津村記久子の本の感想を書くのは難しい、といつも思う。
読んでいて把握できたこと以上の何かが書いてありそうで、でもなさそうな顔をしていて(またそういう顔が上手い)、ちゃんと摑めなくて、ただ読後に、「…………」と思う。もちろん「何か」は書かれているのである。
あらすじを説明すると、だから何だ、という話であり、でも、だから何だという話をべらぼうに面白く書く作家なんだよなあ。
具体的な感想を書こうとすると、「地獄」のジダンのくだりは、一人の部屋なのに居酒屋にいるみたいな笑い声が出ました、みたいなことしか書けない。
でも自分にとって、存命の作家でここ十年常に三指に入る作家です。
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浮遊霊ブラジル 単行本 – 2016/10/24
津村 記久子
(著)
初の海外旅行を前に死んでしまった私。幽霊となって念願の地を目指すが、なぜかブラジルに到着し……。川端賞受賞作「給水塔と亀」を含む、会心の短篇集!
【収録作】
「給水塔と亀」…定年を迎え製麺所と海のある故郷に帰った男。静謐で新しい人生が始まる。〈2013年川端康成文学賞受賞作〉
「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」…静けさのないうどん屋での、とある光景。
「アイトール・ベラスコの新しい妻」…ウルグアイ人サッカー選手の再婚の思わぬ波紋。
「地獄」…「物語消費しすぎ地獄」に落ちた女性小説家を待つ、世にも恐ろしい試練とは。
「運命」…どんなに落ち込んでいても外国でも、必ず道を尋ねられてしまうのはなぜ?
「個性」…もの静かな友人が突然、ドクロ侍のパーカーやトラ柄で夏期講習に現われて…
「浮遊霊ブラジル」…海外旅行を前に急逝した私。幽霊となって念願の地をめざすが。
【収録作】
「給水塔と亀」…定年を迎え製麺所と海のある故郷に帰った男。静謐で新しい人生が始まる。〈2013年川端康成文学賞受賞作〉
「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」…静けさのないうどん屋での、とある光景。
「アイトール・ベラスコの新しい妻」…ウルグアイ人サッカー選手の再婚の思わぬ波紋。
「地獄」…「物語消費しすぎ地獄」に落ちた女性小説家を待つ、世にも恐ろしい試練とは。
「運命」…どんなに落ち込んでいても外国でも、必ず道を尋ねられてしまうのはなぜ?
「個性」…もの静かな友人が突然、ドクロ侍のパーカーやトラ柄で夏期講習に現われて…
「浮遊霊ブラジル」…海外旅行を前に急逝した私。幽霊となって念願の地をめざすが。
- 本の長さ180ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2016/10/24
- ISBN-104163905421
- ISBN-13978-4163905426
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2016/10/24)
- 発売日 : 2016/10/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 180ページ
- ISBN-10 : 4163905421
- ISBN-13 : 978-4163905426
- Amazon 売れ筋ランキング: - 443,535位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 121,215位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年4月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
はっきりしたオチもなく淡々と進みます。
それぞれのシチュエーションがあり、クスッとするものや、あー、こういうのアルアルみたいな感じで読めますし、発想がかなりユニークで楽しめます。
長い小説の合間などに読むのがいいかもですね。
それぞれのシチュエーションがあり、クスッとするものや、あー、こういうのアルアルみたいな感じで読めますし、発想がかなりユニークで楽しめます。
長い小説の合間などに読むのがいいかもですね。
2016年12月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
津村記久子さんの小説では、主人公は、腕まくりして頑張っていたり、あるいは理不尽なことに怒っていたりしても、どこか力の抜きどころをわかっていて、肩の力を抜いて自分流に世の中を受け入れていく。
この短編集では「給水塔と亀」が、主人公はおじさんなのに、爽やかで、自転車の流れに従って視界が開けていき、新しいことを学習するのを嫌がらず面白がっているところが、好感が持てます。
この短編集では「給水塔と亀」が、主人公はおじさんなのに、爽やかで、自転車の流れに従って視界が開けていき、新しいことを学習するのを嫌がらず面白がっているところが、好感が持てます。
2016年11月1日に日本でレビュー済み
なのですが、短編集なので、するするとあっという間に読み終わってしまい、少し残念。
この中では、私も「運命」が一番好きです。
どこでも、人に道を聞かれる人っているよね。
そしてこの人は飲食業界における「福の神」なんだと思う。
ものすごいエリートなのに、自分ではそう述べない主人公の
ちょっとまぬけな感じがいいですね。
「アイトール・ベラスコの新しい妻」も興味深かった。
(↓ここから少しネタバレ注意)
いじめとかスクールカーストがテーマで
三人の小学校の同級生の少女のその後の人生が
二つの視点で語られていて面白い。
今、いじめに会っている人には励みになるかも。
「地獄」と「浮遊霊ブラジル」はバカバカしいような設定だけど
やはり、作者らしい明るさ、清々しさがありますね。
「給水塔と亀」は私にはあまり面白さがわからなかったけど
静謐な感じがしました。
この中では、私も「運命」が一番好きです。
どこでも、人に道を聞かれる人っているよね。
そしてこの人は飲食業界における「福の神」なんだと思う。
ものすごいエリートなのに、自分ではそう述べない主人公の
ちょっとまぬけな感じがいいですね。
「アイトール・ベラスコの新しい妻」も興味深かった。
(↓ここから少しネタバレ注意)
いじめとかスクールカーストがテーマで
三人の小学校の同級生の少女のその後の人生が
二つの視点で語られていて面白い。
今、いじめに会っている人には励みになるかも。
「地獄」と「浮遊霊ブラジル」はバカバカしいような設定だけど
やはり、作者らしい明るさ、清々しさがありますね。
「給水塔と亀」は私にはあまり面白さがわからなかったけど
静謐な感じがしました。
2021年4月10日に日本でレビュー済み
知人に勧められて読了。
気楽に、短時間で、クスリとしながら読める短編集。
普段文学作品を読まないので、何をどう評価していいか正直言ってわからないのだが、そんな人にでも読める作風。
読解力次第では違った景色が見えるんだろうな。
気楽に、短時間で、クスリとしながら読める短編集。
普段文学作品を読まないので、何をどう評価していいか正直言ってわからないのだが、そんな人にでも読める作風。
読解力次第では違った景色が見えるんだろうな。
2017年1月11日に日本でレビュー済み
表題作を含む全7つの短篇を収録した短編集。私は主にOLの応援歌である作者の"お仕事小説"を愛好して来たが、本作は作者の新しい奔放な魅力を堪能出来る秀作である。
冒頭の二作は理(あるいは情?)に落ちて(しかも一作の主人公は初老の男性)今一つかと思ったが、作者の仮象と思える人物が登場し、小学校からの女子のクラス・カーストが大人になってからも皮肉な形で続く因果譚を描いた「アイトール・ベラスコの新しい妻」辺りから調子が出て来る。エッセイと小説との中間の様な記述形式・内容が好ましい。更に、これまた作者の仮象と思える人物とその親友とが地獄に落ちて、生きていた時の"業"を嫌という程に味わうという「地獄」では爆笑してしまった。鬼達の"人間模様"も巧みに描いている。続く「運命」も、時系列・生死を無視して不思議な「運命」を扱って、最後には受精の瞬間へと読者を導く野心的な佳作。そして、掉尾の表題作は、死んで浮遊霊となってしまい、他人に憑りつく技を覚えた主人公がアイルランドを目指しながらも、四苦八苦の末にブラジルに渡ってしまう様子をユーモラスかつ飛翔感溢れる自由な筆致で描きながら、最後に"生きる意味"を問い掛けるという深遠な秀作。
これだけでも、作者が本作で新しいテーマ・記述形式に意欲的に取り組んでいる事が窺える。作者のサッカー愛・うどん愛も随所で披露される。作者の新しい代表作と言って良い秀作だと思った。
冒頭の二作は理(あるいは情?)に落ちて(しかも一作の主人公は初老の男性)今一つかと思ったが、作者の仮象と思える人物が登場し、小学校からの女子のクラス・カーストが大人になってからも皮肉な形で続く因果譚を描いた「アイトール・ベラスコの新しい妻」辺りから調子が出て来る。エッセイと小説との中間の様な記述形式・内容が好ましい。更に、これまた作者の仮象と思える人物とその親友とが地獄に落ちて、生きていた時の"業"を嫌という程に味わうという「地獄」では爆笑してしまった。鬼達の"人間模様"も巧みに描いている。続く「運命」も、時系列・生死を無視して不思議な「運命」を扱って、最後には受精の瞬間へと読者を導く野心的な佳作。そして、掉尾の表題作は、死んで浮遊霊となってしまい、他人に憑りつく技を覚えた主人公がアイルランドを目指しながらも、四苦八苦の末にブラジルに渡ってしまう様子をユーモラスかつ飛翔感溢れる自由な筆致で描きながら、最後に"生きる意味"を問い掛けるという深遠な秀作。
これだけでも、作者が本作で新しいテーマ・記述形式に意欲的に取り組んでいる事が窺える。作者のサッカー愛・うどん愛も随所で披露される。作者の新しい代表作と言って良い秀作だと思った。
2017年1月18日に日本でレビュー済み
志賀直哉や川端康成が呻吟しながら命を削って書いた小説を、この人はちょいと気楽げに書く。未明に呻き、歯ぎしりした痕跡が薄らいでいる(もちろんあるのだろうけれど)。これは、川上弘美の延長上にある女性文学の最先端ではなかろうか。
面白いんだ。そしてやや軽薄なんだ。で、読後感を人に語りたくなるんだ。軽快で、俗っぽく、そして明らかに作りものだ。例えば絵画がどこからどう見ても作り物なのに真実を描いているかと見えるように、本作は明らかな作為によって物語られているにもかかわらず、何かを象徴し、寓意しているようにしか受け取れないのだ。
面白い。映画化は無理。
面白いんだ。そしてやや軽薄なんだ。で、読後感を人に語りたくなるんだ。軽快で、俗っぽく、そして明らかに作りものだ。例えば絵画がどこからどう見ても作り物なのに真実を描いているかと見えるように、本作は明らかな作為によって物語られているにもかかわらず、何かを象徴し、寓意しているようにしか受け取れないのだ。
面白い。映画化は無理。
2018年1月6日に日本でレビュー済み
著者の作品の青春っぽいところが好きなのだが、今までの自己満足っぽい堂々巡りは若干つっこみたいところでした。だけど本作では一気に解消されたと感じました!