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世にも危険な医療の世界史 単行本 – 2019/4/18
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◆先生、本当にこれで治るんですか?◆
生まれる時代が違ったら、あなたも受けていたかもしれない――。
科学を知らない人類が試みた、ぞっとする医療の数々!
・リンカーン……水銀入りの頭痛薬を服用、重金属中毒になって症状はさらに悪化
・ダーウィン……強壮剤としてヒ素を飲み続け、肌が浅黒くなるもやめられない
・ヒトラー……猛毒ストリキニーネでできた整腸剤を9年間服用し、危うく致死量に
・エジソン……コカイン入りワインを愛し、ハイになりながら徹夜で実験を重ねる
・モーツァルト……体調不良の最中2リットルもの血を抜かれ意識喪失、翌日死亡
・ルイ14世……生涯に2000回も浣腸を行ない、フランスに浣腸ブームをもたらす
現代医療を生み出した試行錯誤、その〝危険な〟全歴史!
【目次】
■第一部 元素
第1章 水銀――始皇帝に愛された秘薬
第2章 アンチモン――嘔吐で強制デトックス
第3章 ヒ素――パンにつけて召し上がれ
第4章 金――輝かしい性病治療
第5章 ラジウムとラドン――健康〝被曝〟飲料ブーム
トンデモ医療1 女性の健康編
■第二部 植物と土
第6章 アヘン――子どもの夜泣きはこれで解決
第7章 ストリキニーネ――ヒトラーの常備薬
第8章 タバコ――吸ってはならない浣腸パイプ
第9章 コカイン――欧州を席巻したエナジードリンク
第10章 アルコール――妊婦の静脈にブランデーを注射
第11章 土――死刑囚が挑んだ土食実験
トンデモ医療2 解毒剤編
■第三部 器具
第12章 瀉血――モーツァルトは2リットル抜かれた
第13章 ロボトミー――史上最悪のノーベル賞
第14章 焼灼法――皮膚を強火であぶる医師
第15章 浣腸――エジプト王に仕えた「肛門の守り人」
第16章 水治療法――それは拷問か、矯正か
第17章 外科手術――1度の手術で3人殺した名医
第18章 麻酔――一か八か吸ってみた
トンデモ医療3 男性の健康編
■第四部 動物
第19章 ヒル――300本の歯で臓器をガブリ
第20章 食人――剣闘士の生レバー
第21章 動物の身体――ヤギの睾丸を移植した男たち
第22章 セックス――18キロの医療用バイブレーター
第23章 断食――飢餓ハイツへようこそ
トンデモ医療4 ダイエット編
■第五部 神秘的な力
第24章 電気――内臓を刺激する感電風呂
第25章 動物磁気――詐欺医師が放ったハンドパワー
第26章 光――光線セラピーで何が起きるか?
第27章 ラジオニクス――個人情報ダダ漏れの〝体内周波数〟
第28章 ローヤルタッチ――ルイ9世の白骨化した腕
トンデモ医療5 目の健康編
トンデモ医療6 がん治療編
生まれる時代が違ったら、あなたも受けていたかもしれない――。
科学を知らない人類が試みた、ぞっとする医療の数々!
・リンカーン……水銀入りの頭痛薬を服用、重金属中毒になって症状はさらに悪化
・ダーウィン……強壮剤としてヒ素を飲み続け、肌が浅黒くなるもやめられない
・ヒトラー……猛毒ストリキニーネでできた整腸剤を9年間服用し、危うく致死量に
・エジソン……コカイン入りワインを愛し、ハイになりながら徹夜で実験を重ねる
・モーツァルト……体調不良の最中2リットルもの血を抜かれ意識喪失、翌日死亡
・ルイ14世……生涯に2000回も浣腸を行ない、フランスに浣腸ブームをもたらす
現代医療を生み出した試行錯誤、その〝危険な〟全歴史!
【目次】
■第一部 元素
第1章 水銀――始皇帝に愛された秘薬
第2章 アンチモン――嘔吐で強制デトックス
第3章 ヒ素――パンにつけて召し上がれ
第4章 金――輝かしい性病治療
第5章 ラジウムとラドン――健康〝被曝〟飲料ブーム
トンデモ医療1 女性の健康編
■第二部 植物と土
第6章 アヘン――子どもの夜泣きはこれで解決
第7章 ストリキニーネ――ヒトラーの常備薬
第8章 タバコ――吸ってはならない浣腸パイプ
第9章 コカイン――欧州を席巻したエナジードリンク
第10章 アルコール――妊婦の静脈にブランデーを注射
第11章 土――死刑囚が挑んだ土食実験
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■第三部 器具
第12章 瀉血――モーツァルトは2リットル抜かれた
第13章 ロボトミー――史上最悪のノーベル賞
第14章 焼灼法――皮膚を強火であぶる医師
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第16章 水治療法――それは拷問か、矯正か
第17章 外科手術――1度の手術で3人殺した名医
第18章 麻酔――一か八か吸ってみた
トンデモ医療3 男性の健康編
■第四部 動物
第19章 ヒル――300本の歯で臓器をガブリ
第20章 食人――剣闘士の生レバー
第21章 動物の身体――ヤギの睾丸を移植した男たち
第22章 セックス――18キロの医療用バイブレーター
第23章 断食――飢餓ハイツへようこそ
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■第五部 神秘的な力
第24章 電気――内臓を刺激する感電風呂
第25章 動物磁気――詐欺医師が放ったハンドパワー
第26章 光――光線セラピーで何が起きるか?
第27章 ラジオニクス――個人情報ダダ漏れの〝体内周波数〟
第28章 ローヤルタッチ――ルイ9世の白骨化した腕
トンデモ医療5 目の健康編
トンデモ医療6 がん治療編
- 本の長さ427ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2019/4/18
- 寸法13.8 x 2.6 x 19.5 cm
- ISBN-104163910174
- ISBN-13978-4163910178
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2019/4/18)
- 発売日 : 2019/4/18
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 427ページ
- ISBN-10 : 4163910174
- ISBN-13 : 978-4163910178
- 寸法 : 13.8 x 2.6 x 19.5 cm
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- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年12月8日に日本でレビュー済み
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このたびは、早速、丁寧で迅速にご送付いただき誠にありがとうございます。大切に読ませていただきます。
2023年11月9日に日本でレビュー済み
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今では絶対やらない治療がたくさん書かれています。当時は藁にもすがる思いだったのだと考えると貴重な一冊ではないでしょうか?
あと、理髪店のあのクルクル回っているポールがどうして赤、青、白なのか、何を表しているのか、これ読めば解ります。
ただ、解れば理髪店がちょっと怖くなるかもね(笑)
あと、理髪店のあのクルクル回っているポールがどうして赤、青、白なのか、何を表しているのか、これ読めば解ります。
ただ、解れば理髪店がちょっと怖くなるかもね(笑)
2023年9月7日に日本でレビュー済み
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書かれている内容に関しては他の書物でもそれなりに知識として知ってはいましたが、こうしてまとめて読んで見ると今の時代に生まれて良かったと実感します。
2023年8月27日に日本でレビュー済み
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現代の医療はエビデンスに基づいた標準治療が行われていますが、今ほど化学も医療も発展していなかった時代、想像力を働かせて患者を救おうとしたものの治療効果がなく、患者に負担ばかりかかって死に至らしめてしまう、人体実験さながらの誰も幸せになれない悲劇が繰り広げられていて、これは今も居るわけですが、詐欺的な手法で金銭をむしり取ろうという悪人もいたという、夢も希望も無いような医療の歴史がまとめられています。
面白いのは、水銀や焼灼法のように明らかなダメージしかないような治療がある一方で、瀉血は「真性多血症」等のような特定の疾患に有効であったり、水治療法は当時の水準からいくと公衆衛生を保つ良い面はあったり、1か0かで語れない治療法もあったりするところです。テンポの良い文書構成であり、訳者の言葉のセンスも良いのでしょう、何時間でも読んでいられる書籍でした。
面白いのは、水銀や焼灼法のように明らかなダメージしかないような治療がある一方で、瀉血は「真性多血症」等のような特定の疾患に有効であったり、水治療法は当時の水準からいくと公衆衛生を保つ良い面はあったり、1か0かで語れない治療法もあったりするところです。テンポの良い文書構成であり、訳者の言葉のセンスも良いのでしょう、何時間でも読んでいられる書籍でした。
2022年11月20日に日本でレビュー済み
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結局病院にゆかずにゆっくり過ごした方がよいということになりますね。
2023年7月26日に日本でレビュー済み
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まず「水銀」はニュートンが中毒になったことで有名です。(その間、研究はできなかった。彼は錬金術師としても有名だったので)。「ヒ素」はマラリアの治療薬に使われていました。純粋な「金」は無害ですが「白金」は抗癌剤の材料として使われ、それなりの副作用はあります。「タバコ」は今でも小児の経口中毒として救急車が来ますが、タバコそのものよりも、灰皿に水が入っていてそれを飲んだ場合がより危険です。「ストリキニーネ」は、マウスのLD50の実験に使うくらいですから、人が飲む対象ではありえません。「コカイン」は初期のコーラに入っていました。「アルコール」はアレルギーがあるので注射は考えられません。「ロボトミー」も最悪。「瀉血」は私が医者になった頃は、心不全の患者に対して行われていました。「水治療法」は日本では終戦後までは滝治療と称して精神病院では行われていたことが知られています。
2019年6月19日に日本でレビュー済み
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総括すると、願望と素朴な論理で編み出された数々のおぞましい医療の歴史だろうか。昔の人がここまで愚かだったと気づくのは良いが、現在も状況はさして変化していないことに気づくと、気分が悪くなることは確実だろう。本には具体的なエピソードが豊富で、各論に分かれているので、いくつかを取り上げて紹介した方が良いだろう。
例えばヒ素は潰瘍やイボに塗ると組織が壊死して治療効果はあるが、長期的に使うとヒ素中毒になる。ヒ素を飲むと忍耐力や性欲が増し、顔色が良くなると信じて飲み続けた人々もいる。もちろん、ヒ素中毒で悲惨な死に方をした。ヒ素は壁紙にも使われていたので、ナポレオンはヒ素中毒でもあったようだ。この本には水銀や金の記述があるが、化粧品に使われていた鉛中毒の話は抜けている。
キューリー夫妻が発見したラジウムは強い放射線があるので危険なのだが、熱傷を生じるので皮膚ガンに効果があった。そこで、ラジウムなどの放射線は魔法の治癒力があると信じられ、高血圧、糖尿病、リュウマチなど、あらゆる病気の治療に使われた。ラジウムを身体に当てて病気を治そうとした大金持ちにバイヤーズがいて、5年間もラジウムを当て続け、ガンだらけになって死亡した。ラジウムは稀少だったので、ラジウムが崩壊したラドンにも病気を治す力があると信じた。今でもラドン温泉などが信じられているのは、20世紀初頭の信念の名残だろう。被爆すると、ガンになる確率が増すだけだが。
瀉血の馬鹿馬鹿しさは自分の本「あざむかれる知性」や「心理学でなにがわかるか」(ちくま新書)にも書いたが、血液が生命の元で、病気は血液が病むからという病因論に根ざしている。したがって、病気の時は、可能な限りたくさんの血を抜けばよいということになる。この信仰は2,000~3,000年続いた。瀉血して治らなかった場合は血の抜き方が不十分と考えたので、間違った信念が訂正されることもなかった。瀉血が廃れたのはコッホの最近感染説が現れたこと、医療統計学で、瀉血をしても死亡率が下がらないことなどの理由による。犠牲者の有名人はモーツアルト、チャールズ二世、アン王女、ジョージ・ワシントン、バイロンなど。
歴史上、最悪の手術はロボトミーだろう。狂気は頭に宿るので、頭の中の石を取り除けば治療可能という信念に基づいていた。19世紀末、頭蓋骨に穴を開けて、脳みそを何杯か取り除くと、精神病の患者は大人しくなるので、この方法が推奨された。この手術で有名になったモニスはノーベル賞を受賞した。その後、フリーマンとワッツは「ロボトミー」という名前を付け、頭蓋骨のてっぺんに穴を開ける代わりにこめかみを切開し、へらで脳みそを掬い出した。この犠牲者がケネディ家のローズマリー・ケネディであった。その後、彼らは眼球の上からアイスピックを突き刺し、脳みそをかき回した。その結果、精神病の患者はすべて大人しくなったが、多くは出血多量で死んだ。
浣腸の話も面白いかな。糞便には毒素があり、身体に害を及ぼすので、速やかにこれを対外に排出することが重要とされた。あらゆる病は宿便が原因であるという学説も生まれた。古代エジプトの時代から、あらゆる病気の治療のために浣腸が推奨された。ルイ14世は生涯で2000回も浣腸をしたらしい。19世紀になると、コーヒー浣腸がさかんになった。このコーヒー浣腸は20世紀のゲルソンがデトックス・キャンペーンを行い、大もうけをしたらしい。今でもゲルソン療法(食事療法)はガンにも効くと続けられている。
食人も数千年の間行われ、19世紀まで存続した。元気な人間の肉を食べると病気が治るはずという信念に基づいている。血液は生命の元だからそのまま飲んだり、血液でジャムを作って食べた。健闘士の遺体はよく利用された。健闘士の遺体が手に入らない時は、罪人の新鮮な遺体を利用した。燻製肉も作られて食された。古い遺体ではミイラが利用されて、湿布剤や解毒剤として加工された。そのため、ミイラの需要がひっ迫し、盗掘があいついだ。自分の病気を治すためなら他の人の体でも食べようとしてしまうらしい。
とんでも医療にはキリがない。人間の愚かな魔術的思考はまったく訂正されず、現在に至っている。医療の元で殺人が行われすぎたので、エビデンス・ベイスド・メディシンが現れたのだが、科学的思考方法(条件を揃えて比較対照を行うこと)の理解はまだまだ。時間のある人は私の「心理学で何がわかるか」や「あざむかれる知性」(ちくま新書)を読んで欲しい。
例えばヒ素は潰瘍やイボに塗ると組織が壊死して治療効果はあるが、長期的に使うとヒ素中毒になる。ヒ素を飲むと忍耐力や性欲が増し、顔色が良くなると信じて飲み続けた人々もいる。もちろん、ヒ素中毒で悲惨な死に方をした。ヒ素は壁紙にも使われていたので、ナポレオンはヒ素中毒でもあったようだ。この本には水銀や金の記述があるが、化粧品に使われていた鉛中毒の話は抜けている。
キューリー夫妻が発見したラジウムは強い放射線があるので危険なのだが、熱傷を生じるので皮膚ガンに効果があった。そこで、ラジウムなどの放射線は魔法の治癒力があると信じられ、高血圧、糖尿病、リュウマチなど、あらゆる病気の治療に使われた。ラジウムを身体に当てて病気を治そうとした大金持ちにバイヤーズがいて、5年間もラジウムを当て続け、ガンだらけになって死亡した。ラジウムは稀少だったので、ラジウムが崩壊したラドンにも病気を治す力があると信じた。今でもラドン温泉などが信じられているのは、20世紀初頭の信念の名残だろう。被爆すると、ガンになる確率が増すだけだが。
瀉血の馬鹿馬鹿しさは自分の本「あざむかれる知性」や「心理学でなにがわかるか」(ちくま新書)にも書いたが、血液が生命の元で、病気は血液が病むからという病因論に根ざしている。したがって、病気の時は、可能な限りたくさんの血を抜けばよいということになる。この信仰は2,000~3,000年続いた。瀉血して治らなかった場合は血の抜き方が不十分と考えたので、間違った信念が訂正されることもなかった。瀉血が廃れたのはコッホの最近感染説が現れたこと、医療統計学で、瀉血をしても死亡率が下がらないことなどの理由による。犠牲者の有名人はモーツアルト、チャールズ二世、アン王女、ジョージ・ワシントン、バイロンなど。
歴史上、最悪の手術はロボトミーだろう。狂気は頭に宿るので、頭の中の石を取り除けば治療可能という信念に基づいていた。19世紀末、頭蓋骨に穴を開けて、脳みそを何杯か取り除くと、精神病の患者は大人しくなるので、この方法が推奨された。この手術で有名になったモニスはノーベル賞を受賞した。その後、フリーマンとワッツは「ロボトミー」という名前を付け、頭蓋骨のてっぺんに穴を開ける代わりにこめかみを切開し、へらで脳みそを掬い出した。この犠牲者がケネディ家のローズマリー・ケネディであった。その後、彼らは眼球の上からアイスピックを突き刺し、脳みそをかき回した。その結果、精神病の患者はすべて大人しくなったが、多くは出血多量で死んだ。
浣腸の話も面白いかな。糞便には毒素があり、身体に害を及ぼすので、速やかにこれを対外に排出することが重要とされた。あらゆる病は宿便が原因であるという学説も生まれた。古代エジプトの時代から、あらゆる病気の治療のために浣腸が推奨された。ルイ14世は生涯で2000回も浣腸をしたらしい。19世紀になると、コーヒー浣腸がさかんになった。このコーヒー浣腸は20世紀のゲルソンがデトックス・キャンペーンを行い、大もうけをしたらしい。今でもゲルソン療法(食事療法)はガンにも効くと続けられている。
食人も数千年の間行われ、19世紀まで存続した。元気な人間の肉を食べると病気が治るはずという信念に基づいている。血液は生命の元だからそのまま飲んだり、血液でジャムを作って食べた。健闘士の遺体はよく利用された。健闘士の遺体が手に入らない時は、罪人の新鮮な遺体を利用した。燻製肉も作られて食された。古い遺体ではミイラが利用されて、湿布剤や解毒剤として加工された。そのため、ミイラの需要がひっ迫し、盗掘があいついだ。自分の病気を治すためなら他の人の体でも食べようとしてしまうらしい。
とんでも医療にはキリがない。人間の愚かな魔術的思考はまったく訂正されず、現在に至っている。医療の元で殺人が行われすぎたので、エビデンス・ベイスド・メディシンが現れたのだが、科学的思考方法(条件を揃えて比較対照を行うこと)の理解はまだまだ。時間のある人は私の「心理学で何がわかるか」や「あざむかれる知性」(ちくま新書)を読んで欲しい。
2022年8月5日に日本でレビュー済み
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共同執筆者の1人に医師が名を連ね、過去の滅茶苦茶な医療法が軽快な文体で興味深く紹介されている。
古代のガレノスが提唱した四体液説(血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の調和が崩れると健康でなくなるという説)は近世まで信じられ、その信仰によって無数のトンデモ医療が生まれた。特に悪名高い瀉血は、血液が過剰になっているから病気になっている、ならば血液を人工的に排出すればよいという発想から来ているし、便秘の解消にも医師たちは血眼になった(確かに現代においても便秘でないに越したことはないと感覚的に思うし、分かる気もする)
何人かの患者がトンデモ医療を施術され、「たまたま」その後快方に向かった場合(適切な治療法を受けたと患者が思ったことでプラセボ効果が働いた可能性もある)、その治療法はお墨付きを与えられてしまい本書に列挙されることになる。近代以前は測定技術が未発達で原因と結果の切り離しが不可能だったからだ。特定の患者に対する疫学、統計学的調査を行い原因と結果を分析出来るような行政機構が未発達だったせいもある。
本書にはこの医療に効果が無いと半ば知って患者から金を巻き上げた悪意の医師、トンデモ医療機器販売者なども登場する一方、効果があると信じて施術を行った善意の医師も存在する。時代が進み測定技術が発達すると、悪意の医師達は国家の管理当局に出鱈目の治療法を行っていると注意を、悪質な場合は刑罰を受けた。同業の医師が反証し、暴かれたケースもある。
善意の医師は現代の医療発展に寄与しているケースも多い。
今となっては荒唐無稽な理論も当たらずといえども遠からずだったのだ。実はトンデモ医療の中で最も悪名高い瀉血でさえ、現代医療においても多血症の治療などに使われている。(他の治療法もごく一部ではあるが、現在でも使われているケースがある。)
現代の民間療法と同様、金銭的に余裕がある文化的偉人や政治家がトンデモ医療を受けていたとよく名前が挙げられている。もっとも、彼らの生涯や哀れな最期が文献に残されているからと言うのもある。
しかし、本書に列挙される治療法にすがった患者たちを後世の私達が一笑に付すことが出来るだろうか?本書で扱われる治療法の多くは国家が半ばお墨付きを与えた「正統な治療法」だったのだ。(そういえば、フランスやイギリス王だけが施術できる治療法も存在し、本書で扱われている)現代における民間療法とは事情が違う。
そもそも現代でも医療は発展途上の段階にある。現代の常識的な医療方法が少し先の未来において、未来版の本書でユーモラスに扱われているかもしれない……
古代のガレノスが提唱した四体液説(血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の調和が崩れると健康でなくなるという説)は近世まで信じられ、その信仰によって無数のトンデモ医療が生まれた。特に悪名高い瀉血は、血液が過剰になっているから病気になっている、ならば血液を人工的に排出すればよいという発想から来ているし、便秘の解消にも医師たちは血眼になった(確かに現代においても便秘でないに越したことはないと感覚的に思うし、分かる気もする)
何人かの患者がトンデモ医療を施術され、「たまたま」その後快方に向かった場合(適切な治療法を受けたと患者が思ったことでプラセボ効果が働いた可能性もある)、その治療法はお墨付きを与えられてしまい本書に列挙されることになる。近代以前は測定技術が未発達で原因と結果の切り離しが不可能だったからだ。特定の患者に対する疫学、統計学的調査を行い原因と結果を分析出来るような行政機構が未発達だったせいもある。
本書にはこの医療に効果が無いと半ば知って患者から金を巻き上げた悪意の医師、トンデモ医療機器販売者なども登場する一方、効果があると信じて施術を行った善意の医師も存在する。時代が進み測定技術が発達すると、悪意の医師達は国家の管理当局に出鱈目の治療法を行っていると注意を、悪質な場合は刑罰を受けた。同業の医師が反証し、暴かれたケースもある。
善意の医師は現代の医療発展に寄与しているケースも多い。
今となっては荒唐無稽な理論も当たらずといえども遠からずだったのだ。実はトンデモ医療の中で最も悪名高い瀉血でさえ、現代医療においても多血症の治療などに使われている。(他の治療法もごく一部ではあるが、現在でも使われているケースがある。)
現代の民間療法と同様、金銭的に余裕がある文化的偉人や政治家がトンデモ医療を受けていたとよく名前が挙げられている。もっとも、彼らの生涯や哀れな最期が文献に残されているからと言うのもある。
しかし、本書に列挙される治療法にすがった患者たちを後世の私達が一笑に付すことが出来るだろうか?本書で扱われる治療法の多くは国家が半ばお墨付きを与えた「正統な治療法」だったのだ。(そういえば、フランスやイギリス王だけが施術できる治療法も存在し、本書で扱われている)現代における民間療法とは事情が違う。
そもそも現代でも医療は発展途上の段階にある。現代の常識的な医療方法が少し先の未来において、未来版の本書でユーモラスに扱われているかもしれない……