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僕が殺した人と僕を殺した人 単行本 – 2017/5/11
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- 本の長さ335ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2017/5/11
- ISBN-104163906436
- ISBN-13978-4163906430
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
連続殺人鬼“サックマン"がつなぐ過去と現在。台湾のリアルを体感する青春ミステリー
二〇一五年、アメリカで少年ばかりを七人手にかけてきた殺人鬼、「袋男(サックマン)」なる男が、捕まる。台湾の伝統的な人形劇、布袋劇(ポウテヒ)をやっていたとのこと。国際弁護士である「わたし」は、約三十年前の一九八四年、サックマンを知っていた。「わたしたち」は十三歳だった。
物語の前半、一九八四年の台湾では、主に三人の少年が登場する。とある事情により居候の身にならざるをえなくなったユンと、ユンの居候先の長男であり幼馴染みのアガン。そして、不良で喧嘩の強いジェイ。三人の少年はそれぞれに家庭に問題を抱えているものの、不満を活発的なエネルギーに変え、日々をのりきってゆく。当時の台湾で、アメリカの文化であるブレイクダンスの練習に明け暮れる少年たちの描写というリアリティーは、本作を読んで初めて体感できた。
ジェイの祖父は布袋劇の名手であるが、ある日の大事な出番の前に、倒れてしまう。ユンは、ジェイや彼の祖父を助けるため、「冷星風雲」なる即興の布袋劇を行い、なんとかその場を切り抜ける。ジェイは感謝し、友情を深めてゆく。そんな少年たち三人はある時点で、とある問題を解決するために、後ろ暗い計画をたてる。
三十年の時を経て、あの時の少年が凶悪な殺人鬼になり、「わたし」は国際弁護士、もう一人は成功した商売人になっている。たとえば、すっかり中年になっているその中の一人が、左目の加齢黄斑変性の手術を日本で受けているが、そういった描写が、少年を中年に変えてしまった時の経過という単なるノスタルジーでは済まされていない。「わたし」は、その病気がとある人物から昔「煉瓦で殴られた」せいではないかと指摘する。時の経過ですべてを曖昧にしてしまうのではなく、今起こっていることの原因は過去にある、という冷静で緻密な観察眼をもった登場人物や作者の書き方により、この物語は綴られている。サックマンも、脳の損傷による凶暴化を指摘される。「わたし」は、「脳の損傷」が起こってしまった出来事を知っている。それに自身もかかわっている。つまり、三十年前のあの出来事のせいで、現代のアメリカで七人もの少年たちが命を絶たれてしまったのではないか。
事象を把握する人間の観察眼のあり方は個々人で異なり、それこそが本質的なミステリーだ。東山作品は、直木賞受賞作『流』の頃より、また大きく飛躍している。小手先の洗練ではなく、飛躍、なのだ。文学作品好き、楽しい小説好きの全員にすすめることができる作品だ。
評者:羽田 圭介
(週刊文春 2017.06.01号掲載)登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2017/5/11)
- 発売日 : 2017/5/11
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 335ページ
- ISBN-10 : 4163906436
- ISBN-13 : 978-4163906430
- Amazon 売れ筋ランキング: - 620,264位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,659位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- - 14,058位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
この評価を選んだ理由は、外国のお話で、(しかも良くある台湾ものにありがちではありますがそれに反して)中立的で、読みやすく、リズムもよく、各エピソードにも説得力があるところです。
特に比喩的な描写が嫌味でなく端正なところにしびれました。
登場人物たちほどではないにしろ自分の周りや過去にも共通するような問題がちりばめられていたのも惹き込まれました。
個人的には自分も漫画作品のAKIRAが大好きでしたし今も大好きだからということがあります。以前は物語遊びに熱中もしました。ですのでわくわくしながら自分の物語のように読んでいたら。。。定石なのかもしれませんが、推理小説に読み慣れていなかったのでその後の展開に衝撃を受けてしまいました。
主に過去が舞台ですが、ネットのいたるところ、ユーチューブやニコニコなどでも物語にならない物語が今も沢山生まれていると思います。
同じように現実の行き違いも。
だれにも打ち明けられない秘密も。
おすすめしたいけど出来ない人に教えてあげたかったです。
キラキラしていて、質実で、しかし儚く、辛かったけれど美しい物語でした。
世の中は確実にきれい事ではできていないけれど、美しいことに対する憧れなしでは私たちは存在できないんだと強く思いました。
どんな年代の方にも爪あとを残してくれると思います。
何歳の方でも、いつ読んで損なしだと考えます。
しかし読後は妙に爽やかでしたのでそのへんでの躊躇はしなくて大丈夫ですよ。
次の作品にがっかりしないか心配になるくらい気に入りました。
「流」もすごく良かったですが、個人的には「流」より好きです。
説教がましいところがないのがいいのかな。とにかく誰に対しても薦めたいです。強いてどちらかというと若者より大人にでしょうか。挫折を知っている方には特に。
勇気がでました。
とりとめがありませんが申し訳ありません。
以上です。
むしろ台湾版スタンド・バイ・ミーとして読ませる小説になっています。
台湾に生きる3人の少年たちが、湿度と温度をもった空気の中で、生き生きと描かれています。
まぁ、登場人物の名前とか、読みにくさは最初ありますが、それが気にならなくなっていきます。
時代背景もありますが、少年たちがとにかく逞しい。
日本人の感性とは異なる部分(やたら乱暴)も多々ありますが、生命として弾けるようなまぶしさを放っています。
文章の疾走感が、個人的には好きです。
幼少期に子供の感情をあまりにも押さえ込むような躾をしてはならないと聞いたことがありますが、お兄さんの死や友人の関わりなどいろんな面から抑圧され、爆発してしまったような印象を受けました。
子供にも子供の世界がありますし、大人にも大人の世界があります。
いろんな不運も重なり罪を重ね、傷つき壊れてしまったシーンが重くのし掛かってきました。
読んでいくにつれて少しでも軽くしてあげたい気持ちが起こりましたがどうしようもない展開で、虚しさばかり残りました。
本作品の魅力は、3つにまとめることができます。第1は、ストーリーの運びに緩みがなく、しかも、意外性に満ちた展開がいくつも用意されていること。第2は、途中で語り手が交替したことを読者に気づかせない工夫が凝らされていること。第3は、文体が引き締まっていること。
1984年の台湾・台北での出来事と、2015年のアメリカ・デトロイトでの出来事が時空を超えて絡み合いながら、物語が展開していきます。
「こうして、ぼくたちは共謀して喧嘩の理由をすりかえることに成功したのだった。それは中一の夏休みが終わるほんの二日前のことで、いまふりかえると、ぼくたちの人生はここから大きく狂いはじめたんだ」。
「考えてみれば、一九八四年の夏休み前後の三カ月がぼくとジェイを結びつけた。アメリカへ渡った両親においてきぼりを食ったぼくは、ジェイのおじいさんのかわりに布袋劇(ポウテヒ)をやり、バスケットシューズを万引きし、ブレイクダンスの練習に夢中になり、ジェイにキスをされ、そのせいで殴りあい、また仲直りをした。ジェイはジェイでたった三カ月のあいだにぼくにキスをし、そのせいで殴りあい、師範大学の学生に権力のなんたるかを教わり、その男とキスをし、そして継父に殴られて入院した。アガンだってそうだ。母親が男をつくって家を出、転校し、大好きだった父親は目も当てられないほど落ちぶれ、弟はアガンが殺したいほど憎んでいる男(=継父)にすっかり懐いている。そして、ぼくは十四歳になった」。
2015年冬、少年ばかりを7人も手にかけた連続殺人鬼「サックマン」がデトロイトで逮捕されます。その「サックマン」を、31年前、わたしはよく知っていたのです。
「その静かな視線に射すくめられて、わたしはしばらく動けなかった。記憶にある面影と、あまり変わっていないように思えた。削げ落ちてしまった頬は、二年前の昏睡から目覚めたころのままだった。落ちくぼんだ目に宿る光は曖昧で、長年にわたる投薬とリハビリテーションの限界を感じさせた。長机の上でゆるく組みあわせた両手も、十四歳のころの華奢な印象を留めている。わたしのために獰猛なコブラと戦い、わたしのために間違いを正そうとしたこの手が、アメリカで血に汚れてしまったなんて、にわかには信じられなかった」。
「軽い眩暈を覚えた。時空が水飴みたいにゆがみ、わたしたちがばらばらに歩んできた三十年の歳月が煙のように消え去る。わたしの手首に巻かれているオメガの秒針が止まり、そのかわり一九八五年に止まったまま放っておかれた時間がふたたび動きだす。カチ、カチ、カチ、と音を立てながら」。
期待を裏切らない一冊です。
台湾での少年時代の描写は本当に活き活きしていて頭の中に台湾の雑多な景色が浮かんできて映画を観てるよう。それぞれ影ある家庭環境のもと育まれていく友情はそれだけで十分に一つのストーリーであるが、そこに現代が加わることで更に深みが出ている気がする。
それは、この小説のもう一つの魅力である過去と現在の対比。その対比を際立たせる漢字の使い方と主語の入れ替え。このコントラストを主語の入れ替えを巧みにぼかしながら段階的に切り替えていくことで、どんどん読み進んでしまう流れになっていと思う。こういうパズル的な文章の書き方は推理小説的でもあるかな?と思ったらやっぱりそっち系の作家さんなんですね。
作者は私と同世代かな?出てくるアーティストが全て私のリアルタイムでちょっと楽しかった。一つ難をいうなら引用した小説をネタバレ的に説明するのはちょっとどうかと…
あと皆さんご指摘の通り、私もスタンド・バイ・ミーが思い浮かびました。
いつ、誰が、誰を、どのように想ったのか。
それこそが最大の謎、自分が知りたかったことだったのだと読了後に、涙があふれた。
これほどきれいなものが、ミステリーの核として隠されていたことに、ただただ驚きを禁じ得なかった。
こんなミステリーは読んだことがない。
思わず、台北で舞台となった街を歩いてしまった。
こんな体験は久しぶりだった。
で、結論ですが、面白かったです。内容が深いし、台湾を舞台にこれだけのものが書けるのはこの著者を置いて他にいないでしょう。
ただ、米国で犯した犯罪については、その直接の理由や動機が最後までよくわかりません。なので、純然たる謎解きのためのミステリー小説として読むのはちょっと違う気がしました。