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学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで 単行本 – 2017/4/12
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「あの日みた花の名前を僕達はまだ知らない。」
「心が叫びたがってるんだ。」
ひきこもりだったじんたんと、
幼少期のトラウマで声が出なくなった成瀬順。
二人を主人公にした二本のアニメは、
日本中の心を揺さぶり、舞台となった秩父は
全国からファンが訪れるアニメの聖地となった。
実は、そのアニメの脚本を書いた岡田麿里自身が
小学校で学校に行けなくなっていたのです。
これは、母親と二人きりの長い長い時間をすごし
そして「お話」に出会い、
やがて秩父から「外の世界」に出て行った岡田の初めての自伝。
プロローグ 心が叫びたがっていたんだ。
『心が叫びたがってるんだ。』は、私の故郷、秩父を舞台にしている。その秩父での先行上映会。機材トラブルで途中で上映が止まるというパニックの中、私は、あの頃と何も変わっていない自分に気がついた。
第一章 学校のなかの居場所
小さいころから思ったことが言えない子だった。小学校に入学すると、苛められた。いじめっ子の背景には夕暮れに黒々とうかびあがる秩父の山々があった。それはでっかい檻のように見えた。
第二章 誰に挨拶したらいいかわからない
陽子は私と同じ愚鈍なのに皆から好かれていた。宮沢賢治の詩のように無私だったのだ。そういうキャラにならなくては。そう努力していたある朝の教室で、私は誰に挨拶したらいいかわからなくなってしまった。
、
第三章 一日、一日が消えていく
学校に行けなくなった私は、食うか、寝るか、ゲームをするか、本を読むかの日々を過ごしていた。母親はそんな私を恥じた。志賀直哉の「暗夜行路」を読んでいると「消日」という言葉があった。私のことだ。
第四章 行事のための準備運動
アニメ『あの花』でずっと学校を休んでいたじんたんが外に出るシーンがある。ドア前で近所の人の声が聞こえ、躊躇する。これは、私が学校行事のために、久しぶりに外に出るXデーをモデルにしている。
第五章 お母さんだってひどいことをしてる
私の父親は、浮気がばれ、祖父に離婚させられた。一人になった母は、男たちに「秩父の浅野温子」と呼ばれていた。私は母の彼氏に「おっぱいの絵を書け!」と命令される。
第六章 緑の檻、秩父
学校は休んでいても、作文の宿題だけは提出していた。それが新聞社の賞をとった。「岡田さんは学校にこなくてもいいから、一緒に作文を書いて賞に応募しましょう」。優しい女性の国語教師は言ったのだが。
第七章 下谷先生とおじいちゃん
何とか高校には合格したものの、その高校もすぐに行けなくなってしまった。担任の下谷先生は、読書感想文の文通を求めてくれた。その添削に「麿里という少女の」という言葉があったことに衝撃をうける。
第八章 トンネルを抜けて東京へ
下谷先生の奥さんは、「生きづらい人が集まるコミューンがある、卒業後はそこに」と言った。「麿里さんは、社会に出たらもっと傷つく」。こんな言葉がとっさに出てきた。「私はやりたいことがある。ゲーム学校に行く」
第九章 シナリオライターになりたい
新しくできた友達と夜明けの渋谷の街を歩きながら「どうして私はここにいるんだろう」と感じた。日常のささいなことがずっと手の届かないと思っていた奇跡だった。その中で将来に対する夢が形づくられ始める。
第十章 Vシネからアニメへ
シナリオライターになりたいという一念で、Vシネの仕事をしているうちに、アニメの現場に参加することになった。「君、シナリオライターになりたいの? 書いてみれば」。体中の毛穴がぶあっと開いた。
第十一章 シナリオ「外の世界」
そう言った監督にまず言われたこと。君はどんな人なのかそれがわかる脚本を書いてみなさい。私自身のことを書くならば、秩父のあの部屋にひきこもっていた時代のことを書くべきだ。
第十二章 かくあれかしと思う母親を主人公にする
オリジナルを書いてみれば? 学校に通えなかったせいで昇華されていない思春期が、終わりどころを見失っていた三十歳の私は、かくあれかしという母親をモデルにして脚本を書く。『花咲くいろは』の誕生。
第十三章 あの日みた花の名前を僕たちはまだ知らない。
企画コンペにオリジナル作品を。そう言われて私はある決断をする。それは学校に行けなかった少年を主人公にした物語だ。アニメの美しさにほんのひと振りの現実。じんたんの登場する「あの花」が書かれる。
第十四章 心が叫びたがっているんだ。
私の声さようなら。私の声消えたことみんな喜んだ。『ここさけ』のクライマックスで、喋ることができなくなってしまったヒロイン成瀬順が歌う「私の声」。これは、いきづまった私の声でもあった。
エピローグ 出してみることで形になる何か
「ここさけ」の劇場上映があってしばらくして母親から連絡があった。「お母さんも昔、麿里ちゃんに似たようなこと言っちゃったわね」。順の母親の台詞のことだった。「そんなに私のことが憎い?」「もう疲れちゃった」
- 本の長さ253ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2017/4/12
- 寸法13.7 x 2 x 19.4 cm
- ISBN-104163906320
- ISBN-13978-4163906324
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
「あの花」「ここさけ」を生んだ脚本家・岡田麿里が明かす“不登校の日々"
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』
普段アニメを観ない方も、このタイトルに聞き覚えがある方は多いのではないだろうか。
映画の興行収入がともに十億を超え“聖地巡礼アニメ"として大きな話題になった両作。本書はそれらを手がけたアニメ界のカリスマ脚本家、岡田麿里さんの初の自伝となっている。
書かれているのは成功者のサクセスストーリーとはほど遠い、闘病手記とでも言うべき小学校時代からの困難な自意識との闘い。
なんと豊かで苦しい心か。
私が鼻水垂らしていたような頃に周囲との不調和に直面し、友達を冷静に観察評価し、自覚的に自らの「キャラ設定」にあえぎ、結果挫折し、不登校になる。
すでに作品を知っている私としては「そういうことだったのか」と腑に落ちた。本書は自伝であると同時に両作の裏設定が書かれた濃密な設定資料である。
重苦しいのに引き込まれる。ついページをめくってしまう。これは岡田さんのアニメの印象そのものだ。舐めるとピリッと苦くて、えぐみがある。でも「苦い苦い」と舐めているうち気づけば瓶が空いている。そんな薄い毒の魅力。
面白いのは、本文のあちこちから著者の“天然っぽい"部分がぽろぽろこぼれているところ。不登校の二年半を「たった二年半」とさらりと書いたり、教習所で耳栓を付けた理由も大したことがないかのように流されている(ように見える)。上京する列車で隣になったおじさんが居心地悪そうにしてコーヒーを飲まない理由を、「甘いのが苦手なのかもしれない」と考えたときは「鈍いよ! 」とツッコミを入れてしまった。
上京した彼女はシナリオライターという職業に出会い「アニメのライターになりたい」と道を定める。そして「登校拒否児は果たして、魅力的なキャラクターとして成立するのだろうか?」と、自分自身に基づくテーマに挑み、ヒット作『あの花』が生まれた。
このあたりでは内容も軽快になり、前半の重苦しさとともに彼女の半生のトレンドを追体験した感覚になれる。特に『あの花』スタッフが秩父にある岡田さんの実家を訪問したくだりはコメディでありつつ感動的なシーン。なのにスタッフを招いた理由を「母親に見せつけたかったのだ」。ここでその言い方を選ぶのかと苦笑した。さすがだ。
本書で彼女が美しいと感じた瞬間には、車窓や扉といった「額縁」の存在が記されている。次に飾られるのはどんな風景だろうかと読了し思いを馳せた。
評者:七月隆文
(週刊文春 2017.04.20号掲載)登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2017/4/12)
- 発売日 : 2017/4/12
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 253ページ
- ISBN-10 : 4163906320
- ISBN-13 : 978-4163906324
- 寸法 : 13.7 x 2 x 19.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 314,823位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,150位人生論
- - 2,082位自伝・伝記
- - 5,976位日本のエッセー・随筆
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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岡田麿里氏は、昨今アニメファンからは色々な意味で注目を集める人気脚本家だ。
担当作は「とらドラ!」「花咲くいろは」「あの花」「ここさけ」「鉄血のオルフェンズ」など有名な作品が肩を並べる。
そんな氏が何故今になってこのような自伝的な本を出版する事になったのか。
あくまで個人的な趣味として過去見ていた作品(天使のしっぽetc..)が、後に岡田麿里氏の手掛けていた作品であると知った事もあり、
氏への興味と関心から本を購入し、写実的でどこか薄暗い文脈に見事に惹き込まれ、わずか数時間で読み切ってしまい今こうしてレビューを書いている。
まずこれは実話の話であり、フィクションではない。
それを踏まえて見ると、岡田麿里氏の少女時代はとてつもなく閉鎖的だ。
母や祖父との家庭環境、友人との交友関係、秩父という土地それぞれに縛られ苦悩する日々。
(このあたりはネタバレになるので、詳しくは割愛する。)
そして、そんな閉鎖的な青春時代を過ごしてきた少女が、いかに岡田麿里へと成長していくのかが本書の見所である。
話の中には長井龍雪監督や、キャラクターデザインを担当した田中将賀氏も登場する。
彼らとの関係や仕事に対しての姿勢も垣間見え、実に興味深かった。
今、何か新しいことを始めて、しかし自分にコンプレックスがあり最初の一歩が踏み出せない人には是非読んで貰いたい。
最後に読み終わって本を閉じる時、最後のページを見てふと気づく事があった。
「まさか…」と思い、最初の表紙を開けたページを確認するとやはりそうだ。
この「本」そのものが「岡田麿里」なのだ。
その仕掛けに気づいた時、私は「そうか、そういう事なのかー」と少し笑ってしまった。
もちろん悪い意味ではなく、粋な計らいに素直に感動したのである。
本書を読み、ますます岡田麿里という人間に興味を持った。
ここまでの自伝を書くということは並大抵の覚悟ではなかったかと思う。
そんな氏に、敬意を示したい。これからも貴方の生み出す世界を楽しみにしています。
ライトノベルみたいに短時間で読めた。感受性が豊かだ。フィーリングが合った。
この方は決して弱くない、大変ヴァイタリティがあるのが分かった。それに、ご先祖が善い、目に見えない協助があるお家なんでしょうね。個人的想像ですが ・・・でなければ負けてしまう、変な方向に行っただろう境遇だったのですね。遍歴から…だから鉄血のオルフェンズにヤクザ成分がまじっていたのかぁって納得したり(あれは、あまり好きじゃなかったですが)。
マイナス点と言うほどでもないが…「あの花」「ここさけ」のお陰で秩父に興味湧いたし良いイメージがあったのでいつか行って見ようかと思っていたが…秩父のイメージが変わってしまった。
アニメ生え抜きの人かと思いきや、意外にも出自は「Vシネ」だという。
まあ、とにかく脚本で身を立てるとなると、スタートする分野がどうとかそういう問題ではないのだろう。
とにかく、来る依頼は全部受けるしかないのではあるまいか。
本書を読んで思ったことは、文章がとても読みやすいということだ。
スルスルと読みすすめることができる。
本書に登場する、高校教師との作文批評などを通じ、「地道なトレーニング」を積んできた賜物なのだろうか。
数々の作品をクリエイトしてきた筆者だが、ある意味では、その筆者をクリエイトしたのはこの教師なのかも知れない。
複雑な親子関係だったり、登校拒否児や自意識過剰で屈折した登場人物が出たりと、とかくクセが強めなのが筆者の手掛けた作品の特徴であり魅力なのだと思うのだが、おそらくそれは作者の人格や人生のどこか一部の再現だったり、あるいは拡大再生産だったり、はたまたそこからの反発、もしくは遠い理想だったりするのだろう。
すくなくとも、本書で開示された筆者の人生を読むかぎり、作品の登場人物たちはどこか彼女の「かけら」というか一部を分与されているように感じられる(全てを視聴したわけではないが)。
そうした「自分の人生をいじくりまわす」というプロセスを、図らずも(あるいは自覚的に)脚本の仕事を通じて続けてきた結果、筆者は本書において「自分の人生を脚本化する」という作業を行うに至ったのだと思われる。
それは、自分の人生というものから距離をとって対象化しつつ、それを自分のものとして血肉とし、受容するという複雑な作業であるはずだ。
いちおう、筆者が世間的には著名なクリエイターとして認知されている以上、この本はある種の「サクセスストーリー」だといえるのだろうが、ただおそらく本人はそう思ってはいないだろうし、そう括られてしまうことに忌避感があるかもしれない。
また、読んだ側も安易に「筆者の人生がうらやましい」とはならないだろう。
それでも、この本を読んだ後の読後感は決して悪いものではないから、これも「いい人生」なのだといえるのだろう。
むしろ、人生のある時点でのある出来事によって、その人生が丸ごと肯定されるのだとすれば、それはまさしくニーチェ的であり、生きるに値する世界である。
むしろ、世の「成功者」と呼ばれる人たちが、ひとしなみに少年漫画のような完全無欠の上昇劇を見せても、読者はあまり面白くあるまい。
わたしは『あの花』や『花咲くいろは』などの、著者が脚本家として携わったアニメのファンで、またくだんの作品の一癖ある魅力より、彼女の経歴や素性に興味をひかれて買ったくちである。
わたしは小説版の『あの花』と『ARIA』を読んでいて、前々より著者に対しては、独特かつ洗練された言語感覚を持つすぐれた物書きというイメージを持っていたが、本書はそのイメージを裏書きしている。導入は小説のように工夫されており、続きを期待させてくれるものだった。著者が語り手として優れていると思うのは、わたしだけだろうか?
本書は結局二日間で読み切った。よりくわしい時間で言えば、たぶん五時間くらいだろう。内容が濃いと思うが、スラスラ読み進められた。読んだが忘れてしまったことは恐らくないと思う。著者の文才のお陰だろう。
『あの花』や『花咲くいろは』や、その内のキャラクターが成り立つ礎となる物事が、本書には記されている。作品を見て好きになっただけでなく、その由来まで知りたくなった人に、わたしは本書をおすすめする、ぜひ読んでみるべきだ。
タイトルより推測されるが、本書はひきこもりだった者の自伝である。きっと本書を手に取る人は、多かれ少なかれ、ひきこもりや孤立の経験がある人と思う。わたし自身にもある。しかしその問題は、作品の視聴者や著者のファンだけでなく、間違いなく他の人も経験していることだ。ひきこもりの『あの花』のじんたんや、心の傷により失語的な不具合を負う『ここさけ』の成瀬順を知らずに、欝々と狭い範囲にのみ生きている人は必ずいる。そしてまた、その問題はいわゆる「リア充」のような外界生活を謳歌している者の内にも潜在している。「リア充」達の周りでは、そして彼らの内面では、ひきこもりになったり孤立したりせずに済む程度の微かなきっかけしか起きないだけなのだ。ひきこもりや孤立は恐らく人間的な問題で、それゆえに普遍的な問題でもあると思う。
本書はその問題を徹底的に生き抜いた一人の、恐らくは早熟だったであろう人間の、苦悩の多い約三十年間に及ぶ期間の伝記だ。生きにくいとしばしば思わせる我々の現実の中で、同時代の誰かの真実の伝記は、きっとそれを読む者の助けとなるだろう。少なくともわたしはそう思うし、わたしは実際本書を読むことで幾らか助けられた。
『あの花』を見終えた時わたしは、作品の視聴が、わたし以外の誰かにとっても貴重でかけがえのない体験になることを願ったが、本書を読み終えた時も同じであった。わたしは、著者の人生を彼女がつづった文章を通じて追体験し、共感することで一定のカタルシスを得た。よってわたしは他の読者諸氏にも、同じものが得られることを願いたい。
読み終えたばかりの今わたしは、本書に対して不思議な引力を感じています。本当にどんな人が本書を読むのか、気になるところです。アマゾンのレビューであえておすすめしなくても、きっとその引力に引かれてすでに幾人かが本書を買って読みふけっていることでしょう。本書を読んで何を得られたか、どんな感想を持ったか、ぜひ聞いたり読んだりしてみたいものです。
『学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで』は、そんな風に思わせてくれる魅力を持つ優良な書でした。
ライトノベルのような筆致のプロローグとエピローグとは対照的に、本文全14章は「殴り書き」とさえ言えそうな直裁的な語り口で「周囲と自分に強い違和感を抱く少女だった頃の自分」「家族との困難だった関係」「決して多くなかった友人」「さらに少なかった理解者」を率直に振り返る。
考察好きの熱心な岡田氏ファンにとっては、過去、特に少女時代までの岡田氏の周囲にいた人々のエピソードは「ネタ元」探しのソースになりそうだが、「あの花」や「ここさけ」で描かれた『美しい秩父の自然に育まれた十代の少年少女の輝き』だけを楽しみたいライトな(または純粋な)ファンにとっては、本書の率直さは今後の岡田氏作品鑑賞に悪影響を及ぼすのではないかとさえ思うような、それほどの生々しさが本書にはある。
※この観点に置いて、桜を背景に静かに微笑んでいる仁太と順の表紙イラストは読者のミスリードを招くように思われて私は高く評価できない。装画を担当された田中将賀氏は没案も含む装画ラフを自身のツイッターに公開しているので、興味をお持ちの方はぜひ覧頂きたい。販促観点の事情も加味した総合評価などできる立場ではないが、もし私が一読した後の感慨を元に採用案を選ぶとしたら案①がもっともふさわしいように思われた)
また率直さの裏返しとして、意図して言及しなかったであろう事項や深く語ることを避けたであろう事項も1,2回の再読で簡単に見つけることができる。しかし私はこれはまだ岡田氏がその事項を語れる状態になっていないからであろうと理解し、いつかの将来に作品として昇華された形で提示してもらいたいと考えた。
岡田麿里さんについてより深く知りたい、という方にも勿論オススメです。
素敵な一冊です。
楽に読めてよかった。オレも不登校になりかけたことあるから気持ちわかる。