現在すでにビジネスとして様々な形で動いていた日本における宇宙開発を、技術論と国際的駆け引きの両輪をもってとらえる名著です。
一般に報道されているほど日本の宇宙関連技術は遅れているわけではなく、独自の道を歩むことで分野によっては世界トップレベルに達している一方で、冷戦下の取り決めとアメリカによる拘束でその技術が十分にビジネスの場で発揮できないという、第1章の内容はとりわけ関心をひくことでしょう。ここだけでも読む価値は十分にあります。加えて海外から非難されるロケット技術の弾道ミサイル転用、国内で論議された情報収集衛星などよく批判の声があがる問題についても、キチンと解説することでその誤解を解決しています。
また独自開発と国際協調のジレンマ、すなわち第5章!の国際宇宙ステーション計画の経緯が様々な利益不利益の思惑から成立しているという面白い記述でも、技術関連を知らぬ政治記者が書き散らすようにただジャーナリスティックな国際的駆け引きを強調するだけではなく、きちんとした技術論に立脚した上で議論を進めていく著者の信頼性が確認できるでしょう。
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日本の宇宙開発 (文春新書 50) 新書 – 1999/7/1
中野 不二男
(著)
宇宙は今や、情報通信、金融と並ぶ国際経済戦争、国際政治の場である。米、ロ、ECのはざまで、日本の技術はどこまで闘えるのか?
- 本の長さ182ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日1999/7/1
- ISBN-104166600508
- ISBN-13978-4166600502
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (1999/7/1)
- 発売日 : 1999/7/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 182ページ
- ISBN-10 : 4166600508
- ISBN-13 : 978-4166600502
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,389,849位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
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2021年10月26日に日本でレビュー済み
「日本は技術立国である」
そんな幻想を,宇宙工学の立場から打ち砕く一冊.
▼
「使い易さ」の時代へと足を踏み入れつつある商業用ロケット(p.9)
宇宙産業の目を摘む,曖昧な「宇宙の平和利用」原則(p.28-35)
複雑な技術満載の"超芸術品",アトラス・ロケット(p.49)
日本の輸出管理能力に疑問を持っていたNASA(p.59)
反糸川(p.60-61)
国防総省の反対(p.65)
固体燃料の鋳込みの厄介さ(p.66)
アメリカ側の国策(p.73)
「新N」への移行理由(p.74-75)
増えるブラック・ボックスの割合(p.75-77)
▼
「H-IIを核ミサイルに転用できる」というのは妄想(p.89-90)
2段階着火システムの意味(p.94)
分解能(p.104-105)
レーダー衛星(p.105-110)
観測衛星と偵察衛星の「違い」(p.114-119)
使い捨て衛星(p.117)
▼
ロシア参加に伴う,国際ステーションの設計変更(p.139-143)
ロシア参加のメリット(p.144-145)
振り回される日欧(p.146-149)
カネでは買えないノウハウ(p.149)
H-Iの優位性(p.157-)
マンパワー縮小でコスト削減できたH-IIA(p.159-169)
J-IIの制振機構(p.179-180)
▼
それら事実を踏まえた上で(というより,冒頭のほうで),著者は述べる.
「日本は科学技術創造立国を目指すとされている.
また,この国は技術立国だと考えている人は少なくない.
しかし現実には,単なる"製造立国"にすぎない面が極めて強い.
技術力というのは,モノを創り出す能力であり,ノウハウのことである.
また,ほかでは真似のできないモノを造る技能である.
機械によって大量生産することではない.
ただ流れ作業でモノを造るだけなら誰でもできるし,それは技術とは言えない.
薄利多売の大量生産がやがては行き詰まることは,過去の事例が証明している」(p.27-28)
▼
読め.
【関心率35.71%:全ページ中,手元に残したいページが当方にとってどれだけあるかの割合.当方にとっての必要性基準】
そんな幻想を,宇宙工学の立場から打ち砕く一冊.
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「使い易さ」の時代へと足を踏み入れつつある商業用ロケット(p.9)
宇宙産業の目を摘む,曖昧な「宇宙の平和利用」原則(p.28-35)
複雑な技術満載の"超芸術品",アトラス・ロケット(p.49)
日本の輸出管理能力に疑問を持っていたNASA(p.59)
反糸川(p.60-61)
国防総省の反対(p.65)
固体燃料の鋳込みの厄介さ(p.66)
アメリカ側の国策(p.73)
「新N」への移行理由(p.74-75)
増えるブラック・ボックスの割合(p.75-77)
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「H-IIを核ミサイルに転用できる」というのは妄想(p.89-90)
2段階着火システムの意味(p.94)
分解能(p.104-105)
レーダー衛星(p.105-110)
観測衛星と偵察衛星の「違い」(p.114-119)
使い捨て衛星(p.117)
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ロシア参加に伴う,国際ステーションの設計変更(p.139-143)
ロシア参加のメリット(p.144-145)
振り回される日欧(p.146-149)
カネでは買えないノウハウ(p.149)
H-Iの優位性(p.157-)
マンパワー縮小でコスト削減できたH-IIA(p.159-169)
J-IIの制振機構(p.179-180)
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それら事実を踏まえた上で(というより,冒頭のほうで),著者は述べる.
「日本は科学技術創造立国を目指すとされている.
また,この国は技術立国だと考えている人は少なくない.
しかし現実には,単なる"製造立国"にすぎない面が極めて強い.
技術力というのは,モノを創り出す能力であり,ノウハウのことである.
また,ほかでは真似のできないモノを造る技能である.
機械によって大量生産することではない.
ただ流れ作業でモノを造るだけなら誰でもできるし,それは技術とは言えない.
薄利多売の大量生産がやがては行き詰まることは,過去の事例が証明している」(p.27-28)
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読め.
【関心率35.71%:全ページ中,手元に残したいページが当方にとってどれだけあるかの割合.当方にとっての必要性基準】