ・こうじ)
一九六七年生まれ。二〇〇一年『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で朝日新人文学賞受賞。歴史や文学作品をミステリと融合させた『吾輩はシャーロック・ホームズである』『はじまりの島』『新世界』などの作品を発表。二〇〇九年『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞。ほかに『怪談』『ロマンス』『虎と月』『ナイト&シャドウ』『ソクラテスの妻』など著書多数。
「福島」が「フクシマ」になったあの日、原発に人生を奪われた。
だが、何としてでも生き抜いてやるーー。
【象は忘れない】
“象は非常に記憶力が良く、自分の身に起きたことは決して忘れない”(英語の諺)
あの日あの場所で何が起きたのか(「道成寺」)、
助けられたかもしれない命の声(「黒塚」)、
原発事故によって崩れてゆく言葉の世界(「卒都婆小町」)など、
エンターテイメントの枠を超え、研ぎ澄まされた筆致で描かれた五編。
著者プロフィール・柳広司(やなぎ・こうじ)
一九六七年生まれ。二〇〇一年『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で朝日新人文学賞受賞。歴史や文学作品をミステリと融合させた『吾輩はシャーロック・ホームズである』『はじまりの島』『新世界』などの作品を発表。二〇〇九年『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞。ほかに『怪談』『ロマンス』『虎と月』『ナイト&シャドウ』『ソクラテスの妻』など著書多数。
- 本の長さ235ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2016/2/8
- ISBN-10416390400X
- ISBN-13978-4163904009
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2016/2/8)
- 発売日 : 2016/2/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 235ページ
- ISBN-10 : 416390400X
- ISBN-13 : 978-4163904009
- Amazon 売れ筋ランキング: - 899,814位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 224,702位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1967年三重県生まれ。神戸大学法学部卒業。2001年『黄金の灰』でデビュー。同年『贋作「坊ちゃん」殺人事件』で第12回朝日新人文学賞受賞。08年に刊行した『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『パルテノン』(ISBN-10:4408550078)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年6月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
能の演目が各話のタイトルに付いているが、能を知らなくても充分楽しめます。知っていれば更に奥深く楽しめる。光の当たらない小さき震災被害者が等身大で浮かび上がり、胸が苦しくなる。原発問題を考えるきっかけにもなるはず。
2016年5月11日に日本でレビュー済み
…なんというか、誰のせいか?というと一番先に思うのは「自然のせい」と思ってしまうなあ。
↑地震と津波が起こらなければ、爆発する事もなかったという点において。
福島の場合はチェルノブイリとか東海とかとは話が別じゃないか?とも。既に「原発というそのものが悪」という事になってしまってるから仕方ないだろうが。
ハズレくじを引き当ててしまうのは不運な事だけど、「善知島」を地でいければ精神の健康は保てるのかも。←ムカつくけどね。
爽快ではないけど、面白く読めました。
↑地震と津波が起こらなければ、爆発する事もなかったという点において。
福島の場合はチェルノブイリとか東海とかとは話が別じゃないか?とも。既に「原発というそのものが悪」という事になってしまってるから仕方ないだろうが。
ハズレくじを引き当ててしまうのは不運な事だけど、「善知島」を地でいければ精神の健康は保てるのかも。←ムカつくけどね。
爽快ではないけど、面白く読めました。
2016年5月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
柳さんの作品は、どれも引き込まれますが
新刊もとてもお勧めです。
新刊もとてもお勧めです。
2018年2月28日に日本でレビュー済み
フィクションとノンフィクションの精緻な融合。
客観的事実と主観的義憤の悲しいタッグマッチ。
ザ社会派小説。
松本さんや森村さんに匹敵あるいは超えているレベルだと思います個人的に。
人の心の痛みがわかるから、
とか、
他人の心の痛みがわかるから、
とかいうキーワードや概念が苦手。
わかるわけないんですよ。
それはつまり「それゆえ」に思考停止の免罪符になるんで。
だったら無双OROCHI2の、
濃姫さんの王異さんへの、
「わかってあげられるほど傲慢じゃないから」
ていう台詞の方がよっぽどいい。
俺たちはわかりきれないんです。
だからこそこういう真摯な小説に意味や意義がある。
わかる人たちなら読む必要ありません。
わかりきれない我々だからこそ。
客観的事実と主観的義憤の悲しいタッグマッチ。
ザ社会派小説。
松本さんや森村さんに匹敵あるいは超えているレベルだと思います個人的に。
人の心の痛みがわかるから、
とか、
他人の心の痛みがわかるから、
とかいうキーワードや概念が苦手。
わかるわけないんですよ。
それはつまり「それゆえ」に思考停止の免罪符になるんで。
だったら無双OROCHI2の、
濃姫さんの王異さんへの、
「わかってあげられるほど傲慢じゃないから」
ていう台詞の方がよっぽどいい。
俺たちはわかりきれないんです。
だからこそこういう真摯な小説に意味や意義がある。
わかる人たちなら読む必要ありません。
わかりきれない我々だからこそ。
2016年2月8日に日本でレビュー済み
福島原発事故がもたらした悲劇を五つの異なる視点から描いていく。
安全神話信仰が崩壊し、事故対応の最前線に立たされる原発作業員、政府の怠慢と欺瞞によって大量被曝を余儀なくされた地元住民、
「トモダチ作戦」の裏で秘密の任務を行う米兵、電力会社の都合と謀略で分断される避難区域住民ーー
様々な立場の原発事故当事者の物語は、事故に見舞われた人の数だけ苦しみの形があることを教えてくれる。
あれから五年が経ち、記憶の風化が本格化する今だからこそ意義がある作品だと思う。
タイトルは、事故を象のように永く記憶し続けるであろう当事者たちに対して、
それ以外の「人間」のあまりの忘れっぽさに対する痛烈な皮肉なのではと思う。
安全神話信仰が崩壊し、事故対応の最前線に立たされる原発作業員、政府の怠慢と欺瞞によって大量被曝を余儀なくされた地元住民、
「トモダチ作戦」の裏で秘密の任務を行う米兵、電力会社の都合と謀略で分断される避難区域住民ーー
様々な立場の原発事故当事者の物語は、事故に見舞われた人の数だけ苦しみの形があることを教えてくれる。
あれから五年が経ち、記憶の風化が本格化する今だからこそ意義がある作品だと思う。
タイトルは、事故を象のように永く記憶し続けるであろう当事者たちに対して、
それ以外の「人間」のあまりの忘れっぽさに対する痛烈な皮肉なのではと思う。
2016年5月29日に日本でレビュー済み
「道成寺」、「黒塚」、「卒都婆小町」、「善知鳥」及び「俊寛」の5つの作品から構成される東日本大震災(特に、福島原発事故)をテーマとした連作短編集。表題中の「象」とはチェルノブイリ原発事故の傷跡の象徴の由の上に、全ての短編が2015年以降に執筆されている事を勘案すると、あの「福島原発事故」の記憶や教訓を「風化させない」との作者の強い意匠が感じられる。各短編の題名を能・歌舞伎の題名で統一しているのは、犠牲者への鎮魂の意であろうか。
私は作者の「ジョーカー・ゲーム」シリーズや歴史上の有名人を主人公としたミステリ・シリーズを愛読しており、本作は当然それらとは全く異なった意匠を持つのだが、強いて言えば、オッペンハイマーを主人公とした「新世界」を想起させる内容である。東日本大震災の中でも天災には殆ど触れずに、人災に的を絞っている辺りに、「核(に象徴される見掛け上の科学技術の進歩)」に関する作者の拘りを感じた。
ただし、この意匠が強過ぎ、為政者や御用学者への怒りや義憤が前面に出過ぎていて、小説としては空回りの感が強く、むしろ、記録文学としての価値が高い(これは作者の意匠とも合致する)様に映った。そうは言っても、福島原発事故の全てを一作家が記録する訳には行かないので、被災者及びその関係者の方々を中心とした断片的物語を伝えるという本作の形式は止むを得なかったと思う。エンターテイメント作家の印象が強い作者だが、上述の「新世界」の如く、「核(に象徴される見掛け上の科学技術の進歩)」にも元々関心が高かった作者の本領が発揮された佳作だと思った。
私は作者の「ジョーカー・ゲーム」シリーズや歴史上の有名人を主人公としたミステリ・シリーズを愛読しており、本作は当然それらとは全く異なった意匠を持つのだが、強いて言えば、オッペンハイマーを主人公とした「新世界」を想起させる内容である。東日本大震災の中でも天災には殆ど触れずに、人災に的を絞っている辺りに、「核(に象徴される見掛け上の科学技術の進歩)」に関する作者の拘りを感じた。
ただし、この意匠が強過ぎ、為政者や御用学者への怒りや義憤が前面に出過ぎていて、小説としては空回りの感が強く、むしろ、記録文学としての価値が高い(これは作者の意匠とも合致する)様に映った。そうは言っても、福島原発事故の全てを一作家が記録する訳には行かないので、被災者及びその関係者の方々を中心とした断片的物語を伝えるという本作の形式は止むを得なかったと思う。エンターテイメント作家の印象が強い作者だが、上述の「新世界」の如く、「核(に象徴される見掛け上の科学技術の進歩)」にも元々関心が高かった作者の本領が発揮された佳作だと思った。
2016年3月16日に日本でレビュー済み
東日本大震災、そして福島原発事故を忘れ去ることは決して無いとは思いますが、記憶から段々と風化していくことはあり得ることであり、本書はそれに警鐘を鳴らしているのではないかと思います。
原発事故に人生を狂わされた人々がいて、そこにはやり場のない憤りがあって、そして計り知れない悲しみがあることを改めて思い知らされます。直接的な被害だけでなく、当事者だけが分かるようなじわじわと心を蝕んでいく苦悩が書かれ、切なく息苦しい5編の短編です。
ある日突然世界が変わり元彼女の声が聞こえる「道成寺」や、気が付けば幼馴染の心に隙間ができ始める「俊寛」など、テーマ上全編暗く沈んだトーンですが、どの話も原発事故がもたらした悲劇を実に如実に浮かび上がらせてます。
原発事故に人生を狂わされた人々がいて、そこにはやり場のない憤りがあって、そして計り知れない悲しみがあることを改めて思い知らされます。直接的な被害だけでなく、当事者だけが分かるようなじわじわと心を蝕んでいく苦悩が書かれ、切なく息苦しい5編の短編です。
ある日突然世界が変わり元彼女の声が聞こえる「道成寺」や、気が付けば幼馴染の心に隙間ができ始める「俊寛」など、テーマ上全編暗く沈んだトーンですが、どの話も原発事故がもたらした悲劇を実に如実に浮かび上がらせてます。